アルバムレビュー(邦楽)2013年

2014年3月14日 (金)

9年ぶりのオリジナル

Title:光のなかに立っていてね
Musician:銀杏BOYZ

Title:BEACH
Musician:銀杏BOYZ

昨年11月、突如告知された9年ぶり(!)となるニューアルバムのリリース。そしてそれと同時に発表された安孫子真哉とチン中村の脱退が大きな衝撃を与えた銀杏BOYZ。さらに12月には村井守の脱退も発表。峯田和伸は今後も銀杏BOYZとしての活動を続けると公言していますが、オリジナル・メンバーでの最後のアルバムとなってしまいました。

ただ、今回の2枚のアルバムを聴いてまず感じたのは、確かにこんなアルバムをリリースしてしまったら、現在のメンバーではこれが最後なのは仕方ないよなぁ、ということでした。まずはオリジナルアルバム「光のなかに立っていてね」。アルバム全体を強烈なノイズで埋め尽くされています。例えば冒頭を飾る「17才」も、強烈なノイズからスタートしていますし、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」も、基本的にシングルを踏襲した内容になっているものの、間奏ではギターノイズを響かせています。

この9年間にリリースしたシングルも基本的に収録されているため(アルバムの先行シングルを含め)10曲中6曲が何らかの形で既発表という内容。ただそんな既発表曲も大幅なリアレンジが行われているために、よくありがちな「シングルを詰め込んだベスト盤的なアルバム」ではなく、しっかりと今の銀杏BOYZの主張を詰め込んだオリジナルアルバムになっていました。

そしてシングル曲も含めていじくるまわし、ノイズをいっぱい詰め込んだアルバムを聴いていると、まさに彼らが自らの毒も含めてすべて出し切ったアルバムのように感じました。銀杏BOYZというバンドの一番奥底にあるようなものを出してしまったような、そんなアルバムに感じます。だからこそ、このアルバムが現メンバーにとってラストでも仕方ない、そう感じたアルバムでした。

さらにそれ以上に強烈だったのが同時発売された「BEACH」。こちらはオリジナルアルバムではなく、過去のライブ音源をリミックスしたアルバム。ただそのリミックスがすごい(笑)。全編、思いっきりノイズに加工されており、元曲の雰囲気はほとんどありません。

「光のなかに立っていてね」はノイズなアルバムといっても基本的にメロディーと歌がちゃんと聴くことができて、一般的なポピュラーソングに使われるような「ノイジー」という表現ができるアルバムでしたが、こちらはむしろノイズ・ミュージックにカテゴライズされそうな音になっています。

それだけにかなり聴く人を選びそうな問題作。正直、ファンでも受け入れられないという方もいそうですし、私も何度か聴いたのですが・・・はまりませんでした。リスナー層を選びそうなのにamazonのレビューでは絶賛の嵐なのはちょっと疑問。まあ「光のなかに立っていてね」のレビュー数の4分の1程度なので、受け入れれらない人は最初から聴いていないということか・・・。

どちらも銀杏BOYZが暴走したようなアルバム。ただ同じ暴走といっても、「光のなかに立っていてね」はその暴走が楽しいのに対して、「BEACH」は一部のファンを連れて向うの方まで言ってしまって、ごめん・・・ついていけないかも・・・といった感じのアルバム。とはいえ、今の彼らがやりたいことをやって、そしてやりつくした、という意味ではどちらのアルバムも共通するかもしれません。峯田ひとりになった銀杏BOYZ、とりあえず次はどう進むのか、それも楽しみです。

評価:
光のなかに立っていてね ★★★★★
BEACH ★★★

銀杏BOYZ 過去の作品
SEX CITY~セックスしたい(銀杏BOYZと壊れたバイブレーターズ)

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2013年12月28日 (土)

削除クロース(笑)

Title:終わらない映画
Musician:TOMOVSKY

前回紹介したウラニーノは歌詞が大きな売りのミュージシャンでした。今回紹介するTOMOVSKYもまた歌詞が大きな魅力のミュージシャンです。

何度かここでも紹介したことがあるのですが、TOMOVSKYは、80年代後半にカステラというバンドでデビューした大木知之のソロプロジェクト。世の中を斜めから見たようなユニークな人生訓を織り込んだ歌詞に、様々な音をユーモラスに取り入れた宅録の音がとてもユニークなミュージシャン。「人生訓」というと堅苦しく感じてしまいますが、でも彼は決して押し付けがましくなく、物事の視点をちょっとだけ変えたような歌詞は、聴いている時は楽しく聴きつつ、聴きおわってから「はっ」とその良さに気がつくような、そんな不思議な魅力があります。

今回のアルバムは本人曰くコンセプトアルバムだそうで、アルバムのコンセプトとなるキャラクターが、サンタクロースの親戚、「削除クロース」なる人物(笑)。「削除」がこのアルバムのテーマとなっているそうで、前半は時間の削除、後半は自意識の削除がひとつのコンセプトになっているそうです。

