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2013年10月

2013年10月31日 (木)

新譜ラッシュ!

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

しばらくアルバムチャートは新譜が少なめの週が目立っていましたが今週は新譜ラッシュ。10枚中9枚が初登場のチャートになっています。

そして、そんな中で1位を獲得したのは、相変わらず強い。のニューアルバム「LOVE」。初動売上は67万枚を獲得し、2位以下を大きく引き離しての1位となりました。ただ、前作「Popcorn」の70万1千枚よりはダウン。もっとも、前々作「Beatiful World」の63万枚は上回っているだけに、今回の初動ダウンをどう見るかは難しいところ。

2位3位には、斉藤和義の2作同時リリース作「斉藤」「和義」が前者が2位、後者が3位に並んでランクインです。ここ最近、人気上昇中の彼ですが、オリジナルアルバムを2作同時リリースという点、デビューから20年たちながらも、いまだに脂がのりまくっている彼の勢いを感じさせます。初動売上も、それぞれ3万2千枚、2万8千枚で、前作「45 STONES」の2万8千枚からアップ。1万5千枚→2万1千枚→2万6千枚→2万8千枚→2万8千枚/3万2千枚と右肩上がりの傾向が続いています。

続いて4位以下の初登場盤です。5位にはラウドロックバンドSiM「PANDORA」が入ってきています。アルバムでは2作目のベスト10ヒットで、アルバムではメジャーから初のリリースとなる作品。前作「LiFE and DEATH」はベスト10入りしたものの初動わずか6千枚でしたが、本作は初動2万2千枚と大幅アップ。文句なしのベスト10入りとなりました。

6位には女性ソロシンガーMay J.「Love Ballad」がランクインです。前作「Summer Ballad Covers」はJ-POPのバラードナンバーのカバーアルバムで、それに続く新作はタイトル通り、ラブバラードをテーマとしたコンセプトアルバム。初動売上1万8千枚は、その前作「Summer Ballad Covers」の初動4万6千枚より大きくダウン。ただ、前々作「Brave」は最高位57位だったことを考えると、十分すぎる結果と言えるでしょう。

7位初登場は765PRO ALLSTARS「THE IDOLM@STER 765PRO ALLSTARS+ GRE@TEST BEST! -SWEET&SMILE!-」。ゲームソフト「アイドルマスター」で使われたキャラソンの代表曲を集めたベスト盤の、先月リリースの作品から続く第2弾。初動売上1万6千枚は、その前作「THE IDOLM@STER 765PRO ALLSTARS+ GRE@TEST BEST! -THE IDOLM@STER HISTORY-」の初動1万4千枚から若干アップ。

8位にはヴィジュアル系バンドthe GazettEのニューアルバム「BEAUTIFUL DEFORMITY」がランクインしてきました。約1年ぶりのニューアルバム。初動売上は1万6千枚で、前作「DIVISION」の2万3千枚からダウン。ここ数作、3万8千枚→2万5千枚→2万3千枚→1万6千枚と推移しており、右肩下がりが続いているのが気になるところ。

最後2枚はいずれも洋楽。まずは9位にイギリスの男性ボーカルグループIL DIVO「A MUSICAL AFFAIR」がランクイン。初動売上は1万6千枚。前作「Wicked Game」は最高位11位初動7千枚だったので、大幅アップ。ベスト10入りは、日本独自企画盤だった前々作「アンダルシア~イル・ディーヴォ・ラヴ・ソングス」以来2作目。

そして最後10位に、アメリカの女性シンガーソングライターKaty Perry「Prism」が入ってきました。前作「Teenage Dream」から3年2ヶ月ぶりとなるアルバム。既にイギリスとアメリカでアルバムチャート1位を獲得するなど、本作も大ヒットを記録。日本でも2作目のベスト10ヒットとなりました。初動売上1万6千枚も、前作の1万5千枚から微増ながらもアップ。3年以上のインターバルがありましたが、その人気はまだまだ上昇中のようです。

そんな訳で、アルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2013年10月30日 (水)

33作連続の1位獲得

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週1位はKinki Kids「まだ涙にならない悲しみが」が1位を獲得。これでデビュー以来の1位獲得記録を33作に伸ばしました。

今回のシングルは、作詞松井五郎、作曲織田哲郎という、ベテラン勢による王道のJ-POP路線。一度聴いたら忘れられないサビのフレーズは、さすが織田哲郎らしいナンバーになっています。初動売上は17万8千枚で前作「変わったかたちの石」の12万3千枚から大きくアップ。ただし、いままでの初回盤+通常盤の2種というスタイルから、初回盤×2+通常盤(初回盤と収録曲が異なる)の3種リリースという販売形態チェンジによるところが大きいというのが悲しいところ・・・。

2位は水樹奈々×T.M.Revolution「革命デュアリズム」がランクイン。TBSテレビ系アニメ「革命機ヴァルヴレイヴ」オープニング・テーマ。かなりハイテンションのハードロック風ナンバーで、初動売上8万枚は、両者のコラボとしての前作「Preserved Roses」の11万5千枚よりダウンしていますが、相変わらずT.M.Revolutionの前作「FLAGS」の初動3万8千枚や、水樹奈々の前作「Vitalization」の6万1千枚よりアップしているという珍現象。両者の相性の良さをうかがわせます。このままだとしばらくこのコラボでのリリースが続きそう。

3位にはまた来ました!すっかりAKB48よりエゲツナクなってしまったEXILE「EXILE PRIDE~こんな世界を愛するため~」がまた圏外からランクアップ。今度はあらたに「CD SINGLE SPECIAL EDITION」が発売されたとか。曲名とは裏腹に、もう売るためならプライドも何もないんでしょうね。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位に西野カナ「さよなら」がランクイン。NHKテレビドラマ「ガラスの家」主題歌。ちょっと大人な雰囲気のミディアムテンポなナンバー。歌詞の内容が「ようやく会えた」とちょっと話題になっています(笑)。初動売上2万2千枚は、最高位14位だった前作「涙色」の1万8千枚よりアップし、2作ぶりのベスト10入り。

5位には人気女性声優三森すずこ「ユニバーページ」が入ってきています。軽快なガールズポップ。シングルとしては3作目でデビューシングル「会いたいよ...会いたいよ!」以来2作ぶりのベスト10ヒットで5位は自己最高位。初動売上1万2千枚は、最高位12位だった前作「約束してよ?一緒だよ!」の9千枚よりアップ。

8位初登場は女性アイドルグループTokyo Cheer2 Party「いいじゃん!」。和太鼓のリズムが入ったちょっと和風っぽいリズムのナンバー。メジャーデビュー2作目で、ベスト10入りも前作に続き2作目。ただ初動売上8千枚は前作「ガムシャラスピリッツ」の8千枚からダウン。

最後、10位にはくるり「Remember me」がランクイン。くるりらしい、郷愁感あふれるミディアムテンポなナンバーで派手さはないものの、ついつい惹きこまれる魅力があります。ベスト10入りは前作「everybody feels the same」以来2作連続。ただし、初動売上はわずか7千枚と、前作の9千枚よりダウン。うーん、またわずか7千枚でベスト10入りですか・・・今週も低水準な売上が目立つチャートになってしまっています。

そんな訳で今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2013年10月29日 (火)

ゴキゲンなロックンロールが復活!

Title:We Need Medicine
Musician:The Fratellis

2006年にリリースした「Flathead(邦題:気取りやフラッツ)」がiPodのCMソングに起用され一躍大ブレイクしたイギリスの3人組ロックバンド。その「Flathead」が収録されたデビューアルバム「Costello Music」は日本でもヒットしました。しかしその後、2ndアルバム「Here We Stand」をリリースしたものの2009年に活動停止を発表してしまいました。

ちなみに私、「Costello Music」は、年間ベストの2007年1位に選んだほどのお気に入り。それだけに2009年の活動停止はとても残念でした。しかし、なんと活動を再開!このほど7年ぶりとなるニューアルバムをリリースしました。

もちろん、私も心待ちにしてニューアルバムをチェック・・・・・・と言いたいところなのですが、不安半分、期待半分というのが正直なところ。というのも、2ndアルバム「Here We Stand」は、大ヒットしたデビュー作に続く新作ということで気負いすぎたのでしょうか。ちょっと音楽性の幅を広げた結果、少々チグハグになってしまいました。それから年月は経ったとはいえ、そこに続くアルバムということで少々不安にも感じたのは事実です。

しかし、今回のアルバムは1曲目「Halloween Blues」そして続く「This Old Ghost Town」でその不安を吹き飛ばしてくれます。とても軽快でポップ色の強いロックンロール。どこかルーツ志向も感じるバンドサウンドも耳を惹くサウンドに仕上がっています。

サウンド的には若干ヘヴィーで、「This Is Not The End Of The World」やタイトルナンバーである「We Need Medicine」みたいにハードロック志向、ポップなメロとあわせてともすれば産業ロック風?にすら感じる傾向があるのは、2ndアルバムからの流れでしょうか。個人的にはここらへん、もっとシンプルなロックンロール色の方が好みではあるのですが、ハードなサウンドもひとつのインパクトとなっています。

全編ポップでゴキゲンなロックンロールナンバーが並んだ今回のアルバム。雰囲気的にはデビューアルバムに近いものも感じますし、シンプルで聴いていてワクワクできる楽曲は、ロックという音楽が本来持っているエンタテイメント性をきちんと体現化したアルバムだと思います。

個人的には、1>3>>2な感じの出来。1枚目で気に入ったのなら、間違いなく今回のアルバムも気に入るはず。イギリスチャートでは、残念ながら最高位26位と、2位だった1枚目、5位だった2枚目に比べて少々低迷してしまった感は否めませんが、これだけ楽しいロックを奏でるバンドは少ないだけに、まだまだがんばってほしいところ。また来日してくれないかなぁ~。

評価:★★★★★

The Fratellis 過去の作品
Here We Stand

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2013年10月28日 (月)

鹿児島から世界へ

Title:カライモ・リンバ
Musician:サカキマンゴー

間違いなく「日本の音楽」のはずなのに、どこか遠い異国の音楽を聴いているような、不思議な気分になる不思議なアルバムがリリースされました・・・親指ピアノ奏者、サカキマンゴーの最新アルバムです。このアルバム、最大の特徴が全編、鹿児島弁によるアルバムということ。日本語のアルバムのはずなのに、対訳がついているという不思議なアルバムになっています(笑)。

なんでももともと、鹿児島のテレビ局がサカキマンゴーの作品の中から鹿児島弁の楽曲をピックアップし、企画盤を鹿児島県内限定でリリースしたいという提案を逆手にとって、全編鹿児島弁のアルバムを作りあげてしまったということだそうです。

しかし、日本の一方言ならば、部分部分で聞き取れてもよさそうですが、このアルバム、全編にわたって、全く意味が聴き取れません(笑)。これ、やはり鹿児島の方なら、若い方も含めてちゃんと聴き取れるのでしょうか。もともと、鹿児島弁は、第二次世界大戦中に暗号につかわれたというエピソードまである方言なのですが、どこか遠い異国の言語に聴こえてきます。そのため、間違いなく「邦楽」のはずなのですが、ワールドミュージックと同じ感覚で聴けるアルバムになっています。これがまたユニークで、日本という国の「広さ」を感じました。

今回のアルバムでは、比較的ゆっくりと聴かせるようなナンバーが多かったのも特徴的。親指ピアノの丸みのあるクリアな音色がとても幻想的な雰囲気になっています。またアレンジも、リバーブをかけたような空間を感じる作風が多く、さらに楽曲の幻想感を増すものとなっています。

この幻想的な空間に載ってくる歌詞が、これまた「聴いたことない不思議な言語」であるため、ある種のファンタジックな感覚を覚えたアルバムになり、これがまた魅力的。鹿児島出身の親指ピアノ奏者という立場の彼だからこそ産み出せる作品になっていました。

ちなみに、サカキマンゴーといえば、私もここ2年続けて足を運んだワールドミュージックのフェスティバル「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」と関係が深いミュージシャンですが、このアルバムでも「HAMA」「Small」では、そのスキヤキでのステージが収録されています。特に「HAMA」では、今年7月にわずか37歳で亡くなったジンバブエのミュージシャン、チウォニーソと共演。他にも合計6ヶ国のミュージシャンと共演しているそうで、鹿児島というローカルと、ワールドワイドなミュージシャンという対比もまたユニークな作品と言えるかもしれませんし、またこのようなその土地土地の文化を大切にしがならも、世界中の人たちと手をとって活動していく、というのがグローバル化の理想系かもしれませんね。

そんな訳で、サカキマンゴーらしい、とても魅力的なアルバムに仕上がっていました。「ワールドミュージック」にカテゴライズされるようなアルバムですが、メロディーは至ってシンプルでポップなので、普段、そういう音楽をあまり聴かない方も是非。お薦めです。

評価:★★★★★

サカキマンゴー 過去の作品
オイ!リンバ(サカキマンゴー&リンバ・トレイン・サウンド・システム)


ほかに聴いたアルバム

Resplendent/ストレイテナー

ストレイテナーの新作は5曲入りのミニアルバム。例のごとく、日本語英語混合の内容になっていて、比較的、日本語の曲はベタなJ-POP色が強いのに対して、英語の曲は洋楽色が強い内容になっています。とはいえ、冒頭を飾る「シンデレラソング」などは日本語詞ですが、迫力あるロックに仕上がっており、アルバム全体に期待をもたせるスタートに。しかし結局、最近のストレイテナーの楽曲と同様、バンドサウンドはそれなりにカッコいいものの、メロディーがインパクト不足というアルバムに。先日聴いたベスト盤で感じたのですが、彼らの初期の作品ってもっとポップでインパクトがあったんですが・・・残念です。

評価:★★★★

ストレイテナー過去の作品
Immortal
Nexus
CREATURES
STOUT
STRAIGHTENER
21st CENTURY ROCK BAND

THE RECORDING at NHK CR-509 STUDIO/ASIAN KUNG-FU GENERATION

今年4月、NHK BSプレミアム「ザ・レコーディング」で一発録りされた音源をCD化した作品。ベストな選曲で、いわばセルフカバーのベストアルバムとして楽しめそうなアルバムになっています。原曲に比べると、楽曲にかける意気込みから生まれてくるような緊張感は薄くなったような感じはします。ただその一方、そろそろベテランの域に入ってきた彼らだからこそ持ちえる余裕を感じ、それは演奏からもストレートに伝わってきました。アジカンの今を知ることが出来る良企画。「収録曲は全部持っているから」と見送ったとしたら惜しいアルバムだと思います。また、ベスト盤的内容なので初心者にも最適な1枚です。

