「幽☆遊☆白書」でおなじみ
Title:THE BEST OF MAWATARI MATSUKO
Musician:馬渡松子
今回紹介するアルバムは、ちょっと「思い出補正」が入っているかもしれないミュージシャンです(笑)。90年代前半から中盤にかけて活躍した女性シンガーソングライター馬渡松子。正直、ベスト10ヒットもないし、馬渡松子という名前自体は私と同世代の方でもご存知ない方が少なくないかもしれません。ただ、このアルバムに収録された「微笑みの爆弾」は聴いたことある方も少なくないかと思います。90年代に一世を風靡したアニメ「幽☆遊☆白書」。その主題歌がこの曲。アラフォーあるいはもうちょっと下の世代の方にとっては、耳なじみある、という方も少なくないでしょう。
「微笑みの爆弾」に限らず、このアルバムにも収録されている「ホームワークが終わらない」「さよならbyebye」「デイドリーム・ジェネレーション」など、「幽☆遊☆白書」のエンディングテーマも担当し、「デイドリーム・ジェネレーション」はベスト10ヒットまではいきませんでしたが、15万枚のヒットを記録したそうです。ただ「幽☆遊☆白書」のイメージが強くなりすぎたのでしょうか、残念ながらこの後のヒットは続かず、フェイドアウトしてしまいました。
しかし、ここ数年、本格的に活動を再開。そんな中でリリースされたベスト盤がこのアルバム。本人選曲による1枚で、前述の「幽☆遊☆白書」関連の曲もしっかりと収録されています。
そんなこともあって久しぶりに彼女の曲を聴いてみたのですが、これが予想以上に曲がよくてちょっとビックリしました。今から聴くと、彼女の曲ってブラックミュージックの要素を色濃く入れた、ファンキーな曲がメインなんですね。「微笑みの爆弾」にしても、当時は特になにも感じなかったのですが、ファンキーなリズムがすごくカッコいい!現時点でのラストシングルとなった「帰りたい」も、本人のブログによると完成度が高いため1曲目に入れたそうですが、確かにファンクなリズムが最初から最後まで鳴っていて、とてもカッコいい作品になっています。
彼女のボーカルもドスが利いている、とまでいえるかどうかは微妙ですが、パワフルでソウルフル。声量もあり、実にファンキー。当時はいわゆるガールズポップの流れにのってデビューしてきたように覚えていますが、半分アイドルっぽいポップミュージシャンがそのメインだった中、彼女みたいなタイプは浮いちゃっただろうなぁ、と今となっては思ってしまいます。
当時は残念ながらブラックミュージックが日本ではまだまだ受け入れられておらず、彼女も「幽☆遊☆白書」関連の曲以外ではヒットを出せませんでしたが、R&Bが普通にヒットチャートに入ってくるようになった現在なら、もっと状況は変わっていたかも??ちょっと時代が早すぎたシンガーなのかもしれません。
最近の活動では「懐かしのアニソンを歌うシンガー」みたいな扱いでの活動も多いみたいで、単なる「アニソン歌手」で捉えてしまうにはちょっと惜しい印象も受けます。さすがに今だと声量も変わってしまって、かつてのような活躍は厳しいのかもしれませんが・・・。あらためて今となっては再評価が待たれるシンガーでは、と思うベスト盤でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
ZIGAEXPERIENTIA/supercell
もともと初音ミクをつかったボカロPとして話題をあつめデビューしたsupercellの3枚目となるアルバム。3枚目にしてアルバムの完成度としては一番高いように感じます。ただ、楽曲は女性ボーカルのオルタナ系ギターロックで、雰囲気としては完全に椎名林檎に連なるあの系統。楽曲として悪くはないのですが、正直、いまさら?といった感じで個性はあまり感じられませんでした。
評価:★★★
supercell 過去の作品
supercell
Today Is A Beautiful Day
MONOBRIGHT three/MONOBRIGHT
元ビークルのヒダカトオルの突然の加入及び脱退で話題となったMONOBRIGHT。そのヒダカトオル脱退後、初となるニューアルバム。本来のMONOBRIGHTの原点に戻ったともいえるアルバムは、彼ららしいちょっとひねくれたけど切ないメロの曲と、軽快でどこかユーモラスな曲が交互に展開し、前半には勢いも感じられました。ヒダカトオルとの活動を経て、成長を感じられるアルバムで、これからの活躍も楽しみになってきました。ただ、後半、ちょっと失速してしまったのが残念なのですが・・・。
評価:★★★★
MONOBRIGHT 過去の作品
monobright one
monobright two
adventure
淫ビテーションe.p.
ACME
新造ライヴレーションズ
MONOBRIGHT BEST ALBUM~Remain in MONOBRIGHT~
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