そんなコンセプトがしっかりしているからか、本作はここ最近少々薄味だった歌詞がインパクトあるものが出来上がったように思います。特にユニークだったのが「さしだせ」で、

「明日に期待したいのなら
それに見合ったなにかをさしだせ
未来に期待したいのなら
それに見合った今日までをさしだせ」

(「さしだせ」より 作詞 大木知之)

と「明日というのは今日までの積み重ねなんだよ」ということをユーモラスに語った歌詞には思わず考えさせられるものがありました。ほかにも

「人生の長さは神様が決めるとしても
一日の長さはこっちが決めるよ」

(「抵抗」より 作詞 大木知之)

「人のためだと手足は動く
自分の部屋はグチャグチャなままなのに」

(「ほうき」より 作詞 大木知之)

など、ユーモラスなので決して堅苦しさはないのですが、よくよく聴くと考えさせられるフレーズが要所要所に入っているがとてもおもしろいアルバムになっています。アルバムタイトルの元になっている「映画の中」も、メタ視点の歌詞がユニークなのですが、このどこかメタ視点を感じさせる点って、TOMOVSKYの歌詞全体に共通するよなぁ。そういう意味では、この世の中全体を映画に例えた「終わらない映画」というこのアルバムタイトルは、実にTOMOVSKYらしいといえるでしょうし、また、そのため、このアルバムも実にTOMOVSKYらしい作品になっていました。

思いっきり楽しんで、クスッと笑って、でも終わった後ちょっと考えさせられる、そんなアルバムでした。また例のごとく、ギターロックを主軸におもちゃ箱のような楽しい音をちりばめたポップなメロディーやサウンドもとても楽しくて魅力的。ここ最近、ちょっと物足りない感触のアルバムが続いていたのですが、久しぶりに満足が出来た傑作でした。やはりTOMOVSKYは楽しい!

評価:★★★★★

TOMOVSKY 過去の作品
幻想
秒針
いい星じゃんか!


ほかに聴いたアルバム

"X"Chronicle of SOIL&"PIMP"SESSINS/SOIL&"PIMP"SESSIONS

ジャズバンドSOIL&"PIMP"SESSIONS初となるベスト盤。ジャズバンド、というよりもジャズでありながらロック的なダイナミックな演奏を楽しめる楽曲が並んでおり、ホーンセッションが激しく吹き鳴らさせる楽曲は迫力満点。文句なくカッコよさを感じます。ただ、アルバム全体としては正直似たような曲が並んでしまっている印象も。代表曲を集めただけに、似たタイプの曲が並んでしまったのでしょうが・・・。

評価:★★★★

SOIL&"PIMP"SESSIONS 過去の作品
PLANET PIMP
SOIL&"PIMP"SESSIONS presents STONED PIRATES RADIO
MAGNETIC SOIL

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2013年12月27日 (金)

音楽シーンへの憤りも感じる

Title:音楽はあるか
Musician:ウラニーノ

最近、どうもメロディーやアレンジにしろ、歌詞にしろ、複雑で少々奇抜なものが評価されることが多いように感じます。確かに、複雑で奇抜な楽曲はそれだけでインパクトがありますし、耳を惹くものがあります。ただ、本当に複雑で奇抜な楽曲が優れた曲と言えるのでしょうか?もちろん、凝ったアレンジや歌詞の曲にも優れた曲はたくさんあります。でもメロディーやアレンジ、歌詞がシンプルであるのに、人の心を惹く曲はもっと高い評価を受けていいのではないでしょうか。

これがフルアルバムとしては2枚目となる2人組バンド、ウラニーノ。彼らの楽曲はちょっとフォークの要素の入ったシンプルなギターロック。正直、決して目新しくはありません。また、歌詞も比較的身の回りの出来事を取り上げることが多く、そのテーマ性に奇抜さはありません。しかし、ボーカル山岸賢介の書く歌詞は、その物語性やその視点の位置が実に見事。彼の書く歌詞は、今の時代、もっともっと高く評価されてもいいように感じます。

いままでウラニーノの描く歌詞の世界は主に日常を基軸とするものでした。今回のアルバムもそんな日常性は健在。しかし、それ以上に今回のアルバムはテーマ性を持った歌詞が多く見受けられました。

まずひとつ大きなテーマとなっているのが、現在の音楽シーンに対する問題提起。タイトルナンバーでもある「音楽はあるか」は今の世の中、ヒット曲不在で日常の中、影が薄くなってしまったような音楽に対する強烈な問題提起を行っていますし、「ブランクミュージック」では

「ロックミュージックもダンスミュージックもJポップでもなく
ジェネレーションも タイアップも 握手券も越えて
響け ぼくらの ブランクミュージック Oh Yeah!」

(作詞 山岸賢介 「ブランクミュージック」より)

