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2013年12月20日 (金)

脱EDM

Title:CAPS LOCK
Musician:CAPSULE

ミュージシャン名義を大文字の「CAPSULE」に変更してリリースとなったニューアルバム。タイトルは、言わずと知れたパソコンのキーの名称。今回のアルバムは、そのタイトルだけではなく収録されている曲すべてにパソコンのキーの名称が付されており、ちょっとユニークな構成になっています。

ここ最近、ヘヴィーなビートを利かせたロック色も強い、最近流行りのEDMにカテゴライズされる楽曲がメインとなってきました。しかし、今回のアルバムはここ最近の方向性から大きくシフトしたアルバムになっています。まずアルバムの冒頭を飾る「HOME」。丸みを帯びた優しい感触のあるエレクトロサウンドはここ最近のCAPSULEの作風とは大きく異なる作品に。ともすれば初期CAPSULEの延長線、とも捉えられそうな作風かもしれません。

続く「CONTROL」「DELETE」は、比較的ビートの強い、EDMの匂いも残っているようなナンバーになっていて、いままでのCAPSULEの方向性が好みだった、という方にも受け入れられそうなナンバーですが、「12345678」ではまた方向は一変。機械的な音をサンプリングし、後半はこしじまとしこがエフェクトのかかったボーカルで数字の羅列を読み上げるだけ、という実験的な作風になっています。

ただアルバム全体としてはポップな色合いはむしろ増したようにも思えます。「SHIFT」はメロディアスなかわいらしいポップナンバーでちょっとアレンジを変えればPerfumeあたりにも流用できそうなナンバーですし、最後の「RETURN」はピアノの音色がメインとなったナンバーでCAPSULEの中では異色的なナンバーなのですが、その中で流れるシンセのメロディーがとてもポップな作風に仕上がっています。

タイトルとなった「CAPS LOCK」というキーはご存知の通り入力されるアルファベットを小文字から大文字に変える機能を持つキー。それにともないミュージシャン名義も大文字に変わったのでしょうが、楽曲の方向性も新たな段階にシフトした、という意味もあるのでしょう。

ただ、アルバムの内容としては刺激的だったここ最近の作品に比べるとちょっと拍子抜けしてしまった感は否めずインパクトもいまひとつ。新たな方向性を打ち出すための試験的、あるいは実験的なアルバムだった、とも言えるかもしれません。また久しぶりにこしじまとしこがジャケット写真に登場しないのも特徴でしょう。ここ最近、かなり影の薄くなってしまったこしじまとしこのボーカルは、本作ではさらに影が薄くなってしまっています(わずかに使われている曲についても強いエフェクトがかけられたりしていて・・・)。CAPSULEがあくまでも中田ヤスタカのユニットである、という点がさらに強調されたアルバムになっていました。

賛否のあるアルバムかもしれません。個人的には決して傑作ではないものの、これからのCAPSULEの方向性を示唆する重要なアルバムだと思います。この方向性を軸に、次はどんなスタイルの曲を聴かせてくれるのか・・・次回作が楽しみです。

評価:★★★★

capsule 過去の作品
FLASH BACK
MORE!MORE!MORE!
FLASH BEST
PLAYER
WORLD OF FANTASY
STEREO WORXXX
rewind BEST-1(2012→2006)
rewind BEST-2(2005→2001)

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