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2014年1月

2014年1月31日 (金)

レジェンドの孫のソロプロジェクト

Title:Hear Me When I Say
Musician:CEDRIC BURNSIDE PROJECT

著名なブルースマン、RLバーンサイドの孫であるドラマー、セドリック・バーンサイドのソロプロジェクト。ギター、ベースのトレント・エアーズとのデゥオを中心に構成したアルバム。「BLUES&SOUL RECORDS」誌で年間ベストアルバムの1枚として選ばれていたのをきっかけに聴いてみました。

1曲目「Bloodstone」から、アコギとボーカル、さらにハープの音色が実にパワフルな王道のブルースナンバー。セドリックが奏でるリズムも実に気持ちよく、これからはじまるアルバムに期待十分な出だし・・・・・・と思ったのですが・・・。

うーん、正直な話、そこから先、中盤はちょっと退屈に感じてしまいました。「'Til They Bury Me」のハードロックテイストなギターもいかにもな感じてあまりおもしろく感じられなかったし、「I Like It,I Love It」のムーディーでコンテンポラリーな雰囲気もあまり好みではありません。「Gettin' Funky」で聴かせてくれるギターとか、所々でおもしろい部分も確かにあったものの、中盤に関しては正直ダレてしまう内容でした。

ただ、それが再びグッとおもしろくなったのが後半で、「Come On In」の力強いアコギの音色と、そのアコギにあわせるように歌い上げるボーカルにまず強く惹かれます。「We Did It」もいかにも泥臭いブルースの王道路線なのですが、おなじフレーズを繰り返すアコギに、途中に入るハープの音色がなんともいえず染みます!

そんな感じでブルース路線が強い作品に関してはかなり面白みを感じた反面、ロック寄りにシフトを移すととたんにつまらなさを感じてしまいました。個人的には無理にロック路線をとるよりも、もっとブルース寄り路線を貫いてほしかったなぁ、と感じたアルバム。曲によっては痺れるほどカッコよかったのですが・・・アルバム全体としては惜しいと感じてしまう作品でした。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

Unorthodox Jukebox/Bruno Mars

前作「Doo-Wops & Hooligans」が大ヒットを記録し、一躍話題となったアメリカのシンガーソングライターの2作目。ただ正直、その前作があまりおもしろくなかったのでほとんど期待はしていなかったのですが・・・・・・これがビックリするほど良くなっていました。基本的に前作のメロウな作風を引き継ぎつつ、インパクトさとソウルな要素が増した作品は、「平凡なポップソング」から「良質なソウル風ポップス」に大きな進化を遂げていました。前作を「いまひとつ」と感じた方でも、是非再度聴いてほしい作品です。

評価:★★★★★

Bruno Mars 過去の作品
Doo-Wops & Hooligans

Old Sock/Eric Clapton

クラプトンの3年ぶりとなる新作は、新曲2曲を含むカバーアルバム。ただその選曲もジャズ、ブルース、カントリー、レゲエなど実に幅広いジャンルから選曲し、その音楽的嗜好の広さを感じます。ただ、カバーとしてはしんみりと聴かせる「大人のロック」といった感じで、安心して聴ける反面、目新しさはなかったかも。

評価:★★★★

ERIC CLAPTON 過去の作品
Clapton

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2014年1月30日 (木)

久々の新譜ラッシュ

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は10枚中7枚が初登場。久々の新譜ラッシュとなりました。

そんな中、1位を獲得したのはAKB48のニューアルバム「次の足跡」。初動売上96万1千枚で圧倒的な1位。前作「1830m」の87万枚よりアップ。ただし本作では、2枚組のうち1枚の収録曲が異なる2タイプのアルバムをリリースという手法に出ており、その影響も大きいと思われます。

2位はNEWSの手越祐也と増田貴久によるユニット、テゴマス「テゴマスの青春」がランクイン。初動売上6万5千枚。4枚目のアルバムですが、1位→2位→1位→2位とジグザグに推移しています。初動売上は8万枚→6万5千枚→6万枚と漸減傾向が続いていましたが、ここに来てアップ。前々作「テゴマスのあい」と同水準に戻してきました。

3位はEXILEの事務所に所属している女性アイドルグループFlowerの1stアルバム「Flower」が入ってきました。初動売上は6万1千枚。直近のシングル「白雪姫」の初動が3万6千枚なので、アイドルグループとしては大健闘といった結果か。

続いて4位以下の初登場です。まず4位初登場が伊東歌詞太郎「一意専心」。この微妙な名前のミュージシャンは誰だ?と思ったら、ニコニコ動画の「歌ってみた」企画で人気を博した「歌い手」らしいです。これがデビューアルバム。いきなりのベスト10ヒットとなりました。

6位には、SAKEROCK「SAKEROCKの季節 BEST 2000-2013」が入ってきました。SAKEROCKは今やすっかり人気者となった星野源が所属しているインストバンド。他にも在日ファンクのリーダーで、俳優としても活躍している浜野謙太も参加しているバンドで、これが初となるベスト盤。初動売上1万3千枚。星野源のバンドとしては思ったほど・・・とも思ったのですが、前作「MUDA」は初動3千枚、最高位48位だったので、大幅アップ。もちろん初のベスト10ヒットとなりました。SAKEROCKって売上的には思ったほどじゃなかったんだ・・・(^^;;

7位には槇原敬之のカバーアルバム第3弾「Listen To The Music 3」が入ってきました。2枚組の内容ですが、今回はユーミン、小田和正、山下達郎、大江千里、久保田利伸、中島みゆきと、ミュージシャンを絞ってカバーしています。初動売上は1万2千枚。前作「Dawn Over the Clover Field」は初動1万8千枚で、カバーアルバムとしては健闘。根強い人気をうかがわせます。ちなみに2005年にリリースされた前作「Listen To The Music 2」は初動7万2千枚。さすがにここはちょっとCD市場全体の規模が違うか・・・。

そして初登場はもう1枚。8位に毎年恒例、グラミー賞にノミネートされたミュージシャンたちの曲を集めた「2014 GRAMMY NOMINEES」がランクインです。5冠に輝いたダフト・パンクや新人賞を獲得したマックルモア&ライアン・ルイス、最優秀楽曲賞を獲得したロードなどの曲ももちろん収録。今年の音楽シーンを概観するにはうってつけの1枚でしょう。

そんな訳で、今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2014年1月29日 (水)

あのバンドがついに1位

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週1位は、ちょっとビックリなのですがあのバンドが1位獲得。

今週1位を獲得したのはSEKAI NO OWARI「スノーマジック・ファンタジー」。JR東日本「SKISKI」CMソング。メジャー5枚目のシングルで初の1位獲得。マーチングバンドを入れた分厚いアレンジにファンタジックな作風がセカオワらしいのですが、メロディーは結構ベタなポップで歌詞も比較的単純なラヴソングで、「売れそう」なタイプの曲であることは間違いなさそう。初動10万枚は前作「RPG」の7万9千枚からアップ。今、もっとも勢いのあるバンドなのは間違いなさそうです。

2位は福岡のローカル女性アイドルグループLinQ「カラフルデイズ」がランクイン。今風のEDMにアレンジされた新曲。2作ぶりのベスト10入りで2位は自己最高位ですが、初動売上2万2千枚は、最高位12位だった前作「HANABI!!」から横バイという結果になっています。

今週はこの2位LinQを筆頭に、またも女性アイドルグループがズラリと並んだ結果に。4位に風男塾「チェンメン天国」、7位BiS「STUPiG」、10位WHY@DOLL「サンライズ~君がくれた希望~」がそれぞれランクインしています。

風男塾は男装のアイドルユニット。初動売上2万枚は前作「男装レボリューション」の1万7千枚からアップ。BiSはAA=上田剛士プロデュースの作品。いかにもロックリスナー層狙いの戦法にいつもながらあざとさを感じます。初動売上1万6千枚は前作「Fly」の1万4千枚から若干のアップ。最後、WHY@DOLLはこれが初のベスト10入りになる北海道のローカルアイドルユニット。初動7千枚は、前作「ふわふわParty」の6千枚からほぼ横バイなのですが、低水準のチャートになっため、順位は24位から10位に大きくアップしています。

さらに今週、5位にNMB48「カモネギックス」が先週の32位からランクアップして昨年11月25日付チャート以来のベスト10返り咲き。また例のごとく通信販売での追加出荷での売上が大幅に加味された模様です。

さてチャートを続けるとベスト3、第3位には先週1位関ジャニ∞「ひびき」が2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場ですが、今週はいわゆるヴィジュアル系のトップを走るバンドと、「元祖ヴィジュアル系」と呼ばれるバンドが並んでランクインしています。それが6位初登場DIR EN GREY「SUSTAIN THE UNTRUTH」と9位BUCK-TICK「LOVE PARADE」。かなりヘヴィーなDIR EN GREYのナンバーに対して、BUCK-TICKの新譜はメロディアスなポップ路線と作風も対照的。ちなみにBUCK-TICKの新譜は映画「劇場版BUCK-TICK~バクチク現象~」テーマソング。「バクチク現象」という言葉自体が懐かしい・・・。

DIE EN GREYは初動売上1万6千枚で前作「輪郭」の2万2千枚からちょっとダウンしてしまいました。BUCK-TICKの初動1万枚は、前作「MISS TAKE~僕はミス・テイク~」の1万2千枚(11位)からこちらも若干のダウン。ただBUCK-TICKはここ2作連続11位と惜しい結果が続いていましたが、2010年の「くちづけ」以来、3作ぶりのベスト10ヒットとなりました。

初登場はもう1枚。8位に韓国のバンドFTISLAND「beautiful」がランクイン。ここ最近の作品がそうなのですが、ギターロックのアレンジながらも、K-POPというよりも日本のベタな歌謡曲のようなメロディーの曲になっています。初動売上1万6千枚は前作「シアワセオンリー」の2万3千枚よりダウン。ここ数作、2万9千枚→2万3千枚→1万6千枚とダウン傾向が続いています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2014年1月28日 (火)

素材の魅力を生かす

Title:One True Vine
Musician:Mavis Staples

「何も足さない 何も引かない」「素材の良さを生かす」・・・なんて表現するとまるでなにか料理の宣伝みたいですね。でも、このアルバムの特徴を表現するのにはピッタリではないでしょうか。それだけボーカリスト、Mavis Staplesの魅力を最大限に生かしたアルバムになっていました。

Mavis Staplesは、もともとゴスペル、ソウルグループのThe Staple Singersとして活躍していたシンガー。60年代から70年代にかけてスタックス・レコードで数多くのヒット曲をリリース。2000年に彼女の父親で中心メンバーのRoebuck "Pops" Staplesが亡くなるまで活動を続けていました。ちなみに彼女はローリング・ストーンズ誌が選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガーの56位にランクインするなど、その実力は高く評価されているシンガーです。

いかんせん日本ではゴスペル・シンガーというとパワフルな声量をこれでもかというほど響かせるイメージが強く、また、そういうシンガーがなぜか「上手い」と評価されたりしています。しかし、彼女の場合、アルバムを聴いてすぐ気がつくのですが、とても抑えた歌い方が特徴的。低い声で淡々と歌い上げています。

ところがとても抑えたボーカルながらもその歌声からは力強いパワーを感じさせます。また、そのボーカルはパッと聴き淡々としてそうな雰囲気ながらも、その向うには圧倒的な表現力と優しさも感じられます。聴けば聴くほどその味を感じられ、そしてその魅力にはまっていってしまうようなボーカリストでした。

今回のアルバムは前作に引き続きWILCOのJeff Tweedyがプロデュースを手がけているのですが、このプロデュースワークが見事。基本的にアコースティックなアレンジがメインながらも、装飾が少ないアレンジに仕上げています。そのため感じた特徴が冒頭の表現。まさに素材=彼女のボーカルの魅力を最大限生かしたアレンジに仕上げていました。

楽曲は基本的にソウルやゴスペルを主軸としながらも、ロック、ブルース、カントリー、フォークなどの要素を味付けとして入れています。ちなみにボーナストラックとしてThe Beatlesの「Revolution」のカバーも収録。ソウル、ゴスペルのシンガーながらも、ジャンルに拘らないスタイルを感じます。ただ、アルバム全体としては彼女のボーカルとアコースティックな味付けのため、一貫性を感じられます。ここらへんもJeff Tweedyのプロデュースワークの素晴らしさでしょう。

ソウル好きのみならず、ロックリスナーにも十分訴求力のある傑作アルバムだったと思います。最初は地味に感じるかもしれませんが、アルバムを聴き終わるころにはそのボーカルの魅力にしらずしらずはまってしまうようなアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Amy Winehouse at the BBC/Amy Winehouse

2011年にわずか27歳で亡くなったイギリスの女性シンガー、Amy Winehouseが、イギリスBBCに残した音源をまとめたアルバム。新たな発見、みたいなものはありませんが、情感たっぷりに聴かせる彼女の歌声は何度聴いても実に魅力的。あらためて早すぎる彼女の死を残念に感じます。

評価:★★★★★

Amy Winehouse 過去の作品
Back To Black
LIONESS:HIDDEN TREASURES

What About Now/BON JOVI

アメリカンロックテイストのメロディアスな曲が並ぶBON JOVIのニューアルバム。うーん、要するに、良くも悪くもいつものBON JOVIらしい作品。ポップな作品が並び、まさにBON JOVIというイメージを体現化したようなアルバムに感じました。良くも悪くも特徴は薄いものの、BON JOVIファンなら無難に楽しめそう。

評価:★★★

BON JOVI 過去の作品
Lost Highway
THE CIRCLE
GREATEST HITS-THE ULTIMATE COLLECTION

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2014年1月27日 (月)

日本のロックバンド

Title:ザ・ベスト・オブ・ソウル・フラワー・ユニオン 1993-2013
Musician:ソウル・フラワー・ユニオン

個人的に、「好きな邦楽ミュージシャンを5組あげよ」といわれたら、間違いなくその名前をあげるであろうミュージシャン、ソウル・フラワー・ユニオン。ライブは少なくとも1年に1度は足を運んでいますし、ひょっとしたら最もライブを見た回数の多いミュージシャンかもしれません。

そんな彼らの魅力とはなんなんでしょう?私はその魅力のひとつとして、人間が本来持っている沸きあがる感情をそのまま音にのせているバンドだから、という点があげられると思います。彼らのサウンドはロックに、日本やアイヌ、韓国の民謡、さらにはアイリッシュトラッドなどの要素も組み合わせた独特のミクスチャーロック。そう、彼らがそのサウンドに取り入れている音楽の多くは、民謡などの土着の音楽です。

こういう土着の民謡は、いわゆるクラッシック音楽のように理論立っているわけではありません。例えば労働歌だったり、例えば子守唄だったり、例えばお祭りでみんながあつまった時に騒ぐための歌だったり、そういう私たちの日常の暮らしの中から自然発生的に湧き上がってきたメロディーやリズムだったりします。

だからこそソウル・フラワー・ユニオンの音楽に小難しい理屈は必要ありません。ただただそのリズムやサウンドに身を任せて楽しむだけ。それは音楽理論によって構築されたような押し付けがましい音楽でもなく、商業ベースにのって売れることを意図されたような音楽でもありません。私たちの誰もがDNAベースで身体の奥底に染み付いているような音楽を奏でるバンド、それがソウル・フラワー・ユニオンの最大の魅力に感じます。

日本の民謡を音楽に取り入れていることから、彼らはまさに日本のロックを作り上げた、という見る向きもあります。そしてそれは間違いなく事実でしょう。ただ、それはおそらく「日本人にしかできないロックをつくろう」と考えた結果ではなく、日本人にとって気持ちのよいサウンドを求めていたら、日本の民衆が、むかしから歌い継がれた民謡にたどりついた、そういうことではないでしょうか。

でも、よく考えたらロックという音楽ももともとはブルースというアメリカ黒人の庶民の生活の中で産まれた歌に行き着きます。そういう意味では、ソウル・フラワー・ユニオンが音楽にとりいれた「日常生活から生まれた歌」というのは、まさにロックという音楽の本質をついているようにも思えます。そういう意味でも、ソウル・フラワー・ユニオンこそ、日本を代表するロックバンド、そう言ってしまっても言いすぎではない、そう思います。

デビュー20周年を記念してリリースしたベスト盤である本作。いままで何作かベスト盤はリリースしてきたのですが、オールタイムベストはこれがはじめて。彼らの代表曲がほぼ収録されているこのベスト盤は、ソウル・フラワー・ユニオンの魅力を知るには十分すぎるくらいの内容だと思います。まずロックが好きなら一度は無条件で聴いてほしいアルバム。そしてその上で、彼らの魅力はライブ!このアルバムで彼らの魅力に触れたら、是非、ライブにも!