と、「タイアップ」や「握手券」など、音楽とは関係ない要素でヒットが決まるような音楽業界を皮肉り、その上での決意を歌っています。

さらに今回のアルバムで目立ったが社会派のナンバー。特にインパクトが大きかったのは「愛してる」

「テレビを見ながら愛してる云々と薄っぺらい曲を作っていました
テレビの中では死んだ目の兵隊さん 国境を越えて海を越えて遠い国へ」

(作詞 山岸賢介 「愛してる」より)

テレビを媒介にしながら、現実に起こっている両極端のシーンを描き、問題提起を投げかける社会派な曲に。また、「無題」では、現在のインターネット社会に対しての皮肉を投げかけた歌詞になっています。

アルバム全体としてテーマ性のある歌詞が多く、現在の音楽シーンへの彼らの強い憤りを感じるアルバムになっていました。ただ、かといって決して重いアルバムというわけではなく、ところどころにユーモアさも交えつつ、展開のおもしろさも楽しめる作品。「夏なんです」みたいな、露骨に湘南乃風をパロッた曲もあり(笑)、アルバムを通じて聴いて、テーマ性ばかりが前に出て、堅いアルバムという印象はおそらく起きないでしょう。

一方ではいままでの彼らのような日常を切り取った歌詞も健在。特に秀逸だったのが「500円のクリスマス」で、クリスマスのカップルの素朴な会話を切り取った歌詞は落ちも含めて見事。個人的に、これ、槇原敬之が歌っていても違和感ないような(笑)。

最初にも書いた通り、こういう歌詞を書くミュージシャンが、もっともっと評価されるべきだと思うんですけどね。ウラニーノがもっと売れて、高く評価されるようになれば、音楽シーンはおもしろくなると思うんだけどなぁ。今回のアルバムを聴いて、強く、そう感じました。

評価:★★★★★

ウラニーノ 過去の作品
ランドリーとワールド
World end Happy end

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2013年12月20日 (金)

脱EDM

Title:CAPS LOCK
Musician:CAPSULE

ミュージシャン名義を大文字の「CAPSULE」に変更してリリースとなったニューアルバム。タイトルは、言わずと知れたパソコンのキーの名称。今回のアルバムは、そのタイトルだけではなく収録されている曲すべてにパソコンのキーの名称が付されており、ちょっとユニークな構成になっています。

ここ最近、ヘヴィーなビートを利かせたロック色も強い、最近流行りのEDMにカテゴライズされる楽曲がメインとなってきました。しかし、今回のアルバムはここ最近の方向性から大きくシフトしたアルバムになっています。まずアルバムの冒頭を飾る「HOME」。丸みを帯びた優しい感触のあるエレクトロサウンドはここ最近のCAPSULEの作風とは大きく異なる作品に。ともすれば初期CAPSULEの延長線、とも捉えられそうな作風かもしれません。

続く「CONTROL」「DELETE」は、比較的ビートの強い、EDMの匂いも残っているようなナンバーになっていて、いままでのCAPSULEの方向性が好みだった、という方にも受け入れられそうなナンバーですが、「12345678」ではまた方向は一変。機械的な音をサンプリングし、後半はこしじまとしこがエフェクトのかかったボーカルで数字の羅列を読み上げるだけ、という実験的な作風になっています。

ただアルバム全体としてはポップな色合いはむしろ増したようにも思えます。「SHIFT」はメロディアスなかわいらしいポップナンバーでちょっとアレンジを変えればPerfumeあたりにも流用できそうなナンバーですし、最後の「RETURN」はピアノの音色がメインとなったナンバーでCAPSULEの中では異色的なナンバーなのですが、その中で流れるシンセのメロディーがとてもポップな作風に仕上がっています。

タイトルとなった「CAPS LOCK」というキーはご存知の通り入力されるアルファベットを小文字から大文字に変える機能を持つキー。それにともないミュージシャン名義も大文字に変わったのでしょうが、楽曲の方向性も新たな段階にシフトした、という意味もあるのでしょう。

ただ、アルバムの内容としては刺激的だったここ最近の作品に比べるとちょっと拍子抜けしてしまった感は否めずインパクトもいまひとつ。新たな方向性を打ち出すための試験的、あるいは実験的なアルバムだった、とも言えるかもしれません。また久しぶりにこしじまとしこがジャケット写真に登場しないのも特徴でしょう。ここ最近、かなり影の薄くなってしまったこしじまとしこのボーカルは、本作ではさらに影が薄くなってしまっています(わずかに使われている曲についても強いエフェクトがかけられたりしていて・・・)。CAPSULEがあくまでも中田ヤスタカのユニットである、という点がさらに強調されたアルバムになっていました。

賛否のあるアルバムかもしれません。個人的には決して傑作ではないものの、これからのCAPSULEの方向性を示唆する重要なアルバムだと思います。この方向性を軸に、次はどんなスタイルの曲を聴かせてくれるのか・・・次回作が楽しみです。

評価:★★★★

capsule 過去の作品
FLASH BACK
MORE!MORE!MORE!
FLASH BEST
PLAYER
WORLD OF FANTASY
STEREO WORXXX
rewind BEST-1(2012→2006)
rewind BEST-2(2005→2001)

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2013年12月17日 (火)

