アルバムレビュー(洋楽)2013年

2013年12月29日 (日)

44年ぶり

Title:Sweet Summer Sun-Hyde Park Live
Musician:THE ROLLING STONES

すいません、このライブ盤の感想の前にひとこと。2割冗談、8割本気です。

なんでストーンズの来日公演、東京のみでかつ平日オンリーなんですか(怒)。

この間のポール・マッカートニーの来日公演も平日オンリーだったし、そうやってチケットの売上を調整しているのかもしれませんが、もうちょっと地方の人のことを考えてほしいなぁ。一方では「最後の来日かも」って煽っておきながらあんまりです。

さて、そのTHE ROLLING STONESが今年7月6日と13日にロンドンのハイド・パークで44年ぶりに行ったライブの模様を収録したDVD+CD。彼らにとってハイド・パークのライブは大きな意味があって、44年前、1969年7月5日にハイド・パークでフリーライブを行ったのですが、その直前の7月3日に、グループを脱退したばかりのオリジナルメンバー、ブライアン・ジョーンズが急逝し、急遽彼の追悼ライブになったという、彼らにとって曰くつきの会場だったりします。

今回のこのDVDでは、ライブ映像の間にドキュメンタリー映像も挟まったりして、69年のライブとリンクしたような構成となっています。ただ、ドキュメンタリー映像はあくまでもおまけ的な要素で、メインはあくまでも2013年のライブ映像。ライブ自体も基本的に69年とリンクさせるような部分は少なく、過去に関係なく、今のストーンズのライブを楽しめる映像になっています。

そしてそのライブ、メンバー全員、齢70歳になろうというにも関わらず、現役感バリバリ。全盛期に迫ろうかというほどの勢いあるステージを見せてくれており、その年齢を感じさせません。特にそのキーとなるのがミック・ジャガー。彼のボーカルはいまなお艶があっていろっぽく、パフォーマンスもキレキレ。70歳のおじいちゃん(先日、ひ孫が誕生したとか!)とはとても思えません。「Happy」を歌うキースのボーカルが年齢なりなのと比べると、その若々しさは顕著でした。(もっとも、キースの年齢なりのボーカルも、「YOU GOT THE SILVER」のようなブルースナンバーではむしろピッタリ来るのですが)

もっとも、キースやチャーリー、ロニーの演奏も全くその年齢を感じさせません。もともと、ヘヴィーな音楽を体力重視で鳴らすようなバンドや、テクニック重視のバンドではないからこそ、この年齢になってもこれだけの演奏が出来るのでしょうが、その点を差し引いても、彼らのこの若さ、現役感は驚くべき限りです。

最初、正直このライブDVDは、70歳近いおじいちゃんバンドの演奏だし、どうしよう・・・・と思っていたのですが、実際に映像を見てみて、70年代あたりの演奏と大差ないクオリティーのステージにビックリしました。本当に、とんでもないバンドだなぁ。それだけに来日公演を・・・(苦笑)。

また、このライブ映像の構成自体も実に秀逸。ちょっと引きの映像でステージ全体や会場全体を映している映像や、観客の楽しんでいる顔の映像も多用しており、会場のハッピーな雰囲気が伝わってくる映像になっています。そういう意味でも素晴らしいライブDVDでした。

この歳にして、このライブの内容、ストーンズすごい!の一言。また、その雰囲気をちゃんと収録したこのDVDも見事な内容でした。それだけに、もっと多くの人が来日公演を楽しむ機会をつくってほしいのに・・・・・・。

評価:★★★★★

The Rolling Stones 過去の作品
Shine a Light: Original Soundtrack
Some Girls LIVE IN TEXAS '78
CHECKERBOAD LOUNGE LIVE CHICAGO 1981(邦題 ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981)
(MUDDY WATERS&THE ROLLING STONES
GRRR!
HYDE PARK LIVE

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2013年12月24日 (火)

荒々しいトラックが強烈

Title:MATANGI
Musician:M.I.A.