評価:★★★★★

ソウル・フラワー・ユニオン 過去の作品
満月の夕~90's シングルズ
カンテ・ディアスポラ
アーリー・ソウル・フラワー・シングルズ(ニューエスト・モデル&メスカリン・ドライブ)
エグザイル・オン・メイン・ビーチ
キャンプ・バンゲア
キセキの渚
踊れ!踊らされる前に

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2014年1月26日 (日)

ちょっと暴走気味?

Title:×と○と罰と
Musician:RADWIMPS

おそらく今、ギターロックバンドとして最も人気と勢いがあるものと思われるRADWIMPSの新作。約2年9ヶ月ぶりの新譜で、途中、野田洋次郎のソロ、illionとしての活動があったこともあり、RADWIMPSとしてはちょっと久々の新譜となりました。

そんなちょっとインターバルが出来てしまった新譜ですが、その勢いはいまだに持続していました。彼ららしい飛び跳ねるようなリズムのポップスや、過激とすら感じられる視点のあるラヴソングなど、RADWIMPSらしさは本作も健在。まさにアルバムの冒頭からして

「言えない 言えないよ
今君が死んでしまっても 構わないと思っていることを
言えない 言えないよ
そうすれば永遠に君は 僕を捕まえていられることを
言えないよ」

(「いえない」より 作詞 野田洋次郎)

と、ミディアムテンポのナンバーながらも、その歌詞はいきなりギアをトップに入れてスタート(笑)。それに続く「実況中継」は、神様まで登場するヘヴィーでシニカルな歌詞に、ラッドらしいテンポよいリズムの曲で冒頭から飛ばしまくるアルバムになっています。

中盤以降も、「ブレス」のような「どうぞ お望みとあらば お好きに切り刻んでよ」なんて歌詞が登場する美しいピアノバラードがあったり、4つ打ちのリズムが特徴的な「ドリーマーズ・ハイ」(先行シングルですね)なんて曲もあったり、ストレートなパンクナンバー「会心の一撃」が続いたり、歌詞もサウンドもメロも、1曲1曲が実に個性的。全76分にも及ぶ長さのアルバムなのですが、この個性的な曲調や勢いの良さもあり、全く飽きることがなく聴くことが出来ました。

そんな訳で、2年9ヶ月というインターバルを経ても、まだまだ勢いが続いていたRADWIMPS。新作も文句なしの傑作!これからもまだまだその活躍が楽しみです。

・・・・・・・と終わりたかったのですが、このアルバム、ひとつどうしても気にかかってしまった部分がありました。それは今回のRADWIMPS、ちょっと暴走気味じゃないか、と思える部分をチラホラ感じたということです。

先行シングルにもなった「五月の蝿」も、そのあまりに過激な歌詞が賛否を巻き起こし話題になったのですが私がもっと気にかかったのが「Tummy」で、

「今から宣戦布告 二人の子供にきっと僕 嫉妬すんだよ
きっとそうだよ あぁ もう想像つく」

(「Tummy」より 作詞 野田洋次郎)

からはじまる歌詞は野田洋次郎に既に子供がいるのならともかく、そうではない彼の書く歌詞としては正直引きました。いかにも「2人の子供」を題材に、「こんなこと考え付く俺ってすごいだろう」みたいな、ネタのためだけのネタ、みたいな印象を受けてしまって。

もともとRADWIMPSの歌詞やメロは暴走気味一歩手前みたいな部分があり、その危うさもまた大きな魅了だったのですが、今回の作品はちょっと暴走をはじめちゃったかなぁ、という印象も受けてしまいました。意地悪な見方だと、こういう過激な歌詞や深読みが出来そうな歌詞を妙に絶賛するロッキンオン界隈にのせられちゃったような感じも・・・。

ま、暴走をはじめたならはじめたで逆に一気に突っ走るのもありなんでしょうが、今度の作品に向けて、ちょっと心配になるような方向性が垣間見れたアルバムでもありました。

とはいえ、アルバム全体として傑作であるには間違いないのですが・・・・。十分楽しめた反面、今度に不安も残した最新作でした。

評価:★★★★★

RADWIMPS 過去の作品
アルトコロニーの定理
絶対絶命


ほかに聴いたアルバム

JEWEL/Chara

Charaのセルフカバーアルバム。「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」「やさしい気持ち」のようなおなじみのヒット曲も収録されており、ベスト盤のような感覚でも楽しめます。新たな歌詞やメロディーを付け加えたりもしたそうですが、全体的な感触としては大きな変化はなく・・・というよりも、特にCharaのボーカルの完成度が高すぎるため、隙のなさも感じました。これ以上、どうにもいじれないような、そういう意味での「完成度」というのでしょうか。

評価:★★★★

CHARA 過去の作品
honey
kiss
CAROL
Very Special
Dark Candy
うたかた
Cocoon

ロンググッドバイ/きのこ帝国

5曲入りのミニアルバム。アルバム全編を覆いつくすホワイトノイズが実に気持ちよい、シューゲイザー好きの壺をつきまくる作品。それにのるメロディーがポップだけどどこか切なく悲しいもの印象的で、ホワイトノイズとのバランスがまた絶妙。わずか5曲入りながらも、満足感のあるお腹一杯になるアルバムでした。

評価:★★★★★

きのこ帝国 過去の作品
渦になる
eureka

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2014年1月25日 (土)

今、最も魅力的な男性シンガー

Title:The Entertainer
Musician:三浦大知

前作「D.M.」で初のチャートベスト10入りを果たし、今、もっとも注目を集める男性シンガーのひとり、三浦大知の最新作。「D.M.」のレビューでも書いたのですが、三浦大知といえば、若干10歳でデビュー。類まれなる歌唱力が「和製マイケル・ジャクソン」として大きな話題と高い評価を集めました。その実力と評価に見合うだけ、売上がようやく追いついてきた感じがします。

ただ前作「D.M.」は自身初のベスト10ヒットとなったものの、残念ながら傑作とはほど遠い内容と思いました。一番の要因は流行りのEDMサウンドを使っているもののあきらかなオーバーアレンジで彼の歌唱力が生かされていなかった点。ポップで聴きやすいアルバムではあったものの、彼の歌唱力を考えると平凡と感じざるを得ないアルバムになっていました。

今回のアルバムに関しても、基本的な路線は前作と同様とEDMを主軸に据えた作品。「Elevator」「Right Now」など、EDMの王道ともいえる作品も並んでいます。ただし、オーバーアレンジ気味だった前作と比べるとアレンジはちょっと控えめ。きちんと三浦大知のボーカリストとしての魅力を押し出した内容になっていました。

まずそれが象徴されていたのが冒頭を飾る「Can You See Our Flag Wavin' In The Sky?」。三浦大知の伸びのある高音ボイスをこれでもかというほど生かしたナンバーで、爽やかなボーカルに酔いしれてしまいます。

中盤でも「Chocolate」のような伸びのあるボーカルを生かした曲も並び、さらに「Interlude」以降に並ぶ「Listen To My Heartbeat」「all converge on"the one"」はシンプルなアレンジで彼の声を最大限に生かしたバラードナンバー。三浦大知のボーカリストとしての魅力を最大限に感じつつ、アルバムは幕を下ろします。

天才ボーカリストの名を惜しいままにした彼の実力を存分に感じることが出来る傑作。「和製マイケル・ジャクソン」の呼び名は今でも通用するかもしれません。間違いなく彼は、今、最も魅力的な男性シンガーのひとりでしょう。

ただ一方では前作で感じた欠点が、残念ながら本作でも一部残ってしまっていました。それが全体的によくありがちな曲が多かったという点。確かに三浦大知のボーカルの力で魅力的な曲に仕上がっています。ただ、決して真新しさはありません。上にも「EDMの王道」と書きましたが、良くも悪くもヒットチャートでよく聴くようなタイプの曲が並んでいました。

ここらへん、今度はボーカルの魅力だけではなく、曲でも三浦大知らしさを出せればさらなる傑作が産まれると思うのですが・・・その点だけはちょっと残念でした。もっともこの欠点、今回のアルバムに関しては三浦大知のボーカルの魅力の方が十分上回っています。実に魅力的な1枚でした。

評価:★★★★★

三浦大知 過去の作品
D.M.


ほかに聴いたアルバム

SPACE TOUR/KREVA

KREVAのライブアルバム。正直、HIP HOPでライブアルバムというのはちょっと珍しい感じもするのですが、それだけライブに自信がある、ということなのでしょうか。確かに前半と終盤ではかなりの盛り上がりがこのアルバムを通じても伝わってきて、楽しそうな空気は感じます。ただ、中盤はミディアムテンポなナンバーが結構長く続いていて、ちょっとダレるかも。前半の盛り上がりが特に楽しそうなだけに、その点はちょっと残念でした。

評価:★★★★

KREVA 過去の作品
心臓
OASYS
GO
BEST OF MIXCD NO.2
SPACE

m@u/後藤まりこ

元ミドリのボーカリスト、後藤まりこの2枚目のソロアルバム。パンクバンドのミドリからするとかなりポップにシフトしたソロデビュー作でしたが、本作ではさらにポップにシフト。キュートと表現できるようなメロディーは彩りがあります。一方でアレンジはエレクトロやパンク、ポストロックなどの要素を詰め込んで、こちらはかなりあざやかな雰囲気。個人的にはちょっとオーバーエフェクト気味な印象があるのですが、こういう情報過多なのが、最近の流行なのかなぁ。

評価:★★★★

後藤まりこ 過去の作品
299792458

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2014年1月24日 (金)

音楽ファンにとっては幸せな90分

20feetfromstardom_2

音楽ファン、とりわけソウルリスナーの間で話題のドキュメンタリー映画「バックコーラスの歌姫たち」を見てきました。

タイトル通り、大物ミュージシャンたちのヒット曲の後ろでコーラスとして参加した女性シンガーたちにスポットをあてたドキュメンタリー。かつてブロッサムズというコーラスグループを結成し、フィル・スペクターにその歌唱力を認められるも、自身の曲を「クリスタルズ」の曲として発表させられてしまったダーレン・ラヴ。ご存知ストーンズの「ギミ・ア・シェルター」でコーラスをつとめたメリー・クレイトンに、グラミー賞受賞経験もあるリサ・フィッシャー、マイケル・ジャクソンの追悼式でステージにたち話題となったジュディス・ヒルなどといったシンガーたちにスポットをあてながら話は進んでいきます。

さらに、ミック・ジャガーやスティング、ブルース・スプリングスティーンにスティーヴィー・ワンダーという驚くほど豪華なミュージシャンへインタビューが行われ、彼女たちとのエピソードや、バックコーラスとメインシンガーとの大きな違い(これがなかなか辛烈でしたが)についても述べられていました。

以下 ネタバレ込の感想です。

続きを読む "音楽ファンにとっては幸せな90分"

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2014年1月23日 (木)

これは人気が出そうだ・・・。

Title:Before Shane Went To Bangkok:FUN. Live In The USA
Musician:fun.

2012年、シングル「We Are Young」が大ヒットを記録し、昨年のグラミー賞でも最優秀楽曲賞と最優秀新人賞の2部門受賞し、一躍人気ミュージシャンの仲間入りしたアメリカのロックバンドfun.。日本でも「We Are Young」は至る所で曲が流れていたので、聴いたことある方も多いでしょう。そんな彼らが、アメリカの音楽配信サイト「Noise Trade」にで、昨年、アメリカで行われたライブの音源を収録したライブアルバムが無料ダウンロードで提供されていました。

そこで、さっそくダウンロードして聴いてみたのですが・・・うーん、これは確かに人気が出そうだ。特徴的なのは美しいピアノのフレーズに、そのピアノに負けない、ポップで、分厚い音のバンドサウンド。この重厚な音を奏でながらもメロディーはキュートでポップというスタイルはスケール感があり(このライブ音源を披露した会場の大きさはわからないのですが)広い会場がピッタリマッチしそうな、そんな雰囲気を感じました。

特にメロディアスなメロディーは一度聴いただけで口ずさめるインパクトが彼らの大きな魅力。ライブならばサビの部分は思わず合唱したくなるような楽曲ばかりで、このライブ盤でも観客の合唱が随所におさめられていて、そのライブの楽しさがよく伝わってきます。手拍子もそのまま収められていて、こちらもライブ会場の雰囲気を伝えるにはちょうどよい「音」になっています。とにかく、会場全体からハッピーな空気が漂っていることを感じられました。

ブレイクしたfun.のアルバム「Some Nights」は以前このサイトでも取り上げたのですが、アルバム自体はポップな曲はインパクトがあるもののひねりのないストレートなメロが、アルバム1枚だとちょっと飽きが来るという印象でした。確かにこのライブ盤を聴いても、わずか6曲ながらも似た曲がやはり多いなぁ、という印象を受けます。ただ、それでもライブの楽しさは十分伝わってくるアルバムで、有名曲を手っ取り早く聴いてみる、という意味でもfun.を聴いたことない方は、お試しでチェックしてみてもいいアルバムかも。

ダウンロードは、上のブログパーツから。写真の再生ボタンを押せば、全曲試聴も出来るそうです。

参考サイト [free EP] fun. ‘Before Shane Went To Bangkok: Live in The USA’

評価:★★★★

fun. 過去の作品
Some Nights


ほかに聴いたアルバム

BLURRED LINES/ROBIN THICKE

このアルバムで米英のチャートで1位を獲得し大きな話題となった白人ソウルシンガー。今風のエレクトロナンバーやディスコナンバーなどを織り交ぜつつも、根本に流れるのは、ブラックミュージックが好きならうっとりと聴きほれそうなメロウな70年代風のソウルナンバーの要素が色濃く入っています。今風のエレクトロアレンジはありがちな雰囲気ながらも、そのメロディーにはついつい聴きいってしまう作品でした。

評価:★★★★★

MAGNA CARTA....HOLY GRAIL/JAY-Z

4年ぶりとなるJAY-Zのニューアルバム。こちらもトラックは今風のエレクトロが主体。ただ、曲によってどこかコミカルさを感じたり、ダークな雰囲気が不気味さをかもし出していたり、スペーシーなトラックがあったり、1曲1曲異なった音を聴かせてくれ、最後まで飽きず一気に聴きとおせました。

評価:★★★★★

JAY-Z 過去の作品
AMERICAN GANGSTER
THE BLUEPRINT 3
WATCH THE THRONE(JAY-Z&KANYE WEST)

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2014年1月22日 (水)

シングルは新譜ラッシュ

すっかり正月も明けたヒットチャート。シングルは新譜ラッシュ。ただし、アルバムはまだ新譜少な目のため、今週も同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