評価:★★★★★

ASIAN KUNG-FU GENERATION 過去の作品
ワールドワールドワールド
未だ見ぬ明日に
サーフ ブンガク カマクラ
マジックディスク
BEST HIT AKG
ランドマーク

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2013年10月27日 (日)

僕たちのヒット曲 ふたたび その2

昨日に引き続き、日本の洋楽ヒット曲を集めたコンピレーションアルバム「僕たちの洋楽ヒット More DELUXE」の紹介です。

Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.5 1977-79

この時期の楽曲は、聴いていて全体的に軽く明るい雰囲気が強くなってきます。いまでも高い人気を誇るABBAの「That's Me」やELECTRIC LIGHT ORCHESTRA「Mr.Blue Sky」など、明るいポップソングが印象に残ります。また、一方ではFOREIGNER「Cold As Ice(邦題:つめたいお前)のような産業ロックと言われるような楽曲も出てきたり、DAVID GATES「Goodbye Girl」やPLAYER「Baby Come Back」のようなAORのナンバーも登場。いい言い方をすれば、明るくエンタテイメント色の強い作品が、悪い言い方をすれば、少々軽薄さを感じる楽曲が並んでいます。

時代的にベトナム戦争も終わって、冷戦も比較的緩和状態に入った時期だったそうで、こういう明るさはそういう時代を反映してのことでしょうか?ある意味、裏のないような明るさは、今の時代からすると少々うらやましさも感じないことはないのですが。

評価:★★★★

Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.6 1980-82

で、時代は80年代に突入。80年代というとイメージ的にはシンセを多用したポップソングが流れ、MTV全盛で、ポップスの巨大産業化が一気に加速し、というイメージがあるのですが、こういうアルバムで流してきくと、70年代後半から時代の流れとしては一環しているように感じました。

ただ、やはりいかにも80年代という曲はこのアルバムにも多く、RICK SPRINGFIELDの「Jessie's Girl」みたいな軽快なロックやARABESQUEの「In For A Penny,In For A Pound(邦題:恋にメリーゴーランド)のようなシンセポップはいかにも80年代という時代を感じます。

一方では、GRANDMASTER FLASH&THE FURIOUS FIVEの「The Message」ではラップが登場。80年代がスタートしたばかりですが、次の時代への萌芽を感じます。そういう意味でも時代を反映した、興味深いコンピでした。

評価:★★★★

Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.7 1983-85

おそらく一般的に80年代らしいと思われる曲が連続するのがこのアルバム。猫も杓子もシンセサイザーといった感じのシンセのサウンドが並んでいて、今から振り返ると、なんでそんなにシンセばかり使いたがったの?と思わなくもないのですが、そういう時代だったんでしょうね・・・。

個人的には、なにげにこの時代のフックを利かせまくりの突き抜けたようなポップソングってのは実は嫌いじゃないですし、80年代になると、子供の頃、無意識に聴いていた時代だったのでその記憶が根底にあるのか、ちょっと懐かしさも感じます。TERI DeSARIOの「Overnight Success」あたりは、私が好きな初期の渡辺美里を彷彿とさせるようなナンバーで結構好きだったりして。

似たようなシンセポップの連続にはちょっとうんざりもしますが、一方ではポップスの本来持っている「ワクワク感」を感じられる時代だったりして。そういう意味では個人的には70年代後半あたりに停滞したポップスが、ちょっと勢いを取り戻してきたようにも感じるアルバムでした。

評価:★★★★

Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.8 1986-89

そして80年代の最後を締めくくるのがこのアルバム。あいかわらずいかにも80年代なシンセポップが目立つ中で、BEASTIE BOYS「Fight For Your Right」やRUN-D.M.C.「Walk This Way」などのHIP HOPが登場してくるのもこの時代です。

さらにGEORGIA SATELLITESの「Keep Your Hands To Yourself」のようなルーツ志向なサウンドは、ある種ルーツレスだった80年代のポップソングにはなかったような楽曲で、90年代のオルタナ系ロックへの流れも感じますし、一世を風靡したBOBBY BROWN「My Prerogative」の重低音を強調したようなリズムにも、次の時代への流れを感じます。

80年代っぽさを強烈に感じつつ、音楽的には確実に次の一歩へ時代は動いていることを感じさせるコンピで、それはそれでとても興味深いものを感じるコンピでした。

評価:★★★★

そんな訳で、全8作。ポップスが一番勢いがあったのが60年代後半から70年代前半で、70年代後半あたりに一度つまらなくなって、80年代は純粋なポップスにワクワク感を覚え、そして90年代へ、という流れは、「DELUXE」で感じたことと同じでした。

さすがに「DELUXE」に比べると、誰もが知っているヒット曲は若干少なくなったようにも感じます。それでも、その時代を反映した曲が並んでいて、おそらくリアルタイムに聴いていた方にとっては懐かしさを感じるコンピなんでしょう。後追いで聴いても、魅力的なポップソングが多く収録されていました。

個人的にはこのシリーズ、そろそろ90年代も、とも思うのですが・・・90年代になると、J-POP全盛で、洋楽のヒット曲が少なくなってくるので難しくなってくるのでしょうか?ただ、音楽的には、80年代より90年代の方がおもしろいと思うのですが・・・。

僕たちの洋楽ヒットDELUXE Vol.1~4
僕たちの洋楽ヒットDELUXE Vol.5~8
僕たちの洋楽ヒットMore DELUXE Vol.1~4

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2013年10月26日 (土)

僕たちのヒット曲 ふたたび

昨年リリースされた、日本で昔ヒットした洋楽ナンバーを網羅的に収録したオムニバスアルバム「僕たちの洋楽ヒットDELUXE」。このサイトでも紹介しましたが、今年、そのオムニバスアルバムの続編とも言える「僕たちの洋楽ヒット More DELUXE」が8枚同時リリース。昨年に引き続き、さっそく聴いてみました。

Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.1 1955-63

「DELUXE」の時と同じく、エルヴィス・プレスリーでスタート。エルヴィス・プレスリーの登場で、ロックという音楽が一気に知名度を広げ、若者の間への音楽熱が広がり、ポップミュージックが一気に勢いづいたということを考えれば、エルヴィスからスタートという点に、コンピ盤のこだわりのようなものを感じます。

この時代は、ロックが花開く前夜。ELVIS PRESLEYの「Hound Dog」だけではなく、CHUCK BERRYの「Sweet Little Sixteen」、GENE PITNEY「Louisiana Mama」など、ロックンロールの走りともいうべき曲が並んでいます。一方ではTHE COASTERS「Poison Ivy」やBEN E.KING「Stand By Me」など、その後のソウルシーンの走りとなったような曲もあり、まさにロック、ソウルともに、いまにも一気に爆発しそうな、沸々とした雰囲気を感じます。

一方では、ロック誕生以前のおとなしいポップソングや映画音楽も多く、ここらへん、「DELUXE」の時と同様、様々なBGMなどで聴き馴染んだ曲が多いかも。「March From The River Kwai(邦題:クワイ河マーチ)なんか、聴いていて有名な替え歌が頭の中でグルグル回りだす人も多いかも(笑)。いろいろな意味で何かがはじまる予感するアルバムです。

評価:★★★★★

Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.2 1964-69

で、Vol.1の時に沸々とわきあがっていたロックやソウルの流れが一気に花開いたのがこの時期。ロックの方面では、BOB DYLANの「Like A Rolling Stone」やTHE YARDBIRDS「For Your Love」が収録。一方、ソウルではARETHA FRANKLIN「Respect」、WILSON PICKETT「Land Of 1000 Dances(邦題:ダンス天国)といったスタンダードナンバーが収録されており、かなり豪華な内容になっています。

ただ、ソウル勢がアレサやオーティスなどといった大物の曲も収録されている一方、ロック勢はちょっと寂しいような感じもしないでもないかも・・・。さすがにビートルズやストーンズはこの手のコンピに収録できないんでしょうね。でも、ボブ・ディランのレベルまで収録できるのなら、とは思ってしまうのですが。とはいえ、その点を差し引いても60年代後半のポップスシーンの充実ぶりが十分伝わってくるコンピになっています。

評価:★★★★★

Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.3 1970-72

この手のオムニバスアルバムにはお決まりのナンバーなのですが、GILBERT O'SULLIVANの「Alone Again(Naturally)」は本当に何度聴いても名曲だなぁ。この手のポップは大好きなんですよね~。

Vol.2から引き続いて、ロック、ソウルともに勢いを感じられる70年代初頭。GILBERT O'SULLIVANのようなポップなナンバーから、FREE「All Right Now」のような、その後のハードロックへの流れを感じる曲、SLY&THE FAMILY STONE「Family Affair」みたいなファンク、THE O'JAYS「Back Stabbers(邦題:裏切り者のテーマ)など、様々なバリエーションが一気に増えていくことを感じます。

一方ではHEDVA&DAVID「ナオミの夢」みたいな日本語で歌われた日本向けの「洋楽」が入っている点も、あくまでも「日本でのヒット曲」を収録したこのオムニバスらしい感じ。あと「She's My Kind Of Girl(邦題:木枯らしの少女)を歌うBJORN&BENNYは後のABBAなんだとか。ABBAの雰囲気とはかなり違うフォーキーな曲なのですが、メロディーのセンスの良さはこの時代から健在で、なかなかおもしろい楽曲に仕上がっています。

やはりこのオムニバスを聴くと、60年代後半から70年代初頭がポップスの黄金期だったなぁ、ということを感じます。もちろん、その後も名曲は数多く生み出されているのですが、様々なジャンルが一気に花開いたこの時期の曲は、このオムニバスの中でも一番の聴きどころのように感じました。

評価:★★★★★

Title:僕たちの洋楽ヒット More DELUXE Vol.4 1973-76

一般的に、80年代あたりのポップスについて低い評価をする評論家は少なくありませんが、個人的にポップスの勢いが失速してきたのはこのあたりからのように感じます。その理由としては、ロックやポップス、ソウルという音楽が広く普及するのに際して、徐々に広い層に受け入れられるため、様式化したりコンテンポラリー化してきたため。スケール感がある一方で、70年代初頭のような勢いは薄れてきたかなぁ、という感じが。「DELUXE」の時にもそういうことを感じたのですが、「More DELUXE」を聴きながらも、全く同じことを感じてしまいました。

ただ、そんな中、T.REX「20th Century Boy」は好きだなぁ。シンプルなギターリフ主導の、ロックンロールの影響をダイレクトに受けながらもポップなメロディーを奏でるスタイルは、90年代のグランジやオルタナ系のギターロックあたりに通じるものも。

評価:★★★★

Vol.5からVol.8のレビューは明日に!

僕たちの洋楽ヒットDELUXE Vol.1~4
僕たちの洋楽ヒットDELUXE Vol.5~8

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2013年10月25日 (金)

ディープなソウルだけど

Title:SOUL DEEP:DELUXE EDITION

Souldeep

今回紹介するアルバムは、タイトル通りディープなソウル、要するに60年代70年代のソウルのうち、一般的にあまり知られていないような名曲を集めたコンピレーションアルバム。もともとは1972年に先日亡くなった、音楽評論家で日本におけるソウル・ミュージックの第一人者、桜井ユタカ氏が監修して発売された、3枚のコンピレーションアルバム。そのコンピレーションアルバムをもとに47曲を音楽評論家の鈴木啓志氏により編集し、CD化したのが今回紹介するコンピレーションアルバム。もともと、「BLUES&SOUL RECORDS」で紹介されていてはじめて知り、さっそく購入して聴いてみました。

知る人ぞ知る的なディープなソウルサウンドが収録されたアルバムですが、内容は決して一般に知られているようなヒット曲に全くひけ劣りません。もっとも、参加ミュージシャンにはAretha FranklinやらBen E.KingやらJames Carrやら有名どころの知られざる曲もチラホラ入っており、内容的に聴きどころを押さえないと楽しめない、的なマニアックな内容ではなく、ディープという名前ですが、ライトなソウル好きにも十分楽しめる内容でした。

全体的には、選曲にはバラードナンバーが多く、正直ちょっと様式化しちゃっているかなぁ、なんて思う曲もないことはなかったのですが、それでもやはり聴き込めば聴き込むほどその魅力にはまっていく曲が多く、そんな中でやはり際立っていたのがAretha Franklinの「My Song」。これが初CD化のようですが、いままで埋もれていたのが不思議になるような名曲のバラード。文句なく、一発で心つかまされてしまいました。

他にも個人的に感情こもったボーカルが魅力的なClarenece Carterの曲は全体的によかったなぁ。Hoagy Landsの「Baby Come On Home」やLeon Haywoodの「Clean Up Your Own Backyard」なども曲はもちろん、ミュージシャン名もこのコンピではじめて聴いたのですが、特に気に入りました。そして最後を締めくくるThe Soul Clanの「Soul Meeting」が圧巻。Solomon BurkeやBen E.Kingなど、実力派シンガー5人が集まったユニットだそうですが、そのパワフルなボーカルは、このアルバムの中でも圧倒的でした。

ちなみにCDは7インチレコードサイズ。中には選曲した鈴木啓志氏による熱のこもった解説もあり、こちらを読みながら楽しめるアルバムに。上にも書いた通り選曲はディープかもしれませんが、決してマニアでないと楽しめないアルバムではなく、普通に良質なソウルミュージックを聴く感覚で楽しめる作品。きっと1曲2曲お気に入りに出会えるはず。

販売はワーナーミュージックダイレクトのみで、そういう意味でもちょっと敷居が高いかもしれませんが、ソウル好きなら間違いなく気に入るアルバムだと思います。文句なし、要チェックです。

評価:★★★★★

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名古屋圏フェス・イベント情報(10/25)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。そろそろ秋フェスの季節も終わりに近づいています。今年残るイベントもあとわずか・・・。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