やさしくなりたい

シングル「やさしくなりたい」の大ヒット後も快進撃を続けている斉藤和義。今、もっともノリにのっている彼のアルバムは、その勢いを反映するようになんと2枚同時発売となりました。

Title:斉藤
Musician:斉藤和義

Title:和義
Musician:斉藤和義

2枚あわせてセルフタイトルという今回のアルバム。「斉藤」の方は、その大ヒットした「やさしくなりたい」をはじめ、映画「名探偵コナン」の主題歌になった「ワンモアタイム」や、「やさしくなりたい」同様、ドラマ主題歌となった「月光」など、前作「45STONES」の後にリリースされたシングルや、他のミュージシャンへの提供曲のセルフカバーを収録したアルバム。いわば一種の「ベスト盤」的な内容になっています。

一方、「和義」の方はシングル曲でいっぱいになってしまったため「斉藤」に収録できなかったようなアルバム曲。こちらは自分の好きなように書いた曲が多いためか、チバユウスケとの共作でやさぐれた雰囲気がチバらしい「恋のサングラス」やジャジーでムーディーな「流星」など、かなりバリエーションの多いアルバムになっていました。

さて、前作「45STONES」は震災及びそれに伴う原発事故直後にリリースされたアルバムということもあって、社会派な歌詞が多く、まさに「怒り」のアルバムになっていました。しかし、今回のアルバムはそこから一転、まさに大ヒットした「やさしくなりたい」を地で行くようなやさしさにあふれたアルバムになっているように感じました。

「やさしくなりたい」はもちろんですが、「もう一度 もう一度 あの空を飛んでみないか」と歌う「ワンモアタイム」に

「ドンマイ 雲の向こうにお日様
オーライ ひまわりの夢」

(「ひまわりの夢」より 作詞 斉藤和義)

と歌う「ひまわりの夢」。さらに「和義」の方でも、まさに等身大のラブソングの「Always」に「そのまままっすぐ行けばいい オマエならわかってるだろ」と歌う「カーラジオ」など、明るく前向き。まさにやさしさに充ちたような楽曲が続いています。

さらにこの2枚組のアルバムの最後を飾る「それから」「メリークリスマス」はバンドのメンバー全員で作曲を手がけており、メンバー全員の名前が作曲としてクレジットされています。それだけバンドの中の雰囲気がとてもいいんだなぁ、ということを感じますし、今回のやさしい雰囲気の作風は、そのバンドの雰囲気がまさにアルバムに反映された、ということなのでしょう。

今回もグッと来るようなフレーズや歌詞にたくさん出会えるアルバムなのですが、その中でも特に印象的だったのが「月光」の中の一節。

あっちの席でオッサンは言ったよ『オレは百人の女と寝たぜ』
こっちの席じゃ若者が『男の価値はなにで決まるのかな?』
そしたらとなりの女が『そんなの"家族"に決まってるでしょう!』

(「月光」より 作詞 斉藤和義)

2010年に、結婚15年目にして待望の第一子が誕生し、「パパ」となったせっちゃん。まさにそんな彼の家族に対する思いが垣間見れる一節で、このアルバムの中でとても印象に残りました。

もっとも、この手の優しい視点というのは斉藤和義の曲にいままでも数多く見られた視点。そういう意味では今回のアルバム、実に斉藤和義らしいアルバムだったといえるかもしれません。だからこそ、アルバムのタイトルに自らの名前を入れたのでしょうか。「やさしくないたい」のヒットで一躍時代の寵児に躍り出た彼。しかし、そんな周りをものともせず、きちんと斉藤和義らしさを貫くあたりもさすが。あらためて斉藤和義の魅力を強く感じたアルバムでした。

評価:
斉藤 ★★★★★
和義 ★★★★★

斉藤和義 過去の作品
I (LOVE) ME
歌うたい15 SINGLES BEST 1993~2007
Collection "B" 1993~2007
月が昇れば
斉藤“弾き語り”和義 ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば 弾き語る~
ARE YOU READY?
45 STONES
ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio

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2013年12月16日 (月)

バラエティーはグッと広がったが・・・

Title:色彩協奏曲 Colors Of Concerto
Musician:末光篤

SUEMITSU&THE SUEMITHとしての活動に休止符を打ち、本名名義での活動を再開したシンガーソングライターの、約1年半ぶりとなる新作。デビューアルバム「Man Here Plays Mean Piano」ではまってしまって以来、アルバムは全作聴き続けています。正直、そのデビューアルバムを超える傑作に出会えず、残念に感じていたのですが前作のミニアルバム「For Your Pianist」は久々といっていい傑作になっており、続くフルアルバムも期待していました。

もともと、末光篤は楽曲については間違いなく強いインパクトを持っていました。それは彼が木村カエラに提供した「Butterfly」が大ヒットしたことを考えれば容易に理解可能だと思います。ただその一方でいまひとつ似たようなタイプの曲が多く、どれも楽曲をこれでもかというほど重厚なピアノの音で埋め尽くされるアレンジに、アルバムを通して聴くと少々飽きが来てしまう点が大きな問題点でした。

