僕たちのヒット曲 ふたたび
昨年リリースされた、日本で昔ヒットした洋楽ナンバーを網羅的に収録したオムニバスアルバム「僕たちの洋楽ヒットDELUXE」。このサイトでも紹介しましたが、今年、そのオムニバスアルバムの続編とも言える「僕たちの洋楽ヒット More DELUXE」が8枚同時リリース。昨年に引き続き、さっそく聴いてみました。
Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.1 1955-63
「DELUXE」の時と同じく、エルヴィス・プレスリーでスタート。エルヴィス・プレスリーの登場で、ロックという音楽が一気に知名度を広げ、若者の間への音楽熱が広がり、ポップミュージックが一気に勢いづいたということを考えれば、エルヴィスからスタートという点に、コンピ盤のこだわりのようなものを感じます。
この時代は、ロックが花開く前夜。ELVIS PRESLEYの「Hound Dog」だけではなく、CHUCK BERRYの「Sweet Little Sixteen」、GENE PITNEY「Louisiana Mama」など、ロックンロールの走りともいうべき曲が並んでいます。一方ではTHE COASTERS「Poison Ivy」やBEN E.KING「Stand By Me」など、その後のソウルシーンの走りとなったような曲もあり、まさにロック、ソウルともに、いまにも一気に爆発しそうな、沸々とした雰囲気を感じます。
一方では、ロック誕生以前のおとなしいポップソングや映画音楽も多く、ここらへん、「DELUXE」の時と同様、様々なBGMなどで聴き馴染んだ曲が多いかも。「March From The River Kwai(邦題:クワイ河マーチ)」なんか、聴いていて有名な替え歌が頭の中でグルグル回りだす人も多いかも(笑)。いろいろな意味で何かがはじまる予感するアルバムです。
評価:★★★★★
Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.2 1964-69
で、Vol.1の時に沸々とわきあがっていたロックやソウルの流れが一気に花開いたのがこの時期。ロックの方面では、BOB DYLANの「Like A Rolling Stone」やTHE YARDBIRDS「For Your Love」が収録。一方、ソウルではARETHA FRANKLIN「Respect」、WILSON PICKETT「Land Of 1000 Dances(邦題:ダンス天国)」といったスタンダードナンバーが収録されており、かなり豪華な内容になっています。
ただ、ソウル勢がアレサやオーティスなどといった大物の曲も収録されている一方、ロック勢はちょっと寂しいような感じもしないでもないかも・・・。さすがにビートルズやストーンズはこの手のコンピに収録できないんでしょうね。でも、ボブ・ディランのレベルまで収録できるのなら、とは思ってしまうのですが。とはいえ、その点を差し引いても60年代後半のポップスシーンの充実ぶりが十分伝わってくるコンピになっています。
評価:★★★★★
Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.3 1970-72
この手のオムニバスアルバムにはお決まりのナンバーなのですが、GILBERT O'SULLIVANの「Alone Again(Naturally)」は本当に何度聴いても名曲だなぁ。この手のポップは大好きなんですよね~。
Vol.2から引き続いて、ロック、ソウルともに勢いを感じられる70年代初頭。GILBERT O'SULLIVANのようなポップなナンバーから、FREE「All Right Now」のような、その後のハードロックへの流れを感じる曲、SLY&THE FAMILY STONE「Family Affair」みたいなファンク、THE O'JAYS「Back Stabbers(邦題:裏切り者のテーマ)」など、様々なバリエーションが一気に増えていくことを感じます。
一方ではHEDVA&DAVID「ナオミの夢」みたいな日本語で歌われた日本向けの「洋楽」が入っている点も、あくまでも「日本でのヒット曲」を収録したこのオムニバスらしい感じ。あと「She's My Kind Of Girl(邦題:木枯らしの少女)」を歌うBJORN&BENNYは後のABBAなんだとか。ABBAの雰囲気とはかなり違うフォーキーな曲なのですが、メロディーのセンスの良さはこの時代から健在で、なかなかおもしろい楽曲に仕上がっています。
やはりこのオムニバスを聴くと、60年代後半から70年代初頭がポップスの黄金期だったなぁ、ということを感じます。もちろん、その後も名曲は数多く生み出されているのですが、様々なジャンルが一気に花開いたこの時期の曲は、このオムニバスの中でも一番の聴きどころのように感じました。
評価:★★★★★
Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.4 1973-76
一般的に、80年代あたりのポップスについて低い評価をする評論家は少なくありませんが、個人的にポップスの勢いが失速してきたのはこのあたりからのように感じます。その理由としては、ロックやポップス、ソウルという音楽が広く普及するのに際して、徐々に広い層に受け入れられるため、様式化したりコンテンポラリー化してきたため。スケール感がある一方で、70年代初頭のような勢いは薄れてきたかなぁ、という感じが。「DELUXE」の時にもそういうことを感じたのですが、「More DELUXE」を聴きながらも、全く同じことを感じてしまいました。
ただ、そんな中、T.REX「20th Century Boy」は好きだなぁ。シンプルなギターリフ主導の、ロックンロールの影響をダイレクトに受けながらもポップなメロディーを奏でるスタイルは、90年代のグランジやオルタナ系のギターロックあたりに通じるものも。
評価:★★★★
Vol.5からVol.8のレビューは明日に!
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