10/25 主な更新
・森、道、市場~川へ、旅へ~ 中止
・idol wave 2013秋 第3弾出演者発表
NAGO-STEP!!!3D、響の森CAMP2013、浜松ブルースフェスティバル2013 終了

10月

ハママツ・ジャズ・ウィーク
http://jp.yamaha.com/sp/events/hjw/

日時 10月19日(土)~27日(日)
会場 静岡県浜松市・アクトシティ浜松 他
アクセス JR東海道線浜松駅下車 他
出演者 ジュニア・マンス・トリオ、綾戸智恵、熱帯JAZZ楽団 他
チケット代 7,000円他(ヤマハ・ジャズ・フェスティバル) イベント毎にチケット要

【都市型】【ジャズ】【洋楽】
豪華なメンバーが出演するコンサートから、無料のストリートライブまで、様々なイベントが開催されます。
行きたい度 ★★★

森、道、市場~川へ、旅へ~
http://mori-michi-ichiba.info/

日時 10月26日(土)27日(土)
会場 愛知県岡崎市康生町乙川河川敷
アクセス 名鉄名古屋本線東岡崎駅、岡崎公園前駅、愛知環状鉄道 中岡崎駅 下車徒歩
出演者 スチャダラパー、OGRE YOU ASSHOLE、、KIMONOS、YOUR SONG IS GOOD、□□□、0.8秒と衝撃 他
チケット代 前売 1,400円 当日 2,000円 他

【ロック系】【野外】【キャンプ】
今年5月に開催した「森、道、市場」が、早くも開催。さらに今回は、会場を蒲郡の山の中から岡崎の川辺に変更。さっそくミュージシャンも発表になり、今回も期待できそう・・・。
行きたい度 ★★★★★
⇒残念ながら中止になりました。

11月

岡崎ジャズストリート2013
http://okazakijazzstreet.com/index.htm

日時 11月2日(土)3日(日)
会場 岡崎城二の丸能楽堂 他
出演者 向井滋春カルテット、平賀マリカ、森山威男カルテット、花岡詠二スヰング・オールスターズ 他
チケット代 前売 単日券 4,000円 両日券 7,000円 他

【ジャズ】【都市型】
今年も岡崎ジャズストリート開催決定。市内14箇所の会場で、2日間にわたり、様々なジャズプレイヤーが音を奏でます。おそらく東海地区では最大規模のジャズフェス。
行きたい度 ★★★

idol wave 2013秋
http://www.tv-aichi.co.jp/idolwave/2013au/

日時 11月10日(日)
会場 名古屋市中区久屋大通公園
アクセス 地下鉄名城線矢場町駅下車
出演者 LinQ、OSU、小桃音まい、dela 他
チケット代 前売 3,000円 当日 4,000円

【アイドル】【野外】【都市型】
GWにも開催したアイドルフェスの秋バージョン。地元アイドルを中心に、様々な女性アイドルグループが登場する模様。
行きたい度 

ピーストライブ2013
http://peacetribe.info/

日時 11月16日(土)
会場 愛知県岡崎市岡崎公園
アクセス 名鉄名古屋本線東岡崎駅下車、JR東海道線中岡崎駅下車 徒歩
出演者 GOCOO、A Hundred Birds Trio feat. TeN、宮内優里 他
チケット代 3,500円 他

【野外】【都市型】
「こどもも大人も楽しめる」をテーマとした音楽フェスティバル。ライブだけではなく、ワークショップや映画の放映も行われる模様。参加ミュージシャンは、野外に映えそうな、トライバル系がメインかな?
行きたい度 ★★★

GRANDLINE2013
http://grandline.radcreation.jp/

日時 11月17日(日)
会場 愛知県名古屋市中区ダイアモンドホール、アポロシアター 他
アクセス 地下鉄東山線新栄駅下車 他
出演者 B-DASH、GLORY HILL、BiS 他
チケット代 前売 4,000円 当日 4,500円

【パンク系】【ライブサーキット】【都市型】
新栄近辺のライブハウスで実施されるライブサーキット。パンク系が主体。主催者は、7月に行われた無料ライブイベント「FREEDOM NAGOYA」と同一。有名どころからこれからのミュージシャンまで、かなりの数のミュージシャンが参加しています。
行きたい度 ★★★

伊賀忍者音楽祭=弐=
http://www.igarock.com/

日時 11月23日(土)
会場 三重県伊賀市青山グラウンド
出演者 スグナシ、Indus&Rocks、志人&スガダイロートリオ
チケット代 前売 2,000円 当日 2,500円

【野外】
昨年は9月に開催された伊賀忍者音楽祭が、今年は11月に、会場も移して開催決定。今年はジャズやソウル、オーケストラなど、ジャンルに拘らないラインナップになるということ。
行きたい度 ★★★

以下、「終了したフェス・イベント」「今年中止となったフェス・イベント」「実施未定のフェス・イベント」「来年の開催が決定したフェス・イベント」です。

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報(10/25)"

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2013年10月24日 (木)

今週も低水準のアルバムチャート・・・

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週1位はジャニーズ系。関ジャニ∞「JUKE BOX」が1位を獲得しています。オリジナルフルアルバムでは6枚目となるアルバム。初動売上32万2千枚は、昨年10月にリリースしたベスト盤「8EST」の29万8千枚、オリジナルとして前作「FIGHT」の25万3千枚よりアップしています。

そしてそれに続く2位にはPaul McCartney「NEW」が入ってきました。ポール・マッカートニーは・・・・・・と説明するまでもないでしょう。アルバムのベスト3入りは1982年の「Tug Of War」以来31年ぶり(!)。現在71歳の彼ですが、この年齢でのアルバムベスト3入りは、邦楽洋楽通じて、史上最年長だそうです。イギリスではチャート3位を記録しており、本国よりも順位が上という結果になっています。

参考:【オリコン】P・マッカートニーが70代初、歴代最年長アルバムTOP10

ちなみに初動売上2万2千枚は、最高位13位だった前作「Kisses on the Bottom」の1万枚より倍増以上。ベスト10入りも2002年のライブアルバム「Back in the U.S.」の最高位4位以来となりました。これだけ大ヒットした理由は、もちろん11月から予定されている来日公演の影響でしょう。その変わらぬ人気の高さを実感した結果になっています。

3位には先週返り咲きで1位を獲得したSuperfly「Superfly BEST」が今週もベスト10入り。売り上げは1万8千枚で先週の3万枚からダウン。ただ、今後もロングヒットが期待できそう。

続いて4位以下の新譜ですが、4位に男性シンガーソングライター秦基博「ひとみみぼれ」が入ってきています。「一目惚れ」ならぬ「一耳惚れ」という訳ですね。彼の代表曲を自ら選んだセレクションアルバムだそうです。初動売上1万7千枚は、前作「Signed POP」の2万1千枚からダウン。ベスト盤的なアルバムですが、初動ダウンはちょっと厳しい結果。

7位には韓流。男性アイドルグループSHINeeの韓国でリリースされたミニアルバム「Everybody」の輸入盤がランクインしてきています。初動売上は9千枚。輸入盤でのランクインは、8月にリリースした「The misconceptions of us」の最高位17位初動4千枚以来。ただし、こちらのアルバムは過去にリリースした2枚のミニアルバムをまとめたもの。その前にリリースしたミニアルバム「Why So Serious? - The misconceptions of me」は初動8千枚でしたのでそちらよりは微増という結果に。

8位初登場はDOG in Theパラレルワールドオーケストラ「Doggy StyleIII」が獲得。完全に初耳のバンドなのですが・・・なにげにこれがメジャー6枚目となるヴィジュアル系バンド。これがはじめてのベスト10ヒットとなりました。

初登場最後は9位。TBS系アニメ「キルミーベイベー」で使われた楽曲を集めたベスト盤「ベストアルバムCD キルミーベイベー・スーパー」がランクインしています。

今週の初登場は以上でしたが、今週、10位にランクインしたのが西野カナのベスト盤「Love Collection~mint~」でしたが、売上はわずか5千枚!先週も10位にランクインしたBBQ CHICKENSがわずか5千枚でベスト10入りしましたが、先週に続き低水準のチャートとなっています。確かに、ここ最近、大物のアルバムリリースが少ないのですが・・・それにしても、このチャートの売上は・・・。

ちょっと悲しい気持ちになりつつ、今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2013年10月23日 (水)

久々のK-POP1位

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャート1位はK-POPが獲得。

今週のシングルチャート1位を獲得したのは韓国の男性アイドルグループ2PM「Winter Games」でした。シングルチャートでの1位獲得は自身初。ただし初動売上は10万8千枚は前作「GIVE ME LOVE」の13万7千枚からはダウンしています。

ここ最近、一時期と比べてブームは一段落した感のある韓流人気。日韓関係の冷え込みもあり、一部の熱心なファンがついてそれ以外の層への広がりがなくなったように感じます(まあそれはアイドルやヴィジュアル系、アニソン系も同じなのですが)。それもあってか、K-POP勢の1位獲得は久しぶり。シングルでは1月28日付チャートで東方神起「Catch Me-If you wanna」以来今年2度目という、K-POP勢久々の1位獲得になりました。

2位はAKB48からのソロ。柏木由紀「Birthday wedding」がランクイン。バースディソングとウェディングソングのイイコトどりを狙った感じですが、メロディーは平凡。リクルート「ゼクシィ」CMソング。初動売上6万5千枚は、ソロデビュー作である前作「ショートケーキ」の10万4千枚から大きくダウン。

3位にはロックバンドRADWIMPS「五月の蝿」がランクイン。初動売上は4万3千枚で、前作「ドリーマーズ・ハイ」の2万5千枚から大幅アップ。ここ最近、下落傾向が続いていましたが、一気に持ち直しました。今回の新曲は歌詞の過激さがかなり賛否を呼んでいるようです。12月には久々となるニューアルバムのリリースも予定されています。

続いて4位以下初登場ですが、今週もアイドルグループが並んでいます。まず珍しく男性アイドルグループDISH//「晴れるYA!」が4位にランクイン。スターダストプロモーション所属のアイドルグループで、一応バンドスタイルらしく、この曲もいかにもアイドルソングっぽい軽快なポップスロック。初動売上2万8千枚は、メジャーデビュー作の前作「I Can Hear」の1万5千枚からアップ。

一方女性アイドルグループは7位にDorothy Little Happy「ASIAN STONE」、9位にPASSPO☆「Growing Up」がそれぞれランクイン。Dorothy Little Happyは仙台在住のローカルアイドルでこれが2作目のベスト10ヒット。初動2万1千枚は前作「colorful life」の1万7千枚よりアップ。楽曲は前作同様、90年代前半のガールズポップといったメロディアスな楽曲。PASSPO☆の新曲もどこか90年代テイストの爽快なガールズポップ。初動売上1万7千枚は、最高位12位だった前作「妄想のハワイ」の1万2千枚よりアップで、2作ぶりのベスト10入りとなりました。

他にも今週は多くの新譜が。5位にはポルノグラフィティ「東京デスティニー」がランクイン。軽快なホーンも入り、ちょっとキャバレーロックの雰囲気もある歌謡曲風のナンバー。初動売上2万4千枚は前作「青春花道」の2万7千枚からダウン。11月にこの曲も収録されたベスト盤「ALL TIME SINGLES」をリリースする影響も?

8位にはEXILE ATSUSHI&久石譲「懺悔」が入ってきています。EXILEのATSUSHIと、スタジオジブリ映画や北野武監督の映画への楽曲提供でも有名な久石譲のコラボ曲。ピアノとストリングスの静かな和風情緒を感じるバラードナンバー。初動売上1万8千枚は、EXILE ATSUSHIソロの前作「道しるべ」の2万4千枚からダウン。

新曲の初登場最後は10位人気声優谷山紀章率いるロックバンドGRANRODEO「The Other self」。楽曲は、完全に90年代どころか80年代からヒットチャートでよく見かけるタイプのビートロック。テレビアニメ「黒子のバスケ」オープニングテーマ。初動売上1万6千枚は前作「偏愛の輪舞曲」の1万2千枚からアップしています。

さて、今週は新曲以外にもう1曲返り咲き曲が。それが今週6位に入ってきたHALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA「HALLOWEEN PARTY」。L'Arc~en~CielやVAMPSで活躍するHYDEを中心に結成されたハロウィン限定バンドによる楽曲で、昨年もヒットを記録しましたが、2013年版として再リリースされ、再度ベスト10入りしてきました。去年のバージョンに加えて、HYDEが全てのボーカルパートを網羅した「-feat,HYDEヴァージョン」やミュージックビデオを追加したもの。今週の売り上げ2万2千枚は、昨年10月29日付の初動売上5万6千枚と比べて健闘したといっていい感じでしょう。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2013年10月22日 (火)

伝説のユニットのデビュー作

Title:FURTHER ALONG-20th anniversary mix-
Musician:Spiral Life

後にAIRとして活動する車谷浩司と、最近ではもっぱらプロデューサーとして活動を続ける石田小吉(現在は石田ショーキチ)。その2人が1993年に結成したユニットがSpiral Life。その頃既にBAKUというバンドを解散させた直後で人気も高かった車谷の新バンドとして注目を集めました。

(本人たちは否定していましたが)その頃一種のブームとなっていた「渋谷系」のミュージシャンとして捉えられることの多かった彼ら。徐々に人気を集めていたのですが、2人の音楽性の違いが鮮明となり、わずか3年、3枚のオリジナルアルバムをリリースし、1996年の横浜アリーナでのライブを最後に解散してしまいました。

その後の両者の活躍はご存知の通り。それだけに後追いでSprial Lifeというミュージシャンを知った方も少なくないのではないでしょうか。かく言う私も、リアルタイムでSpiral Lifeという名前は一応知ってはいたものの、ちゃんと音源を聴いたのは解散後のベスト盤が最初。そしてこのたびリリースされたのが、デビューアルバム「FURTHER ALONG」のリリース20周年を記念してリリースされた新バージョン。メンバーの石田ショーキチが、あらためてミックスダウンしたアルバムだそうで、今回のアルバムではじめて彼らのデビューアルバムを聴きました。

Spril Lifeの最大の魅力は、車谷、石田という個性の異なるミュージシャンの絶妙なバランスの上に成り立った至極のポップサウンドだと思います。両者、ビートルズのようなポップソングを軸足にした共通点はあるものの、車谷はヘヴィーなバンドサウンド、石田はエレクトロサウンドも取り入れたようなよりポップなメロディーを志向しています。