それを考慮してか今回のアルバムは前作に引き続き、かなりバラエティーが豊富な曲調になっていました。特に今回のアルバムはゲスト陣が豪華。「世界を変えるピアノが歌う」ではGOING UNDER GROUNDの松本素生がボーカルとして参加。さらに「恋を、した。」ではなんと斉藤由貴とデゥエットを披露。爽やかなポップチューンを聴かせてくれます。

他にも「We Gotta Get It」ではラッパーのVERSESが参加し、ラップを取り入れていますし、まさに「色彩協奏曲」というタイトル通り、様々なミュージシャンが参加した彩り豊富な楽曲が並んだアルバムとなっていました。

ただ、それだけバラエティー豊富な作品になった一方でインパクトの面で残念ながら今回はちょっと薄味になっていたように感じます。確かに今回のアルバムも、末光篤らしいポップなメロディーをきちんと聴くことが出来、楽しめるアルバムなのは間違いありません。しかしアルバムの中で、これといったキラーチューンがなかったのが残念。様々なミュージシャンとコラボした楽曲も、コラボが主軸になってしまって、楽曲としての勢いはちょっと薄かったように思います。

前作「For Your Pianist」が傑作だっただけに期待していたアルバムだったのですが・・・ちょっと残念でした。次のアルバムこそ、傑作を期待しています!

評価:★★★★

末光篤(SUEMITSU&THE SUEMITH) 過去の作品
Shock On The Piano
Best Angel for the Pianist-SUEMITSU&THE SUEMITH 05-08-
Dear Grand Piano
For Your Pianist


ほかに聴いたアルバム

MEGA OVER DRIVE/POLYSICS

5曲入りのミニアルバム。カヨが卒業して以来プレイしていなかった「I My Me Mine」「Baby BIAS」の2曲を新録で収録しています。まあ、そんな訳で事実上新曲は3曲のみ。どれもポリらしいエレクトリックなパンクナンバーなのですが、ギターが前に出てきていて、比較的ロック色が強い楽曲になっていました。

評価:★★★★

POLYSICS 過去の作品
We ate the machine
We ate the show!!
Absolute POLYSICS
BESTOISU!!!
eee-P!!!
Oh!No!It's Heavy Polysick!!!
15th P
Weeeeeeeeee!!!

Live at 日本武道館 130629~SPE SUMMIT 2013~/SPECIAL OTHERS

今年6月29日に行われた日本武道館でのライブの模様を収録したライブ盤。インストバンドが日本武道館でワンマンライブを行うのは初の快挙だとか。確かにポップで聴きやすいメロのインストナンバーがある反面、ジャムバンドの面目躍如といった感じのプレイを聴かせてくれる曲もあり、こういうバンドが武道館でライブを出来るだけの人気を集める点、リスナーの嗜好が幅広くなったのでしょうか。武道館よりも広い野外の会場で聴きたいなぁ、という感じですが、会場の楽しさは伝わってくるライブ盤でした。

評価:★★★★★

SPECIAL OTHERS 過去の作品
QUEST
PB
THE GUIDE
SPECIAL OTHERS
Have a Nice Day

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2013年12月14日 (土)

次は待望のソロアルバム?

ここ数年、徐々にソロとしての活動を再開し、昨年にはついに東京事変を解散した椎名林檎。このたび、ライブアルバムと、彼女が他のミュージシャンとコラボレートした楽曲を集めたコラボベストをリリースしました。

Title:蜜月抄
Musician:椎名林檎

まずこちらはライブ盤。どこかの公演を収録、という形ではなく、過去のライブ音源より選曲したライブベスト的な内容になっています。それも「歌舞伎町の女王」「丸の内サディスティック」のような代表曲だけではなく、様々なタイプの曲が収録されており、初心者に対するベスト盤代わりというよりもファン向けの内容になっています。

ただライブ音源といってもオリジナルから大きくアレンジが変わったような曲はなく。あえていえばよりバンドサウンドを押し出してヘヴィーさが増したような曲がチラホラ。まあ、あくまでもバンドのライブではなく椎名林檎のライブなので下手にバックが自己主張すべきではないのでしょう。そのため、このアルバムで一番魅力的だったのが椎名林檎のボーカル、それ自体。凛としていながら色っぽいボーカルが曲の中で実に映えていました。もともとのソロでの曲と彼女のボーカルの相性がよいという理由もあるのでしょうが・・・椎名林檎のボーカルの魅力がありありとわかるライブ盤でした。

一方、録音状況についてはライブであることを強調するためか、ライブ会場での反響音もそのまま収録したような音源に。そのため、曲によっては若干音が悪いんじゃないか、と思うような曲もありました。ただその反面、ライブ会場にいるような臨場感は強く感じられるような内容に。ライブの雰囲気がそのまま伝わってくるようなアルバムになっていました。

