原点回帰
Title:グッド・バイ
Musician:安藤裕子
安藤裕子、約1年半ぶりとなるニューアルバム。前作「勘違い」では、いままでの彼女の曲とは違った、挑戦的な曲が多く、新たな路線を感じさせる作品でした。それに続く新作。さて、どんな感じのアルバムになるのか、注目の作品でした。
その次の一歩として彼女がテーマとしたのは「原点回帰」。ある意味、ひとつ行きつくところまで行ってしまったので、あらためて彼女の原点に立ち返った作品、ということでしょうか。基本的にストレートで素直なポップソングが多く並んでいました。
ストリングスを取り入れて、のんびり伸びやかに聴かせる「ようこそここへ」からはじまり、軽快なピアノポップにちょっとかわいらしい歌詞が印象的な「ローリー」、さらにちょうど中盤に登場してこのアルバムの核になっているのが爽快なピアノロックナンバー「サイハテ」。メロは良くも悪くもちょっとベタな90年代J-POPな部分があり、それがインパクトとなっています。
後半は「いらいらいらい」「貘砂漠」などちょっと怪しげなナンバーが続き、映画「四十九日のレシピ」の主題歌にもなっている壮大な自然の風景を彷彿とさせる「Aloha 'Oe アロハオエ」が後半のインパクト。最後は和風なピアノバラードのタイトルナンバー「グッド・バイ」で締めくくります。
全体的にはそんな感じで「原点回帰」というテーマはあるのですが、楽曲的にはバラバラ。それが良い側面としては彼女の幅広い音楽性をあらわしているのですが、その反面、少々アルバムとしての焦点がぼやけている印象もあります。
その結果、1曲1曲としては安藤裕子の魅力を伝えた名曲ではあるはずなのですが、アルバム全体としてはインパクト不足。安藤裕子としての個性が逆に少々薄くなってしまったような印象も受けました。
彼女の初期のアルバムは、感想としては楽曲はいいのですが安藤裕子の個性が薄く、という印象を受けていました。今回のアルバム、もちろんそれから10年を経た作品なだけに、薄くなったとはいえ安藤裕子としての個性は十分感じられます。ただ、原点回帰の結果、初期のアルバムの問題点も回帰されちゃったかな、とも感じたアルバムでした。
評価:★★★★
安藤裕子 過去の作品
クロニクル
THE BEST '03~'09
JAPANESE POP
大人のまじめなカバーシリーズ
勘違い
ほかに聴いたアルバム
DNA/MONKEY MAJIK
楽天イーグルス日本一に沸く仙台を活動の拠点とするカナダ人と日本人による混合バンドMONKEY MAJIKの新作。その楽天イーグルスの日テレプラスでの野球中継でのイメージソング「Free to Fly」や、仙台は東北大学出身のSSW、小田和正とのコラボが話題の「A Christmas Song」も収録。英語詞も多く、垢抜けた印象も強いものの、無難にまとまっちゃっているなぁ、という印象はここ最近の彼らの作品と変わらず。結局は、メロディーのインパクトがいまひとつ薄いのかなぁ。
評価:★★★
MONKEY MAJIK 過去の作品
TIME
MONKEY MAJIK BEST~10years&Forever~
westview
SOMEWHERE OUT THERE
9/bird
2年ぶりとなるオリジナルアルバム。ソウル、ファンク、ブルース、さらには歌謡曲を織り交ぜたポップスは、まさに大人のポップスといった感じでとてもクオリティーの高いポップソングを聴かせてくれます。特に今回のアルバムに関しては前半のアルバムの出来が素晴らしかったです。・・・が、後半はちょっとだれてきてインパクトが一気に弱くなってしまった感が。いい意味で安心して聴けるアルバムだとは思いますが、もうちょっとで傑作だった惜しい感のある作品でした。
評価:★★★★
bird 過去の作品
BIRDSONG EP
MY LOVE
NEW BASIC
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