デビュー作「ARULAR」は父親のニックネーム、2枚目「KALA」は母親の名前、3枚目「MAYA」は本人のニックネームと来て、3年ぶりとなる新作では彼女自身の本名をタイトルとした作品をリリースしてきました。

前作では、楽曲のバリエーションが増え、グッとポップになった作品をリリースしてきました。結果、アメリカのビルボードチャートでは初のベスト10入りを記録するなどヒットを記録し、一躍その名前を広めた反面、その内容については賛否を巻き起こしました。

今回のアルバムは、その前作に比べるとトラックもグッとシンプルになり、M.I.A.らしい作品に戻った感じのアルバムでした。特に前半は強烈で荒々しいビートに、彼女の鋭いラップが載るスタイルが聴いていてインパクト大。特にトラックの荒々しさはインドかアフリカあたりの現地で売られているようなカセットテープから流れてきそうな音にも感じられるほど。まさに最前線で戦う戦士といったイメージの、荒々しさを感じました。

そんな強烈なトラックの続く前半は、その内容に強く惹きこまれる内容になっていました。その後中盤は、The Weekndを迎えた「Exodus」のようなR&B色の強いナンバーや「Bad Girls」のようなポップ色も強い作品が並び、ここらへんはバラエティーに富んだ構成に感じました。

ただ正直なところ後半に関しては、前半のような強烈なビートも薄めで、ポピュラリティーも下がってしまいちょっと失速気味に。特に前半が強烈なインパクトを持っていただけに、後半の失速がちょっと目立ってしまった感じも。全15曲入り1時間弱の内容は決して長くはないのですが、もうちょっと絞ったほうがよかったのかも?その点、ちょっと惜しくも感じたアルバムでした。

とはいえ全体的にはM.I.A.らしさを強く感じたアルバム。賛否両論だった前作をちょっと気に入らなかった方でも本作は気に入るかも。で、次のアルバムタイトルは??

評価:★★★★

M.I.A. 過去の作品
KALA
MAYA

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2013年12月23日 (月)

あの傑作アルバムの続編

Title:THE MARSHALL MATHERS LP 2
Musician:EMINEM

HIP HOPをわかりやすい視点で解釈した「入門書」として話題を集めた「文科系のためのヒップホップ入門」。当サイトでも紹介したのですが、この本の中で作者はヒップホップとは、ラッパーのキャラクター性、ラッパー同士の喧嘩などを含めた「場」、バックステージを含めた「物語」を楽しむものだ、ということを述べています。

その話を聴いた時、最初に思い出したのはEMINEMでした。彼はまさにその「場」をわかりやすい形でエンターテイメントに仕上げています。スリム・シェイディというキャラクターを作り上げ、そのキャラクター性を際立たせ、身内のラッパーだけではなく、様々な芸能人をおちょくり、喧嘩をふっかけることにより、HIP HOPの「ディス」の要素をわかりやすく表現しています。

そう考えるとEMINEMがあれだけ人気を獲得できたのは、HIP HOPを楽しむためのポイントをHIP HOPを聴かないようなリスナー層にもわかりやすい形で提示したからではないか、と思います。特に2000年にリリースし大ブレイクし、日本でもEMINEMの名前が一躍有名となった「THE MARSHALL MATHERS LP」ではそんなHIP HOPの楽しさが凝縮したアルバムでした。さらにもっといえば、例えば「STAN」のようにDidoの曲をわかりやすく楽曲に取り込み、「サンプリング」という手法をわかりやすい形で提示しています。

今回のアルバムは、タイトル通り傑作アルバム「THE MARSHALL MATHERS LP」の続編としてリリースされたアルバム。HIP HOPという音楽をどのように楽しむか、というポイントはこのアルバムでもわかりやすい形で提示されています。「BAD GUY」では、「THE MARSHALL MATHERS LP」の続編ということを堂々と提示し、あのスタンも登場。こういう前作から続くという物語性もまた、HIP HOPを楽しむポイント、ということでしょう。

「HEADLIGHTS」では、かつて彼のディスの対象となったEMINEM自身の母親がここに登場。さらに「EVIL TWIN」では、あのLADY GAGAも登場し、まさにEMINEMを巡る「場」を楽しませてくれます。さらにサンプリングという手法では、「RHYME OR REASON」で、The Zombiesの有名な「Time Of The Season」をわかりやすい形でサンプリングしており、サンプリングとはどういう手法なのか誰が聴いてもわかるのではないでしょうか。