このデビューアルバムから、そんな2人の音楽性の違いは明確にあらわれているように感じます。基本的に車谷作詞、石田作曲となっているのですが、「MOON RIDE~記憶の着陸~」あたりのギターサウンドには、その後のAIRの雰囲気がちらつきますし、「THE ANSWER」のようなエレクトロサウンドは、石田ショーキチのその後の音楽性につながっています。さすがに基本的には統一感はあるものの、音楽性の違いからわずか3年で活動に幕を下ろす彼らの萌芽は感じられます。

ただその一方、ヘヴィーな音楽性とポップでキュートなサウンドが絶妙なバランスの中で成り立っています。まさにこれこそがSpiral Lifeの最大の魅力。そして、このデビューアルバムは、ひとつの曲の中に、へヴィネスとキュートさが見事に両立しており、実に魅力的なポップソングが並んでいます。

ベスト盤レベルでは聴いたことある曲も多かったのですが、デビューアルバムをちゃんと聴いたのはこれがはじめて。デビュー時から、ある意味完成されたバンドだった、ということを感じます。逆にこれだけ完成されちゃっていたからこそ、徐々に両者の音楽性の違いが目立ってしまい、わずか3年で解散ということにもなったのでしょうか・・・。

20年も前の作品ながらも、今なお全く色あせることのない名盤。「渋谷系」で括られていたことも多い彼らですが、イギリスのギターロックバンドに強い影響を受けている彼らは、いまなら「ロケノン系」と呼ばれそう(苦笑)。ただ、ギターロックが好きなら間違いなく気に入るアルバム。Spiral Lifeというミュージシャンがもし初耳でも、これを機会に是非。

評価:★★★★★

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2013年10月21日 (月)

15周年のベスト盤

結成15年をむかえたロックバンドSHAKALABBITSが、ベスト盤を2枚同時にリリースしました。

Title:Rabbits,Rabbits,All the way 1
Musician:SHAKALABBITS

まず1枚目はファン投票により決定した上位20曲を収録したベスト盤になっています。

Title:Rabbits,Rabbits,All the way 2
Musician:SHAKALABBITS

で、同時リリースのもう1枚。こちらはメンバー選曲のベスト盤になっています。

SHAKALABBITSというバンド、175Rと組んで2002年にリリースした「STAND BY YOU!!」の大ヒットで一躍ブレイクしました。ただその後、雨後の竹の子のようにパンクバンドが次々とデビューし、いわゆる「青春パンク」のブームが訪れ、そのブームもあっという間に終息。SHAKALABBITSに関してもそんなバンドと共に、正直人気は一時期に比べると寂しいものであることは否定できません。

ただ個人的にはキライじゃないんだよなぁ、SHAKALABBITS(笑)。タイプ的には完全にかつてのレベッカ、LINDBERG、ジュディマリあたりから連なりそうなガールズポップスロックバンドの延長的なバンド。個人的にその流れが結構好きだった私にとっては、彼女たちの音は壺に近いものもあったりします。特に、その流れは、例えばSCANDALのようにアイドル路線が強くなってしまっている現在、彼女たちみたいな存在はある意味貴重にも感じます。

じゃあ彼らのことを手放しで絶賛し、無条件でお薦めできるか、と言われるとそれもちと微妙な部分があるのも事実で。確かにメロディーはポップでインパクトもあるものの似たようなタイプの曲が多くメロディーのバリエーションはいまひとつ。サウンドも平凡なパンクサウンドがほとんどで、決して面白みのある音を出しているかといわれると微妙な部分があります。

この2枚のベスト盤にしても、特にファン選曲による「1」にその傾向が明確にあらわれています。軽快でポップなナンバーの連続で、最初はそれなりに楽しめるものの、似た曲ばかりが並んでいるだけに最後には飽きが来てしまいました。

その点、メンバー選曲の「2」の方はそんな似た曲が多いという傾向を本人たちも気にしているのでしょうか、楽曲のバリエーションはグッと増えます。もっとヘヴィーなサウンドを前に押し出した楽曲があったり、カントリー風の音を入れた楽曲があったり、コミカルな雰囲気の曲もあったりと、彼らなりの挑戦がうかがえます。

そんなバリエーションのある楽曲がファン投票では選ばれず、ファン投票で上位に来たのは、典型的なSHAKALABBITSらしい曲ばかりという点、彼らにとってはジレンマを感じるのではないでしょうか。ただもっともSHAKALABBITSらしさからはなれたような曲は、バリエーションの豊富さを感じる一方、少々インパクトも薄く、シャカラビらしい個性という側面からは物足りなさを感じるのも事実。ここらへん、彼らにとってももどかしいところでしょうし、また、このあたりが、SHAKALABBITSが一時期に比べて停滞してしまった理由なのかもしれません。

もっともヒットした曲を中心に、ポップなナンバーはインパクトもあり十分楽しめ、私のようにガールズロックバンドが好きな方にとっては、その王道を行くような彼女たちの楽曲は、難しい理屈抜きで楽しめるのではないでしょうか。SHAKALABBITSという名前に懐かしさを感じる方や、ガールズロックが好きという方はチェックしてみてもいいアルバムかと。

評価:いずれも★★★★

SHAKALABBITS 過去の作品
SHAKALABBITS
4 ALL AGES
Phasemeter Trippin' Bug Shake
Condenser Baby
BRACKISH


ほかに聴いたアルバム

CM4/cornelius

国内外でcorneliusが手がけたリミックス曲を集めた作品集。Beastie Boysの「Make Some Noise」のようなHIP HOPから、三波春夫の「赤とんぼ」のような童謡まで、多岐にわたる仕事ぶりが耳を惹きます。アレンジも、彼らしさを感じるエレクトロな作品もありますが、基本的には楽曲ごとに様々な雰囲気の曲を聴かせてくれます。ただどの曲も音を選んで、決して必要以上に過剰にならないアレンジが印象的。その仕事ぶりには思わず聴きいってしまう魅力があります。

評価:★★★★★

cornelius 過去の作品
CM3
FANTASMA
「NHKデザインあ」

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2013年10月20日 (日)

大人なマニックス

Title:Rewind The Film
Musican:Manic Street Preachers

マニックスの3年ぶりとなるニューアルバム。今回のアルバムは、アコースティックテイストの強い、いままでのギターロックバンド、マニックスのイメージからちょっと違うアルバム、ということを事前の情報として入手していました。

正直、そういう事前情報もあり、今回のアルバムはあまり期待していなかったのですが、アルバムを聴きはじめて、そんな不安はあっという間にふっとびました。大丈夫、今回も実に魅力的なマニックスのアルバムに仕上がっています。

確かに出だしの「THIS SULLEN WELSH HEART」からアコースティックな作風ですし、タイトルナンバーになった「REWIND THE FILM」も、ストリングスを入れたムーディーな大人のポップスという雰囲気。「4 LONLEY ROADS」も、Cate Le Bonという女性ボーカルを起用し、優しい雰囲気のギタポに仕上がっており、マニックスのイメージからはちょっと異なるかもしれません。

ただ、インパクト十分な美しいメロディーラインというマニックスの特徴は本作でもしっかり健在。確かにダイナミックなバンドサウンドこそ出ていませんが、「SHOW ME THE WONDER」なんかは間違いなくマニックスらしさが出ていますし、ラストを飾る「30-YEAR WAR」もしっかりとマニックスらしいロックなナンバーに仕上げています。

ダイナミックなバンドサウンドという部分に強く惹かれる方にとっては物足りなさも感じるかもしれません。しかし、その一方、メロディーの良さに関してはここ最近のマニックスの中でも一番の充実作のように感じました。地味な雰囲気のナンバーの中でしっかりと主張して心に残るメロディーは実に美味。アコースティックな作風に最初物足りなさを感じても、最後まで聴き通せば、きっとその魅力に気がつくはず。

今回私は輸入盤を購入したので歌詞の内容までは詳しくわからないのですが、邦題「映画を巻き戻して(=Rewind The Film)」というタイトル通り、過去を振り返るような、大人になったマニックスが垣間見れる内容になっているとか。2011年にはベスト盤もリリースした彼らが、デビュー以来ひとつの区切りをつけたアルバムと言えるのかもしれません。

もっとも、雑誌のインタビュー記事によれば、バンドサウンドを前面に出したロックなナンバーも既に用意できており、来年春にはリリースするんだとか。このアルバムを聴く限りでは今勢いも感じられる彼らなだけにそちらおアルバムもとても楽しみです。

評価:★★★★★

MANIC STREET PREACHERS 過去の作品
Journal For Plague Lovers
POSTCARDS FROM A YOUNG MAN
NATIONAL TREASURES-THE COMPLETE SINGLES

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2013年10月19日 (土)

日本を代表する名盤

昨年リリースしたベスト盤が大ヒットを記録し、その変わらぬ人気のほどを見せつけた山下達郎。今年は2枚のアルバムのリマスター再発盤がリリースされました。

Title:MELODIES(30th Anniversary Edition)
Musician:山下達郎

まずこちらは1983年にリリースされた7作目のオリジナルアルバム。山下達郎を代表するアルバムどころか、「日本の名盤」なる企画が行われた時にはよく選ばれる、まさに日本のポップスシーンを代表する名盤。あの「クリスマス・イブ」が収録されていることでも知られています。

・・・・・・って偉そうなウンチクをたれていますが、実は私、このアルバムを聴いたのは今回がはじめて(^^;;今回、30周年記念盤がリリースされたのをきっかけ聴いたのですが・・・いや、まじすごいや、このアルバム。もともとポップス職人として楽曲のクオリティーには定評の高い彼ですが、そんな彼の脂ののりきったアルバム。楽曲のキレの良さ、勢いが半端ではありません。

1曲目「悲しみのJODY(She Was Crying)」から、爽やかな風が吹く抜けるようなサウンドが流れる中、楽曲はメロディアスながらも胸をかきむしられるような切ないポップがたまりません。そしてその勢いのまま、彼の代表曲「高気圧ガール」へ。もう、この展開だけでやられてしまいました。

爽やかなポップソングの中に、ちょうどよい塩梅で配分されているソウルやファンクなどブラックミュージックの要素もまた絶妙。単なるポップソングではない楽曲の厚みもたまりません。中盤以降はしんみりメロウなナンバーが並ぶ中、最後に登場するのは名曲「クリスマス・イブ」。なんともいえない、最高の締めくくりです。

ちなみに30周年記念盤はその後ボーナストラックが収録。こちらはファンズアイテム的のおまけといった感じ。「クリスマス・イブ」のコード違いなんかはなかなかユニークで、アルバムの解説でも書かれているように、話のネタとして楽しめそう。

さて、アルバムの内容自体もさることながらも、このアルバムで気持ちよかったのは音の良さ。彼の爽やかなポップソングがより際立たせているサウンドは、非常にクリアで抜けの良いものに感じました。特に、1つ1つの音がクリアに聴こえてくるのが印象的でさすが音にこだわる山下達郎ならでは。すいません、これがはじめて聴くアルバムなので過去に発売されたバージョンとの比較は出来ないのですが・・・この音の良さはさすがといった感じでした。

ちなみに歌詞カードには山下達郎本人による1曲1曲の解説がついており、これを読みながらも楽しめる内容に。ベスト盤でも1曲1曲解説していたけど、基本的に語りたがりなんでしょうね。こういう点もオタク気質だ(笑)。

評価:★★★★★

で、同時にリリースされたのが、こちらのアルバム。

Title:SEASON'S GREETINGS(20th Anniversary Edition)
Musician:山下達郎

こちらは1993年にリリースされた、全曲クリスマスソングからなる企画盤。1993年といえば、私は既にポピュラーミュージックを聴きはじめていた頃で、91年にリリースした「アルチザン」もリアルタイムで聴いていたのですが、このアルバムは正直聴いた記憶がない・・・・・・当時はまだ山下達郎の良さがいまひとつわからなかったので、企画盤ということもありスルーしたのかなぁ。

内容は、クリスマスソングのスタンダードナンバーを中心に、ある曲は一人アカペラで、またある曲はオーケストラアレンジで収録。これからの季節(といってもまだちょっと先ですが)、部屋でのんびりと聴きたいアルバムです。

彼のアルバムなので当たり前なのですが、曲の作りこみ方が半端なく、重厚な一人アカペラはもちろんですが、オーケストラアレンジの曲も必要以上にベタにならず、さらりと聴かせてくれるのはさすが。

企画盤ですが、ちゃんと山下達郎のアルバムとして仕上がっているのは言うまでもありません。こちらはあまり「名盤」みたいに取り上げられるケースは少ないかもしれませんが、文句なしに「名盤」と言えるだけの傑作だと思います。

この2枚のアルバムと昨年のベストで、ここ最近、ちょっと山下達郎にハマリ気味(^^;;いまさら感は否めないのですが(笑)。

評価:★★★★★

山下達郎 過去の作品
Ray of Hope
OPUS~ALL TIME BEST 1975-2012~

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2013年10月18日 (金)

期待の新人バンドの復帰作

Title:公園デビュー
Musician:赤い公園

個人的に、今最も注目している新人バンドのうちの一組、赤い公園。昨年2月に2枚のミニアルバムでメジャーデビューし大きな注目を集めたものの、その後、ギターの津野米咲の体調不良により活動休止となりその行方が心配されていました。

しかしその後無事に活動再開。このたびリリースされた待望のメジャーデビューフルアルバムが本作です。

昨年リリースされた2枚のミニアルバムでは、最初にリリースされた「透明なのか黒なのか」ではポストロック、アバンギャルドな側面が強く強調されたアルバムで、続けてリリースされた「ランドリーで漂白を」ではポップな側面が強調されていました。いわば赤い公園というバンドの二面性を2つのアルバムで表現した内容になっていました。

対して今回のアルバムは、そんな赤い公園の二面性をひとつのアルバムで表現しています。最初の「今更」から、ポップなギターロックかと思えば癖の強いリズムとギターサウンドが独特な雰囲気をかもし出していますし、「のぞき穴」も、ヘヴィーなサウンドが特徴的なロックチューンになっています。

