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2013年11月22日 (金)

ラジオの時代は続く

ラジオ全盛期にラジオから流れた音楽を、洋楽邦楽1枚にまとめたコンピレーションアルバム「ラジオの時代」の紹介。今日は2回目です。

Title:ラジオの時代 1970年

Radio1970

ジミヘンやジャニスがこの世を去り、ビートルズが解散した1970年。いまから考えると、ロックがひとつの区切りを迎えた年といえたのかもしれません。ただ、このコンピに入った楽曲を聴くと、ポップスというジャンルがロックやソウルに留まらず、様々な方向にその音楽の幅を広げはじめたようにも感じました。

例えばB.B.KING「The Thrill Is Gone」みたいなブルースも収録されていれば、Bossa Rio「サン・ホセへの道」は、90年代の渋谷系を彷彿とさせるようなボッサなナンバー。Jackson5「ABC」みたいな元気たっぷりのポップソングもあり、ポピュラーミュージックがさらに一段と花開いたようにも感じます。

日本ではこの年、大阪万博が開催。まさに高度経済成長真っ盛りの時代で、フォーク全盛期ながらも1969年の頃のような暗さが薄れ、ソルティー・シュガー「走れコータロー」のようなノベルティーソングも収録。こちらも明るさを感じさせます。

自分はまだもちろん産まれていなかった時代で、実際の時代感覚はわからないのですが、社会全体に明るい雰囲気があったのかなぁ。そう感じさせる、ポップに勢いのあるコンピでした。

評価:★★★★★

Title:ラジオの時代 1971年

Radio1971

1970年から引き続き、全体的に明るさを感じられるこの年。日本では相変わらずフォークソングが勢力を保っている中、ジローズ「戦争を知らない子供たち」のような社会派の曲もありますが、どこか明日への希望を感じさせてくれます。洋楽も、1970年にも登場したJackson5「I'll Be There」や、Elton John「僕の歌は君の歌」のような、明るいポップソングが並んでおり、1970年同様、音楽業界全体の勢いを感じさせる状態が続いています。

1971年は、Marvin Gayeが「What's Going On」を、John Lennonが「Imagine」を発表し、George Harrisonがバングラデッシュ難民救済コンサートを実施した年。ミュージシャンの社会派的な活動が目立った年でもありました。ただ、このコンピを聴いている感じだと、世の中の雰囲気はむしろ明るく、社会派的な活動もある種の余裕があったから、と見れるかもしれません。それだけ全体的に明るさを感じさせる1枚でした。

評価:★★★★★

Title:ラジオの時代 1972年

Radio1972

札幌オリンピックが開催され、あさま山荘事件が起こったこの年。あいかわらず洋邦ともに勢いを感じさせる状況が続いていますが、この年のコンピからは特に邦楽の勢いを強く感じます。フォークソングの流れは相変わらず続いているのですが、よしだたくろう「結婚しようよ」みたいな、若者の素直な心境を描いたような曲が増え、一方、社会派を感じる曲でも井上陽水「傘がない」のような単純な反権力とも違う、心の底を描くような深みのある作品が出てきて、登場する楽曲の幅と深さがグッと広がった感じがします。

そんな中でも1曲目を飾るのがRCサクセション「ぼくの好きな先生」。邦楽ロックの新たな時代の到来を感じますし、それに続くのが、後にRCに参加する仲井戸麗市の古井戸「さなえちゃん」という流れがおもしろいところ。ちなみに井上陽水の次に、その奥さんの石川セリの曲を配しているところにもちょっとしたこだわりを感じます。

洋楽はシンガーソングライター全盛。Gilberto O'Sullivan「Alone Again(Naturally)」は何度聴いても名曲ですね~。勢いという観点では、ちょっと失速しはじめた感もありますが、良質なポップソングが揃っている印象。シーンが成熟した、といってもいいかもしれません。洋楽邦楽ともに名曲揃いでした。

評価:★★★★★

Title:ラジオの時代 1973年

Radio1973

ポップス黄金期が続いていますが、1973年もその状況は相変わらず。チューリップ「心の旅」からはじまり、ガロ「学生街の喫茶店」小坂明子「あなた」など、フォークソングの流れは続いているものの、楽曲がかなり垢抜けてきて、いい意味で広く支持されそうなポップソングが並んでいます。サディスティック・ミカ・バンド「サイクリング・ブギ」のように、洋楽テイストの強い楽曲も登場してくるなど、楽曲のバリエーションがグッと増えています。

洋楽勢ではT.Rex「20th Century Boy」は、ゴリゴリのギターリフがカッコいいですね。今から聴くと、後のオルタナティヴロックへ繋がる流れも感じられるような感じも・・・。欧米ではこの年、Pink Floydの「狂気」が発売されるなど、プログレッシブ・ロックの全盛期なのですが、さすがにラジオ向きじゃないのか、このコンピではあまり反映されておらず、1972年と同様、良質なポップソングが並んでいます。前年同様、少々失速気味は否めませんが、まだまだ名曲揃いのコンピでした。

評価:★★★★★

ラジオの時代 1967年~1969年
ラジオの時代 1974年~1976年

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