また、そういう観点を除いても、ハードロックなトラックが心地よく、ロックリスナーも楽しめそうな「BERZERK」や、RIHANNAをフューチャーしポップ色が強い「THE MONSTER」など、HIP HOPリスナー以外にも幅広くアピールできそうなナンバーが並びますし、他にもEMINEMが力強く歌を聴かせてくれる、歌モノの「STRONGER THAN I WAS」のようなユニークな作品もあり、全80分近いボリュームのアルバムながら最後まで飽きさせません。

正直、「THE MARSHALL MATHERS LP」の続編という建て付けのため、目新しい挑戦はほとんどなく、いろんな意味でまさに「EMINEMらしい」作品になっている本作。そういう意味ではちょっと保守的かもしれませんが、ファンにとっては期待通りの作品であり満足度は高いのではないでしょうか。このアルバムを足がかりにあらたな一歩へ進みそうな予感のする作品。そういう意味ではこの次の作品、要注目かも。

評価:★★★★★

EMINEM 過去の作品
RELAPSE
RECOVERY

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2013年12月21日 (土)

早くも2作目!

Title:SHANGRI LA
Musician:JAKE BUGG

デビューアルバムが話題となったイギリスのシンガーソングライターJAKE BUGGの2枚目。あれ?デビューアルバムをリリースしたの、この間じゃない?早いなぁ・・・。と思ったのですが、それは国内盤の話で本国でのリリースからは1年経っているみたいですね。でも、洋楽としては1年のインターバルでのリリースはやはり早いなぁ。

(前にも同じことを書いたかもしれませんが)絶賛の元にデビューしたミュージシャンについて個人的に1作目より2作目の方が好みというケースが少なくなく、THE STROKESもARCTIC MONKEYSも評判の高かったデビューアルバムよりも2作目の方が好みだったりします。RADIOHEADも2作目「THE BENDS」が一番好きなアルバムですし、oasisも・・・これは言うまでもないか。

それは勢いのある曲がつまってミュージシャンの自己主張が激しい1作目よりも、ちょっと落ち着いてリスナーの側を考慮する余裕の出来た2作目の方が、いい意味でこなれた作品が出来上がることが多いから、のように思います。で、デビューアルバムが大きな話題となったJAKE BUGGの2作目。確かに勢いが先行した1作目と比べると、かなりこなれた印象を受けました。

デビューアルバムは前半、勢いのある曲が並び一気に惹きこまれた反面、後半は少々失速気味でした。しかし今回のアルバムに関しては印象が一変。前半に勢いのある曲が並ぶものの、中盤から後半にかけてもミディアムテンポのナンバーとアップテンポなナンバーがほどよいバランスで並んでいて、聴く側を飽きさせません。

また、楽曲についてもフォーク寄りの作品が多かった前作に比べると、グッとロック志向が強くなった印象が。「SLUMVILLE SUNRISE」「WHAT DOESN'T KILL YOU」のようなヘヴィーなバンドサウンドを押し出した曲が前半に並んでおり、その印象を強めています。中盤も、「ALL YOUR REASONS」のようなミディアムテンポのナンバーはいかにもUKロックといった雰囲気に。一方では「ME AND YOU」のようなフォーキーなナンバーも間に挟まっており、ここらへんもロックを主軸にフォークやカントリーの曲もほどよく配置されており、バランス感覚の良さを感じます。

そんな感じでデビューアルバムに比べてグッと聴きやすさが増した2作目。ただその一方でアルバム全体のインパクトとしてはちょっと薄味だったかも、とも思いました。前作の荒っぽさは消えて全体的に洗練された印象もあり、それがプラスでもありマイナスにもなっていたようにも感じます。