しかし、今回のライブ盤であらためて椎名林檎のソロの曲を聴いたのですが、正直、東京事変の曲も悪くなかったのですが、ソロの曲がより魅力的だったなぁ、と感じました。なによりも椎名林檎らしさが前に出ていますし、「茎」みたいに少々暴走気味の実験曲もユニークだし。確かに「加爾基 精液 栗ノ花」でちょっと暴走気味だった椎名林檎としての活動にブレーキをかける意味でもバンド活動は必要だったと思うのですが、東京事変の時に感じた物足りなさを、完全に解消するようなライブ音源でした。

評価:★★★★★

Title:浮き名
Musician:椎名林檎

こちらは他のミュージシャンとのコラボ曲を集めた企画盤。ただ、椎名林檎が主導となった曲だけではなく、MO'SOME TONEBENDERの「ロッキンルーラ」などコーラスやピアノでちょこっと参加しただけの曲も多く、椎名林檎は好きだけど椎名林檎以外のロックやポップスには興味ない、みたいな方には不満の残る内容だと思います。

もっとも彼女がコラボに参加しているミュージシャンは基本的に椎名林檎と音楽性に相通じるような部分があったり、彼女が尊敬しているミュージシャンばかりなので「椎名林檎以外は興味ないや」とほっぽり出すのも残念にも思います。これを機に、いままで知らなかったようなミュージシャンの曲にも興味を持ってほしいのですが・・・。

また、「蜜月抄」同様、やはり椎名林檎のボーカリストとしての魅力はこのアルバムでも存分に感じます。実際、メインでボーカルを取っている曲はもちろんですがバックコーラスにでも彼女の声が入ればすぐに「あ、林檎だ」とわかって、曲によっては楽曲の空気感すら変わるのが見事。椎名林檎の実力は、このアルバムでも遺憾なく発揮されています。

ただ、このアルバムの目玉であり新曲である、中田ヤスタカとのコラボ「熱愛発覚中」についてはちょっと期待はずれだったかなぁ。いまひとつ中田ヤスタカが椎名林檎に躊躇しているような印象もあり、中田ヤスタカの個性も椎名林檎の個性も十分に発揮されていない不十分な内容だったように思います。

椎名林檎がメインじゃない曲もあるために賛否はありそうですが、ただ、そんな曲でも基本的に椎名林檎に通じる部分がある曲だけに、是非ともこのアルバムはチェックしてほしいです。それで、より椎名林檎というミュージシャンの理解が深まると思うんだけどなぁ。

評価:★★★★★

椎名林檎 過去の作品
私と放電
三文ゴシップ


ほかに聴いたアルバム

BEAUTIFUL DEFORMITY/the GazettE

前作「DIVISION」は平凡なメロで、耽美なボーカルが鼻につくおもしろみのない作品でしたが、今回のアルバムはバンドのへヴィネスさが前面に押し出され、グッと面白みの増した作品。ハードコアに通じるバンドサウンドとポップなメロは、ONE OK ROCKみたいな最近ヒットシーンを賑わしているヘヴィーロックバンドに通じるところも。曲によってはやはり耽美なボーカルが鼻につくような部分もありマイナス要素なのですが、ヘヴィーロックが好きならヴィジュアル系というイメージ抜きにチェックしてみては?

評価:★★★★

the GazettE 過去の作品
TRACES BEST OF 2005-2009
DIM
TOXIC
DIVISION

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2013年12月 7日 (土)

日本流ギャングスター

Title:DGKA(DIRTY GHETTO KING ANARCHY)
Musician:ANARCHY

Dgka_anarchy

ANARCHYの新譜が大きな話題となっています。というのも、このアルバム、リリース形態がフリーダウンロードという形だったため。それも、純然たるオリジナルの新曲。確かにここ最近、フリーでアルバムをリリースするミュージシャンは増えていますし、海外ではミックステープとして有名どころも新曲をフリーダウンロードでリリースするミュージシャンが増えています。ただ日本では、まだANARCHYクラスの知名度があるミュージシャンがフリーでアルバムをリリースすることは珍しく、そういう意味でも大きな話題となりました。

そんなANARCHYの新曲はやはりフリーという形態だったからでしょうか、彼の日常を実に覆い隠さずストレートに表現した作品になっています。

1曲目からしてそのままズバリ「Gangstar」。「自分はギャングスターだ」と堂々と名乗る楽曲からスタートし、その後もまさに自分の身の回りをリアリティー持って描き出す歌詞が続いています。

特にかなりストレートだったのが「School Of Hard Knox」で、まさにANARCHYらしい下流社会からの叫びをそのままラップにしたような内容。

「格差を知らない恵まれたやつら
お前にこの痛みがわかってたまるか」

というあまりにもストレートなリリックが綴られてます。

そんなかなりハードな内容が続く強烈な内容なった本作。ただ一方、後半にはZEEBRAや漢などの実名を出しつつ、ラップへの愛情を綴る「Loyalty」や生まれ育った京都の街並みを、メロウで和風なトラックで綴る「Kyoto Chillin」など、優しさを感じる楽曲が続き実に魅力的。ハードコアというANARCHYのイメージとはまた異なった一面を感じさせます。

