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2013年10月18日 (金)

期待の新人バンドの復帰作

Title:公園デビュー
Musician:赤い公園

個人的に、今最も注目している新人バンドのうちの一組、赤い公園。昨年2月に2枚のミニアルバムでメジャーデビューし大きな注目を集めたものの、その後、ギターの津野米咲の体調不良により活動休止となりその行方が心配されていました。

しかしその後無事に活動再開。このたびリリースされた待望のメジャーデビューフルアルバムが本作です。

昨年リリースされた2枚のミニアルバムでは、最初にリリースされた「透明なのか黒なのか」ではポストロック、アバンギャルドな側面が強く強調されたアルバムで、続けてリリースされた「ランドリーで漂白を」ではポップな側面が強調されていました。いわば赤い公園というバンドの二面性を2つのアルバムで表現した内容になっていました。

対して今回のアルバムは、そんな赤い公園の二面性をひとつのアルバムで表現しています。最初の「今更」から、ポップなギターロックかと思えば癖の強いリズムとギターサウンドが独特な雰囲気をかもし出していますし、「のぞき穴」も、ヘヴィーなサウンドが特徴的なロックチューンになっています。

かと思えば「交信」は爽やかなサウンドが心地よいポップソングになっていますし、続く「体温計」はピアノと歌のみで構成された作品に。後半の「カウンター」なども、パンキッシュなサウンドに対してメロはポップな楽曲に。ここらへんは赤い公園のポップな側面が存分に発揮されています。

一方では「急げ」ではタイトなバンドサウンドに、ロックバンドとしての演奏力の高さを感じますし、最後の「くい」などは、ちょっと幻想的なスタートから、後半、ポップなギターロックへ展開していく彼女たちの二面性を融合させたようなナンバーに。アルバム全体わずか30分程度の長さながらも、様々な音楽性のつまった最後までその展開から耳をはなせないアルバムになっています。

まさに期待の新人バンドがその期待に応えてくれた傑作アルバムに仕上がっていました。ただその反面、非常に惜しいアルバムにも感じました。例えばバンドサウンドにしても、そのサウンドだけに惹きつけられるような魅力がある一方、もう一皮むければ、聴くだけで鳥肌が立つような迫力あるサウンドを奏でられるような予感もします。メロディーも今でも十分インパクトあるのですが、その先には、ロックシーンを代表するアンセムを産み出せそうな予感もあります。

要するに、さらに成長した年間ベストどころか10年間で数枚レベルの傑作を産み出せそうな予感がありながらも、そこにたどりつけないもどかしさも感じるアルバムでした。そういう意味では、これから次第ではとんでもない傑作を産みだしてくれるかも・・・。これからがマジで目の離せないバンドです。

評価:★★★★★

赤い公園 過去の作品
透明なのか黒なのか
ランドリーで漂白を

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