2作目の方が好みの場合が多い、なんていっていながらこういう結論になるのは申し訳ないのですが、JAKE BUGGのアルバムに関しては1枚目の方がよかったかなぁ。とはいえ、今回のアルバムも十分傑作だったと思います。ただ、このまま3枚目に進むと、そろそろ「マンネリ」という印象も首を持ち上げてくるかも。そういう意味では次のアルバム、要注目かもしれません。

評価:★★★★★

JAKE BUGG 過去の作品
JAKE BUGG


ほかに聴いたアルバム

COVERS(邦題:カヴァーズ~私のお気に入り)/NORAH JONES

ノラ・ジョーンズに影響を与えた、邦題どおり「お気に入り」のナンバーをカバーしたカバーアルバム。エヴァリー・ブラザーズやジョニー・キャッシュみたいなオールドナンバーが多く、なんとなくノラ・ジョーンズらしさを感じさせる選曲。一方ではウィルコのようなオルタナティヴなミュージシャンも選曲されている点も彼女らしいところ。

ちなみにこのアルバムに収録された「My Blue Heaven」は、以前紹介した、日本の戦前の人気ジャズシンガー二村定一も原曲を「青空」としてカバーしていて、アメリカのスタンダードナンバーと、日本の戦前のヒット曲が意外なつながりをみせていておもしろいところ。機会があれば、両者聴きくらべてみてください。

楽曲はどれもノラが感情込めてしんみり、そしてゆっくりと歌い上げており、まさに心に染み入るナンバーばかり。ただ、彼女が歌うことにより、しっかりとノラ・ジョーンズの楽曲に仕上げています。間違いなくノラ・ジョーンズのアルバム。オリジナルが気に入って、このアルバムが未聴なら急いで聴くべし。

評価:★★★★★

NORAH JONES 過去の作品
THE FALL

...FEATURING NORAH JONES(ノラ・ジョーンズの自由時間)
LITTLE BROKEN HEARTS

Music From Another Dimension!/AEROSMITH

純然たるオリジナルアルバムとしては、11年ぶりとなるエアロスミスの新作。楽曲は全体的に軽くポップ。ハードロック色は薄めで、むしろオルタナな方向性すら感じる作品。そういう意味では聴きやすいものの、ハードな側面を求めるファンにとってはちょっと物足りない作品だったかも。実際、Amazonのレビューなどでも評判は悪い模様。ただ個人的には、ハードロック志向ではないためかもしれませんが、言われるほど悪いアルバムではないと思うのですが・・・。

評価:★★★★

AEROSMITH 過去の作品
Devil's Got A New Disguise(エアロスミス濃縮極極ベスト)

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2013年12月15日 (日)

驚愕のライヴ!

Title:LIVE AT THE AVANT GARDE
(邦題 驚愕の発掘ライヴ1968~ライヴ・アット・アヴァン・ギャルド)

Musician:MAGIC SAM

またも出ました、MAGIC SAMの未発表ライブ盤!今年8月に、廃盤になっていたライヴ音源をリイシューして話題となったばかりですが、今回の音源は未発表音源。1968年6月22日に、ミルウォーキーのコーヒーハウス「アヴァン・ギャルド」で行われたステージを、当時18歳のジェイムズ・シャーンが自ら機材を持ち込んで録音したそうです。

前にも紹介しましたが、一応再度ご説明させていただくと、MAGIC SAMは1969年に、わずか32歳の若さで亡くなったブルースギタリスト。今後の活躍を嘱望されながら、生前にわずかな音源を残してこの世を去ったミュージシャンなだけに、この手の音源を待ち望まれているのでしょう。

今回のアルバム、メディア等での事前の評判はかなり良く、まあ、もちろん宣伝文句なので話半分で聞いていたのですが、それでもかなり期待してこのアルバムを聴いてみました。

で。まじでカッコいいです、このアルバム!ここでいままで3枚のライヴ盤を紹介してきましたが、その中でベストの内容だったのではないでしょうか。まずとにかく音がいい。いままで未発表だったというのが信じられないくらいのクリアな音で、ライブの雰囲気や、バンドの力強い演奏、そしてすぐそこで歌っているようなMAGIC SAMの歌声もたまりません!