まずは1位はお決まりのジャニーズ系。関ジャニ∞「ひびき」が獲得です。TBSテレビ系ドラマ「Dr.DMAT」主題歌。いかにも今時のJ-POP的な雰囲気はGReeeeNあたりが歌っても不思議じゃない雰囲気?ジャニーズ系としてはいまひとつかも。3ヶ月連続リリースの第2弾で、初動売上20万6千枚は前作「ココロ空モヨウ」の19万2千枚よりアップ。ただ、前々作「涙の答え」の24万8千枚には大きく及びませんでした。

2位3位は珍しくロックバンドの新譜が並んでいます。2位にはサカナクション「グッドバイ」、3位にはFear,and Loathing in Las Vegas「Rave-up tonight」が並んでランクインです。

紅白初出場でも話題となったサカナクションの新譜は、紅白で聴かせたダンスチューンから一転、ミディアムテンポの聴かせるナンバー。映画「ジャッジ!」エンディングテーマ。2位は自己最高位ながら、初動売上2万2千枚は前作「ミュージック」の3万5千枚からダウン。ちょっと地味な雰囲気の曲調が原因か?Fear,and Loathing in Las Vegasはエレクトロサウンドを取り入れたサウンドが特徴的なハードコアバンド。この曲もヘヴィーなバンドサウンドながら、トランシーなリズムを取り入れていて、大きなインパクトとなっています。ベスト10入りは前作「Just Awake」に続き2作目。初動売上1万9千枚は、前作の1万2千枚から大きくアップし、初のベスト3ヒットとなりました。

続いて4位以下の初登場曲です。

4位は初のベスト10ヒット。男性ダンスグループDa-iCE「SHOUT IT OUT」がランクイン。男性5人のグループで、ダンスユニット、というよりもアイドルグループといった雰囲気。楽曲はよくありがちなEDM。これがメジャーデビューアルバムで、初動売上1万4千枚は前作「I'll be back」の6千枚(14位)からアップ。

5位に入ってきたのは元AKB48河西智美のソロシングル「キエタイクライ」。キマグレン作詞作曲のナンバーは爽やかなポップナンバーで・・・ちょっと夏向きな雰囲気じゃない?初動1万1千枚は前作「Mine」の1万8千枚からダウン。

6位はHR「エボリューションだ」がランクイン。福岡を拠点とするローカルアイドルグループなのですが、専用劇場で公演を実施していたり、完全にAKB48のパクり。楽曲もどこかAKB48っぽい感じ・・・(ま、女の子が大勢で歌えば、結局似たり寄ったりの曲になるんでしょうが)。初動売上1万1千枚は前作「全力ジャンプ!」の8千枚(11位)からアップし、初のベスト10入り。

7位にはヴィジュアル系バンドRoyz「LILIA」が入ってきました。ゴシックな雰囲気を前面に押し出したゴリゴリのヴィジュアル系。ただ、曲は比較的平凡なギターロックなのですが。初動売上1万枚は前作「EGOIST」の9千枚からアップし、初のベスト10ヒット。

8位初登場は人気男性声優蒼井翔太「Virginal」。以前はSHOWTA.名義でシングルをリリースしていたそうですが、ベスト10ヒットはこれがはじめて。高音を聴かせるボーカルが特徴的なポップナンバー。

最後にもう1枚アニメ系。葉月渚(代永翼)&竜ヶ崎怜(平川大輔)名義「TVアニメ『Free!』キャラクターソング デュエットシリーズ 002 葉月渚&竜ヶ崎怜(サマーハイテンション☆)」。テレビアニメ「Free!」のキャラクターソングで、今回はデゥエットソングシリーズの第2弾。デゥエットシリーズ001「七瀬遥&橘真琴(Always Here)」は最高位12位でしたので初のベスト10ヒットとなりましたが、初動売上9千枚は、その前作の1万3千枚よりダウンしています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートも新譜は増えてきましたが・・・。

1位は三代目J Soul Brothers「THE BEST/BLUE IMPACT」が4週連続で1位を獲得しています。

さて、今週も新譜は少なめ。とはいえ、今週上位にはシングルチャート同様、ロック勢の新譜の健闘が目立ちました。まずは2位。銀杏BOYZ「光の中に立っていてね」がランクイン。途中、シングルリリースがあったものの、アルバムとしてはなんと9年ぶりとなる新譜になります。今回、なんと2枚同時にアルバムをリリース。もう1枚はライブ音源を再構成した「ライブリミックスアルバム」の「BEACH」が4位にランクインしています。

2位の「光の中に立っていてね」の初動2万2千枚は、9年前のアルバム「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」の初動3万8千枚よりダウン。ただ、9年というスパンと2005年のCDの売上状況を考えると、わずか1万6千枚のダウンは驚くべき限りですし、それほど待っていたファンも多かったのでしょう。ところが、このアルバムを最後にメンバー4人のうち3人が脱退し、メンバーが峯田和伸のみになってしまった銀杏BOYZ。これからの活動はどうなるのか?気になります。

そしてロック勢がもう1枚。3位にDragon Ash「THE FACES」がランクイン。こちらも約3年ぶりのニューアルバム。初動売上2万1千枚は前作「MIXTURE」の2万2千枚から微減。こちらも久々のアルバムで、かつここ最近、売上面では苦戦気味だっただけに、大健闘な結果に。

続いて4位以下の初登場ですが、まず8位に韓国の男性アイドルグループB1A4の韓国でリリースされたアルバム「WHO AM I」が輸入盤の売上でランクイン。初動売上は6千枚。直近の日本発売のアルバム「1」は初動2万枚だったので、さすがにこちらよりはダウン。

今週、新譜は以上だったのですが、ベスト10圏外からランクアップしてベスト10入りしてきたアルバムが2枚あります。まずは相変わらず根強い人気。イギリスのアイドルグループONE DIRECTION「MIDNIGHT MEMORIES」が先週の16位から9位にランクアップし2週ぶりにベスト10に返り咲いてきました。

さらに10位には、先日64歳でこの世を去ったやしきたかじんの2008年にリリースしたベスト盤「GOLDEN☆BEST やしきたかじん」がランクイン。4千枚というベスト10ヒットとしては少々寂しい売上とはいえ、根強い人気を見せる結果となりました。

今週のチャートは以上。ヒットチャートはまた来週の水曜日に!

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2014年1月21日 (火)

職人技

Title:Mariya's Songbook

自らもシンガーソングライターとして数多くのヒット曲を持ち、今でも絶大な支持を得ているシンガー、竹内まりや。昨年はデビュー35周年ということでしたが、その35年間、彼女は数多くのシンガーたちにも楽曲を提供してきました。今回リリースされたコンピレーションアルバムは、そんな彼女が他のシンガーたちに提供した楽曲を集めたアルバム。初回盤には自ら提供した楽曲のセルフカバーも収録されています。

提供した曲は河合奈保子の「けんかはやめて」や薬師丸ひろ子の「元気を出して」などのアイドルへの提供曲がほとんど。岡田有希子への提供曲も2曲収録されていて、もう、彼女の曲もリリースして大丈夫なんだ、とちょっとほっとしたり。牧瀬里穂「Mirace Love」とか、広末涼子「MajiでKoiする5秒前」なんかは懐かしくも、これって竹内まりやが提供した曲だったんだぁ、と驚いたりもしました。

他にも芦田愛菜へ提供した「みんなのハッピーバースディ」、鈴木雅之の「Guilty」などアイドルソング以外も。異色なところでは、おかまキャラのタレントKINYAへ提供した「涙のデイト」や森光子へ提供した「月夜のタンゴ」なども収録されていました。

さて、これら竹内まりやの提供曲をまとめて聴いていると、ひとつ感じることがありました。それは、どの曲もとても歌い手本人のイメージにあっている、ということでした。典型的なのが広末涼子の「MajiでKoiする5秒前」で、モータウンビートの軽快で爽やかなビートに、いかにも清純な女子高校生の初心な恋愛という歌詞が広末涼子のイメージにピッタリ。

まあ、この「清純」なイメージはあくまでも男性にとっての理想の押し付けという批判はまぬがれない部分はありますが、少なくとも、あの当時の広末涼子の売り出し方にはピッタリきます。実際、竹内まりやのカバーは、ボーカリストとしての歌唱力、表現力はどちらが上か、なんて言うまでもありませんが、正直、セルフカバーの方が少々チグハグに感じてしまいました。

また、提供する曲によっても楽曲のタイプを多彩に使い分けています。基本的にアメリカンポップやブリティッシュビートの要素が強いのですが、「Guilty」ではソウルやブルース、「月夜のタンゴ」では文字通りタンゴ、またムーディーな歌謡曲や典型的なアイドルポップなどを使い分けていて、アルバムを通して聴いても、竹内まりやとしての色合いを強くは感じません。

でもそれって、それだけ彼女が職人としてプロの仕事に徹しているから、なのではないでしょうか。よく彼女の旦那様の山下達郎に対して「職人」という言葉を使われることが多いのですが、プロの仕事に徹するという意味においては、竹内まりやもまさしく「職人」と呼ぶのふさわしいプロのソングライターであることを実感させられるコンピでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

昨年5月に解散を発表し、9月に武道館でのラストライブを予定していたものの、ボーカル小山田壮平の怪我により解散ライブが延期となっているバンドandymori。現在、小山田のリハビリが続いているようですが、その「合間」を埋めるように、2枚のライブアルバムがリリースされました。

ANDYSHANTY/andymori

愛してやまない音楽を/andymori

各地のライブを集めたスタイルなのであまり臨場感は強くありません。また、両者の違いもあまりないように感じました。やっつけのようなジャケット写真も含めて、いかにも解散ライブまでの場つなぎ的なライブ盤といった感じです。

andymoriのライブは、その評判の良さを聞きます。確かにライブ音源を聴くと、元の曲よりもバンドサウンドが強くなっているような。ただ、正直大きな印象の違いはなく、元曲の良さからもちろん十分楽しめたライブ音源だったのですが、ライブならではの魅力というのは残念ながらそこまでは伝わってきませんでした。ひとつのライブ会場で通して聴いてみたかったかも。やはり彼らのライブの魅力は生じゃないとわからないのかなぁ・・・。

評価:
どちらも ★★★★

andymori 過去の作品
ファンファーレと熱狂
革命

宇宙の果てはこの目の前に

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2014年1月20日 (月)

どこか感じる批評的視点

Title:踊れないなら、ゲスになってしまえよ
Musician:ゲスの極み乙女。

最近デビューする新人ミュージシャンには2つのタイプにはっきりとわかれているような印象を受けます。ひとつは音楽に対して非常な「熱さ」を持っているミュージシャン、もうひとつは音楽に対して一歩下がった醒めた部分を感じさせるミュージシャンです。

違った表現を使うと、前者は、「どんな曲だろうと、俺らはこんな歌を歌いたいんだ!」というミュージシャン。THE BAWDIESやTHEラヴ人間あたりがそういうタイプのミュージシャンでしょうか。それに対して後者は、ちょっと嫌味な表現をすると「みんなこういう曲、好きでしょ?」という部分が垣間見れるミュージシャン。相対性理論やパスピエあたりにそんな雰囲気を感じます。

言うまでもなく、前者みたいなミュージシャンが大好物なのが「ロッキンオン・ジャパン」。ただ、こういう「ロケノン系」に対する反発もあるのでしょうか、後者のようなバンドが最近は増えてきているような印象を受けます。そして彼らゲスの極み乙女。も、このインパクトの強い名前からも想像できるように、後者のタイプのバンドに感じました。

個人的な好みを言ってしまえば、前者のタイプが好みであり、後者のタイプは正直あまり好みではありません。もっともミュージシャンの好き嫌いを決める要素はこの部分だけではないので、相対性理論は好きなバンドですし、他に魅力的な要素があればもちろん好んでそういうバンドの曲も聴いています。

ゲスの極み乙女。に関して、そういう醒めた要素を感じさせるのは全体的な音の使い方。「ヒップホッププログレバンド」を自称しているようですが、実に多彩な音楽的要素を感じます。「ヒップホップ」という単語を使っているようにラップを楽曲全体に配していますし、一方でサビの部分は比較的シンプルなオルタナ系のギターロック。かと思えばサウンドからはジャズやソウル、ファンクなどの要素も感じて、ブラックミュージックの影響も強く感じました。

ただ一方でここらへんの音楽的要素はあくまでも味付けに使う調味料的な感じで、決して深く入れ込んでいる感じはしません。「ヒップホップ」といってもヒップホップ的なのはラップを使っているという部分くらいですし、ジャズやソウル的な要素も決してそこの部分を深くつっこんで曲をつくっている感じではありません。

いい意味で言えば、そこらへんの音楽要素を実に上手く使って、新しい感触を残しつつ、ポップにまとめあげているという点では実に見事。そういう意味では実力を感じますし、一般的な高い評価も十分にわかる感じはします。

一方で悪い意味で言ってしまえば、全体的にどこか表面的でなめている感じが垣間見れる部分、一歩下がった「批評的視点」が個人的にはちょっとはまれないバンドでした。それがもちろんおもしろいと感じる方にはおもしろいのかもしれませんが、個人的にはあまり好きではない方向性ですし、それを上回るほどのおもしろみを他の部分から感じることは出来ませんでした。

ただポップで、確かに聴いていてそれなりに楽しくて、飽きることはないのは事実なんですよね。そういう意味で、上にもあげた相対性理論やらパスピエあたりが無条件で好き!という方にはかなりはまるかも。いろいろな意味で今年の音楽シーンの話題の中心になりそうなバンドだと思います。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

GOLDEN TIME/RIP SLYME

そのものズバリ「黄金期」と命名された2年9ヶ月ぶりとなるRIP SLYMEのニューアルバム。確かにロックやポップ、ラテンにファンク、トライバルな要素を混ぜた楽しいパーティーチューンは凝っていながらもとてもポップにまとめあげており、RIP SLYMEの実力を感じさせます。ただ、ここ最近、初期の作品のような一度聴けばすぐ耳に残るようなキラーチューンに恵まれていないような・・・。悪い意味で凝った音づくりを目指しすぎているのでは?