トラックにしても、強いビートのエレクトロナンバーから、ユーモラスな雰囲気の「Konnnichiwa Bitches」、さらに「Much Later」は全英語詞のラップということもあって、とてもファンキーな雰囲気が楽曲に漂うなど、どれもトラックだけでもカッコいい、バラエティーあるナンバーが並んでいました。

フリーというリリース形態だったからこそ、ANARCHYのやりたいことを思う存分に出来た、そんなアルバムだったように感じました。そんなアルバムの出来の良さゆえに評判も上々。なんと、このアルバムを配信したアメリカの最大手配信サイト、Datpiffではデイリー1位を獲得した上に、サーバーがパンクするなどという騒動も。まさにANARCHYの人気を海外にまで見せつけた結果となっています。

かなり強烈な内容のラップなだけに普段ラップを聴かないような方に無条件でお薦めできるようなタイプの作品ではありませんが、今の日本のHIP HOPシーンの勢いと実力がわかるような作品。興味がある方は是非。ダウンロードは↓のANARCHY公式サイトより。

ANARCHY公式サイト
http://anarchyjp.com/anarchy/pc.html

評価:★★★★★

Anarchy 過去の作品
Dream and Drama
Diggin' Anarchy


ほかに聴いたアルバム

ひとみみぼれ/秦基博

秦基博の最新作は、セルフセレクションアルバム。自身、思いいれのある曲や重要なポイントとなった曲を集めたアルバムだそうです。まさに秦基博らしい、良質なポップソングが集まったベスト盤的な内容の作品。ただ・・・比較的、しんみりと聴かせるナンバーが多く、以前リリースした、弾き語りでのベストアルバム「BEST OF GREEN MIND '09」に比べると、少々バラエティーに欠けていたような印象が。ちょっと薄味に感じてしまいました。

評価:★★★★

秦基博 過去の作品
コントラスト
ALRIGHT
BEST OF GREEN MIND '09
Documentary
Signed POP

Broken Bubbles/BBQ CHICKENS

Hi-STANDARDの横山健率いる4人組バンドの新作。前作「Crossover And Over」ではかなりメタリックな路線にシフトしたのですが、本作ではハードコア路線に戻ってきた感じのする作品。18曲ながらもわずか22分という短さは相変わらず。ここ最近、ハードコアバンドのブレイクが続いており、彼らももっともっと売れそうな感じが・・・。

評価:★★★★

BBQ CHICKENS 過去の作品
Crossover And Over

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2013年11月30日 (土)

原点回帰

Title:グッド・バイ
Musician:安藤裕子

安藤裕子、約1年半ぶりとなるニューアルバム。前作「勘違い」では、いままでの彼女の曲とは違った、挑戦的な曲が多く、新たな路線を感じさせる作品でした。それに続く新作。さて、どんな感じのアルバムになるのか、注目の作品でした。

その次の一歩として彼女がテーマとしたのは「原点回帰」。ある意味、ひとつ行きつくところまで行ってしまったので、あらためて彼女の原点に立ち返った作品、ということでしょうか。基本的にストレートで素直なポップソングが多く並んでいました。

ストリングスを取り入れて、のんびり伸びやかに聴かせる「ようこそここへ」からはじまり、軽快なピアノポップにちょっとかわいらしい歌詞が印象的な「ローリー」、さらにちょうど中盤に登場してこのアルバムの核になっているのが爽快なピアノロックナンバー「サイハテ」。メロは良くも悪くもちょっとベタな90年代J-POPな部分があり、それがインパクトとなっています。

後半は「いらいらいらい」「貘砂漠」などちょっと怪しげなナンバーが続き、映画「四十九日のレシピ」の主題歌にもなっている壮大な自然の風景を彷彿とさせる「Aloha 'Oe アロハオエ」が後半のインパクト。最後は和風なピアノバラードのタイトルナンバー「グッド・バイ」で締めくくります。

全体的にはそんな感じで「原点回帰」というテーマはあるのですが、楽曲的にはバラバラ。それが良い側面としては彼女の幅広い音楽性をあらわしているのですが、その反面、少々アルバムとしての焦点がぼやけている印象もあります。

その結果、1曲1曲としては安藤裕子の魅力を伝えた名曲ではあるはずなのですが、アルバム全体としてはインパクト不足。安藤裕子としての個性が逆に少々薄くなってしまったような印象も受けました。

彼女の初期のアルバムは、感想としては楽曲はいいのですが安藤裕子の個性が薄く、という印象を受けていました。今回のアルバム、もちろんそれから10年を経た作品なだけに、薄くなったとはいえ安藤裕子としての個性は十分感じられます。ただ、原点回帰の結果、初期のアルバムの問題点も回帰されちゃったかな、とも感じたアルバムでした。

