ぼくはゴッホじゃやなんだ
Title:バンド・デ・シネ
Musician:ドレスコーズ
毛皮のマリーズを解散させた志磨遼平が新たに結成したバンド、ドレスコーズの2枚目となるアルバム。先行シングルでありこのアルバムにも収録された「トートロジー」はアニメ主題歌にもなりスマッシュヒットを記録するなど、徐々に話題を集めています。
もともと、毛皮のマリーズでは後期にどんどん志磨遼平が望むポップな楽曲にシフトしていき解散。その後、このバンドをはじめたわけで、デビューアルバムとなった前作「the dresscodes」ではレトロな雰囲気のあるポップでキュートなメロディーが全編にちりばめられているアルバムになっていました。
今回のアルバムも基本的に前作の路線を推し進めたスタイルとなっています。象徴的なのは1曲目の「ゴッホ」で、バンドサウンドを主軸にピアノの音色を加えたサウンドとメロディーはキュートでスィート。「ぼくはゴッホじゃやなんだ」と叫ぶこの曲には、はっきりいってしまえば理解されたい、要するに「ポップでありたい」という志磨遼平の主張が明確であり、まさに新作の1曲目にふさわしい楽曲と言えるかもしれません。
そのため、前作よりもさらにポップ路線にシフトしたように感じます。どこか切なくポップなメロディーラインが、より心を打つ作品になっていました。ただし、それも基本的にバンドサウンドありき。決して志磨遼平が暴走するわけではなく、しっかりドレスコーズとしてのサウンドがあった上で、ポップなメロディーラインが流れる作品になっています。
また前作同様、菅大智のドラムスも印象的。手数が多いドラムスながらも、強いリズムで迫力を出すというよりも、リズミカルなドラミングがまたポップにまとまっていて、ドレスコーズの個性をしっかり作り出していました。
そういうこともあって、2作目となる本作は、ドレスコーズとしてのスタイルを確立したアルバムと言えるかもしれません。楽曲はあくまでもバンドサウンドありきなのですが、その一方で楽曲の真ん中で機能しているのはポップなメロディーライン。バンドサウンドとメロディーのバランスが実に絶妙になりたっており、ドレスコーズとしてのひとつの完成形のようにも感じたアルバムでした。
これからのドレスコーズが楽しみになってくるアルバム。ただもっともその一方で、志磨遼平の興味がどこへ進むのか、ひょっとしたらこれを完成形として次はバンドを崩しにかかるのか、そちらも気になります。そういう意味でも今後に目を離せないバンド。2014年の活躍も楽しみです。
評価:★★★★★
ドレスコーズ 過去の作品
the dresscodes
ほかに聴いたアルバム
youth(青春)/bloodthirsty butchers
昨年5月、非常にショッキングなニュースが飛び込んできました。bloodthirsty butchersの吉村秀樹急逝。46歳の早すぎる死に、多くの音楽ファンがショックを受けました。
そんな吉村秀樹が生前に残したブッチャーズのアルバムがリリースされました。その1曲目が「レクイエム」というのがあまりに出来すぎた事実なのですが・・・。3年8ヶ月ぶりのニューアルバムなのですが、エモコアなハードなサウンドながらも、メロは意外と軽いポップというスタイルがブッチャーズらしさを感じさせます。なによりもバンドメンバー4名の一体感を非常に感じさせるアルバムで、ブッチャーズとしての完成形といってもいいアルバム。悲しい話かもしれませんが、まさに4人で残した最後のアルバムとしてふさわしい傑作でした。
評価:★★★★★
bloodthirsty butchers 過去の作品
NO ALBUM 無題
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