評価:★★★★

RIP SLYME 過去の作品
FUNFAIR
JOURNEY
GOOD TIMES
BAD TIMES 2000-2010 URA-BAN BEST
STAR

Road to The Independent King/AK-69

人気ラッパーAK-69のベスト盤。2枚組のアルバムですが、初回盤は彼の代表曲をノンストップでつなげた「DJ Mix盤」がついた3枚組となっています。

今、もっとも人気のあるラッパーの一人である彼。取り留めて個性的な音を出しているわけでもないので、なんでこれだけ人気があるんだろう、と若干不思議に思っているのですが、やはりギャングスターというスタイルをかもし出しながらも、至ってポップで聴きやすい楽曲という点が受けているのでしょうか。

初回盤を聴いたので全3枚組を聴きましたが、あまりにボリューム満点で、最後はさすがに飽きてきました・・・正直、似たような雰囲気の曲も多かったし。とはいえ、聴き終わった後、知らず知らずにAK-69の曲を口ずさんでいたりして、確かにそういう意味でのインパクトは強いよなぁ。そこが人気の秘密なんでしょうが。

評価:★★★

AK-69 過去の作品
THE CARTEL FROM STREETS
THE RED MAGIC
The Independent King

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2014年1月19日 (日)

「幽☆遊☆白書」でおなじみ

Title:THE BEST OF MAWATARI MATSUKO
Musician:馬渡松子

今回紹介するアルバムは、ちょっと「思い出補正」が入っているかもしれないミュージシャンです(笑)。90年代前半から中盤にかけて活躍した女性シンガーソングライター馬渡松子。正直、ベスト10ヒットもないし、馬渡松子という名前自体は私と同世代の方でもご存知ない方が少なくないかもしれません。ただ、このアルバムに収録された「微笑みの爆弾」は聴いたことある方も少なくないかと思います。90年代に一世を風靡したアニメ「幽☆遊☆白書」。その主題歌がこの曲。アラフォーあるいはもうちょっと下の世代の方にとっては、耳なじみある、という方も少なくないでしょう。

「微笑みの爆弾」に限らず、このアルバムにも収録されている「ホームワークが終わらない」「さよならbyebye」「デイドリーム・ジェネレーション」など、「幽☆遊☆白書」のエンディングテーマも担当し、「デイドリーム・ジェネレーション」はベスト10ヒットまではいきませんでしたが、15万枚のヒットを記録したそうです。ただ「幽☆遊☆白書」のイメージが強くなりすぎたのでしょうか、残念ながらこの後のヒットは続かず、フェイドアウトしてしまいました。

しかし、ここ数年、本格的に活動を再開。そんな中でリリースされたベスト盤がこのアルバム。本人選曲による1枚で、前述の「幽☆遊☆白書」関連の曲もしっかりと収録されています。

そんなこともあって久しぶりに彼女の曲を聴いてみたのですが、これが予想以上に曲がよくてちょっとビックリしました。今から聴くと、彼女の曲ってブラックミュージックの要素を色濃く入れた、ファンキーな曲がメインなんですね。「微笑みの爆弾」にしても、当時は特になにも感じなかったのですが、ファンキーなリズムがすごくカッコいい!現時点でのラストシングルとなった「帰りたい」も、本人のブログによると完成度が高いため1曲目に入れたそうですが、確かにファンクなリズムが最初から最後まで鳴っていて、とてもカッコいい作品になっています。

彼女のボーカルもドスが利いている、とまでいえるかどうかは微妙ですが、パワフルでソウルフル。声量もあり、実にファンキー。当時はいわゆるガールズポップの流れにのってデビューしてきたように覚えていますが、半分アイドルっぽいポップミュージシャンがそのメインだった中、彼女みたいなタイプは浮いちゃっただろうなぁ、と今となっては思ってしまいます。

当時は残念ながらブラックミュージックが日本ではまだまだ受け入れられておらず、彼女も「幽☆遊☆白書」関連の曲以外ではヒットを出せませんでしたが、R&Bが普通にヒットチャートに入ってくるようになった現在なら、もっと状況は変わっていたかも??ちょっと時代が早すぎたシンガーなのかもしれません。

最近の活動では「懐かしのアニソンを歌うシンガー」みたいな扱いでの活動も多いみたいで、単なる「アニソン歌手」で捉えてしまうにはちょっと惜しい印象も受けます。さすがに今だと声量も変わってしまって、かつてのような活躍は厳しいのかもしれませんが・・・。あらためて今となっては再評価が待たれるシンガーでは、と思うベスト盤でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ZIGAEXPERIENTIA/supercell

もともと初音ミクをつかったボカロPとして話題をあつめデビューしたsupercellの3枚目となるアルバム。3枚目にしてアルバムの完成度としては一番高いように感じます。ただ、楽曲は女性ボーカルのオルタナ系ギターロックで、雰囲気としては完全に椎名林檎に連なるあの系統。楽曲として悪くはないのですが、正直、いまさら?といった感じで個性はあまり感じられませんでした。

評価:★★★

supercell 過去の作品
supercell
Today Is A Beautiful Day

MONOBRIGHT three/MONOBRIGHT

元ビークルのヒダカトオルの突然の加入及び脱退で話題となったMONOBRIGHT。そのヒダカトオル脱退後、初となるニューアルバム。本来のMONOBRIGHTの原点に戻ったともいえるアルバムは、彼ららしいちょっとひねくれたけど切ないメロの曲と、軽快でどこかユーモラスな曲が交互に展開し、前半には勢いも感じられました。ヒダカトオルとの活動を経て、成長を感じられるアルバムで、これからの活躍も楽しみになってきました。ただ、後半、ちょっと失速してしまったのが残念なのですが・・・。

評価:★★★★

MONOBRIGHT 過去の作品
monobright one
monobright two
adventure
淫ビテーションe.p.
ACME
新造ライヴレーションズ
MONOBRIGHT BEST ALBUM~Remain in MONOBRIGHT~

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2014年1月18日 (土)

原点回帰?

Title:love and pain
Musician:たむらぱん

たむらぱんといえば、ここのサイトでもアルバム毎に紹介していますが、突拍子もないコード進行をみせながらもちゃんとメロディアスにまとめあげるポップスを聴かせてくれ、ポピュラリティーがありつつも癖になりそうなメロが大きな特徴でした。

しかし、今回のアルバムに関しては、そんな「ひねくれポップス」の曲がほとんどありません。「手が目が」やラストを飾る「やってくる」では、彼女らしいちょっとひねくれたコード進行の部分が垣間見れるとはいえ、アルバム全体としてはむしろシンプルなポップソングが並んでいるように思います。

今回のアルバム、彼女曰く「原点回帰」ということ。ただ、たむらぱんのアルバムはメジャーデビュー作「ブタベスト」から聴いていますが、その頃にはすでにユニークな構成の曲が特徴的でした。インディーズ時代のアルバムは聴いていないのですが・・・これが「原点回帰」というのはちょっと意外な印象も受けます。

でも彼女の言う「原点回帰」というのは、たむらぱんとしての活動の原点回帰ではなく、ひょっとしたらもっと本質的な部分のことを言っているのではないでしょうか。要するにポップシンガーとしての原点回帰。ポピュラーミュージックというのはあくまでもシンプルなメロが基本。もちろん彼女のようなひねくれポップは僕も好きです。でもポップスの本質は、もっと素直な展開であって、たむらぱんもポップシンガーとしてそんな「原点」に戻ろうとする、そんなアルバムだったのではないでしょうか。

たむらぱんといえば、以前からそのユニークな楽曲から「天才」と称してきました。今回のアルバムはそのシンプルさゆえに「天才」と感じる部分はあまりないな、と最初思いました。しかし、よくよく聴くとその才能は今回のアルバムでも随所にあらわれているように感じました。

特に感じたのはその楽曲展開のスムーズさ。表題曲「love and pain」「第2ステージ」あたりが顕著でしょうか。フレーズからフレーズのつながりが非常にスムーズで、実に見事にフレーズとフレーズがつながっています。ここらへん、いつものたむらぱんの「ひねくれメロ」みたいなわかりやすさはありませんが、やはり彼女は稀代のメロディーメイカーだなぁ、ということを感じることが出来ます。

今回のアルバムでもうひとつ特徴的だったのは、彼女らしい明るいポップが少なめで、全体的にしんみりとした曲が多かった点。そういう意味でもちょっとアルバム全体地味さはあったかもしれません。ただそれでも、きちんとたむらぱんとしての才能を感じることが出来るアルバムでした。

さて、こんな「原点回帰」のアルバムをリリースしてきた彼女。次の一歩は?また以前みたいな「ひねくれメロ」のアルバムを作るのか?それとも新たな一歩に??これからも楽しみになってくるアルバムでした。

評価:★★★★★

たむらぱん 過去の作品
ブタベスト
ノウニウノウン
ナクナイ
mitaina
wordwide


ほかに聴いたアルバム

25 To Life/ZEEBRA

ZEEBRAの約2年ぶりとなるニューアルバム。エレクトロアレンジの曲やコミカルな曲などがあり、それなりにバラエティーある内容ながらも、基本的な路線はいつものZEEBRAといった感じ。良くも悪くもZEEBRAらしさをきちんと押さえたアルバムといった印象でした。

一方おもしろかったのは初回限定盤のボーナスディスク。ブルーノートでのフリューゲルホルン奏者のTOKUとのコラボライブの模様を収録したライブアルバムですが、ジャズとラップの融合がユニーク。メロウなジャズがとても心地よく、それにのっかかるZEEBRAのラップも迫力というよりはしっかり聴かせるラップで、ジャジーなサウンドにもマッチしていて心地よい楽曲を楽しむことが出来ました。

評価:★★★★

ZEEBRA 過去の作品
World Of Music
The Anthology
Black World/White Heat

MAGIC/大橋トリオ

クリスマスソングのカバーを集めた企画盤。「恋人がサンタクロース」「All I Want For Christmas Is You」といったナンバーを、大胆に大橋トリオ流にジャジーにカバーしてなかなかユニーク。アルバム全体的に似たようなタイプの曲が並んでしまっているのはちょっとマイナスですが、しんみり聴かせる「大人のクリスマス」を楽しめるアルバムになっています。

評価:★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged

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2014年1月17日 (金)

ぼくはゴッホじゃやなんだ

Title:バンド・デ・シネ
Musician:ドレスコーズ

毛皮のマリーズを解散させた志磨遼平が新たに結成したバンド、ドレスコーズの2枚目となるアルバム。先行シングルでありこのアルバムにも収録された「トートロジー」はアニメ主題歌にもなりスマッシュヒットを記録するなど、徐々に話題を集めています。

もともと、毛皮のマリーズでは後期にどんどん志磨遼平が望むポップな楽曲にシフトしていき解散。その後、このバンドをはじめたわけで、デビューアルバムとなった前作「the dresscodes」ではレトロな雰囲気のあるポップでキュートなメロディーが全編にちりばめられているアルバムになっていました。

今回のアルバムも基本的に前作の路線を推し進めたスタイルとなっています。象徴的なのは1曲目の「ゴッホ」で、バンドサウンドを主軸にピアノの音色を加えたサウンドとメロディーはキュートでスィート。「ぼくはゴッホじゃやなんだ」と叫ぶこの曲には、はっきりいってしまえば理解されたい、要するに「ポップでありたい」という志磨遼平の主張が明確であり、まさに新作の1曲目にふさわしい楽曲と言えるかもしれません。

そのため、前作よりもさらにポップ路線にシフトしたように感じます。どこか切なくポップなメロディーラインが、より心を打つ作品になっていました。ただし、それも基本的にバンドサウンドありき。決して志磨遼平が暴走するわけではなく、しっかりドレスコーズとしてのサウンドがあった上で、ポップなメロディーラインが流れる作品になっています。

また前作同様、菅大智のドラムスも印象的。手数が多いドラムスながらも、強いリズムで迫力を出すというよりも、リズミカルなドラミングがまたポップにまとまっていて、ドレスコーズの個性をしっかり作り出していました。

そういうこともあって、2作目となる本作は、ドレスコーズとしてのスタイルを確立したアルバムと言えるかもしれません。楽曲はあくまでもバンドサウンドありきなのですが、その一方で楽曲の真ん中で機能しているのはポップなメロディーライン。バンドサウンドとメロディーのバランスが実に絶妙になりたっており、ドレスコーズとしてのひとつの完成形のようにも感じたアルバムでした。

これからのドレスコーズが楽しみになってくるアルバム。ただもっともその一方で、志磨遼平の興味がどこへ進むのか、ひょっとしたらこれを完成形として次はバンドを崩しにかかるのか、そちらも気になります。そういう意味でも今後に目を離せないバンド。2014年の活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

ドレスコーズ 過去の作品
the dresscodes


ほかに聴いたアルバム

youth(青春)/bloodthirsty butchers

昨年5月、非常にショッキングなニュースが飛び込んできました。bloodthirsty butchersの吉村秀樹急逝。46歳の早すぎる死に、多くの音楽ファンがショックを受けました。

そんな吉村秀樹が生前に残したブッチャーズのアルバムがリリースされました。その1曲目が「レクイエム」というのがあまりに出来すぎた事実なのですが・・・。3年8ヶ月ぶりのニューアルバムなのですが、エモコアなハードなサウンドながらも、メロは意外と軽いポップというスタイルがブッチャーズらしさを感じさせます。なによりもバンドメンバー4名の一体感を非常に感じさせるアルバムで、ブッチャーズとしての完成形といってもいいアルバム。悲しい話かもしれませんが、まさに4人で残した最後のアルバムとしてふさわしい傑作でした。

評価:★★★★★

bloodthirsty butchers 過去の作品
NO ALBUM 無題

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名古屋圏フェス・イベント情報2014 (1/17) 

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。3月頃再スタートを予定していましたが、年が明け、次々とフェス開催のニュースが入ってきているため、はやくもスタートです。ただし、4月までは更新は月1回の予定。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

イベントについているタグの種類
形態・・・【野外】【屋内】【ライブサーキット】【街角ライブ】
ステージ・・・【複数ステージ】【単独ステージ】
【サブステージ制】→ひとつの会場でステージが2つあり、交互に演奏する形態
場所・・・【都市型】【郊外型】【山中】【海辺】
ジャンル・・・【Rock】【Pop】【HIP HOP】【Punk】【Club】【Reggae】【Idol】【Jazz】【World】
その他出し物・・・【屋台】→食べ物の屋台の出店あり 【マーケット】→雑貨屋やフリマの出店あり
【非音楽イベント】→音楽以外のイベントあり
その他・・・【外タレ】【無料】【オールナイト】【キャンプ可】【キャンプ前提】

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報2014 (1/17) "

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2014年1月16日 (木)

話題の新人

前回、前々回に引き続き、今日も2枚のアルバムを紹介します。今回はいまさらながら、ですが2013年に話題となった新人ミュージシャン2組によるアルバムです。

Title:アラビアの禁断の多数決
Musician:禁断の多数決

最近の新人は、音楽に対してかなり熱い思いを持って挑むバンドと、逆に妙に醒めた感覚で挑むバンドに二分化されているように感じます。前者の代表が例えばTHE BAWDIESやOKAMOTO'S、後者の代表が相対性理論やパスピエあたりでしょうか?今回紹介する、名前だけでもインパクトがある男女6人組バンド禁断の多数決は、典型的な後半のタイプのバンドのように感じました。

基本的に楽曲はエレクトロなダンスナンバーがメイン。そしてそれに載る女性ボーカルは、例えればアイドルポップのような無個性で、無機質なもの。そのため、とても熱量は薄めで醒めたものを感じます。そういう意味で、とても今時なバンドといった印象でした。

エレクトロなナンバーということで、スーパーカーに例えるCD評を見かけました。確かに曲によってはスパカっぽい曲もないことはなかったのですが、ただスパカはジザメリをはじめ、イギリスのギターロックバンドからの影響をはじめ、様々なシーンからの影響を色濃く入れていて、むしろ音楽に対するある種の熱さを感じる点、根本的な部分で違いを感じます。

もっと言えば、彼らの場合、むしろその楽曲から影響を感じるのはブラックミュージックからの影響で、「今夜はブギウギナイト」のファンキーなディスコソング、「リング・ア・ベル」のメロウなシティポップ風のサウンドといい、ブラックミュージックからの影響をちらりと垣間見せる部分は、楽曲の味付けとしてとてもおもしろく感じました。

ただ、個人的には熱いバンドと醒めたバンドでは熱いバンドの方が好み。そのためもあって、彼らについては正直ちょっとはまりませんでした。いい意味でも悪い意味でも今時のバンドだなぁ、という印象。トライバルなサウンドを聴かせる「アイヌランド」など、おもしろい曲もチラホラとちりばめられているのですが・・・。

評価:★★★★

そしてもう1枚。こちらも今、注目されているミュージシャンの新作です。

Title:Don't Stop The Music
Musician:tofubeats

インターネットで曲を発表し話題を集め、史上最年少でWIREへも出演。ももくろの楽曲のリミックスを手がけたことでも注目を集めたトラックメイカー。こちらは表題曲を含め新曲4曲+リミックス+インストバージョン3曲入りのミニアルバムです。