評価:★★★★

安藤裕子 過去の作品
クロニクル
THE BEST '03~'09
JAPANESE POP
大人のまじめなカバーシリーズ
勘違い


ほかに聴いたアルバム

DNA/MONKEY MAJIK

楽天イーグルス日本一に沸く仙台を活動の拠点とするカナダ人と日本人による混合バンドMONKEY MAJIKの新作。その楽天イーグルスの日テレプラスでの野球中継でのイメージソング「Free to Fly」や、仙台は東北大学出身のSSW、小田和正とのコラボが話題の「A Christmas Song」も収録。英語詞も多く、垢抜けた印象も強いものの、無難にまとまっちゃっているなぁ、という印象はここ最近の彼らの作品と変わらず。結局は、メロディーのインパクトがいまひとつ薄いのかなぁ。

評価:★★★

MONKEY MAJIK 過去の作品
TIME
MONKEY MAJIK BEST~10years&Forever~
westview
SOMEWHERE OUT THERE

9/bird

2年ぶりとなるオリジナルアルバム。ソウル、ファンク、ブルース、さらには歌謡曲を織り交ぜたポップスは、まさに大人のポップスといった感じでとてもクオリティーの高いポップソングを聴かせてくれます。特に今回のアルバムに関しては前半のアルバムの出来が素晴らしかったです。・・・が、後半はちょっとだれてきてインパクトが一気に弱くなってしまった感が。いい意味で安心して聴けるアルバムだとは思いますが、もうちょっとで傑作だった惜しい感のある作品でした。

評価:★★★★

bird 過去の作品
BIRDSONG EP
MY LOVE
NEW BASIC

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2013年11月26日 (火)

シューゲイザー色がより強く

Title:ALARMS
Musician:Galileo Galilei

デビュー以来、売れ線傾向が強かったギターロックバンドとして、CMタイアップで一気にブレイクを果たした北海道出身の3人組ロックバンド。しかし前作「PORTAL」では、エレクトロやシューゲイザーの影響を強く受けたサウンドを取り入れ、一気にその様相を変えてきました。

その後、ミニアルバム1枚を経てリリースしたフルアルバムとしては約1年8ヶ月ぶりとなるニューアルバム。今回のアルバムも基本的には「PORTAL」の路線を引き継ぐものとなりました。ただ、それに加えて今回の作品はよりシューゲイザーの傾向が強くなったアルバムに感じます。

序盤から分厚いホワイトノイズを聴かせるギターサウンドと、甘いメロディーラインというシューゲイザーの王道とも言うべき楽曲が続きます。特にその傾向が顕著だったのは「Jonathan」あたりでしょうか。キラキラしたようなサウンドにキュートさを感じさせるような明るいポップスが聴いていてとても気持ちよさを感じさせます。

一方歌詞の世界も「ロンリーボーイ」「フラニーの沼で」のように孤独な心境を描いたような曲が多く、ここらへんもいかにも80年代から90年代のオルタナ系ギターロックバンドらしい立ち位置。いい意味で王道路線を貫いているように感じます。

ただ、そういう王道路線だけあって、「PORTAL」の時と同様に目新しさという観点からはやはり物足りなさも感じます。良くも悪くも90年代以降、日本にもよくありがちだったタイプのギターロックバンドという枠組みは残念ながら今回も出ていませんでした。

しかしその一方でシューゲイザー路線をより強調した結果、個人的な好みの問題もあるのですが、「よくありがち」という感触よりも「サウンドの心地よさ」が上回ったように思います。そういう点があり、今回のアルバムは十分楽しんで最後まで聴くことができました。ただ、やはり次の作品はよりGalileo Galileiらしさを出した作品を期待したいところなのですが・・・。

評価:★★★★★

Galileo Galilei 過去の作品
パレード
PORTAL
Baby,It's Cold Outside


ほかに聴いたアルバム

スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"/スキマスイッチ

最近、ツアーのたびにライブ盤をリリースしているスキマスイッチ。確かに彼らのライブは楽しいのですが、基本的にそこまで「ライブが売り」といった感じはしないのですが・・・。いじわるな見方をするとお小遣い稼ぎかなぁ。ただ今回のアルバムは2人だけの演奏によりリアレンジした企画盤「DOUBLES BEST」リリースに伴うツアーで、2人だけでまわったツアーとか。基本、ピアノとギターのみの演奏となっていて、記録的な意味合いも強いライブ盤かと。

評価:★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~

終わらないミラクルの予感アルバム/サンボマスター

サンボマスターの新作は、うーん、良くも悪くもいつものサンボマスター。パンキッシュなサウンドに熱いシャウト。サンボマスターらしいスタイルの曲が並んでいます。ただその反面、今回のアルバムで目立ったのは打ち込みの楽曲。「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」のヒット後、いまひとつ伸び悩んでいる感のある彼らでしたが、どこかそんな現状から抜け出そうとしている印象を受けたアルバムでした。

評価:★★★★

サンボマスター 過去の作品
音楽の子供はみな歌う
きみのためにつよくなりたい
サンボマスター究極ベスト
ロックンロール イズ ノット デッド

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