また、この日はベースのビッグ・モジョ・エレム、ドラムスのボブ・リッチーを率いての3人のみでの演奏だったようですが、この3人の息もピッタリ。MAGIC SAMのギターの音も、非常にエッジが利いていますし、アップテンポな曲では3人が対峙するような緊迫感ある演奏が、スローテンポの曲では3つの音がからみあうグルーヴィーな演奏が、実に魅力的でした。

特に「FEELIN' GOOD」の3人の息もつかせぬ演奏は、聴いていてもドキドキするような演奏。「I NEED YOU SO BAD」「SAN-HO-ZAY」のゴリゴリのギターのプレイもたまりません。そんなブルージーな演奏の合間に入っているサム・クックのカバー「THAT'S ALL I NEED」も絶品。軽快でポップなカバーがサムの音楽の幅の広さを感じます。

多分、ブルースが好きなら、一度このアルバムを聴きはじめると、最後まで止まらなくなっちゃうんじゃないかなぁ。それだけ魅力的なステージでした。また、彼の代表曲はもちろん、「HOOCHIE COOCHIE MAN」やOTIS RUSHの「ALL YOUR LOVE」をはじめ、ブルースの名曲も数多くカバーとして演奏しており、そういう意味でもブルースの入門盤としてもお薦めできそうなアルバム。まさに邦題の通りの驚愕のライヴでした。

評価:★★★★★

MAGIC SAM 過去の作品
LIVE 1969 RAW BLUES!
LIVE AT SYLVIO'S

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2013年12月10日 (火)

話題のシンガーの新作

Title:ARTPOP
Musician:LADY GAGA

おそらく今、お茶の間レベルという意味ではもっともホットなミュージシャンの一人、LADY GAGA。日本で海外のミュージシャンが話題になることが、最近ではすっかり少なくなってしまった中、日本でもお茶の間レベルまで名前を知れた、最近では数少ないミュージシャンでしょう。そんな彼女の2年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

LADY GAGAと言えば、やはり話題になるのはその奇抜なアートワーク。前作「Born This Way」では、彼女自身がバイクになる、という非常に奇抜なジャケット写真が目をひきました。今回のアルバムでは上の写真の通り「ARTPOP」というタイトルから類推されるような、昔の芸術作品をコラージュのように配し、彼女自身の姿もまるで芸術作品のように形どっています。今回もかなり奇抜なジャケットが目を惹く作品になっています。

ただ一方で楽曲自身についてはかなりシンプル。今回のアルバムでも今風なEDM路線を主軸にしつつ、ポップでメロディアスな楽曲を聴かせてくれます。楽曲にはアートワークのような奇抜さはほとんどなく、むしろ優等生的。もっともこの「ファッションは奇抜だけど楽曲はわかりやすいポップ」というバランスが、世界的な人気の理由なのかもしれませんが。

そんな訳で、楽曲についてはいままでのLADY GAGAが好きなら普通に気に入りそうな作品になっていました。もっとも悪くはないのですが、いつも通りという感想が長い目で見ては必ずしもプラスではないような気もします。まあ、下手にあらたな作風に挑戦してグダグダになるよりはいいとは思うのですが・・・。

実際、このアルバムのセールス、アメリカはもとより、イギリスやここ日本でもチャート1位を獲得するなど、相変わらずな高い人気を見せつけた一方で、アメリカでも日本でも販売初週の売上が前作を大きく下回るなど、明確にピークを超えた売上動向になってしまっています。ファッションが奇抜だったからこそ、逆に飽きられるのも早かったのでは、そんな心配もよぎってしまいます。

それだけに次は楽曲で新たなGAGA像に挑戦、という期待もないではないのですが・・・ただ、急に新たな作風にしないまでも、そろそろ少しづつでも曲調を変えていかないと、楽曲自体も急速に飽きられてしまうかも。このアルバム自体、決して悪いアルバムではないのですが、そんな不安もよぎってしまう作品でした。

評価:★★★★

LADY GAGA 過去の作品
The Fame
BORN THIS WAY

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2013年12月 9日 (月)