かと思えば「交信」は爽やかなサウンドが心地よいポップソングになっていますし、続く「体温計」はピアノと歌のみで構成された作品に。後半の「カウンター」なども、パンキッシュなサウンドに対してメロはポップな楽曲に。ここらへんは赤い公園のポップな側面が存分に発揮されています。

一方では「急げ」ではタイトなバンドサウンドに、ロックバンドとしての演奏力の高さを感じますし、最後の「くい」などは、ちょっと幻想的なスタートから、後半、ポップなギターロックへ展開していく彼女たちの二面性を融合させたようなナンバーに。アルバム全体わずか30分程度の長さながらも、様々な音楽性のつまった最後までその展開から耳をはなせないアルバムになっています。

まさに期待の新人バンドがその期待に応えてくれた傑作アルバムに仕上がっていました。ただその反面、非常に惜しいアルバムにも感じました。例えばバンドサウンドにしても、そのサウンドだけに惹きつけられるような魅力がある一方、もう一皮むければ、聴くだけで鳥肌が立つような迫力あるサウンドを奏でられるような予感もします。メロディーも今でも十分インパクトあるのですが、その先には、ロックシーンを代表するアンセムを産み出せそうな予感もあります。

要するに、さらに成長した年間ベストどころか10年間で数枚レベルの傑作を産み出せそうな予感がありながらも、そこにたどりつけないもどかしさも感じるアルバムでした。そういう意味では、これから次第ではとんでもない傑作を産みだしてくれるかも・・・。これからがマジで目の離せないバンドです。

評価:★★★★★

赤い公園 過去の作品
透明なのか黒なのか
ランドリーで漂白を

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名古屋圏フェス・イベント情報(10/18)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

10/18 主な更新
・円頓寺秋のパリ祭、やらまいかミュージックフェスティバル、KAZOKU FES.2013、Mt.Ena Rock Festival、TOYOTA ROCK FESTIVAL 2013、今池"遊覧"音楽祭 終了

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2013年10月17日 (木)

こちらも低水準のチャート

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートに続きアルバムチャートも、かなり売上枚数の寂しいチャートになっています。

まず1位には、先週2位だったSuperfly「Superfly BEST」がランクアップし、2週ぶり2週目の1位獲得となりました。ただ売上は3万枚。先週の売上7万枚からは大きくダウンしています。

2位は先週1位のPerfume「LEVEL3」がこの位置に。先週の1位2位が入れ替わる結果となりました。

初登場最高位は3位。今井美樹「Dialogue -Miki Imai Sings Yuming Classics-」が入ってきました。今井美樹が松任谷由実(荒井由実)の名曲をカバーしたカバーアルバム。アルバムまるごと、誰か他のミュージシャンのカバーというスタイルは決して珍しくないかもしれませんが、まだ現役バリバリ第一線で活動しているミュージシャンを取り上げてのカバーというのは珍しいような。初動売上は2万2千枚。前作はベスト盤「Miki's Affection アンソロジー 1986-2011」は最高位14位初動1万枚だったので、こちらより大きくアップ。ベスト10入りは2004年にリリースしたベスト盤「Ivory III」より9年ぶりとなります。ここ最近、オリジナルアルバムではベスト10どころか直近の「corridor」は最高位61位と悲惨な結果になっていただけに、ユーミンの名前に載っかかったとはいえ、久々「今井美樹」の名前をアピールできる結果に。

続いて4位以下の初登場ですが、4位には韓国の男性アイドルグループBIGBANGのメンバーV.Iの日本でのソロデビューアルバム「LET'S TALK ABOUT LOVE」がランクインです。BIGBANGメンバーの日本でのソロデビューはD-LITE、GD&TOPに続く3組4人目。アルバムはD-LITEに続いて2人目で、ただ初動1万9千枚は、D-LITEの「D'scover」初動3万5千枚より大きく下げる結果になっています。

5位には「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Cute jewelries! 001」が入ってきています。先週もアルバムがベスト10入りしてきたゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」のキャラクターソングを収録したミニアルバム。初動1万3千枚は先週ランクインした「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Passion jewelries! 001」の8千枚よりアップしています。

6位初登場はT.M.Revolution「GEISHA BOY-ANIME SONG EXPERIENCE-」。彼の曲の中からアニメ関係の曲をまとめた企画盤。もともと8月にアメリカで行われたイベント「OTAKON 2013」の会場限定でリリースされたアルバムだったそうですが、日本でも発売になりました。初動売上は8千枚。直近作は、これまた企画盤。セルフカバーアルバム「UNDER:COVER2」で初動3万2千枚から大幅ダウン。さすがにファンズアイテム的要素が強すぎたか。

9位には、今年6月に解散したビーイング系4人組バンドGARNET CROWのベスト盤「GARNET CROW REQUEST BEST」がランクイン。タイトル通り、ファンのリクエストにより選曲されたベスト盤。ただ初動売上は6千枚。通常ならベスト10入りは困難な売上なのですが、低水準のチャートのためにベスト10入り。直近作は5月にリリースしたベスト盤「THE ONE ~ALL SINGLES BEST~」の初動9千枚で、こちらからもダウン。さすがにベスト盤をリリースしすぎの感が。

そんな訳で、今週はベスト10の売上水準が非常に低いチャートになりました。新譜は少なくなかったのですが、確かに大物は少なかったかも・・・。10位に至ってはわずか5千枚。その10位に初登場してきたのはハイスタの横山健を主導に結成されたパンクバンドBBQ CHICKENS「Broken Bubbles」でした。

5枚目のオリジナルアルバムにして初のベスト10ヒット。ただし、前作「Crossover And Over」は最高位19位ながらも初動売上6千枚を記録。わずかとはいえ、前作を下回る結果になっています。まさに低水準のチャートに助けられてのベスト10ヒット。ちょっと寂しい結果になりました。

そんな訳で今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2013年10月16日 (水)

かなり低水準のシングルチャート

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のチャートは決して新譜が少ないわけではないのですが、10位がわずか7千枚という低水準のチャートになってしまいました。

そんな中、1位を獲得したのはジャニーズ系アイドルグループSexy Zone「バィバィDuバィ~See you again~」でした。初動売上14万4千枚は前作「Real Sexy!」の13万8千枚より若干アップしています。

2位はEXILEの弟分のボーカルユニットGENERATIONS from EXILE TRIBE「HOT SHOT」がランクインです。初動売上10万6千枚は、前作「Love You More」の7万4千枚からアップ。最近、AKB以上に複数枚売り戦略が露骨なEXILE関連ですが、今回も1枚500円の「MUSIC CARD」(カード記載のコードによって、音源ファイルがダウンロードできるカード)を発売し、7枚同時購入すると、全員分のサインがついてくる特典をつけたりして、かなり露骨な戦略が目立ちます。楽曲は、今風のEDMといった感じで、特に特色はない感じなのですが・・・。

3位にはSound Horizon「ハロウィンと夜の物語」が入ってきています。物語性の強いコンセプチャルな楽曲をリリースする同人音楽出身のミュージシャン。初動売上は4万6千枚。直近作は、同一ミュージシャンの別名義Linked Horizonの「自由への進撃」が、アニメ「進撃の巨人」テーマ曲というタイアップの良さから初動12万9千枚を記録しており、そこからは残念ながら大きくダウン。また、Sound Horizonとしての前作「イドへ至る森へ至るイド」の初動4万7千枚からも若干ダウンしています。

続いて4位以下の初登場です。4位初登場はMAN WITH A MISSION「database feat. TAKUMA(10-FEET)」。メンバー全員狼の姿をしていることでも話題のハードコアバンド。今回は、10-FEETのTAKUMAをフューチャーした、エレクトロ風でダンサナブルなナンバー。初動売上3万4千枚は、前作「Emotions」の3万枚からアップしています。

5位は韓流。男性アイドルグループB.A.P.「WARRIOR」がランクイン。ハードコアHIP HOPの要素を取り入れた楽曲で、「ワル」を気取った感じなのでしょうか?初動売上1万9千枚でいきなりのベスト10入り。ただ、ライブチケットにCDをつけたEXILE商法で枚数を稼いでいる模様で、韓流もなりふりかまわなくなっています・・・。

6位は、こちらは日本の女性アイドルグループさくら学院「顔笑れ!!」。これで「がんばれ」と呼ばせるようです。派生ユニットのBABY METALはベスト10ヒットを記録していましたが、本体の彼女たちは初のベスト10ヒット。初動売上1万枚は、前作「My Graduation Toss」の7千枚からアップ。

8位には、大塚愛「Re:NAME」が入ってきています。久しぶりに名前を聞いたのですが、シングルのリリースは3年ぶり。初動売上9千枚は、前作「I LOVE ×××」の1万枚から若干のダウンですが、3年のインターバルの割りには健闘した方かも。ちょっとメロウで大人の雰囲気のする聴かせるポップソングで、いままでの彼女のイメージからちょっと変わった感じになっています。

9位はアイドルグループアイドリング!!!からのソロ、横山ルリカ「Your Voice,My Life」。ソロ第2弾にして初のベスト10ヒット。マイナーコードのアップテンポナンバーは、いかにも一昔前のアイドル歌謡曲風。あるいはアニソン風。ただし、初動売上8千枚は12位に終わった前作「Walk My Way」の1万3千枚からダウンしています。

最後10位には山下達郎「光と君へのレクイエム」が入ってきています。映画「陽だまりの彼女」主題歌。ベスト10入りは2010年の「希望という名の光」以来、約1年半ぶりのヒットとなりました。ただし、初動売上7千枚は15位だった前作「愛してるって言えなくたって」から横バイ。こちらも低水準の今週のチャートに助けられてのベスト10ヒットとなっています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2013年10月15日 (火)

3枚目のベスト盤・・・

Title:POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
Musician:スキマスイッチ

今年デビュー10年を迎えるスキマスイッチのオールタイムベスト。でも「オールタイムベスト」といっても、いままでいろいろなレコード会社からのベストが乱発されていたわけでもないし、「オールタイム」も何もない気がするんですけどね。そもそもデビュー10年目にしてベスト盤が、セルフカバーベストの「DOUBLES BEST」を含めると3枚目という、少々乱発気味なのが気になります。

またこのアルバム、2枚組なのですが、うち1枚目は2007年にリリースしたベスト盤「グレイテスト・ヒッツ」とほぼ同内容。だったら、2007年に買ってくれたファンのためにも、DISC2のみの廉価版もリリースしてほしかったような(ただし、「グレイテスト・ヒッツ」には含まれない「藍」が追加されていますが)。

そんな訳で、今回のベスト盤、事実上、活動休止状態だった2008年を境に、それ以前の曲はDISC1、それ以降の曲はDISC2という構成になっています。そんな訳で、初期の作品と後期の作品を聴き比べられるわけですが、やはり残念ながら、あらためて聴くと初期の作品の方が名曲揃いのようなイメージが・・・。

もちろん、初期の作品の方がよりヒットして耳なじみある曲が多い、というのもひとつの理由かもしれません。ただ、DISC1とDISC2を比べると、昔の曲は、例えば「君の話」「キレイだ」のような、もっとファンキーな要素を入れたような曲があったのに対して、最近の曲は爽やかなイージーリスニング的なポップが増えてしまった点はちょっと物足りなさも感じます。

ただ、じゃあこの最近の曲が駄作揃いか、と言われるとそうでもなく、例えば「アイスクリームシンドローム」なんかは、友だちになってしまった女の子への片想いを綴った、KANの「言えずのI LOVE YOU」にも通じるような切ないラブソングの傑作があったりするから聴き逃せません。

そんな訳で、ベスト盤を通して聴くと、なんだかんだいってもやはりスキマスイッチは素晴らしいポップスミュージシャンだなぁ、ということを再認識するアルバム。とはいえ、やはりこのベスト盤乱発はいかんともし難い感じも・・・。次は、せめてあと10年後にしてほしいなぁ・・・。

評価:★★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

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2013年10月14日 (月)

壮大なスケール感

Title:Phoenix Rising LP
Musician:ROVO and System7

日本のトランスバンドROVOと、イギリスのテクノユニットSystem7のコラボアルバム。以前、同タイトルのアルバムをリリースしていましたが、こちらはお互いの曲をお互いがカバーするという企画盤。その後、両者のジョイントライブが行われ、その模様は配信限定でアルバムリリースされました。

ROVOとSystem7のコラボはそんな感じで以前から続いていただけに、両者が合体してひとつの曲を作り上げるアルバムが今回がはじめて、というのは逆にちょっと意外な感じ。11月からは台湾でのライブも含むコラボツアーもスタート。来年にはイギリスでもライブを行う予定ということです。

さて、そんな両者のコラボ作は、以前ライブ盤でも体験したのですが、基本的に今回のアルバムはそのライブ盤での雰囲気をそのまま引き継いだようなスタイルになっています。「Hinotori」では、勝井祐二奏でるエレクトリックバイオリンやROVOのバンドサウンドを主軸に、System7の打ち込みが重なりスペーシーな雰囲気を作り出しています。逆に続く「Love for the Phoenix」ではSystem7のトランシーなサウンドを主軸としてROVOのサウンドが重なる感じ。どちらもスペーシーなサウンドを持ち味にしているだけに、その相性はピッタリ。その音の持つ世界観を両者の音で増幅している、という印象を持ちました。

エレクトリックでトランシーなサウンドと、バンドサウンドが相互に折り合いながら様々なパターンをつくりあげているだけに、70分強という長いアルバムでもほとんどだれることなく楽曲は展開していきます。後半になると、ちょっとトライバルなパーカッションがインパクトとなる「Sino Dub」や、キラキラした雰囲気のサウンドが幻想的な「Unseen Onsen」のようなタイプの違う楽曲もあらわれ、アルバムを締めくくります。

そんな壮大なスケール感を感じさせるコラボアルバム。文句なしの傑作です。ただ、配信限定のライブアルバムと比べると、ライブ盤の方が楽曲がより突き抜けていたかなぁ、と感じます。その点、このアルバムは若干抑え気味だったような。ここらへん、ライブとスタジオ音源の違いかなぁ。その分、ライブは圧巻のステージが期待できそうですが・・・。

評価:★★★★★

ROVO 過去の作品
NUOU
ROVO Selected 2001-2004
RAVO
PHOENIX RISING
(ROVO×SYSTEM7)
PHOENIX RISING LIVE in KYOTO(ROVO×SYSTEM7)