表題曲の「Don't Stop The Music」ではなんと森高千里がボーカルで参加。年齢を感じさせない彼女のかわいらしいボーカルが印象的なポップナンバー。2曲目の「おしえて検索」では神聖かまってちゃんのの子が参加。ネット出身のtofubeatsらしい歌詞で、インパクトとしてはこちらが上かも。

楽曲はいずれもエレクトロナンバーで完成度の高さを感じます。ただ、熱量という意味では彼もまた、ネット出身の現在のミュージシャンらしい、淡々と良質なポップを産み続ける、どこか醒めたものを感じます。確かにポップソングとしては十分に楽しめるナンバーばかりなのですが、どこか優等生的すぎるかなぁ、とも感じたアルバム。どちらかというと、職人的なミュージシャンといった感じですね。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

あんたへ/amazarashi

メロディーやサウンドは、パッと聴いた感じだといつものamazarashi。ただ今回のアルバム、大きく異なるのは歌詞で、いままでの彼らの歌詞と異なり前向きな歌詞が目立ちます。顕著なのは「終わりで始まり」で、楽曲的にも明るい雰囲気の作風。ここらへんの方向転換は正直賛否わかれそうな感じ。今後の展開に注目かなぁ。ただ、新しく雰囲気が変わった歌詞以外の部分は、ちょっとマンネリ気味にも感じるのですが。

評価:★★★★

amazarashi 過去の作品
千年幸福論
ラブソング
ねえママ あなたの言うとおり

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2014年1月15日 (水)

1位は演歌

今週も正月休み明けのチャートということで初登場は少なめ。シングル・アルバム同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

シングルチャートは1位は演歌が獲得。

今週1位はAKB48の岩佐美咲「鞆の浦慕情」がランクイン。AKB48ソロのうち、演歌路線で売っている彼女の3枚目。楽曲は、タイトル通り、福山の鞆の浦を舞台にした、演歌らしい演歌で、歌詞にしろメロにしろベタベタ路線で新鮮味はゼロ。まあ、逆にそれを狙ったのかもしれませんが。初動売上1万1千枚は前作「もしも私が空に住んでいたら」の1万8千枚よりダウンながらも、初の1位獲得となりました。

演歌勢の1位獲得は2009年の氷川きよし「ときめきのルンバ」以来。10代の演歌歌手での1位獲得は1986年の城之内早苗「あじさい橋」以来27年7ヶ月ぶりらしいです(参考サイト)。ただし、1万1千枚での1位獲得というのは2011年1月10日付で1位を獲得した植村花菜「トイレの神様」に続く歴代ワースト2位。もっとも、販売形態は2種類のみで、特段露骨に1位を狙ったような戦略にも思えないので、タイミングがあった結果といった感じでしょうか。この枚数だと、さすがに今のヒットチャートでも次回作はベスト10入りすら微妙な状況かも。

2位はビジュアル系バンドNIGHTMARE「リライト」が入ってきました。初動売上1万1千枚は、最高位13位に終わった前作「Dizzy」の1万3千枚からダウンしたものの、順位を大幅にあげベスト3に入る結果に。ベスト10入りは2011年の「mimic」以来3作ぶり、ベスト3入りは2009年の「Rem_」以来7作ぶりで2位は自己最高位という結果に。ただ売上だけ見ると、決して人気が回復してきたわけではないのですが・・・。

3位にはテレビアニメ「黒子のバスケ」キャラクターソング火神大我(小野友樹),青峰大輝(諏訪部順一)名義「TVアニメ「黒子のバスケ」キャラクターソング DUET SERIES VOL.7(ULTIMATE ZONE)」が入ってきました。ちなみに同シリーズはもう1枚ランクインしており、5位に黒子テツヤ(小野賢章),緑間真太郎(小野大輔)名義「TVアニメ「黒子のバスケ」キャラクターソング DUET SERIES VOL.6(コートの上でこれからも)」がランクインしています。

初動売上は「ULTIMATE ZONE」が8千枚、「コートの上でこれからも」が7千枚と、普段ならベスト10入りも厳しい数値。前回同時発売となった「DUET SERIES VOL.4」の1万4千枚、「DUET SERIES VOL.5」の9千枚からダウンしています。

シングルチャート初登場は以上。正月休み明けの初登場が少ない週ながら、これといったロングセールスもなく、かなり寂しい状態のチャートでした。今週、1枚ベスト10から返り咲いた曲があり、それが先週の19位から6位にアップしたNMB48「カモネギックス」。売上も4千枚から5千枚にアップ。ただこちらもイベント開催効果の模様。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートの方は、ポツポツと新譜が・・・。

1位は三代目J Soul Brothers「THE BEST/BLUE IMPACT」が獲得。これで3週連続の1位となりました。

2位3位は初登場が並びました。2位にはニコニコ動画で人気の「歌い手」、りぶのデビューアルバム「Riboot」がいきなりのベスト3入りを果たしました。3位はアイドルグループアイドリング!!!「GOLD EXPERIENCE」がランクイン。シングルチャートではおなじみの名前ながらも、アルバムでは5枚目にして初のベスト10入り。いかにシングルで水増ししていたかがわかります(苦笑)。初動売上1万4千枚は、前作「SISTERS」(最高位17位)の6千枚から大きくアップ。

続いて4位以下の初登場ですが、4位に東方神起「TENSE」がランクイン。韓国で発売されたアルバムの輸入盤がランクインした形。初動売上1万3千枚は、国内盤の直近作「TIME」の24万3千枚と比べるまでもありませんが、韓国盤としての前作「Catch Me」の7千枚(14位)よりはアップ。ただし、前作は2週目にして売上を1万5千枚にアップさせ6位にランクアップさせているため、来週の動向が気にかかります。もういっちょK-POP。韓国の人気俳優イ・ジュンギ「My Dear」が6位に入ってきています。

9位には人気女性声優上坂すみれ「革命的ブロードウェイ主義者同盟」がランクインです。これがアルバムではデビュー作となる作品。シングル、アルバム通じて初のベスト10ヒットとなりました。

最後10位にビジュアル系バンドDOG inTheパラレルワールドオーケストラのベスト盤「DOG inTheBEST」が入ってきました。10月にアルバム「Doggy StyleIII」で初のベスト10入りを果たした彼らが、前作に続き2作目のベスト10入り。ただし、初動売上はわずか5千枚。その前作「Doggy StyleIII」の8千枚も下回る結果になっています。

今週のチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2014年1月14日 (火)

異色(?)のコラボ

今日も2組のミュージシャンを紹介。どちらも異色のコラボによるアルバムです。

Title:はにほへといろは
Musician:くうきにみつる

まず一組目。こちらはこのサイトでもアルバム毎に紹介しているポップスバンド、空気公団と放送作家などで活躍している倉本美津留によるユニット、くうきにみつるです。空気公団といえば知名度も一般的には決して高くない知る人ぞ知る的なバンドで、一方倉本美津留は数々の人気番組を手がける売れっ子作家。そういう意味では「異色」と言えるユニットです。ただ、倉本美津留は音楽的にはサブカル志向のようですが・・・。

そんな真逆のような彼らですが、アルバムを聴いてみると意外なことにその相性はピッタリ。どちらもソフトロックをベースにしんみり聴かせるポップスなのですが、その楽曲を表現するならば垢抜けた空気公団(笑)。空気公団のような曲調ながらも、もっと輪郭がはっきりしたようなメロが特徴的で、メリハリのある楽曲にはインパクトもあります。

基本的に空気公団の山崎ゆかりと倉本美津留が大体半分ずつ作曲を手がけているのですが、2人の音楽性も意外と近くて、「ほんとうの街につもる」のようないかにも空気公団な、山崎ゆかり作曲の楽曲もあるのですが「いっぱい」は空気公団っぽいなぁ、と思ったら、意外や倉本美津留作曲ですし、逆にエレクトロポップの洒落た感じが空気公団っぽくないなぁ、と思った「ニジゴジ」は山崎ゆかりの作曲だったり。お互いがお互いの音楽性に影響を与え合っているようにも感じました。

そんな訳で、予想以上にマッチしていたこのコラボ。空気公団のファンとしては、今後のバンドの活動にいい影響も与えそうで楽しみな感じ。このコラボ、今後も続けてほしいかも。ソフトロック好きならお勧めのアルバムです。

評価:★★★★★

空気公団 過去の作品
空気公団作品集
メロディ
ぼくらの空気公団
春愁秋思
LIVE春愁秋思
夜はそのまなざしの先に流れる

バンド+ソロのコラボという意味では、こちらも同じスタイルでのコラボになります。

Title:MIYATORA
Musician:宮沢和史&TRICERATOPS

こちらはロックバンドTRICERATOPSとTHE BOOMのボーカル宮沢和史のコラボ。CD2枚組で、1枚には「宮沢和史&TRICERATOPS」名義での新曲、もう1枚は恵比寿LIQUID ROOMでの、このコラボでのライブの模様を収録したライブ盤となっています。

TRICERATOPSは、ロックンロールを志向するバンド。一方THE BOOMはロックから離れてワールドミュージックを志向するバンド。同じロックバンドでも方向性の異なる彼ら。そういう意味ではまさにこちらも異色のコラボ、と言えるでしょう。

ただ、異色っぽくて意外と音楽性がマッチしていたくうきにみつるに際して、こちらのコラボは残念ながら微妙に混じりあわなかったように思います。特にライブ盤の方はTRICERATOPSのナンバーとTHE BOOMのナンバーをそれぞれ演奏していますが、TRICERATOPSのナンバーに関しては、いつも通りのトライセラの曲に、一方THE BOOMのナンバーについては、若干トライセラらしいロックンロールの色づけがしてある曲もあったのですが、基本的には原曲に配慮し、おとなしめの演奏になっていて、どちらもコラボならではのお互いの音楽性の融合、という感じではありませんでした。

そんな中でコラボの効果が発揮されていたのがトライセラのバラードナンバーを宮沢和史が歌ったナンバー。トライセラのメローなバラードナンバーに和田唱のボーカルは甘すぎるように感じていたのですが、宮沢和史の比較的フラットなボーカルで、楽曲のメロディーの良さだけがより浮き出ていました。

コラボとしてはちょっと残念にも感じたアルバム。ただ純粋に音楽を楽しみだけなら、TRICERATOPSのライブ盤として十分に楽しめるアルバムなのも事実。THE BOOMのファン、というよりもトライセラのファン向けのアルバムかも。

評価:★★★★

TRICERATOPS 過去の作品
SHAKE YOUR HIP!!!
MADE IN LOVE
WE ARE THE ONE
WE ARE ONE-CERTIFICATE-
LOVE IS LIVE
DINOSOUL -BEST OF TRICERATOPS-
連載・おとといミーティング TRICERATOPS“12-Bar“


ほかに聴いたアルバム

gene/Pay money To my Pain

徐々に人気を伸ばしていたスクリーモバンドPay money To my Pain。そんな中、今年1月、ボーカルのKが急逝というあまりにもショッキングなニュースが飛び込んできました。その後、Kが残した録音に、ONE OK ROCKのTakaやRIZEのJESSEなどをゲストボーカルに迎えて完成させた4枚目となるアルバムが本作です。

基本的にヘヴィーなサウンドに爽やかでポップなメロディーラインの対比というスタイルはいままでの彼らそのまま。そういう意味では大きな変化はありませんが、メロディーラインは徐々に垢抜けてきており、ここ数作で確かな成長が感じられます。それだけに、これからのバンドだと思ったのですが・・・。

評価:★★★★

Pay money To My Pain 過去の作品
after you wake up
Remember the name

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2014年1月13日 (月)

注目の女性シンガー2人

今日紹介するのは、知名度的にはまだまだでも、高い注目を集めている女性シンガー2人です。

Title:0
Musician:青葉市子

まず一人目は青葉市子。ここでも何度か取り上げたことのあるシンガーソングライターです。今回のアルバムではなんとメジャーデビュー。メジャー移籍後、初となるアルバムとなりました。

正直言って、青葉市子がメジャーデビューというのはかなり意外でした。というもの彼女の歌は基本的にアコースティックギター1本。メロディーもしんみり心に染み入るようなメロながらも、彼女のボーカルもあわせて派手さはほとんどありません。いかにもインディーっぽいミュージシャンというイメージだったので、メジャーデビューというのはかなり意外に感じました。

ただ、メジャーデビュー作となった本作は、いままでの彼女の音楽とほとんど変わりはありません。相変わらずひとつの色で塗られただけのシンプルすぎるジャケットといい、アコースティックギター1本のみの演奏といい、いままでの彼女の曲と同じ。このスタイルのままメジャーデビューできるというのがちょっと意外にも感じましたが、彼女みたいなミュージシャンもメジャーデビューできるというのは、今の音楽シーンが多様になったからでしょう。

そんな訳で、基本的にいつもの青葉市子といった感じなのですが、サウンドにしろメロにしろ、そして歌詞も、極限まで削れる部分を削った楽曲が実に魅力的。シンプルな中に、歌詞にしてもメロディーにしても聴けば聴くほどはまってしまう奥深さを感じます。

今回のアルバムでユニークだったのが楽曲のうち「Mars 2027」「いりぐちでぐち」では大分のトンネルでフィールドレコーディングを行ったという点。基本的にはこちらもアコギのみの演奏なのですが、スタジオ録音とは異なる空気感が流れており(よくよく聴くと、野外のザワザワした音も聴こえてきたりします)不思議な感触が魅力的な作品になっていました。

決して派手さはないのですが、聴きこめば聴きこむほどはまってしまうようなアルバム。大ブレイクしそうなアルバムではないのですが、メジャーデビューしたからこそ、もっともっと多くの方に聴いてほしいなぁ。

評価:★★★★★

青葉市子 過去の作品
うたびこ
ラヂヲ(青葉市子と妖精たち)

そしてこちらは、ジブリ映画主題歌で話題のシンガー。

Title:ジブリと私とかぐや姫
Musician:二階堂和美

スタジオジブリ高畑勲監督作品「かぐや姫の物語」で主題歌「いのちの記憶」を歌っているのがニカちゃんこと女性シンガーソングライターの二階堂和美。その楽曲も収録したアルバムが本作ですが、前半は、その「かぐや姫」からインスパイアされたオリジナルソングが、後半はジブリ映画でつかわれた楽曲のカバーが収録されています。

優しくて、どこか子供っぽい無邪気さを兼ね備えていて、でも一本芯が通っている二階堂和美のボーカルは、ある意味ジブリ映画の世界にもピッタリマッチ。「ケ・セラ・セラ」あたりは、まさに彼女のボーカルがピッタリあったカバー。ただ一方、「天空の城ラピュタ」でおなじみ「君をのせて」は中途半端に無機質な感じを出した結果、ちょっとチグハグな雰囲気だったかも。

ただ、前半のオリジナル曲、和風な雰囲気の楽曲のニカちゃんらしいポップが並んでいて、こちらは文句なしの名曲揃い。カバーも含めて二階堂和美のアルバムとして魅力的な1枚に仕上がっていたと思います。

残念ながら、ジブリ映画主題歌に採用され大ブレイク・・・という感じには行かなかったみたいですが・・・でも今後もこのアルバムのように、優しく無邪気な歌声で名曲を歌い続けてほしいですね!