早すぎた名盤

Title:Inspiration Information/Wings Of Love
Musician:Shuggie Otis

「ゴッドファーザー・オブ・リズム&ブルース」と呼ばれ、リズム&ブルースはもとより黒人音楽の歴史に大きな足跡を残したジョニー・オーティス。今回紹介するアルバムのミュージシャンはその息子、シュギー・オーティス。かつて「天才ギタリスト」と呼ばれ、15歳の時にはかのアル・クーパーのアルバムに参加。さらにはミック・テイラーの後釜としてローリング・ストーンズへの参加を誘われるものの、ソロとしての活動を優先したいために断ったという伝説も残るミュージシャンだったりします。

しかし70年代後半、自身の体調の悪化もありシーンから姿を消します。その後も知る人ぞ知る的なミュージシャンとして絶大な支持を得て、プリンスやレニー・クラビッツなど彼をリスペクトするミュージシャンは未だに多いとか。そんな彼らがなんと昨年、活動を再開。今年には来日公演も実施するなど大きな話題となりました。

そんな彼が1974年にリリースしたのがアルバム「Inspiration Information」。今回、そのアルバムに、未発表曲集である「Wings Of Love」とつけて2枚組アルバムとして再発となりました。

まず「Inspiration Information」。彼を取り巻く評判に違わない、隠れた名盤ともいうべき作品でした。

楽曲の雰囲気としてはかなりシンプルで静か。メロウな雰囲気のサウンドに、ゆっくりと奏でられるギターのリズム。しかし、そのギターはしっかりとファンキーなリズムを刻んでいて、独特なグルーヴィーサウンドを楽曲に与えています。

楽曲に流れるのは一見、サラリとした雰囲気の空気感。しかし、しっかりと聴き出すと徐々に耳にねっとりと絡みつくようなギターの音に気がつきます。そのギターが実に魅力的。70年代前半の作品としては全く古さを感じず、むしろそのサウンドのシンプルさから、今風にすら感じられるかも。そういう意味でも、早すぎたアルバムと言えるかもしれません。

ただ、楽曲は全体的にインパクトが薄く、ある意味かなり地味。特に中盤から後半にかけて並んでいるインストの楽曲が並んでいて、その地味さに拍車がかかっています(笑)。まあ、そういう意味でも名盤は名盤だけど一方では隠れていた理由もわかっちゃうアルバム(笑)。レア・グルーヴ、そんな表現がまさにピッタリ来ます。

しかし、未発表音源集の「Wings Of Love」は「Inspiration Information」と大きく異なりちょっとビックリするのではないでしょうか。絶妙なサウンドとリズムで、聴けば聴くほどはまりそうな「Inspiration Information」と比べて、70年代後半以降の未発表曲を集めた「Wings Of Love」は一言で言うと大味。例えれば、「Inspiration Information」は味を極めた深い出汁の味が楽しめる料理だとすると、「Wings Of Love」はベチャっとしたマヨネーズで味付けしたような料理といった感じでしょうか。個人的にマヨネーズは好きですが(^^;;

楽曲のタイプもロックやフュージョンなどの要素がグッと増え、ソウルやファンクの要素は薄め。80年代テイストのサウンドも感じられ、良くも悪くも時代い寄り添いすぎで、ベタな雰囲気。この2枚のアルバムを聴かせて、どちらがより最近のアルバムか、と聴かれれば「Inspiration Information」を選びそう・・・そんな印象すら受けたアルバムでした。

そういうこともあり、正直、未発表音源集はちょっと蛇足だったかも、とも思ったアルバム。もっとも「Inspiration Information」は名盤なだけに、これを聴くだけでも十分お薦めできるアルバムなのですが・・・。ここ最近、活動を再開したシュギー。2013年の現在、久々のニューアルバム発売なるか?また発売されたらどんな音になるのか??

