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2013年10月 6日 (日)

90年代J-POP風

Title:KYOSUKE HIMURO 25th Anniversary BEST ALBUM GREATEST ANTHOLOGY
Musician:氷室京介

90年代J-POP風。どんな雰囲気の曲を簡単に表せることから、このサイトでもよく使ってしまうのですが、あまりポジティブな文脈では使っていません。今でもこの90年代J-POPの色合いを濃く残したミュージシャンが少なくありませんが、いわば前の世代の音楽が、いまだに縮小再生産され続けている事実は、音楽不況の要因のひとつであると思っています。

氷室京介の楽曲については、このベスト盤ではじめてまとまって聴いてみました。それで一番最初に感じたのが、まさに90年代J-POP風。聴いていて、決して真新しさも新鮮さも感じませんでした。ただ、よくよく考えると、この90年代J-POP風と私が言っているサウンドって、いわゆるビートロック。そしてそのビートロックの源流をたどるとBOOWYに行き付くわけでして。

そういう意味では、氷室京介が90年代J-POP風の曲を演っているわけではなく、その逆。この90年代J-POP風のサウンドこそ氷室京介が作り出した音であり、私が90年代J-POP風と呼んでいるミュージシャンの音は、BOOWY、もしくは氷室京介の音の縮小再生産な訳です。

ただし、BOOWYと比べると、氷室京介ソロは、個人的にはあまりはまれませんでした。基本的には同じビートロック。氷室京介の曲もBOOWY時代の延長線上にあります。ただ、BOOWYの曲と比べ彼の楽曲はいい意味でも悪い意味でも氷室京介の個性が強く出ています。バンドの中で、ほどよくバランスが取れていたBOOWYの曲に比べると、彼のなるしスティックな部分がどうも鼻につく面がいなめず、ベスト盤を聴き終えた後の感想としては「ベスト盤で十分かな・・・」という印象を持ってしまいました。もちろん、BOOWY時代は純粋に布袋作曲の曲がよかったから、という理由もあるのかも・・・。

また、楽曲によっては確かに今風のサウンドを取り入れた曲もあるものの、昔から今まで基本的なスタイルは全く変わらないというのも印象に残りました。もう一種の様式美みたいな感じにもなっていて、これに関しては良くも悪くも、といった感じなのでしょうが、ファン以外に訴求するのはちょっと難しい音じゃないかなぁ、とも感じました。

今回のアルバムは25周年ということでオールタイムベスト。ちょっとボリュームはありますが、彼の代表曲、ヒット曲をまとめて聴いてみたい方にはちょうどよいアルバムかも。もっとも、20周年の時もシングルベストを出しているので、さすがにわずか5年のインターバルでベスト盤連発というやり方はちょっと閉口してしまますが。

評価:★★★★

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