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2013年10月13日 (日)

人気ラジオ局のお祭り

ZIP AUTUMN SQUARE

会場 久屋大通公園久屋広場 日時 2013年10月5日(土)

Zip01

毎年秋、名古屋のFM局ZIP-FM主催で行われるイベント、ZIP AUTUMN SQUAREに行って来ました。この手の在名マスコミ主催のお祭りは、大抵番組の公開録音がメインになるのですが、ミュージシャンのライブがメインとなり、屋台やフリーマーケットのゾーンもあり、ちょっとした「フェス」っぽい感じになっている点、ZIP-FMとしてのこだわりを感じます。

ただ、会場は久屋公園の一角だけで、思ったよりちょっと狭い・・・。屋台も数件程度ですくなめ(かつ焼きそばを売っている店が2、3件も・・・)。まあ、場所は繁華街栄のど真ん中で、いくらでもおいしいレストランがあるので、屋台もなかなかもうからないのでしょうが。

イベント自体は10時からスタートだったのですが、私はお目当てのミュージシャンにあわせて12時頃に会場入りしました。で、私が会場に到着したのは、ちょうどお目当ての秦基博のライブがスタートする前だったのですが、ミュージシャンの紹介として登場してきたのが、ZIP-FMの人気MC、ジェイムス・ヘイブンス。個人的に、生ジェイムスを見れたのは結構うれしかったりして(笑)。

秦基博

そして秦基博が登場。この日は自らアコギを抱え、キーボードの人と2人のみでのステージでした。登場したら、黄色い歓声があがったのが失礼ながらちょっと意外・・・(^^;;

ライブは「言ノ葉」からスタート。基本的にしんみりと聴かせるステージで、優しい雰囲気の歌声とアコースティックなサウンドが会場に響きます。アップテンポな「グッバイアイザック」では手拍子で会場は軽く盛り上がり、その後は「Girl」で再びしんみり。最後はキーボードの人が下がり、彼ひとりのみになり、アコギ1本で「鱗」で締めくくりました。

秦基博のライブははじめてだったのですが、アコースティック編成ということもあり、とても素直なステージだったなと思いました。声にしてもアレンジにしてもメロにしても万人を振り向かせるような感じではないのですが、その声に耳を傾けると知らず知らずにはまっていく、まあ、秦基博の曲自体CDで聴いてもそんなイメージなのですが、ライブもまさにそんな印象そのもののステージでした。

Salley

次に登場したのは、Salley(サリー)という男女2人組のユニット。まだデビュー間もないそうです。かわいらしいボーカルの声が印象的で、軽快なアコースティックポップを聴かせてくれました。

この日はタワレコ限定シングル「green」や2日に発売されたばかりのシングル「その先の景色」をなどを演奏してくれたのですが、その中で「各駅停車」という曲がフォーキーな要素も入ったちょっと切ないポップスで、なかなかよかったです。

指田郁也

続いては指田郁也という男性ソロミュージシャン。ピアノ1本でのステージで、楽曲はバラードメイン。AORの王道を行くような楽曲で聴かせる大人のポップといった感じでしょうか。MCでは、自分は鉄道ファンであって、タモリ倶楽部に出たことが自慢といっていました(笑)。ZIP-FMの番組も音楽と鉄道をかけあわせた番組だそうで、ちょっとおもしろそう(笑)。この日も披露してくれた「バラッド」がドラマ主題歌になっていたり、次の名古屋のワンマンライブがダイヤモンドホールという大きめの会場だったりして、「売り」に出ているミュージシャンという感じでしょうか。この日聴かせてくれた曲はいい曲だと思ったのですが、ブレイクするにはもうちょっとインパクトもほしい感じも・・・。

Zip02

山崎あおい

そして続くは山崎あおいという女性シンガーソングライター。彼女のアコギ+アコギ+キーボードの3人編成でのステージ。彼女はちょっと小柄な感じでした。

アコースティックで爽やかに聴かせてくれたのですが、楽曲としてはいわゆるガールズポップといった感じ。バンド編成ならもっと元気で明るいスタイルということになるのかな?まだデビュー間もない大学生シンガーだそうで、まだまだこれから、といったところでしょうか。

で、この後、吉田山田、THE UNITEDと続くのですが、一度会場を離れ栄近辺で買い物。戻ってきたら、THE UNITEDの最後の曲が演っていました。THE UNITEDはイギリスのアイドルグループ。楽曲はいかにもアイドルポップといった感じのエレクトロポップでした。

家入レオ

個人的にお目当て2人目の家入レオ。さすがに人気のミュージシャンとだけあって、この頃には会場はかなりの混雑になってきました。この日はアコースティック編成でのライブ。彼女のライブを見るのはこれがはじめてです。

ライブは「Bless You」からスタート。かなり感情的な動作を見せるようなパフォーマンスは楽曲から受けるイメージ通りといった感じ。その後、今度リリースされる新曲「太陽の女神」も披露してくれましたが、こちらはミディアムテンポの聴かせるナンバーで、彼女としてはこれといったキラーフレーズはなく、ちょっと地味な印象がありました。

最後は「Shine」で締めくくり。他のミュージシャンと同様、約30分のステージ。彼女の歌に関しては、かなり安定感もあり卒ないといった感じ。上手いとは思うけど、いい意味でも悪い意味でも優等生的に感じました。一方、MCが18歳という年齢とは思えない落ち着いた大人びたものだったのも印象的。楽曲の歌詞が年齢なりなのと対照的に感じました。

会場は、かなり多くの観客が集まっていましたが、熱心なファンというよりは「名前の知っているミュージシャンが出ているから見ておこう」みたいな観客が多かった印象がありました。

次のKはまたあまり興味がなかったので、再び栄に買い物へ。最後のSPYAIRがはじまる直前に会場へ戻ってきました。

SPYAIR

地元名古屋出身の4人組ロックバンド。この日はアコースティック編成で、ボーカルとギターの2人だけの登場。アコギ1本での演奏となりました。会場には彼らお目当てのファンも多く、黄色い歓声があがります。この頃には、後ろまで観客がビッシリ。

大ヒットした「現状ディストラクション」や「虹」などを披露してくれたのですが、オリジナルをそのままアコギアレンジにした感じのステージで、後ろでヘヴィーなバンドサウンドが鳴っている前提のボーカルと、静かなアコギがちょっとチグハグだった印象も。あまりSPYAIRとしての良さを出せていなかったようなステージでした。

最後はアンコールもあったのですが、トータルでは30分程度のステージ。武道館ライブを成功させたり人気上昇中の彼らですが、アコースティック編成のステージを見る感じだと、まだまだこれから。もっともバンド編成だと、どんなステージを見せてくれるのか興味はありますが・・・。

そんな感じで、ライブは19時で終了。帰路につきました。1組あたり30分というステージで、それも全アコースティックの編成。ライブの「ダイジェスト版」といった感じで物足りなさは否めませんが、ラジオ局のお祭りで、無料のイベントということを考えると贅沢はいえない感じ。ただ、せめて1組2組くらいはバンド編成では無理だったのかなぁ。

個人的にライブよりも、生のジェイムス・ヘイブンスを見れたことがこの日一番うれしかったことかも(笑)。幕間のつなぎで入る彼のトークも、下手なライブより楽しめたし(笑)。会場は思ったより狭い感じで、屋台も少なめだったのはちょっと残念ですが、栄での買い物などを兼ねればそれなりに半日楽しめたイベントでした。

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2013年10月12日 (土)

久々のアルバムはセルフタイトル

Title:MGMT
Musician:MGMT

MGMT改名後、初となるアルバム「Oracular Spectacular」が高い評価を集め、一躍注目を集めたMGMT。前作「CONGRATULATIONS」では全米チャートで2位、全英チャートで4位を獲得するなど売上の面でもブレイクを果たしました。それから3年、待望のニューアルバムはセルフタイトル。否応なしに期待が高まる新作、なのですが・・・。

アルバムの1曲目、「Alien Days」はまさにこれぞMGMTという作品。キュートでノイジーなサウンドにポップな美メロ。甘美なポップソングはMGMTの真骨頂。続く「Cool Songs No.2」も同じくポップな作品で、待ちに待った期待通りの作品、といった雰囲気でアルバムははじまります。

そんな雰囲気でアルバムは続いていくのですが、徐々に雲行きが怪しくなってきたのが中盤から。MGMTといえばサイケなアレンジとメロディアスな美メロの絶妙なバランスが素晴らしいのですが、それが徐々に崩れはじめてしまいます。

エレクトロなサウンドを主軸にしながら様々な音をサンプリングしたアレンジは幻想的でありながらもMGMTらしいポップスさはあまりありません。「Astro-Mancy」のようなダークでスペーシーな雰囲気の世界、「Plenty of Girls in the Sea」みたいなどこかチープなサウンドがユーモラスである楽曲はユニークではありますが、いままでのアルバムのようなポピュラリティーは薄くなってしまっています。

一言でいえばMGMTとしての世界観を新たに切り開こうとした作品かも。そういう意味ではその挑戦心は素晴らしいところ。ただ、残念ながらその試みは必ずしも成功したとはいえなかったかも。アルバムとして前半は5つだけど、後半は3つ、中間を取って下の評価、といった感じでしょうか。久々のアルバムということでちょっと意気込みすぎちゃったかな?次回作に期待。

評価:★★★★

MGMT 過去の作品
Oracular Spectacular
CONGRATULATIONS


ほかに聴いたアルバム

Tempest/BOB DYLAN

齢70歳を超えながらも積極的な音楽活動を続けるBOB DYLANの最新作。カントリーやブルースなどの要素を強く取り入れたトラッドな作風で、そのしゃがれた声でひとつひとつの言葉を噛み締めるように歌うスタイルがとても印象的。常に第一線で活躍し続けながら年齢を重ね続けた彼だからこそ出せる味わい深い作品になっています。

評価:★★★★★

BOB DYLAN 過去の作品
Together Through Life

Nothing But The Beat 2.0/DAVID GUETTA

大ヒットしたアルバム「Nothing But The Beat」に新曲8曲を加えてリパッケージした作品。基本的に楽曲の雰囲気は「Nothing But The Beat」の延長線上で、今風のEDMはストレートに楽しめます。ただ、こうやって新曲を含ませてファンに2度買いさせるやり方は感心しないなぁ・・・という意味で1つマイナス。

評価:★★★

DAVID GUETTA 過去の作品
NOTHING BUT THE BEAT

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2013年10月11日 (金)

ラテン音楽への深い愛情

ここ数年、いわゆるワールドミュージックとカテゴライズされる音楽もいろいろと聴きかじっているのですが、そんな中、以前から気になっていて読んでみたラテン音楽へのガイドブック「ラテン音楽名曲名演ベスト111」。もともと1999年に刊行された本を改訂し、さらにCDをつけて再発売した本らしいです。

タイトル通り、ラテン音楽の名曲名演を111曲取り上げ、その1曲1曲に解説を付しているスタイル。「知っていないと話にならない10曲」からスタートし、「歴史を変えた曲」「楽器の名演」「ラテンアメリカの真実がみえる曲」「日本人がしびれた曲」などにカテゴライズしながら紹介しています。

また紹介する曲もラテン音楽全般を幅広く取り上げているのが特徴的。ラテンというとまずイメージしそうなマンボだったり、あるいはレゲエやソン、ブラジル音楽や中南米のあらゆる国の曲を紹介しています。さらに中南米にとどまらず、中南米以外からうまれたラテン音楽も積極的に紹介。中には美空ひばりの「お祭りマンボ」なんていう和製ラテン音楽まで紹介。その幅広さには舌を巻きます。

楽曲に対する解説も、単なる曲の解説にとどまらず、ラテン音楽やミュージシャンの歴史、関連する楽器の紹介や、中南米の文化・歴史にからめたもの。個人的な思いいれをつづったものや歌詞を紹介するものなど様々。また、筆者は何度も中南米諸国に足を運んでいるみたいで、机上で論じられるような音楽論とは異なり、リアリティーを感じさせますし、なによりもラテン音楽に対する強い愛情も感じます。1曲1曲の紹介がちょっとした物語にもなっていて、単純なガイドブック以上に読み物としても楽しめた本でした。

ただし一方ではあまり馴染みのないラテン音楽の世界で、次々と固有名詞が飛び出してきたので正直ちょっと読みにくい部分があったのも事実。特に、人名か知名か音楽用語か歌詞の一部か、読んでいてよくわらなくなった部分も少なくありません。最後に索引を入れたり、途中でラテン音楽にからむ用語解説もあったり、初心者にも伝えようとする努力は強く感じたものの、正直初心者がラテン音楽全体を俯瞰するには厳しい部分もありました。

そういう意味では、ある程度ラテン音楽の歴史や、有名どころのミュージシャンを押さえたような人が読むと、一番楽しめるかも。いわばラテン音楽の歴史やミュージシャンを時間軸に沿って紹介したような本が縦糸だとすると、この本は、楽曲を使ってラテン音楽の広がりや楽しみ方を紹介するような横糸のような書籍。索引とか使いながら、前に戻ったりしつつ読めば、この本でも「縦糸」を補完する楽しみ方も出来たのかもしれませんが・・・。

しかし、この本をもっともお薦めしたいポイントは筆者の愛情あふれる文章もさることながら、附属するCD。この手のCD付書籍は珍しくありませんが、ほとんどは30分程度の短さに、数曲が収録されているだけ。でもこの本には、70分以上のCD容量ギリギリの内容に25曲も収録しているという大ボリューム。さらに本に紹介されている名曲ばかりなのは当たり前として、名演だったり、時として入手困難なレア音源も。この本、2,800円なのですが、CDだけでも十分もとが取れる内容でした。

このCDに収録されている曲も、ラテンらしい軽快な曲、あるいは哀愁あふれる曲はもちろん、アフリカ色の強い曲だったりポップス色が強い曲だったり、さらにはしゃれたジャジーな雰囲気の曲だったり様々。さらにラテン音楽の幅広さを知ることが出来るCDで、書籍を見事に補完している・・・というよりも、このCDだけで十分「ラテン音楽入門」として成り立っています。