評価:★★★★

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2013年12月 8日 (日)

強烈なビートのHIP HOPユニット

Title:Govermment Plates
Musician:Death Grips

Governmentplatescover

昨日、ANARCHYのフリーダウンロードアルバムを紹介しましたが、本日紹介するのもフリーダウンロードで発表されたアルバムです。

Death Gripsがニュー・アルバム『Government Plates』を公開
http://www.iloud.jp/hotnews/death_gripsgovernment_plates.php

今回、フリーダウンロードでアルバムをリリースしたのはアメリカのDeath GripsというHIP HOPユニット。日本では残念ながらあまり知名度は高くないようですが、アメリカやイギリスでは高い評価を得ているユニットです。彼らの音楽は実に刺激的で攻撃的。音楽のジャンルは「オルタナティヴ・ヒップホップ」や「インダストリアル・ヒップホップ」「エクスペリメンタル・ヒップホップ」と言われているそうです。

特徴的なのはノイジーでヘヴィーなサウンドと、力強くパンキッシュなドラムのサウンド。そこにラップが載るのですが、楽曲のメインとなっているのはむしろサウンドの方。サウンドはハードコアやパンクの要素が強く、イメージ的にはHIP HOPのユニットというよりもインダストリアルのイメージの方が強いかも。

特にエレクトロサウンドに強烈なビートの「Feels like a wheel」「This is Violence Now(Dont get me wrong)」あたりはかなりライブでも盛り上がりそう。「Big House」あたりは、ビート的にはちょっと軽いのですが、アップテンポでスペーシーなサウンドが心地よく、こちらもライブ映えしそう。ガツンとくる攻撃的なサウンドが強烈なインパクトがあります。

ただ一方では決してヘヴィーなリズムとアップテンポなサウンドで観客を盛り上げる、というだけではなく、1曲1曲微妙に雰囲気を異なる曲が並んでいます。特に後半、「Govemment Plates」「Bootleg(Don't need your help)」あたりはエレクトロニカ風の実験的な雰囲気を感じる曲が並んでいますし、どの曲も凝ったサウンドメイキングが耳を惹く曲ばかり。ライブなどで強烈なビートで盛り上がりそうなサウンドと、挑戦的なサウンドのバランスが楽曲の中、絶妙にマッチングしているように感じました。

ちなみにこの前作「No Love Deep Web」では、リリース時期を巡りレコード会社のエピックレコードと対立。レコード会社が止めるのも聴かず、フリーダウンロードでリリースしたところ、レコード会社との契約を切られた、なんていうパンクなエピソードも持つ彼ら。その活動方針も、楽曲と同じく刺激的で攻撃的なのがおもしろいところです。

今年はフジロックにも出演しており、日本での知名度も徐々にあがってくるのでしょうか。最初、彼らの名前は全く知らず、フリーダウンロードなのでせっかくなので・・・という程度の感覚で聴き始めましたが、そのサウンドに一気にはまってしまいました。これを機に、みなさんも是非!日本でも人気が加速する日も近いかもしれません。

評価:★★★★★

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2013年12月 6日 (金)

ビートルズの往年のライブ盤

Title:On Air~Live At The BBC Volume2
Musician:The Beatles

ここ最近、毎年のようにビートルズがらみの「何か」がリリースされています。そのたびにそれなりのセールスを記録して変わらないビートルズ人気を感じさせるのですが、今回発売されたのは、1994年にリリースされた「Live At The BBC」の第2弾。60年代前半に、イギリスのBBCラジオで演奏したライブ音源をまとめたアルバムだそうです。

正直、ビートルズに関してとやかく言いたくても、世間にはこれでもかというほどのビートルズマニアがうようよしていて、ビートルズは好きだけど「マニア」というほどではない私くらいがゴタゴタ言っていても説得力がない気がします。そんな訳で、あまり気のきいたような感想は言えないのですが・・・(^^;;

演奏については60年代前半、まだまだ若々しかった頃の彼らの演奏なだけに、若手バンド特有の勢いを感じます。雑誌やらレビューサイトやらからの受け売りですが、「Volume 2」の選曲は彼らのルーツを探るようなカバーが多かったような第1弾に比べて彼らの代表曲も多く、オリジナルとの聴き比べを楽しめるような選曲になっている・・・ということです。音的には何曲かあきらかに音がこもっているような音の悪い楽曲もあったものの、概ね音は気にならず楽しめる内容になっていました。

