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2013年10月27日 (日)

僕たちのヒット曲 ふたたび その2

昨日に引き続き、日本の洋楽ヒット曲を集めたコンピレーションアルバム「僕たちの洋楽ヒット More DELUXE」の紹介です。

Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.5 1977-79

この時期の楽曲は、聴いていて全体的に軽く明るい雰囲気が強くなってきます。いまでも高い人気を誇るABBAの「That's Me」やELECTRIC LIGHT ORCHESTRA「Mr.Blue Sky」など、明るいポップソングが印象に残ります。また、一方ではFOREIGNER「Cold As Ice(邦題:つめたいお前)のような産業ロックと言われるような楽曲も出てきたり、DAVID GATES「Goodbye Girl」やPLAYER「Baby Come Back」のようなAORのナンバーも登場。いい言い方をすれば、明るくエンタテイメント色の強い作品が、悪い言い方をすれば、少々軽薄さを感じる楽曲が並んでいます。

時代的にベトナム戦争も終わって、冷戦も比較的緩和状態に入った時期だったそうで、こういう明るさはそういう時代を反映してのことでしょうか?ある意味、裏のないような明るさは、今の時代からすると少々うらやましさも感じないことはないのですが。

評価:★★★★

Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.6 1980-82

で、時代は80年代に突入。80年代というとイメージ的にはシンセを多用したポップソングが流れ、MTV全盛で、ポップスの巨大産業化が一気に加速し、というイメージがあるのですが、こういうアルバムで流してきくと、70年代後半から時代の流れとしては一環しているように感じました。

ただ、やはりいかにも80年代という曲はこのアルバムにも多く、RICK SPRINGFIELDの「Jessie's Girl」みたいな軽快なロックやARABESQUEの「In For A Penny,In For A Pound(邦題:恋にメリーゴーランド)のようなシンセポップはいかにも80年代という時代を感じます。

一方では、GRANDMASTER FLASH&THE FURIOUS FIVEの「The Message」ではラップが登場。80年代がスタートしたばかりですが、次の時代への萌芽を感じます。そういう意味でも時代を反映した、興味深いコンピでした。

評価:★★★★

Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.7 1983-85

おそらく一般的に80年代らしいと思われる曲が連続するのがこのアルバム。猫も杓子もシンセサイザーといった感じのシンセのサウンドが並んでいて、今から振り返ると、なんでそんなにシンセばかり使いたがったの?と思わなくもないのですが、そういう時代だったんでしょうね・・・。

個人的には、なにげにこの時代のフックを利かせまくりの突き抜けたようなポップソングってのは実は嫌いじゃないですし、80年代になると、子供の頃、無意識に聴いていた時代だったのでその記憶が根底にあるのか、ちょっと懐かしさも感じます。TERI DeSARIOの「Overnight Success」あたりは、私が好きな初期の渡辺美里を彷彿とさせるようなナンバーで結構好きだったりして。

似たようなシンセポップの連続にはちょっとうんざりもしますが、一方ではポップスの本来持っている「ワクワク感」を感じられる時代だったりして。そういう意味では個人的には70年代後半あたりに停滞したポップスが、ちょっと勢いを取り戻してきたようにも感じるアルバムでした。

評価:★★★★

Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.8 1986-89

そして80年代の最後を締めくくるのがこのアルバム。あいかわらずいかにも80年代なシンセポップが目立つ中で、BEASTIE BOYS「Fight For Your Right」やRUN-D.M.C.「Walk This Way」などのHIP HOPが登場してくるのもこの時代です。

さらにGEORGIA SATELLITESの「Keep Your Hands To Yourself」のようなルーツ志向なサウンドは、ある種ルーツレスだった80年代のポップソングにはなかったような楽曲で、90年代のオルタナ系ロックへの流れも感じますし、一世を風靡したBOBBY BROWN「My Prerogative」の重低音を強調したようなリズムにも、次の時代への流れを感じます。

80年代っぽさを強烈に感じつつ、音楽的には確実に次の一歩へ時代は動いていることを感じさせるコンピで、それはそれでとても興味深いものを感じるコンピでした。

評価:★★★★

そんな訳で、全8作。ポップスが一番勢いがあったのが60年代後半から70年代前半で、70年代後半あたりに一度つまらなくなって、80年代は純粋なポップスにワクワク感を覚え、そして90年代へ、という流れは、「DELUXE」で感じたことと同じでした。

さすがに「DELUXE」に比べると、誰もが知っているヒット曲は若干少なくなったようにも感じます。それでも、その時代を反映した曲が並んでいて、おそらくリアルタイムに聴いていた方にとっては懐かしさを感じるコンピなんでしょう。後追いで聴いても、魅力的なポップソングが多く収録されていました。

個人的にはこのシリーズ、そろそろ90年代も、とも思うのですが・・・90年代になると、J-POP全盛で、洋楽のヒット曲が少なくなってくるので難しくなってくるのでしょうか?ただ、音楽的には、80年代より90年代の方がおもしろいと思うのですが・・・。

僕たちの洋楽ヒットDELUXE Vol.1~4
僕たちの洋楽ヒットDELUXE Vol.5~8
僕たちの洋楽ヒットMore DELUXE Vol.1~4

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