日本流ギャングスター
Title:DGKA(DIRTY GHETTO KING ANARCHY)
Musician:ANARCHY
ANARCHYの新譜が大きな話題となっています。というのも、このアルバム、リリース形態がフリーダウンロードという形だったため。それも、純然たるオリジナルの新曲。確かにここ最近、フリーでアルバムをリリースするミュージシャンは増えていますし、海外ではミックステープとして有名どころも新曲をフリーダウンロードでリリースするミュージシャンが増えています。ただ日本では、まだANARCHYクラスの知名度があるミュージシャンがフリーでアルバムをリリースすることは珍しく、そういう意味でも大きな話題となりました。
そんなANARCHYの新曲はやはりフリーという形態だったからでしょうか、彼の日常を実に覆い隠さずストレートに表現した作品になっています。
1曲目からしてそのままズバリ「Gangstar」。「自分はギャングスターだ」と堂々と名乗る楽曲からスタートし、その後もまさに自分の身の回りをリアリティー持って描き出す歌詞が続いています。
特にかなりストレートだったのが「School Of Hard Knox」で、まさにANARCHYらしい下流社会からの叫びをそのままラップにしたような内容。
「格差を知らない恵まれたやつら
お前にこの痛みがわかってたまるか」
というあまりにもストレートなリリックが綴られてます。
そんなかなりハードな内容が続く強烈な内容なった本作。ただ一方、後半にはZEEBRAや漢などの実名を出しつつ、ラップへの愛情を綴る「Loyalty」や生まれ育った京都の街並みを、メロウで和風なトラックで綴る「Kyoto Chillin」など、優しさを感じる楽曲が続き実に魅力的。ハードコアというANARCHYのイメージとはまた異なった一面を感じさせます。
トラックにしても、強いビートのエレクトロナンバーから、ユーモラスな雰囲気の「Konnnichiwa Bitches」、さらに「Much Later」は全英語詞のラップということもあって、とてもファンキーな雰囲気が楽曲に漂うなど、どれもトラックだけでもカッコいい、バラエティーあるナンバーが並んでいました。
フリーというリリース形態だったからこそ、ANARCHYのやりたいことを思う存分に出来た、そんなアルバムだったように感じました。そんなアルバムの出来の良さゆえに評判も上々。なんと、このアルバムを配信したアメリカの最大手配信サイト、Datpiffではデイリー1位を獲得した上に、サーバーがパンクするなどという騒動も。まさにANARCHYの人気を海外にまで見せつけた結果となっています。
かなり強烈な内容のラップなだけに普段ラップを聴かないような方に無条件でお薦めできるようなタイプの作品ではありませんが、今の日本のHIP HOPシーンの勢いと実力がわかるような作品。興味がある方は是非。ダウンロードは↓のANARCHY公式サイトより。
ANARCHY公式サイト
http://anarchyjp.com/anarchy/pc.html
評価:★★★★★
Anarchy 過去の作品
Dream and Drama
Diggin' Anarchy
ほかに聴いたアルバム
ひとみみぼれ/秦基博
秦基博の最新作は、セルフセレクションアルバム。自身、思いいれのある曲や重要なポイントとなった曲を集めたアルバムだそうです。まさに秦基博らしい、良質なポップソングが集まったベスト盤的な内容の作品。ただ・・・比較的、しんみりと聴かせるナンバーが多く、以前リリースした、弾き語りでのベストアルバム「BEST OF GREEN MIND '09」に比べると、少々バラエティーに欠けていたような印象が。ちょっと薄味に感じてしまいました。
評価:★★★★
秦基博 過去の作品
コントラスト
ALRIGHT
BEST OF GREEN MIND '09
Documentary
Signed POP
Broken Bubbles/BBQ CHICKENS
Hi-STANDARDの横山健率いる4人組バンドの新作。前作「Crossover And Over」ではかなりメタリックな路線にシフトしたのですが、本作ではハードコア路線に戻ってきた感じのする作品。18曲ながらもわずか22分という短さは相変わらず。ここ最近、ハードコアバンドのブレイクが続いており、彼らももっともっと売れそうな感じが・・・。
評価:★★★★
BBQ CHICKENS 過去の作品
Crossover And Over
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