ただし、アルバム全体としては「マニア向け」とまではいかないまでも「ファンズアイテム」といったアルバムだと思います。一番の要因は曲の間にはさまるトーク。このトークの量が第1弾から多く増えています。

トークが間に挟まることにより、まるでラジオのような感覚で聴けるのかもしれませんが、日本人にとってはやはり英語が聞き取れないだけにファンではないと楽しめないかも。もちろん国内盤にはこのトークを含めた全訳がついているのですが、微妙なニュアンスなどはやはりネイティヴにしかわからない感じが。

またボーナストラックとしてメンバー4人のインタビューがついていて、こちらももちろん貴重なのですが、やはり全訳片手ではないと楽しめず、熱心なファン以外はちょっと厳しいものがあるかも。ビートルズという名前と収録されている代表曲につられてベスト盤感覚で買うにはちょっと辛いアルバムで、そういう意味で「ファンズアイテム」としての要素の強いアルバムでした。

一方インタビュー含めて貴重な音源や瑞々しさすら感じられるライブ演奏を楽しめるという点では言うまでもないのですが、ファンなら満足できそうなアルバムだと思います。しかし、手を変え品を変え、次々とビートルズからみのリリースが続きますね。次は一体・・・?

評価:★★★★

The Beatles 過去の作品
LOVE

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2013年11月29日 (金)

エクスペリエンス成熟期のライブ

Title:MIAMI POP FESTIVAL
Musician:THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE

彼の音源の販売権がソニーに移ってから、JIMI HENDRIXがらみの音源のリリースが続いていますが、またリリースされました、今回はライブアルバム。1968年5月18日にアメリカはマイアミ北部、ガルフストリーム・パークで行われたマイアミ・ポップ・フェスティバルの模様を収録したライブ音源だそうです。

1968年5月という時期はアルバム「Electric Ladyland」を制作している時期で、CDに書かれている文章をつかえば、ちょうど成熟期にあった頃。翌年にはエクスペリエンスは解散になってしまうので、いわば少しずつ崩壊に差し掛かった時なのでしょうか?

この日のライブは昼夜2回公演という、演歌かアイドルの公演みたいなスタイルだったみたいで、そのためこのアルバムも全11曲入りなのですが、うち2曲は昼公演の模様も別に収録されています。ライナーツノートによると1回の公演で演奏された曲は6曲程度だったそうで、そういう意味でも今回のライブ音源は、その時のライブのほぼ全容ということになるのでしょうか。

ジミの活動がまさに全盛期とも言えることのライブだっただけに、その内容については文句のつけようがありません。また、音質にしても至ってクリア。かなり状態のよい音源で観客の歓声などもふくめて臨場感も十分。いままでブートレグとしては出回っていた音源だそうですが、これほどよいライブ音源が今頃発掘されたというのは驚きを感じます。

また今回のライブ音源は、ジミのギターはもちろんのこと、ミッチ・ミッチェルのドラムの音が少々強めのミックスになっています。そのため、ギターとドラムスの絡みにインパクトがあり、またその一種のせめぎ合いに緊張感を感じました。もちろん、ジミのギターあってのことはもちろんなのですが、バンドの演奏としてもダイナミズムを覚えるステージになっていました。

そんな訳で、その最高のパフォーマンスを楽しめたアルバムでした。しかし、昔から様々な形で編集盤や未発表音源集がリリースされてきた彼だから、今後もこういう新規のリリースが続きそうですね。よくも悪くも・・・。

評価:★★★★★

Jimi Hendrix 過去の作品
VALLEYS OF NEPTUNE
People,Hell And Angels


ほかに聴いたアルバム

Psychedelic Pill/Neil Young&Crazy Horse

カナダ出身のSSWが、自身のバンド、クレイジー・ホースを率いてリリースした新作。ノイジーなギターサウンドに、哀愁あふれるメロディーが心に残るサウンド。泥臭さを感じさせるその雰囲気は、良い意味で、実にニールヤング&クレイジー・ホースらしいなぁ、ということを感じさせてくれます。これぞ親父のロック!といった感じ、かな。

評価:★★★★

Niel Young 過去の作品
Fork In The Road

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