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2013年11月17日 (日)

ゴスペラーズの本領発揮

Title:ハモ騒動~The Gospellers Covers~
Musician:ゴスペラーズ

ゴスペラーズ初となるカバーアルバムがとてもおもしろい!

今回のアルバム、コンセプトとしては「誰もが知っているような曲をハモリ仕立てでカバーする」「ボーカルグループでなければ歌い継がないであろう曲を今一度残す」という2つを掲げたそうで、そのため選曲が実にユニークでよく考え抜かれたものとなっています。

まず耳を惹くのが冒頭1曲目を飾る「猫騒動」。この曲、中野忠晴とコロムビア・ナカノ・リズム・ボーイズが1933年にリリースした日本初のアカペラ曲。この時代にアカペラの録音があったこと自体が驚きなのですが、楽曲の中に猫の鳴きまねが入っているユニークな楽曲。絶妙な猫の鳴きまねと重厚なコーラスがとても魅力的で、ゴスペラーズの実力がいかんなく発揮されています。

先行シングルになった「ロビンソン」も見事。こちらもコンセプトのうち「誰も知っているような曲~」なのでしょうが、ボイスパーカッションを取り入れつつ、アカペラ仕立てでスピッツとはまた違った魅力あふれるナンバーにまとめあげています。

他にも、「誰もが知っているような曲」としてはユーミンの「やさしさに包まれたなら」や美空ひばりの「真っ赤な太陽」をアカペラ仕立てでカバー。洋楽からもBruno Marsの「Just The Way You Are」やBoyz II Menの「Thank You」などを取り上げています。一方ではボーカルグループならでは、という点では日本のコーラスグループJIVEの「Heartbeats」やアメリカのボーカルグループThe Five Keysの「ROCKIN' & CRYIN' THE BLUES」などがその例でしょうか。

バンドサウンドやストリングスが入っている曲もありますが、基本的にはほぼアカペラのみ。彼らのボーカルのみで聴かせる曲ばかり。そんなアカペラのスタイルで、様々な曲を易々とカバーしていく彼らには、アカペラグループとしての実力を再認識させられる、まさにゴスペラーズとしての本領が発揮されたアルバムと言えるでしょう。

またそれと同時に、特に「ボーカルグループでなければ歌い継がれないであろう曲」というコンセプトには、彼らのボーカルグループとしての一種の責任感を見て取れます。

一時期日本でも「ハモネプ」の人気などでアカペラグループがちょっとしたブームになった時期がありました。ただ残念ながらそこで出てきたグループもほとんどがフェイドアウト。気がつけば「ハモネプ」以前から人気を博していたゴスペラーズだけが残ってしまいました。

そんな彼らだからこそ、今回のカバーアルバムをリリースし、あらためたアカペラの素晴らしさを世に広め、ボーカルグループだからこそ歌い継げる曲を歌い継ごうとしたのではないでしょうか。ラストには、同じく以前からアカペラを楽曲に取り入れていたスターダスト・レビューとのコラボ「夢伝説」を収録している点からも、そんなアカペラをより広めようとする彼らのスタンスを感じます。

カバーアルバムですがゴスペラーズがもっともゴスペラーズらしい作品。ゴスペラーズのアカペラグループとしての実力と自信と責任感を感じることが出来た1枚でした。

評価:★★★★★

ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II
STEP FOR FIVE


ほかに聴いたアルバム

SEX BLOOD ROCK N'ROLL/VAMPS

L'Arc~en~Cielのhydeと、Oblivion DustのK.A.Zによるユニット、VAMPS。本作は海外でのリリースを行うために、全英語詞でリテイクしたベスト盤。オルタナ系からハードロック、今風なハードコアから打ち込みまでバラエティー豊富。ただ、良くも悪くも個性的なボーカルのために、ちょっとヘヴィーになったラルクという印象は否めず。ポップなメロとハードなロックサウンドはカッコよく耳に残るが、よくありがちなロックといった感じで、海外で売るためには少々個性が欠ける感じがするのですが。

評価:★★★★

VAMPS 過去の作品
VAMPS
BEAST

極東最前線3

eastern youthのジョイント・ライブシリーズ「極東最前線」に参加したミュージシャンたちの曲を集めたオムニバスアルバム第3弾。毎回、強烈な個性を持つ曲者たちの楽曲が並んでいるのですが、今回の選曲もかなり強烈。一癖も二癖もあるようなロックミュージシャンやHIP HOPミュージシャンの曲が並んでいます。

eastern youth自信の作品やキセル、OGRE YOU ASSHOLEなどの楽曲も素晴らしかったのですが、他にも、シンプルなサウンドとファンキーなリズムが強烈な個性を放つオシリペンペンズの「泣く影」や、フォーキーで、力強いメロディーとボーカル、強烈に「生きろ」と歌い上げる竹原ピストルの「LIVE IN 和歌山」が強い印象に残りました。個性派揃いのオムニバスで聴くのに疲れてきそうですが、きっとあなたも気に入る1曲がある、はず。

評価:★★★★★

極東最前線シリーズ 過去の作品
極東最前線2

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