評価:★★★★★

二階堂和美 過去の作品
にじみ


ほかに聴いたアルバム

DOPPEL/KANA-BOON

最近話題のロックバンドのオリジナルとしてはメジャー初となる作品。いきなりベスト10ヒットを記録するなど一気にブレイクしました。軽快なギターロックは確かにインパクト十分。ただ・・・私はちょっとピンと来なかったなぁ。つんのめるような勢いのあるリズミカルな楽曲が並んでいるのですが、似たようなタイプの曲が多く、ちょっとアルバム全体「暴走気味」という印象も。いい意味でも悪い意味でも若いバンドだな、という印象。

評価:★★★

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2014年1月12日 (日)

注目の新人バンドのデビュー作

Title:森は生きている
Musician:森は生きている

今年、インディーズシーンでもっとも話題になったバンドのひとつ、森は生きている。個人的に彼らのことが気になったのは音楽それ自体よりもそのバンド名。ちょっと奇妙な彼らの名前はドラえもんの話のタイトルから取られたということ。「てんとうむしコミックス26巻」に収録されているこの話は、のび太が学校の裏山を心から愛している姿を見たドラえもんが、森と心を通わすためのひみつ道具「心の土」を出したことから話ははじまります。「本当の優しさとは」を問いかける、ドラえもんの傑作のひとつです。

・・・・というところから話をスタートさせて、上手くこのエピソードと彼らの曲をリンクさせればおもしろかったのですが、残念ながら上手くリンクさせられません(笑)。あえてリンクさせるとすれば、彼らの曲は、この「森は生きている」の舞台になった学校の裏山のよう、街の中の雑木林の中を流れる音楽のよう。奥深い森というよりも、爽やかな風が吹きぬけていくような雰囲気を感じる音楽になっています。

もうひとつ「雑木林」に例えるのならば、その雑多な音楽性も彼らの大きな要素のひとつ。フォーキーな楽曲が一本の主軸になっているのですが、「雨上がりの通り」はソフトロック、「回想電車」はブルース、「光の蠱惑」は最初はしんみり聴かせながら、後半にはファンタジックな雰囲気に、そして「断片」のエレピはソウル調と、楽曲によって様々な要素を聴かせてくれる彼らの音楽は、まさに様々な木々が重層になり空間を作り出す「雑木林」そのものと言えるでしょう。

様々な音楽からの要素をほどよく取り入れるスタンスは、ルーツ志向であり、かつ音楽的にクレバーなものを感じます。まだこれがデビュー作のインディーバンドながらも、いい意味で成熟したものを感じます。

他のミュージシャンであえて例えるならば、雰囲気的にはキセルに近いかも。また楽曲によってはくるりあたりに通じるものも感じます。ただ、メロディーに関しては聴けば聴くほど染み入るようなメロを書いてくるものの、良くも悪くも地味。インパクトという面では、最後の「日々の泡沫」を除くと決して強いものではありません。もっとも、それが彼らの場合必ずしもマイナス要素とはなっておらず、アレンジともピッタリマッチしていて、ほどよいバランスとなってはいるのですが。

2度3度と聴けば聴くほど徐々にはまっていく、そういうタイプのバンド。決して派手なバンドではないので、大ブレイクは難しいかもしれませんが、変に「通受け」なバンドでは終わらないでほしいなぁ、とは思うのですが・・・とりあえず、これからの彼らの活動からは目が離せなさそうです!

評価:★★★★★

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2014年1月11日 (土)

またも変化

Title:Baseball Bat Tenderness
Musician:MO'SOME TONEBENDER

ここ最近のMO'SOME TONBEDERは、アルバム毎に変化し続けています。前々作「STRUGGLE」はガレージロック路線を前面に押し出した傑作でした。ただ、それに続く前作「Strange Utopia Crazy Kitchen」は、楽曲に様々なバリエーションを加えたポップ路線を進んだ結果、正直少々「傑作」とは言い難い内容になっていました。

彼らの変化はこのように必ず「プラス」のみとは限りません。ただ、次にどのような作品をリリースしてくるのだろう、そういう期待を持てる楽しさは、ここ最近の彼らの活動から感じられます。

そして、今回のアルバムもまたその楽曲の雰囲気を変えてきました。今回のアルバムで強く感じられるのは、アップテンポでリズミカルな楽曲が多いという点。「ヒューマンビーイング」や、サビでアルバムタイトルを連呼する「マッドネス」など、ノイジーなバンドサウンドを主軸にしつつ、つんのめるようなメロディーの、アップテンポでリズミカルなナンバー。へヴィネスは薄いものの、ダンサナブルなリズムがとても心地よく、かつポップな楽曲が並んでいます。

その中でも、ハードコア風の「ジェネレーションZ」や、ギターリフ主導のロックナンバー「そしてみんないなくなった」など、ロック色が強いナンバーも混じりつつ、アルバム全体としては、前作よりもギターサウンドを前に押し出した、ロック好きにはたまらないナンバーは増えたような印象を受けます。

ただその一方で「ポップコーンダンス」「バーニング」のようなポップでどこかユーモラスさを感じる曲もチラホラ。そういう意味では全体的にはガレージロックの色合いを強く出しながらも、ポップな要素もきちんと残したバランスの良いアルバムという感じがしました。

凡作と傑作を交互にリリースしている感のある彼らですが、今回のアルバムは間違いなく傑作。最後までその躍動感あふれるリズムとポップなメロに惹かれた作品でした。さて、この傑作を手にして、次の一歩は?そちらもいまから楽しみです。

評価:★★★★★

MO'SOME TONEBENDER 過去の作品
C.O.W.
SING!
youth
STRUGGLE

BEST OF WORST
Strange Utopia Crazy Kitchen

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2014年1月10日 (金)

N'夙川BOYSの完成形?

Title:Timeless Melody
Musician:N'夙川BOYS

昨年来、はまっているバンドN'夙川BOYS。昨年、アルバム「24HOURS DREAMERS ONLY!」がリリースされ、今年ベスト盤がリリースされるなど、勢いが続いていますが、その勢いにのるように早くもニューアルバムがリリースされました。

先行シングルとなった「Hello,999」は、また彼ららしいポップでロッキンなナンバー。サビの部分は彼らのお得意ともいえる、女性ボーカルと男性ボーカルで違うフレーズを歌うというスタイル。N'夙川BOYSの魅力をしっかり詰め込んだ先行シングルで、否応なくアルバムへの期待も高まりました。

そんな彼らのニューアルバムは、まさにN'夙川BOYSらしいポップチューンの連続。彼ららしいポップでキュートな「Boys and Girls」からスタート。「It's all lie」はテンポよいリズムの軽快なダンスナンバーに。先行シングルのカップリング「全、力、女、子!」は思いっきり明るい女の子への応援歌で、90年代前半あたりのちょっと懐かしいガールズポップの匂いも感じさせるナンバーになっています。

メジャーからのリリースとしてはこれが3枚目となるアルバムですが、本作、N'夙川BOYSのひとつの完成形のように感じました。本作の大きな特徴としては、いままで以上ポップス色が強くなった点。「Hello,999」「全、力、女、子!」などはもちろんですが、その他にもシングルカットできそうなインパクトのあるポップナンバーが揃っています。

その一方で、ガレージ色というか、初期のN'夙川BOYSにあったような「はちゃめちゃ」な感じがちょっと薄らいでしまった感じが。「kiss kiss」や「Change」あたりはノイジーなギターサウンドが前に出て、ガレージパンク色が前に出ており、ガレージロックバンドの雰囲気を強く出していたのですが、アルバム全体としてはガレージ色はちょっと後ろに下がってしまった感じがあります。

その結果としてアルバム全体としてまとまりが出たようにも感じられます。いままでのアルバムは、メンバーが好きなことを好き勝手にやっていて、その結果、名曲もあった一方、ハズレもあったのも事実。その一方、今回のアルバムに関してはまとまりがあったため、あれ?といった大ハズレはありませんでした。

もっともその反面、いままでのアルバムにあったような、どこへ暴走するのかわからない、いい意味でも予測不能さがなくなってしまい、ともすれば「小さくまとまってしまった」といえなくもない部分も。個人的には、前作のように、もうちょっとガレージロックの要素が強かった方が好みだったかもしれません。

ただ、N'夙川BOYSとしてやれることを上手くまとめて詰め込んだアルバムは、上にも書いた通り、まさに彼らにとってひとつの完成形と言えるでしょう。いろいろと思う部分もありますが、今回もまたそのポップでキュートなメロディーにはまってしまったのも事実。まだまだしばらくは彼らにはまっていそうです。

評価:★★★★★

N'夙川BOYS 過去の作品
PLANET MAGIC
24HOURS DREAMERS ONLY!
THANK YOU!!!


ほかに聴いたアルバム

ROCK/木村カエラ

木村カエラのニューアルバムは、チャットモンチーや石野卓球、斉藤和義、くるりの岸田繁という実力派ミュージシャンたちと組んでロックの名曲をカバーしたカバーアルバム。ちなみに、今日、上で紹介しているN'夙川BOYSも参加しています。カバーした曲も「Take On Me」「MY GENERATION」などメジャーな曲がメイン。エレクトロを主体としたアレンジで、正直、手を組んだ個々のミュージシャンたちの個性が十分に出ていない点は残念でしたし、彼女のボーカルも決して絶賛できるような表現力はないのですが、素直にロックという音楽を楽しんでいる要素は十分に伝わってきており、ロックのエンターテイメント性という側面を上手く引き出しているカバーだと思います。なにより聴いていて素直に楽しいと感じるアルバムでした。

評価:★★★★★

木村カエラ 過去の作品
+1
HOCUS POCUS
5years
8EIGHT8
Sync

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2014年1月 9日 (木)

完成度高いデビュー作

Title:グレイテスト・アイドル
Musician:Mitchie M feat.初音ミク

ヒット曲不在で、どうにも勢いのない今の音楽シーン。ただ、そんな中、今、最も勢いを感じられるシーンは初音ミクを巡る音楽シーンだと思っています。確かに、技術的な部分や凝った楽曲展開ということを考えると、「プロ」が手がけるアイドルやらK-POPやらアニソンやらが上かもしれません。ただ、次から次へとおもしろい新人があらわれて荒削りながらこれからの可能性を感じる、という点では初音ミク関係のシーンが一番なのではないでしょうか。特にここ最近、続々と実力を感じる、いわゆる「ボカロP」が登場しており、「初音ミクの技術なおもしろいけど、曲は稚拙」と感じた数年前から比べると隔世の感すらあります。

そんな中、最近このメジャーデビューアルバムがチャートでベスト10入りしてきたのが、Mitchie MというボカロP。彼が大きな話題となっているのは、初音ミクをまるで人間のように歌わせる「神調教」と呼ばれるテクニック。もちろん、感情のある人間のボーカルと比べるとその差は歴然なのですが、確かにロボットみたいな雰囲気は皆無。正直、初音ミクの曲はアルバム1枚通して聴くのにはちょっと辛い部分もあったのですが、このアルバムに関しては最後までボーカルに関しては全く気になりませんでした。

ただ、個人的にこのMitchie Mというプロデューサーが非常におもしろいな、と思ったのはこの「調教」の部分ではありません。彼が作り出す完成度の高い楽曲に非常に惹かれました。

基本的に「グレイテスト・アイドル」というタイトルの通り、初音ミクをアイドルにみたてたような歌謡曲風の路線がひとつの本筋。哀愁たっぷりの「Bye Bye Blue Monday」「FREELY TOMORROW」あたりにその傾向が顕著です。また「アイドルを咲かせ」あたりは90年代のJ-POP路線といった感じでしょうか。インパクトのあるメロディーラインがとても印象に残る楽曲でした。

ただ、その上でとても魅力的だったのが、楽曲の根底に強く感じられるブラック・ミュージックからの影響。ベースラインがファンキーな「愛Dee」や、ディスコナンバー「イージーデンス」、最後を締めくくる「Birthday Song for ミク」もR&B風。この楽曲にさりげなく流れるブラック・ミュージックの要素のため、非常にスタイリッシュで垢抜けた雰囲気になっています。良質なシティポップ、そう形容しても問題ないような出来のポップソングが並んでいました。

いままで聴いてきたボカロPは、垢抜けない、どこか素人っぽさを感じたのですが、彼に関してはその完成度の高い楽曲はまさにプロ。名前は隠しているけど、実は著名なミュージシャンでした、と言われても驚かないかも(笑)。もっとも、荒削りな素人っぽさは、先の読めない新しいことをやってくれそうな魅力があるのも事実なのですが。

またちょっと残念なのが、結局人間に近づけたような曲が魅力的になってしまうのか、という事実。演奏でも打ち込みと生音が全く違うように、初音ミクが人間のボーカルに取って代わると思っている人はいないと思います。だからこそ、人間には出来ない何かを求めてほしいなぁ、という気持ちはあるのですが。もちろん、その方面を狙うボカロPが多いのも事実なのですが。

もちろん、こういうことは、あくまでもこのアルバムを聴いて付随的に思うことであり、このアルバムの魅力のマイナス要素ではありません。ちょっと初音ミクのボーカルはアニメキャラのような癖もあるのですが、そこらへん気にならなければ、初音ミクを聴いたことない方にも十分お薦めできる傑作でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

空を見上げても空しかねえよ/忘れらんねえよ

3人組パンクバンドの2nd。前作は、もてない男の心の叫びを歌詞として大きなインパクトを出していました。今回のアルバムも、基本的に前作に続き、骨太なサウンドを聴かせるパンクロック。ただ歌詞からは前作で感じた童貞っぽさは薄れた感じ。力強いバンドサウンドと共に、一歩大人になった感じもする一方で、ちょっと個性は薄れたかも。

評価:★★★★

忘れらんねえよ 過去の作品
忘れらんねえよ

新・フラカン入門/フラワーカンパニーズ

2010年にリリースしたベスト盤「フラカン入門」に続く形でリリースされたベスト盤。来年25周年を迎える彼らですが、その泥臭いロックンロール路線は全く変わりません。その一方歌詞は年齢に沿ったような、大人の視点から子供のころを振り返りつつ、あくまでも前に進もうとするスタンス。そんな歌は力強く、アラフォー世代にはリアリティーあり心に響きます。

評価:★★★★★

フラワーカンパニーズ 過去の作品
フラカン入門
ハッピーエンド

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2014年1月 8日 (水)

紅白/レコ大の影響は?