そんな訳で、完全な初心者というよりも、ちょっとラテン音楽を聴きかぎりはじめた方にお薦めできそうな書籍ですが、私のようなほぼ初心者という人でも特にCDではラテン音楽の魅力を味わうことの出来る1冊でした。

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名古屋圏フェス・イベント情報(10/11)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

10/11 主な更新
・NAGO-STEP!!!3D 最終出演者発表
・idol wave 2013秋、GRANDLINE2013、円頓寺秋のパリ祭 追加
・Zip Autumn Square、THE EARTH CAMP、太陽の宴2013 終了

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報(10/11)"

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2013年10月10日 (木)

永ちゃんのカッコよさが満載

Title:ALL TIME BEST ALBUM
Musician:矢沢永吉

ここ最近、ベテラン勢が自身のキャリアを振り返ったオールタイムベストをリリースするケースが相次いでいます。そんな中リリースされた永ちゃんこと矢沢永吉のベスト盤。ソロデビュー作「アイ・ラヴ・ユー,OK」から「IT'S UP TO YOU!」のような最新アルバムの曲まで、まさにキャリアを総括したベスト盤になっています。

矢沢永吉といえばご存知日本を代表するロックスター・・・なのですが実は私、彼の曲をアルバム単位でまとめて聴くのははじめてだったりします。その大きな理由としては、楽曲があまりに矢沢色が強すぎる点。どんな楽曲でも一度聴けば一発で永ちゃんの楽曲だとわかる強烈な個性は、ファンにとってはたまらないものがあるのでしょうが、それにはまれないと、やはり楽曲自体どうも興味が持てない、ということになってしまいます。

このベスト盤を聴くと、私が持っていた彼に対するこのイメージはますます強くなりました。ミュージシャンを紹介する場合、「○○風」「~~の影響を受けた」みたいな紹介をよくするのですが、彼の音楽の場合は、まさに「矢沢永吉風」。もうこれしか言えません。長いキャリアの中、その時代時代の音を取り込んでその姿を変えていくミュージシャンも少なくないのですが、彼の場合70年代から最近の曲に至るまで、一貫してそのスタイルをほとんど変えていません。

確かに決して時代を無視しているわけではありません。70年代はもっとキャロルに近いタイプの曲が少なくないですし、80年代っぽいシンセを取り込んだ曲もあったり、最近の曲に関してはやはり音数を絞ったようなタイトな曲づくりに今風な匂いを感じます。ただ、どの時代も同じスタイルを貫き、根本の部分は全く変化がありません。

それだけに、この矢沢色にはまれば熱狂的なファンになりますし、実際、彼には今なお熱烈なファンが大勢ついています。ただ逆に、このカラーに染まらなければいまひとつ抵抗感があるのは事実。私も、矢沢永吉というシンガーは文句なしにカッコいいと思うのですが、いまひとつ抵抗感も・・・。

ちょっと苦手に感じる理由はわかっていて、ちょっとナルシスティックでムーディーな要素がどうにも苦手に感じてしまうよう。でも、彼に限らず、バンドで活躍後、ソロになったボーカリストってこういうタイプが多いような。先日紹介した氷室京介も同じようなタイプですし、LUNA SEAの河村隆一とかもこのタイプですよね。

ただ、そんな苦手意識のある私でも、このアルバムを聴いて一方では思った以上に彼の楽曲の中にロックンロール色が強いことに気がつきました。特にDISC1なんかは、ロッカー矢沢永吉のカッコよさをまざまざと見せ付けられた感じもします。

全41曲ボリューム満点のベスト盤ですが、いままで矢沢永吉をあまり聴いたこなかった方にはちょっとボリュームがあるとはいえ最適なベスト盤では?私は正直、ベスト盤を聴いた後でもそんなにはまれなかったのですが、ひょっとしたらこのアルバムを機に、永ちゃんの魅力に取り付かれるかも?

評価:★★★★

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2013年10月 9日 (水)

シングル、アルバム共に女性アイドルグループが目立つチャート

今週はアルバムチャートの新譜が少なめ。そのため、シングル・アルバム同時アップです。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

ここ最近珍しくありませんが、今週も女性アイドルグループが大量にランクイン。

まず1位はNMB48「カモネギックス」。いまさらこの路線?と思うようなエレクトロダンスチューン。初動売上は37万4千枚。前作「僕らのユリイカ」の48万1千枚より大幅ダウン。ただし、前々作「北川謙二」の31万7千枚よりは上回る結果になっています。

2位はEXILEの事務所に所属している女性グループDream、Happiness、FLOWERの混合グループE-girls「ごめんなさいのKissing You」がランクイン。クドカン脚本でも話題の映画「謝罪の王様」主題歌。初動売上7万3千枚は前作「CANDY SMILE」の3万5千枚から大きくアップ。こちらもエレクトロ路線でK-POPを意識した感じなのが相変わらず。初動売上が大きくアップしたのは、EXILE「EXILE PRIDE~こんな世界を愛するため~」の売上増にも貢献したMUSIC CARDという音楽データをダウンロードできるプリペイドカードが1枚500円で29種類(!)も発売されている影響が大きいと思われます。

今週は1位2位に限らず、相変わらずですが女性アイドルグループの初登場が目立ったチャート。4位にハロプロ系女性アイドルグループBerryz工房「もっとずっと一緒に居たかった」、8位にはでんぱ組.inc 「W.W.D II」がそれぞれランクイン。Berryz工房は本作も王道のアイドル歌謡曲。初動3万6千枚は前作「ゴールデン チャイナタウン」の3万1千枚よりアップ。でんぱ組.incはいかにも前山田健一らしい奇抜な展開のポップソングなのですが、この奇抜さには正直飽きてきたのですが。初動1万8千枚は前作「でんでんぱっしょん」の2万7千枚よりダウン。

もういっちょ。7位にK-POPの女性アイドルグループAFTERSCHOOL「HEAVEN」がランクイン。大人ビタ雰囲気のムーディーでメロウなナンバー。初動1万8千枚は、前作「Lady Luck」の1万3千枚よりアップしています。

他にも初登場が多い今週のチャート。ベスト3最後3位には、元KAT-TUN赤西仁「アイナルホウエ」が入ってきています。初動売上4万2千枚は前作「HEY WHAT'S UP?」の11万4千枚より大幅ダウン。ただし、11月にアルバムリリースが予定されているため、その影響によるところが大きそう。

5位には星野源「地獄でなぜ悪い」がランクイン。くも膜下出血の予後が芳しくなく、再度活動休止となった彼。現在は完治して療養中のようですが、その復帰第1弾シングルのタイトルがこれっていうところが彼らしいユーモラスを感じます。ま、もっともこのシングルが主題歌となっている同タイトルの映画から来ているのですが。

6位初登場はロックバンドflumpool「強く儚く」。初動2万5千枚は前作「大切なものは君以外に見当たらなくて」から横バイ。映画「おしん」の主題歌だそうですが、あまりイメージにあわないような・・・ちょっと哀愁感あるメロディーが意識している感もあるのですが・・・。

最後2曲はアニメがらみ。8位は人気男性声優2人からなるフェロ☆メン「IMMORAL WEDDING」。ベスト10入りはこれが2作目で、8位は自己最高位。初動1万3千枚は、最高位11位だった前作「MIDNIGHT☆BUTTERFLY」の1万1千枚からアップ。

最後10位には梶浦由記プロデュースのボーカルユニットKalafina「アレルヤ」がランクイン。アニメ映画「空の境界 未来福音」主題歌。初動1万1千枚は前作「ひかりふる」の3万8千枚より大きくダウン。もっとも前々作は初動7千枚で、作品にタイアップによって大きく売上が変動しています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

そんな訳で、アルバムチャートも女性アイドルグループが1位

今週1位はPerfumeのニューアルバム「LEVEL3」が獲得。これでアルバムは5作連続の1位で、これはプリンセス・プリンセス以来20年8ヶ月ぶりの記録ということ。ただし、初動売上16万5千枚は企画盤だった前作「Perfume Global Compilation "LOVE THE WORLD"」の11万8千枚は上回りましたが、オリジナルとしての前作「JPN」の22万6千枚から大きく下回る結果に。いままで右肩上がりだったPerfumeですが、大きな岐路に立った結果になりました。

2位は先週1位のSuperfly「Superfly BEST」がワンランクダウンながら2位をキープ。3位は女性4人組バンドSCANDAL「STANDARD」がランクイン。初動売上4万3千枚は前作「Queens are trumps-切り札はクイーン-」の3万5千枚よりアップ。ここ数作、3万5千枚前後でうろうろしていましたが、初動売上を4万枚に上げてきました。

続いて4位以下の初登場ですが、今週は2枚のみ。まず7位に「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Passion jewelries! 001」がランクイン。ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」のキャラクターソングを収録したミニアルバム。同じシリーズで先週11位に「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Cool Jewelries! 001」がランクインしていましたが、初動売上は1万1千枚から8千枚にダウン。低水準のチャートだったことによるベスト10入りになっています。

8位にはDJ和「J-アニソン神曲祭り -パラダイス- [DJ和 in No.1胸熱MIX]」がランクイン。DJ和はJ-POPやアニソンのヒット曲をつないでDJミックス盤としてリリースしている、まあ、邦楽界のDJ KAORIみたいな存在。初動7千枚は前作「J-アニソン神曲祭り~レジェンド~[DJ和 in No.1 不滅 MIX]」の最高位30位3千枚から倍増以上で初のベスト10ヒットとなりました。

最後、10位に「TVアニメ Free!オリジナルサウンドトラック Ever Blue Sounds」がランクイン。テレビアニメ「Free!」のサウンドトラックで、「Free!」がらみでは先週、「TVアニメ『Free!』ドラマCD 岩鳶高校水泳部 活動日誌2」がランクインしていましたが、初動売上は、その1万8千枚から7千枚に大きくダウンしています。

そんな訳で今週のチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2013年10月 8日 (火)

実力派とのセッション

Title:ラヂヲ
Musician:青葉市子と妖精たち

最近、徐々に注目を集めている女性シンガーソングライター青葉市子。今回のアルバムは、今年の元旦、NHK-FM「坂本龍一 ニューイヤー・スペシャル」で行われた、細野晴臣、坂本龍一、小山田圭吾、U-zhaanとのセッションの模様を一発録りで収録したアルバムです。

ピアノ、アコギ、さらにはパーカッションの音と最小限の音の中、青葉市子が静かに歌い上げる作品。音が少ないからこそ、空間の緊迫感がそのままつまったような内容になっています。ただ、楽しいセッションというよりは、音楽に対して静かに、そして真摯に対峙する姿がおさめられている、そんなアルバムのように感じました。

ただ、そんなアルバムの中ですごいのが、青葉市子の存在感。彼女の声は決して独特な声色を持っているわけではありません。声量が特段に優れているわけではありません。それでもこのアルバムを聴いていると、知らず知らずに惹きつけられるのは彼女のボーカル。バックを固めるミュージシャンたちも一流揃いのはずなのですが、それに全く負けるどころか青葉市子の世界にしてしまっています。

このアルバム、というよりも青葉市子の楽曲自体、さほどバリエーションが多いわけではありません。基本的に静かに聴かせるミディアムテンポのナンバーがメイン。それにも関わらず、聴いていて最後までまったくだれることはありません。それはやはり彼女のボーカルが持つ力ゆえ。彼女のボーカルはとても美しく優しいのと同時に、どこか力強さを感じます。そんなボーカルに耳を傾けているうちに、アルバムはあっという間に最後を迎えてしまいました。

今回のアルバムは、基本的に彼女の曲のセルフカバーか、他のカバー曲が収録されているのですが、その中で一番印象に残ったのは「STAR FRUITS SURF RIDER」のカバー。ご存知CORNELIUSの代表曲なのですが、無機的なイメージのする原曲と異なり、彼女のカバーではとても暖かいポップスに生まれ変わっています。正直、かなりイメージが異なるカバーに、彼女のボーカリストとしての実力を感じると同時に、原曲のポップソングとしての魅力も再認識しました。

10月にはついにメジャーデビューも決定し、さらなる飛躍が期待できる彼女。まだまだ、これからの活躍が楽しみです。

評価:★★★★★

青葉市子 過去の作品
うたびこ

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2013年10月 7日 (月)

クドカンのこだわり

先日最終回を迎えた、朝の連続テレビ小説「あまちゃん」。大ヒットを記録して話題となりました。そして今回紹介するのは、その「あまちゃん」から派生したオムニバスアルバム。「あまちゃん」の脚本を手がけた宮藤官九郎がセレクトした80年代のヒット曲集。主人公の母親、天野春子が、高校時代に部屋のラジカセから聴こえてきた曲を集めた、というコンセプトの元に選曲されたアルバムだそうです。

Title:春子の部屋~あまちゃん 80's HITS~ソニーミュージック編

まずこちらがソニーミュージック編。松田聖子の「風立ちぬ」や村下孝蔵の「初恋」、さらにおニャン子クラブ「じゃあね」などが収録されています。

Title:春子の部屋~あまちゃん 80's HITS~ビクター編

で、もう1枚がビクター編。こちらには薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」、YMO「君に、胸キュン。」、中森明菜「飾りじゃないのよ涙は」などのヒット曲が収録されています。

そんな80年代のヒット曲を収録したオムニバスなのですが、でもこの選曲、「アイドルにあこがれる女子高生」が選んだんじゃないよね、クドカンの好みだよね(笑)。王道のヒット曲にまじって、微妙にヒットしていない曲も。スターボーの「ハートブレイク太陽族」だとか、大沢逸美「ジェームス・ディーンみたいな女の子」なんかは知る人ぞ知るといった感じだし(ていうか、このオムニバスではじめて知ったし)、有名どころにしても、小泉今日子は代表曲として取り上げられやすい「渚のはいから人魚」あたりではなく「まっ赤な女の子」だし、松本伊代も代表曲の「センチメンタル・ジャーニー」ではなく「TVの国からキラキラ」だし。

クドカンのこだわりといえば、曲順にも感じます。ビクター編では、YMOの後にそのYMOの細野晴臣作曲、編曲の「ハイスクールララバイ」が続き、さらに教授と忌野清志郎が組んだ「い・け・な・い ルージュマジック」が並ぶあたりも、狙いを感じたりします。

