戦後直後の貴重なアメリカ音源
Title:ひばり&川田 in アメリカ 1950
Musician:美空ひばり&川田晴久
昨年、カナダのオーディオ・マニアがインターネットオークションで落札した音源が、美空ひばりや川田晴久、山口淑子、渡辺はま子、笠置シヅ子らのアメリカ公演を録音したテープであったということがわかりニュースになったそうです。
今回発売されたのはその貴重な音源をCD化した作品。1950年の5月から7月に行われた美空ひばりと、彼女の師匠で、戦前、あきれたぼういずなどで人気を博した川田晴久によるアメリカ公演のうち、6月24日、25日のカリフォルニア州サクラメントでのライブを録音した音源だそうです。
まずは驚かされるのはその音質の良さ。奇跡的に発見された音源なのに音質の劣化はもちろんノイズもなく、音質を全く苦にせず楽しめます。ただ、それ以上に驚かされるのはやはり美空ひばりの歌の上手さ。この時、若干13歳!美空ひばりの歌が上手いことなんて周知の事実で、この頃の映像なんかも、テレビで何度か見たことあったのですが、音源で聴くとそのボーカルに震えてしまいます。あまりにも歌唱力ありすぎて、少々音割れしちゃっている部分すらあるのはご愛嬌。10代前半の女の子で「歌が上手い」と言われ、テレビに出演するケースもよくあるのですが、でも大抵はただ単に歌唱力があるだけ。でも彼女の場合は、歌唱力だけではなく、優しく引いて歌う部分は引いて歌っていて、表現力も兼ね備えています。加えて、わずか13歳なのに、色っぽさすら・・・。
あと、美空ひばりというと演歌、歌謡曲というイメージが強いのですが、彼女の場合、リズム感もすごくいいんですよね。たまに演歌歌手がJ-POPなどをカバーと、歌唱力はあるはずなのに、どこか違和感あるのって、リズムが日本的なリズムで、J-POPの洋楽的なリズムに載っていないのが大きな理由だったりするんですが、彼女の場合は、バリバリの民謡調の曲はもちろん、ジャズやブギといった洋楽的なリズムも軽々とこなしています。逆にバックの演奏の方が、いまひとつリズムに載っていないような(^^;;
ちなみにアルバムでは途中、川田晴久の漫談や、彼の歌うコミカルな曲も収録。「地球の上に朝が来る その裏側は夜だろう」のフレーズで有名な「地球の上に朝が来る」など、ここらへんのコミックソングもまたユーモラスたっぷりで、当時の人たちの本音がよくわかりそな歌詞がユニーク。ここらへんも、今聴いても楽しいですね。
上にも書いた通り、演歌や歌謡曲というよりも、ジャズやブギが楽曲のメインなので、そういう意味でも、今聴いても聴きやすく楽しめるアルバム。「貴重な音源」という肩書き抜きで優れたライブ盤でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
FLOWERS/山崎まさよし
憲法9条について、寓話的な歌詞にまとめた「#9 Story」も話題となった最新作。ただ、社会派的な要素が強くなったわけではなく、基本的には彼らしい安定感あるポップで、安心して聴ける内容。ただ、ブルースやロックなどの要素がちょっと薄くなってしまったように感じたのと、ここ最近の作品と同じく、彼らしい日常の機微を描いたような歌詞が少なめ。ちょっとインパクトは薄いような印象も。
評価:★★★★
山崎まさよし 過去の作品
COVER ALL-YO!
COVER ALL-HO!
IN MY HOUSE
HOBO'S MUSIC
Concert at SUNTORY HALL
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[STANDARDS]
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[SOLO ACOUSTICS]
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