今週のヒットチャートの対象は12月30日から1月5日。新譜も少なく、例年、紅白やレコ大の影響、あるいはお年玉の影響で、2013年のヒット曲、アルバムがチャートにあがってくる週なのですが・・・。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週の1位はゴールデンボンバー「101回目の呪い」。昨年も1月1日にシングル「Dance My Generation」をリリースしましたが、ちょうど1年のスパンでのリリースとなりました。てか、1月1日リリースのシングルにこのタイトルってのが彼ららしい(笑)。初動売上15万7千枚は、その前作の12万4千枚からアップ。今年も彼らの人気は続きそうです。

2位初登場は3Bjunior「七色のスターダスト」がランクイン。こちら、スターダストプロモーション所属のももいろクローバーZ、私立恵比寿中学、チームしゃちほこなどが集結した企画モノ。伊勢正三・南こうせつの書き下ろしによる新曲なのですが、曲の雰囲気は完全にAKB48(というよりも、乃木坂46に近い?)なんですが・・・。

3位は先週1位のHey!Say!JUMP「Ride With Me」が2ランクダウンながらベスト3をキープしました。

さて今週、実は初登場が1位2位の2曲のみ。ただし、他に1曲のみ、ベスト10圏外からランクアップし、初のベスト10入りとなった曲がありました。それが昨年のレコード大賞で新人賞を受賞し、紅白歌合戦にも出場した福田こうへい「南部蝉しぐれ」。2012年10月リリースの曲ながら、先週の16位から9位にランクアップし、見事ベスト10入りを果たしました。

ただ、正直楽曲自体は何の特色もない演歌で特におもしろみは感じられません。せっかく民謡歌手出身の彼だから、もっと思いっきり民謡っぽい曲の方がおもしろいと思うんだけどなぁ。

今週のベスト10で紅白/レコ大の影響が顕著なのはこの曲のみ。お年玉を持った中高生というよりは、レコ大や紅白を見たおじいちゃんおばあちゃんがレコード屋に足を運んだようです。他には紅白卒業が話題となった北島三郎「人道」が12位にランクインしていますがこちらは1月1日発売の新曲。先週28位のLinked Horizon「自由への進撃」が17位にランクアップ(発売枚数 2千枚→4千枚)が目立ったくらいでしょうか。昨年以上に年末効果の少ない、かなり寂しい結果になっています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートも新譜のほとんどないチャートに。

1位は先週に引き続き三代目J Soul Brothers「THE BEST/BLUE IMPACT」が獲得。2位には先週4位のコブクロ「One Song From Two Hearts」がベスト3返り咲き。3位には先週6位の「映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』~MUSIC BOX~」が、こちらもベスト3返り咲きという結果になっています。

ベスト10唯一の初登場が4位「スタダ 3Bjunior ラスト大全集」で上でも紹介したスターダストプロモーション所属のアイドルの曲を収録したオムニバス盤がランクインしています。

またアルバムチャートはシングルチャートと異なり、ベスト10返り咲きが大量にランクインしています。13位→5位 ONE DIRECTION「MIDNIGHT MEMORIES」(8千枚→9千枚)、23位→7位 AVRIL LAVIGNE「AVRIL LAVIGNE」(6千枚→7千枚)、21位→8位 LADY GAGA「ART POP」(6千枚→7千枚)、17位→10位 ポルノグラフィティ「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"」(7千枚→6千枚)となっています。

ポルノグラフィティ以外は洋楽勢の返り咲きが目立ったのが特徴。紅白やレコ大効果というよりは、年末のお年玉効果でしょうか。ただその結果売れたのが邦楽ではなく洋楽という事実がかなり日本の音楽シーンにとっては寂しい感じがします。ポルノも返り咲きとはいえ、売上は落としていますし。

ベスト10以下でも目立つのは嵐「LOVE」が20位から12位にランクアップした程度ですが、こちらも売上的には6.8千枚→6.4千枚とダウンという結果になっています。

シングルアルバム同様、昨年以上に年末の紅白やレコ大、あるいはお年玉効果による、2013年のヒット盤の返り咲き効果が見られないチャートになってしまいました。売上があがった数少ない例がシングルでは演歌、アルバムでは洋楽勢と、J-POP勢は皆無。それだけJ-POPに「聴き返したい」と思えるようなヒット曲がなかったという事実。もっと音楽業界は危機感を持ったほうがいいと思うのですが・・・いかに一人のファンに複数枚のCDを買わせるか、としか考えていない今の音楽業界には無理な注文でしょうか。

ヒットチャートはまた来週の水曜日に!

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2014年1月 7日 (火)

ユーミンvsみゆき

発売日が同日になり、ヒットチャートでもならんだ松任谷由実と中島みゆきのニューアルバム。同じ女性シンガーソングライターとしてよく比較される両者。もっとも、楽曲のタイプは全く違うし、今回のアルバムも発売が同日というだけで、一方はオリジナル、もう一方はシングルベストと全く別物なので、単純な比較は意味がないかもしれませんが・・・。

Title:POP CLASSICO
Musician:松任谷由実

ベスト盤を挟んで約2年7ヶ月ぶりとなるニューアルバム。前々作「そしてもう一度夢見るだろう」前作「Road Show」は、バブル時代のイメージから抜け出し、ちょっとオールドスタイルのポップソングを聴かせてくれました。本作に関してもまた、ユーミンらしい、奇をてらわない良質なポップソングが揃っています。

ただ、原点回帰的な雰囲気をみせたここ数作に対して、今回のアルバムはもっと80年代や90年代、いわゆるバブル時代の象徴だったころのユーミンの匂いもちょっと感じられるようなポップソングに。ここ数作、「バブルの女王」的なイメージから抜け出そうとしていた彼女でしたが、ベスト盤リリースを機に、そのバブル時代のイメージも含めて松任谷由実というミュージシャンなんだ、ということを確認したような、そんなイメージも受けました。

もっとも、だからといって今回のアルバム、バブル期のアルバムのように、キラキラしたアルバムではありません。もっと自然体になった彼女が、松任谷由実らしいポップソングを聴かせてくれる、そんなアルバムでした。

とはいえ、楽曲の勢いとしてはいまひとつでインパクトのある曲も少なめ。良くも悪くもこなれた感じもするアルバム。前々作、前作同様、この程度で終わるミュージシャンではない、はずなのですが・・・。

評価:★★★★

松任谷由実 過去の作品
そしてもう一度夢見るだろう
Road Show
日本の恋と、ユーミンと。

Title:十二単~Singles4~
Musician:中島みゆき

中島みゆきのニューアルバムは、シングルベスト。2003年にリリースした「銀の龍の背に乗って」から、2012年にリリースした「恩知らず」までのシングルがカップリング曲も含めて収録されています。

「銀の龍の背に乗って」は、「地上の星」や「空と君とのあいだに」のような、ここ最近の中島みゆきのヒット曲のイメージを引き継ぐような作品になっていますし、そういう意味では若干のマンネリ感は否めないものの、力強さを感じるシングル曲が続いており、そのパワーはいまでも健在。1970年代から2000年代まで、4つの10年代でシングルで1位獲得という記録をもっている彼女ですが、2010年代もあと6年。条件さえそろえば、まだまだ十分1位は獲得できそう。握手券とかつけてみる??(笑)

このアルバムで、特に印象に残ったのが「時代」「命のリレー」のライブバージョン。どちらもシングルのカップリング曲としてリリースされたものが収録されています。言うまでもなく声量ある中島みゆきのボーカルが魅力的なのですが、なによりもボーカルに「すごみ」があります。その声にただただ圧倒されるようなライブ音源。この2曲、要チェックです。

そんな訳で、まだまだ現役感バリバリの中島みゆき。これからの楽曲も楽しみになってくるようなシングル集でした。

評価:★★★★★

中島みゆき 過去の作品
DRAMA!
真夜中の動物園
荒野より
常夜灯


ほかに聴いたアルバム

Joyus/冨田ラボ

冨田ラボの最新アルバムはとにかく参加ミュージシャンが豪華。原由子に椎名林檎、横山剣、さかいゆうといったメンバーが参加。メンバーそれぞれの個性を上手く引き出した、楽しいポップソングがつまったアルバムになっています。

評価:★★★★

冨田ラボ 過去の作品
Shipahead

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2014年1月 6日 (月)

今年はじめてのチャート

2014年はじめてのチャートは変則的に今日月曜日発表になっています。ただし集計期間は12月23日~29日と通常のチャートと同じ期間での集計となっているようです。シングルアルバムともに初登場は少なめだったので、同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

まず今年最初のチャートで1位を獲得したのはジャニーズ系。Hey!Say!JUMP「Ride With Me」。日テレ系ドラマ「金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件」主題歌。基本的にはジャニーズ系っぽい爽やかなダンスポップを基軸にラップなどを挟んで今風にまとめたスタイル。初動売上は16万2千枚で前作「Come On A My House」の21万7千枚からダウン。ここ最近、コンスタントに初動20万枚以上は記録していたため、ちょっと苦戦気味の結果に。

2位はももいろクローバーZ「ももクリ 2013<LIVE会場&キングE-SHOP>期間限定シングル【2013年12月23日LIVE@西武ドーム】」。昨年に引き続き、ライブ会場及び通販限定のシングル。初動売上3万6千枚は前作「GOUNN」の7万7千枚からダウンしているも、前年度の同企画「「僕等のセンチュリー」ももいろクリスマス2012~さいたまスーパーアリーナ大会~ 限定発売シングル」の2万1千枚よりアップしています。

3位には、先日の紅白でE-girlsとして初出場した女性アイドルグループFlower「白雪姫」がランクイン。キャバ嬢みたいな彼女たちが白雪姫はないだろう、というのは余計なお世話か(苦笑)。和風バラードナンバー。初動3万6千枚は前作「太陽と向日葵」の4万5千枚よりダウン。E-girlsとしての前作「クルクル」の6万9千枚より大きくダウン。まあ、E-girlsの方は、例のMUSIC CARD商法込みの記録ですが。

続いて4位以下の初登場。5位にはこちらも紅白主演組、ゆず「表裏一体」がランクインです。映画「劇場版 HUNTER×HUNTER The LAST MISSION」主題歌。マイナーコード主体でちょっと怪しげなAメロがなかなかカッコよく、ゆずのイメージとはちょっと異なった雰囲気が。サビはいつものゆずでしたが。初動3万3千枚は前作「雨のち晴レルヤ」の2万9千枚よりアップ。

続く6位初登場がちょっと話題になっています、浜崎あゆみ「Feel the love」。3年3ヶ月ぶりのシングルなのですが、前作、前々作に引き続き小室哲哉作曲によるシングル。前作「L」まで25作連続1位という記録を続けてきましたが、本作でついにその記録が途切れてしまいました。初動売上3万枚は前作「L」の7万1千枚から大きくダウン。1位どころかベスト3落ち、さらにはFlowerやゆずの後塵を拝むという散々な結果に。MUSIC CARD3種リリースなどの施策はあったものの、どうしても記録を継続させるというスタンスは感じられず、前作の25作連続1位で、松田聖子が持っていた24作連続の記録を更新しているのでおそらくavex側としてはもうどうでもいい、と思っているのでは?

初登場最後は9位にロックバンド[Champagne]「Run Away」がランクイン。アルバムでは2012年にリリースした「Schwarzenegger」が10位にランクインしていますが、シングルでは初のベスト10ヒット。初動売上1万1千枚は前作「Forever Young」の9千枚(最高位11位)よりアップしています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今年最初の1位はEXILEがらみ。

今週の1位は三代目J Soul Brothers「THE BEST/BLUE IMPACT」が獲得しました。ベスト盤の「THE BEST」とオリジナルアルバム「BLUE IMPACT」の2枚をセットとしたアルバム。オリジナルにベスト盤をつける手法はドリカムとかもやっているので珍しくはないのですが、最近、EXILE関係のユニットは売りあげを伸ばすためには手法を選ばない部分があるので、どうしてもこのやり方もその一環と感じてしまいます。初動売上14万6千枚は前作「MIRACLE」の13万7千枚よりアップ。ただし、ベスト盤をつけた効果は限定的だったよう。

2位は「うたの☆プリンスさまっ♪ 劇団シャイニング マスカレイドミラージュ」。ゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」のメンバーによる舞台という設定のドラマCD。

3位はAKB48からのユニット、渡り廊下走り隊「渡り廊下をゆっくり歩きたい」。これを最後に解散するそうで、これがラストのベストアルバムだそうです。初動売上3万2千枚は、唯一のオリジナルアルバムとなった「廊下は走るな!」と同水準。

続いて4位以下の初登場。5位に「魔法少女まどか☆マギカ MUSIC COLLECTION」がランクイン。TBS系アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の主題歌などを集めたアルバムです。

7位にはAAA「Driving MIX」が入ってきました。avexのダンスグループAAAの曲をドライブ向けの曲を中心にセレクトしノンストップミックスで収録したアルバム。初動売上は1万3千枚で、オリジナルである前作「Eighth Wonder」の4万6千枚よりダウン。ただし、リミックスアルバムとして前作となる「AAA REMIX ~non-stop all singles~」の3千枚(最高位58位)よりは大幅にアップしています。

初登場最後はもう1枚サントラ盤。「beatmania IIDX 21 SPADA ORIGINAL SOUNDTRACK」。タイトル通り「beatmania IIDX 21 SPADA」のサントラ盤です。初動売上は1万1千枚。前作「beatmania ⅡDX 20tricoro ORIGINAL SOUNDTRACK Vol.1」の8千枚(最高位18位)よりアップ。ゲーム事情には詳しくなく「beatmania」って「昔はやったゲーム」というイメージが正直あったのですが、いまだに根強い人気が続いているんですね。

今週のチャートは以上。次は水曜日か?

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2014年1月 5日 (日)

15周年15曲入りの新作

Title:15
Musician:COIL

上のタイトル通り、昨年、デビュー15周年を迎えたCOILがリリースしたニューアルバムは、15曲入り。タイトルもそのまま「15」というところが、飾らなくもどこかユーモラスさのある彼ららしさを感じます。

そんな15周年を記念してリリースしたニューアルバムですが、基本的にだからといって新しいことをやっているわけではないのが彼ららしいところ。基本的にいつもの彼ら、というよりもいつも以上に原点に立ち返ったようなスタンスを感じます。

まず1曲目の「ボンテージ・スーパーカー」。グランジ風のギターロックに、女性をスーパーカーに見立てたユーモラスな歌詞はまさにCOILらしさがストレートに感じられる楽曲。もともとデビュー作候補として作成したもののボツにされたという作品だそうで、まさに「幻のデビュー曲」とも言える作品。ここでも紹介したことがあるベスト盤購入のおまけ「DEMO TRACKS」に収録されていましたが、事実上初披露となるこの「幻のデビュー曲」を1曲目にもってくるあたり、あらためて原点回帰のスタンスを感じます。

その後も、オルタナ系のギターロックを主軸としながらも、宅録らしい様々な音楽の要素を入れつつ、それがユーモラスを感じる楽曲が展開していきます。ディスコナンバーの「チョコレート・シティ」や、サイケな「コールド・ターキー」、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を楽曲に取り入れた「僕と彼女とモーツァルト」などなど、バリエーションの多さは演奏形式にとらわれない宅録ユニットならでは、といった感じでしょうか。

歌詞の面でも特にユニークだったのが「君とオンザラン」で、タイトルからしてそのままなのですが、ポール・マッカートニーの楽曲のタイトルなどが、歌詞にちりばめられている楽曲。元ネタ探しも楽しそう。

基本的に岡本定義をメインにしながらも、佐藤洋介とボーカルや作詞作曲を割り振りながらも、それぞれの個性を生かした作風も大きな魅力。そんなCOILの魅力をきちんと詰め込んだアルバムになっていました。

しかしCOILって、これだけ魅力的な曲を書きながら、なんでブレイクしないんだろうなぁ、ということをあらためて思います。確かに楽曲は決して「派手」ではありません。でも、しっかりと心に残るようなメロディーを書いてきますし、ユーモラスある歌詞も魅力的。まあ、確かにこの地味さは、自らが歌うというよりも「作家」タイプのミュージシャンなのかもしれませんが・・・。

評価:★★★★★

COIL 過去の作品
ギャルソン
Vitamin C
ソナチネ
ボサノバ
カフェラテ

カセットミュージック
マスターピース~COIL傑作集~
セカンド・ベスト~COIL佳作集~

DEMO TRACKS


ほかに聴いたアルバム

TRAD/ACO

大ヒットした「悦びに咲く花」のセルフカバーや、Jeff Buckleyの「Lover, You Should’ve Come Over」のカバーなどを含むニューアルバム。新曲も収録されていますが基本的にセルフカバーやカバー主体なので企画盤といった要素が強そう。ミディアムテンポのオルタナ系ギターロック主体の作風でしんみりと聴かせてくれます。セルフカバーで強く感じるのは、昔と比べて歌い方がいい意味でかなり落ち着いたなぁ、ということ。大人を感じさせるボーカルは、優しさと安定感を兼ね備えていました。

