実力派とのセッション
Title:ラヂヲ
Musician:青葉市子と妖精たち
最近、徐々に注目を集めている女性シンガーソングライター青葉市子。今回のアルバムは、今年の元旦、NHK-FM「坂本龍一 ニューイヤー・スペシャル」で行われた、細野晴臣、坂本龍一、小山田圭吾、U-zhaanとのセッションの模様を一発録りで収録したアルバムです。
ピアノ、アコギ、さらにはパーカッションの音と最小限の音の中、青葉市子が静かに歌い上げる作品。音が少ないからこそ、空間の緊迫感がそのままつまったような内容になっています。ただ、楽しいセッションというよりは、音楽に対して静かに、そして真摯に対峙する姿がおさめられている、そんなアルバムのように感じました。
ただ、そんなアルバムの中ですごいのが、青葉市子の存在感。彼女の声は決して独特な声色を持っているわけではありません。声量が特段に優れているわけではありません。それでもこのアルバムを聴いていると、知らず知らずに惹きつけられるのは彼女のボーカル。バックを固めるミュージシャンたちも一流揃いのはずなのですが、それに全く負けるどころか青葉市子の世界にしてしまっています。
このアルバム、というよりも青葉市子の楽曲自体、さほどバリエーションが多いわけではありません。基本的に静かに聴かせるミディアムテンポのナンバーがメイン。それにも関わらず、聴いていて最後までまったくだれることはありません。それはやはり彼女のボーカルが持つ力ゆえ。彼女のボーカルはとても美しく優しいのと同時に、どこか力強さを感じます。そんなボーカルに耳を傾けているうちに、アルバムはあっという間に最後を迎えてしまいました。
今回のアルバムは、基本的に彼女の曲のセルフカバーか、他のカバー曲が収録されているのですが、その中で一番印象に残ったのは「STAR FRUITS SURF RIDER」のカバー。ご存知CORNELIUSの代表曲なのですが、無機的なイメージのする原曲と異なり、彼女のカバーではとても暖かいポップスに生まれ変わっています。正直、かなりイメージが異なるカバーに、彼女のボーカリストとしての実力を感じると同時に、原曲のポップソングとしての魅力も再認識しました。
10月にはついにメジャーデビューも決定し、さらなる飛躍が期待できる彼女。まだまだ、これからの活躍が楽しみです。
評価:★★★★★
青葉市子 過去の作品
うたびこ
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2013年」カテゴリの記事
- 9年ぶりのオリジナル(2014.03.14)
- 削除クロース(笑)(2013.12.28)
- 音楽シーンへの憤りも感じる(2013.12.27)
- 脱EDM(2013.12.20)
- やさしくなりたい(2013.12.17)
コメント