評価:★★★★

ACO 過去の作品
devil's hands
LUCK

WORK/清竜人

アルバム毎にそのスタイルを大きく変化させ、良くも悪くも話題を振りまくシンガーソングライター清竜人の最新アルバム。前作「KIYOSHI RYUJIN」はシンプルなポップアルバムながらも、その歌詞が強烈で、ライブ会場限定リリースとなりました。最新作は、様々に賑やかなサウンドを詰め込んだミュージカル風。そうい意味では「WORLD」に近い雰囲気かもしれません。ただ、メロディーはよく、彼の才能を感じるのですが、あまりにこってりとしたアレンジに、わずか30分程度の短さながらも、正直胸焼け気味に。基本的に作詞も作曲も才能のあるミュージシャンなだけに、変に凝らずにシンプルな楽曲を聴きたいと思ってしまうのですが。

評価:★★★

清竜人 過去の作品
WORLD
MUSIC

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2014年1月 4日 (土)

フィリピン台風30号被災者への支援アルバム

Title:Songs for the Philippines

Songs_for_philippines

昨年11月にフィリピンを襲った台風30号。フィリピン全体で死者6,000人以上、行方不明者1,700名以上という甚大な被害をもたらしました。それから1ヶ月足らずでリリースした、フィリピン被災者への支援を目的としたチャリティーアルバムがこちら。iTunesでのダウンロードでのリリースですが、私もさっそく購入し、微力ながらチャリティーに参加させていただきました。

収録曲は全39曲。ビートルズやボブ・ディランという大御所から、Lady Gaga、fun.といった今をときめくミュージシャンまで豪華なメンバーがズラリとならんでいます。この内容とタイトルで思い起こすのは、東日本大震災直後にリリースされたチャリティーアルバム「Songs for Japan」。こちらも短期間でiTunesでのリリースとなりましたが(その後CDもリリースされましたが)形式的にはそのアルバムと同じ目的のアルバムといった感じでしょう。

「Songs for Japan」の時もそうなのですが、こういうアルバムに感想を言うのは野暮なことかもしれません。ただ、そうとはいっても聴いているうちに思う部分があるのは事実。特に最新のヒット曲をリリースしているミュージシャンの曲が数多く収録されているため、「Songs for Japan」もそうだったのですが、意図せずアメリカの今の音楽シーンを俯瞰できるようなアルバムになっています。

そのため、2011年にリリースした「Songs for Japan」と比べて、音楽シーンの微妙な変化を感じます。そこで思うのは、2011年当時のシーンに比べると、グッとシーンがおもしろくなってきたなぁ、ということでした。

エレクトロポップやR&Bバラード主体だった2011年に比べるとバリエーションも増え、なによりも純粋にメロディーや歌詞を聴かせるポップソングが増えたような印象を受けました。その中で特におもしろかったのがニュージーランド出身の女性シンガーソングライターLorde「The Love Club」。メロディアスなガールスポップながらも、コーラスを多用したアレンジとシンプルなリズムトラックが印象的なポップソング。最新アルバムがビルボード4位にランクインし、グラミー賞にノミネートされるなど話題のシンガーで名前は知っていたのですが、この曲はおもしろい!一気に興味がわきました。

まあ、ヒットシーンを総括するようなコンピではないので、これで単純にヒットシーン云々いえない部分もあるかもしれませんが、それでもアメリカの音楽シーンは少しずつ勢いを取り戻しつつあるのかなぁ、ということを感じたコンピ盤でした。

もっとも、そういう点は差し置いても、フィリピン支援のために是非。このコンピ発売で思うのは、アメリカという国は、こういうチャリティー活動に関しては本当に積極的で、かつ迅速だなぁ、という点。こういう姿勢は見習いたいですね。また、こういうコンピをこれだけ迅速にリリースできるようになったのはやはりダウンロード販売あったからこそ。こういうチャリティーコンピが迅速に発売できう点ではネットの大きなプラスだよな、と思います。

ちなみにダウンロードはこちらから↓(iTunesが立ち上がるかもしれないのでご注意を)
https://itunes.apple.com/jp/album/songs-for-the-philippines/id764022051

評価:★★★★★

SONGS FOR JAPAN

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2014年1月 3日 (金)

ライブ盤第2弾

Title:EXPERIENCEDII
Musician:Boom Boom Satellites

昨年5月に日本武道館で行われたライブの模様を収録した、ライブ映像+ライブアルバム2枚組の作品。2011年に幕張メッセの模様を収録したライブ盤に続く第2弾となります。

ライブ映像については、正直言って、少々辛い部分が・・・。というのも、レーザー光線をバンバン使ったステージ効果が印象的で、それはそれで彼らの音楽と一体感を出しており悪くはないと思います。ただ、映像のカット割が非常に細かく、次々と映像が変わっていく構成になっており、このレーザー光線と合わさって、見ていて、とてもチカチカする映像になっていました。この手の映像が次々展開していく映像って最近の流行かもしれませんが、ライブ会場の雰囲気は味わえません。作った側は映像の構成のおもしろさをアピールしたいのかもしれませんが、単なる製作者のオナニーにしかおもえません。そういう意味で、ライブ映像としてはちょっといまひとつな作品でした。

ただ、ライブ映像自体には不満が大きかったのですが、その一方、ライブ自体は迫力あり、会場にいたらとても楽しかっただろうなぁ、というのを感じます。そのレーザー光線を多用した演出は、映像としてみるには辛い部分があったのですが、スケール感をよく出しており、Boom Boom Satellitesの音楽にもマッチ。なによりも武道館という会場の広さを効果的に反映していたように感じます。彼らの音楽のようなダイナミックな音楽は、武道館くらいの広さがあった方が映えますよね。

そして今回のライブ盤でいまさらながらに感じたのがドラム、カッコいい!!非常に力強くダイナミックな演奏ながら、テンポのよい彼らの音楽に合わせて正確に叩くドラムスのリズムが、Boom Boom Satellitesのライブの魅力の大きな要素となっていました。福田洋子という女性のドラマーなのですが、女性のドラマーってカッコいい人が多い印象が。あくまでも印象論ですが(笑)。

ライブ音源としては、Boom Boom Satellitesのライブの魅力をきちんと伝えているライブ盤だったと思います。特にこのライブ、川島道行が脳腫瘍に倒れ、その復帰後初となるライブという意味でも注目を集めたのですが、病み上がりということを感じさせないステージでした。久しぶりに彼らのライブに足を運びたいなぁ、と思わせるには十分な内容だったと思います。

ただし、その一方でライブ音源には気になった部分も。全体的にマンネリ気味な部分を感じます。これは、最新アルバム「EMBRACE」でも同じようなことを感じたのでここ最近の彼らの傾向なのかもしれませんが・・・。その点は気にかかりました。

評価:★★★★

BOOM BOOM SATELLITES 過去の作品
EXPOSED
19972007
TO THE LOVELESS
EXPERIENCED
REMIXED
EMBRACE


ほかに聴いたアルバム

Weather Report/People In The Box

今回のアルバムは、なんと全71分ワントラックのアルバム。とはいえ、1曲71分という曲が入っているわけではなく、全21曲だけどもCDのトラックをわけていないというだけの話。要するに、1曲1曲バラバラではなく、あくまでも21曲まとめて1つのアルバムとして聴いてほしい、ということなのでしょう。

もっともアルバム自体は似たような曲が並ぶコンセプチャルな作品、という感じではなく、シューゲイザーな作品からハードロック、アコースティックな作品まで幅広い感じ。全体的にファンタジックな雰囲気のギターロックというイメージで統一されていて、ちょっと不思議な雰囲気が魅力的。様々な作風な曲を含めて、People In The Boxだ、ということを主張したかったのかな?

評価:★★★★★

People In The Box 過去の作品
Ghost Apple
Family Record
Citizen Soul
Ave Materia

あの歌 この歌/栗コーダーカルテット

栗コーダーカルテットが、日本の童謡をカバーした企画盤。おさない頃から口ずさみ、日本人のDNAに刻み込まれたような曲の数々。楽曲自体は悪いわけありません。が、あまりにも予想通りのアレンジで、まるで子供向けの「童謡集」みたいな内容に。それを狙ったのかもしれませんが、意外性はなく、栗コーダーでやるべき企画だったのか、とも・・・。

評価:★★★

栗コーダーカルテット 過去の作品
15周年ベスト
夏から秋へ渡る橋
渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)

遠くの友達
生渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)
羊どろぼう
ウクレレ栗コーダー2~UNIVERSAL 100th Anniversary~

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2014年1月 2日 (木)

恒例のブルースカレンダー

Title:2014-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

今年最初に紹介するアルバム(?)は、昨年も紹介したアメリカのブルース・イメージ社という会社が毎年リリースしているブルースカレンダー。昨年1年間、私の部屋の壁を彩ってくれました。今年のヴァージョンも昨年に引き続き購入。新年より、私の部屋の壁に飾ってあります。

カレンダー自体も発売当時の貴重な宣伝のアートワークや写真で飾られておりまさに「目で楽しむ」ブルースといった感じ。この宣伝アートワーク、表紙を飾る絵もそうなのですが、どこかユーモラスを感じられるものが多く、ブルースという音楽があくまでもエンターテイメントである、ということをあらためて実感します。

さて、本体のカレンダーもまたとても重要なのですが、それと同じくらい、いやそれ以上にお目当てなのが付録としてついてくる全24曲入りのCD。戦前の貴重な音源が収録されており、ミュージシャンの名前を見ても「誰??」という人も多いのですが、今回の目玉は2012年8月に80年ぶりに発見されたというBLIND BLAKE幻の楽曲「Miss Emma Liza」とB面に収録されていた「Dissatisfied Blues」が収録されているという点。これだけでもまさに「買い」だと思います。

その「Miss Emma Liza」は、とても軽快で楽しく、ちょっとコミカルな感じのする楽曲。一方、「Dissatisfied Blues」は、メロディアスなギターの演奏が楽しめる作品。昨年のブルースカレンダーの付録CDでも同じように感じたのですが、この2曲に限らず、戦前ブルースは、テクニックを聴かせるというよりも、楽しくポップな曲を聴かせる、エンタテイメント性の高い作品が多いように感じます。このアルバムにしても冒頭を飾るHenry Thomasの「Bull Doze Blues」も、かわいらしい笛の音色が印象に残りますし、Mississippi Sheiksの「Cracking Them Thing」も軽快なバイオリン(フィドル?)の音色がワクワクします。

ただ、その中で異彩を放つのが、このシリーズ初登場のBessie Smith「Blue Spirit Blues」。感情たっぷりに歌い上げられるパワフルなボーカルは、今聴いても心に突き刺さるものがあります。さすがは「ブルースの女帝」といったところでしょうか。

それだけ魅力的な楽曲が多いCDなのですが、じゃあ無条件でお薦めできるか、と言われると正直ちょっと厳しいものが。というのも今回の作品、貴重な音源が多い反面、音が非常に厳しいものが多く、戦前ブルースがかなり好き、というのでなければ、途中で聴くのが厳しくなってくるくらいでした。

あくまでもCDはおまけでメインはカレンダーだからこそ、音の悪さを度外視してCDに収録できた、ということでしょうか。それはそれで貴重なのですが。そういう意味で聴く人は選びそう。ただ、戦前ブルースが好きなら、要チェックの作品だと思います。

評価:★★★★

2013-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar


ほかに聴いたアルバム

IN2TION(邦題:2CELLOS2~IN2ITION~)/2CELLOS

ユーゴスラビア出身の2人組による、2本のチェロだけでポップスやロックをカバーして話題となったミュージシャン。彼らの曲が日本でもドコモのCMソングに採用され話題となり、このアルバムは日本でもヒットを記録しています。

チェスをまるでギターのように、時には激しく、時にはヘヴィーにかきならす楽曲は確かにユニークで惹かれるものがありました。ただ、どうしてもチェロだと「綺麗な」音になってしまうため、曲によってはチグハグなカバーも。レッチリの「Californication」のカバーなどはやはりあのファンキーなリズムがあってからこそなので、正直、つまらなかった・・・。

とはいえ、アルバム全体としてはアグレッシヴな演奏を楽しむことが出来たアルバム。チェロだけでこれだけ様々な曲を奏でられるというのは驚きでした。

評価:★★★★

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2014年1月 1日 (水)

謹賀新年

新年、あけましておめでとうございます。

昨年は当「ゆういちの音楽研究所」をご愛顧くださり、まことにありがとうございました。本年も当サイトをよろしくお願いします。

年末は相変わらずゴロゴロ紅白を見ていました。今年の紅白といえば、直前にこんな記事が話題になりました。

紅白歌合戦 「紅白はとっくの昔に死んでいる」と音楽評論家

まあ、こういう「紅白は終わった」説はもう20年くらい前から頻繁に唱えられていました。一時期、民放の格闘技などが話題になり、本当に「紅白」に変わる大晦日の定番が出かけたこともあったのですが、正直、民放の方が先に勝手につぶれていきましたね・・・。最近は民放で大晦日におもしろい番組もなく、むしろ昔より紅白を見ているような感じもします。正直、この時代、なんだかんだいっても視聴率40%を取れる番組をやめるという選択肢はないと思いますが・・・。

今年の紅白は一言で言うと、綾瀬はるかの勝ちでしょう(笑)。これほどスリリングな紅白ははじめてでした(笑)。個人的にはサカナクションとリンホラが見てみたかったのですが、サカナクションはいつも通りのステージといった感じでカッコよかった。リンホラは、まあ、あんなものかなぁ、といった感じで。

AKB48の大島優子の卒業宣言が話題になったようですが、あれを見た瞬間は「あれ?大島優子ってもう卒業宣言してたよな、してなかったっけ??」といった印象。観客の反応も微妙だったし・・・。

ゴールデンボンバーはネタとしておもしろかったですね。「歌」というよりも完全にコント。ああいうグループは今後も是非紅白で見てみたいから、来年も期待しています。

あと個人的な印象ですが、演出的には「あまちゃん」に頼りすぎじゃない?つーか、私みたいに「あまちゃん」を見ていない人間にとっては少々意味が不明だったのですが。うーん。

そんな訳で、全体的には去年の方が楽しめたかな。今年は全体的には見所がすくなかったような・・・。


さて、昨年の音楽シーンといえば・・・

AKB48が4年連続シングル1位=オリコン

EXILE 3年ぶりレコード大賞!4度の受賞は史上初

ここ最近、音楽シーンの新陳代謝が極端に悪化しているような印象を受けます。例えば20年前、私が高校時代に人気だったミスチル、B'z、ドリカム、スピッツなどなど、いまだに第1線で活躍していますし、その頃にデビューしたGLAYやラルクなどもいまだに高い人気を誇っています。

じゃあ逆に私が高校時代に、20年前に活躍していたミュージシャンで、まだ第1線でヒットを出し続けていたミュージシャンが誰がいるか、と考えると、おそらくサザンやユーミンくらい。井上陽水や中島みゆきもヒット曲を出していましたが、どちらかというとドラマ主題歌に起用されたことによる単発ヒット。自分たちが生まれる前に活躍していたミュージシャンはかなり古臭いミュージシャン、といった印象でした。

AKB48やEXILEがどうこういう意図はなく、「4年連続シングル1位」「レコード大賞4度目授賞」というニュースは音楽シーンにとっては決して喜ばしいニュースではなく、むしろ悲観すべきニュースだと思います。それは、それだけシーンに新陳代謝が進んでおらず、新人が出てきていない証拠。どんなジャンルでもそうですが、新たな才能が出てこない分野は必ず衰退する運命にあると思います。

それだけに2014年は、今のミュージシャンたちを一気に過去に葬り去るような新たな才能の出現を期待したいのですが・・・いつまでも複数枚買い戦略などで、「シングルCD」みたいな過去の遺物にすがりついているような音楽業界には何の期待もできないのかなぁ・・・。

今年は昨年より、少しでもいい年になりますように。

それではみなさん、良いお正月を!

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