さて、そんな楽曲の方ですが、ただ個人的には決して「今も色あせない名曲揃い」とは思いません。むしろ時代性を強く感じ、リアルタイムで聴いた人に懐かしさを感じさせるアルバム。もちろん、今聴いても「いいなぁ」と思う曲も少なくはないのですが、よく昔の曲がリバイバルヒットした時に使われる表現、「今の人には逆に新しい」ということは感じません。

その「今の人には逆に新しい」と感じない大きな理由として、この時代の曲が、その後のJ-POPと大きくリンクしているからではないでしょうか。洋楽のテイストが入りながらも、メロディー自体はベタな歌謡曲。このアルバムには収録されていないのですが、80年代といえば、その後のJ-POPの主軸となっていくビートロックの祖、BOOWYが大活躍していた時代。ある意味、この時代の「音」が、そのままJ-POPへと発展し、さらにその流れが現代にまで続いている。だからこそ、この時代の曲は「懐かしさ」は感じますが、「新しさ」はあまり感じないように思います。

実際、ソニーミュージック編におさめられているおニャン子クラブがらみの曲は、そのままAKB48が歌ってもおかしくない感じ。おニャン子クラブの歌い方なんて、まるっきりAKB48や、今のブームで出てきた女性アイドルグループと全く同じで、この進化のなさは逆に驚いてしまう感じすらします。

そんな訳で、リアルタイムにこれらの曲を聴いていた世代が、懐かしさを感じつつ聴いてほしいオムニバスアルバム。ただ、ちょっと選曲に癖があるので純粋な「80年代ヒット曲集」としては物足りなさお感じるかも?また、決して「名曲」揃いではない点、今の世代には無条件ではお薦めはできない点も・・・。

評価:どちらも★★★★

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2013年10月 6日 (日)

90年代J-POP風

Title:KYOSUKE HIMURO 25th Anniversary BEST ALBUM GREATEST ANTHOLOGY
Musician:氷室京介

90年代J-POP風。どんな雰囲気の曲を簡単に表せることから、このサイトでもよく使ってしまうのですが、あまりポジティブな文脈では使っていません。今でもこの90年代J-POPの色合いを濃く残したミュージシャンが少なくありませんが、いわば前の世代の音楽が、いまだに縮小再生産され続けている事実は、音楽不況の要因のひとつであると思っています。

氷室京介の楽曲については、このベスト盤ではじめてまとまって聴いてみました。それで一番最初に感じたのが、まさに90年代J-POP風。聴いていて、決して真新しさも新鮮さも感じませんでした。ただ、よくよく考えると、この90年代J-POP風と私が言っているサウンドって、いわゆるビートロック。そしてそのビートロックの源流をたどるとBOOWYに行き付くわけでして。

そういう意味では、氷室京介が90年代J-POP風の曲を演っているわけではなく、その逆。この90年代J-POP風のサウンドこそ氷室京介が作り出した音であり、私が90年代J-POP風と呼んでいるミュージシャンの音は、BOOWY、もしくは氷室京介の音の縮小再生産な訳です。

ただし、BOOWYと比べると、氷室京介ソロは、個人的にはあまりはまれませんでした。基本的には同じビートロック。氷室京介の曲もBOOWY時代の延長線上にあります。ただ、BOOWYの曲と比べ彼の楽曲はいい意味でも悪い意味でも氷室京介の個性が強く出ています。バンドの中で、ほどよくバランスが取れていたBOOWYの曲に比べると、彼のなるしスティックな部分がどうも鼻につく面がいなめず、ベスト盤を聴き終えた後の感想としては「ベスト盤で十分かな・・・」という印象を持ってしまいました。もちろん、BOOWY時代は純粋に布袋作曲の曲がよかったから、という理由もあるのかも・・・。

また、楽曲によっては確かに今風のサウンドを取り入れた曲もあるものの、昔から今まで基本的なスタイルは全く変わらないというのも印象に残りました。もう一種の様式美みたいな感じにもなっていて、これに関しては良くも悪くも、といった感じなのでしょうが、ファン以外に訴求するのはちょっと難しい音じゃないかなぁ、とも感じました。

今回のアルバムは25周年ということでオールタイムベスト。ちょっとボリュームはありますが、彼の代表曲、ヒット曲をまとめて聴いてみたい方にはちょうどよいアルバムかも。もっとも、20周年の時もシングルベストを出しているので、さすがにわずか5年のインターバルでベスト盤連発というやり方はちょっと閉口してしまますが。

評価:★★★★

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2013年10月 5日 (土)

話題のバンドのデビュー作!

Title:SNAPSHOT
Musician:THE STRYPES

平均年齢16歳という若さながらも、ルーツオリエンテッドなガレージロックを奏で大きな話題となったTHE STRYPES。10月からの来日公演も早々にソールドアウトするなど、日本でも大きな話題となっています。4月に日本独自企画のミニアルバムがリリースされましたが、ついに待望のデビューアルバムが発売されました。

4月にリリースされたミニアルバムに収録されたオリジナル曲2曲は今回のアルバムにも収録。前作は、過半数がカバー曲でしたが、今回は全13曲(ボーナストラックを除く)のうちカバーは5曲と、先達者に対しての敬意を払いながらも、オリジナルの割合を増やしています。

楽曲の雰囲気は、基本的にその4月のミニアルバムと大きくはかわりません。ブルースの要素を強く取り入れ、60年代のガレージロックからの影響が強いシンプルなガレージロック。また、70年代に活躍したイギリスのパブロックバンドDR.FEELGOODからの影響も指摘されています。

前のミニアルバムの感想の時も書いたのですが、2000年代初頭に「ロックンロール・リヴァイバル」というブームがあり、ルーツオリエンテッドなガレージバンドが多くデビューしました。それから10年。また、こういうタイプのロックバンドが話題になってくるあたり(前のミニアルバムのレビューにも書いたのですが)こういうタイプの音って、みんな好きなんだなぁ、ということを強く感じます。

ただTHE STRYPESについては、そのロックンロール・リヴァイバルで出てきたバンド以上にルーツに対して無邪気に楽しんでロックしているように感じました。例えばTHE STROKESやTHE HIVESに比べ、彼らはよりルーツ志向を強く感じます。ただその一方で、THE WHITE STRIPESのようなルース志向が強いバンドに比べて、もっと気軽にブルースやロックンロールで楽しんでいる、という印象を受けました。

そのため、彼らが産みだして来る音楽は、聴いていてとにかく楽しい!という印象を強く受けます。無駄なサウンドが一切ないシンプルなバンドサウンドに、軽快なギターリフ、ポップなメロディー。ロックンロールという音楽が本来持っているエンタテイメント性をしっかりとその音楽の中に取り込んでいるバンドではないでしょうか。

そして私はそんな楽しい彼らのロックンロールにすっかりはまってしまいました!今回のアルバムではミニアルバムにも収録されていた「BLUE COLLAR JANE」のような、ガレージなロックンロールナンバーから、「ANGLE EYES」のように本格的なブルースナンバー、「HEART OF THE CITY」のようにむしろパンクからの影響を感じるナンバーなどもあり、THE STRYPESの様々な顔も感じることが出来ます。ここらへんの様々な要素をどのように生かしていくのか、今後の活躍も楽しみになってきます。

今年のベスト盤候補の1枚。ライブも行きたかったな・・・。とにかく、今後のロックシーンをもっともっと楽しくしてくれそうな、今後も楽しみなバンドです。

評価:★★★★★

THE STRYPES 過去の作品
BLUE COLLAR JANE

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2013年10月 4日 (金)

彼ららしさの中に、新たな挑戦も

Title:小さな生き物
Musician:スピッツ

昔から良質なポップスを作り続け、そのため、高水準で安定したアルバムをリリースし続けるスピッツ。前作「とげまる」はどちらかというとギターロックの色合いが濃い作品でしたが、今回のアルバムは一転。スピッツらしさが強く出たポップス色の強いアルバムになっていました。

特にスピッツらしさを感じるのが序盤。タイトルチューンの「小さな生き物」などは、あの暖かいメロディーラインはまさにスピッツそのもの。また、この序盤、タイトル通りの「小さな生き物」をはじめ、コウロギ(「未来コウロギ」)、金魚(「りありてぃ」)など、歌詞の中で小さな生き物に仮託する内容が並んでいます。ここらへんはタイトルを意識したのでしょうか。こういうユニークながらもどこか親近感を覚える視点はまさにスピッツならでは。そういう意味でもスピッツらしさを感じます。

スピッツらしさを感じられるのは後半も。「スワン」も、まさに切ないメロと歌詞が心に締め付けられる名曲。で、このメロにしんみりなりつつ、それに続く「潮騒ちゃん」がタイトルからしてユニークなギターロックナンバー。これ、今話題のドラマ「あまちゃん」にインスパイアされたの?そしてアルバム最後を締めくくるのは「僕はきっと旅に出る」。前向きさを感じる歌詞に、ちょっと切なさを感じるメロのスピッツらしいナンバーで締めくくります。

「僕はきっと旅に出る 今はまだ難しいけど」
「またいつか旅に出る 懲りずにまだ憧れてる」

(「僕はきっと旅に出る」より 作詞 草野正宗)

なんて、大上段に構えるわけではなく、ちょっと遠慮を感じさせる(笑)歌詞がちょっとユーモラスで、同時にリアリティーを感じさせるのがまた良いですね。ここでも「初夏の虫のように」と小さな生き物が登場。

今回のアルバムは、そんなスピッツらしい曲に彩られながらも、一方では中盤では新たな挑戦も感じる曲が並んでいました。

「野生のポルカ」はタイトル通り、フォークっぽいポルカのナンバーですし、続く「scat」はヘヴィーなギターを聴かせてくれるインストナンバー。そして続く「エンドロールには早すぎる」は80年代風のディスコナンバー。スピッツらしい楽曲を主軸に据えながらも、それだけではないスピッツ像をアルバムの中に作り上げているのはさすがです。

そんな訳で、アルバムの内容としては今回も安定の傑作。ただ、スピッツのアルバムとして考えた時は・・・うーん、ここ最近のアルバムの中ではそこそこ、といった感じだったかなぁ。ちょっとインパクトが薄めというか、「スピッツらしいナンバーが多い」というのは、逆に無難にまとめすぎちゃっている部分も否定できず・・・。もっとも、それでもファンならば、満足できる作品ではあるんですけどね。

評価:★★★★★

スピッツ 過去の作品
さざなみCD
とげまる
おるたな


ほかに聴いたアルバム

MAMA GUITAR SINGS MAMA GUITAR/ママ・ギタァ

女性2人組のガレージバンド、ママ・ギタァの、なんと10年ぶりとなるアルバム。2006年のライブを最後に活動を休止していましたが、このたび活動を再開。元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎のレーベルからアルバムリリースということで話題となりました。

楽曲は、60年代のガレージサウンドそのまま。素朴なメロディーがとてもキュートなのが大きな特徴です。それだけにパッと聴いた感じはかなり好みなのですが・・・うーん、メロディーがいまひとつというか、後に残りません。特に英語詞の曲が多いのですが、英語との相性がいまひとつで、楽曲がチグハグな印象も。ズバリはまれば、かなりおもしろそうなバンドだと思うのですが・・・ちょっと残念な1枚でした。

評価:★★★

MILLION/SPYAIR

アニメ「銀魂」の主題歌となったシングルがヒット。武道館ライブも成功させ、人気上昇中の名古屋出身のロックバンドSPYAIRの新作。バンド自体は以前から知っていたのですが、アルバムを聴くのはこれがはじめてです。

楽曲的にはハードなメロコア風なサウンドが主軸。メロディーは至ってポップで、雰囲気的にはONE OK ROCKあたり通じるものを感じます。ただ、洋楽テイストの強いONE OK ROCKに対して、かなりJ-POP寄りなのが彼ら。そのため、かなりポップで聴きやすい反面、ちょっとベタというか、あまり面白みのないメロディーラインが耳につきました。そのため、前半はそれなりに楽しめたものの、後半は飽きてしまった・・・。最近、このタイプのバンドはおもしろいバンドが続々と出てくるだけに、J-POP路線を目指すとしても、もう一皮むけないと、人気を持続させるのは難しいような気も・・・。

評価:★★★

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2013年10月 3日 (木)

1位2位はベスト盤

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は1位2位とベスト盤が並んでいます。

初登場1位はSuperfly「Superfly BEST」。彼女初となるベストアルバム。これでデビューアルバム以来6作連続1位ということで、ソロ&女性歌手としては宇多田ヒカル以来2人目って書いてあるけど、いやいやいやいや、Superflyって最初はユニットだったんですが・・・。ただ、Superflyは、決して派手な人気がある感じではないのですが、根強いものがありますね。

2位もベスト盤。L'Arc~en~CielのhydeとOblivision DustのK.A.ZからなるユニットVAMPS「SEX BLOOD ROCK'N ROLL」がランクイン。彼ら初となるベスト盤であると同時に、このアルバムで世界デビューとか。オリコンでは洋楽チャートにもランクインして1位を獲得しています。まあ、がんばってください。

3位にはゴスペラーズ「ハモ騒動~The Gospellers Covers~」が入ってきています。こちらはタイトル通り、ゴスペラーズ初となるカバーアルバム。スピッツの「ロビンソン」から美空ひばり「真っ赤な太陽」、THE O'JAYS「Love Train」、Bruno Mars「Just The Way You Are」まで、まさに古今東西の選曲はさすがゴスペラーズの音楽性の幅広さを感じます。初動売上2万枚は、前作「STEP FOR FIVE」の1万8千枚からアップ。ゴスペラーズファン以外への訴求力のあるアルバムになったようです。

続いて4位以下の初登場盤。4位にYOSHIKI「YOSHIKI CLASSICAL」。ご存知X JAPANのYOSHIKIによるクラッシックアルバム。いままでリリースしたクラッシックアルバムから選曲したベスト盤的な作品だそうです。で、自身8年ぶりになるソロアルバムがベスト?ってか、X JAPANとしての活動はどうなっているの??

で5位は「TVアニメ『Free!』ドラマCD 岩鳶高校水泳部 活動日誌2」。タイトル通り、テレビアニメ「Free!」のドラマCD第2弾。初動売上1万8千枚は、「活動日誌1」の1万1千枚よりアップ。

6位にはモーニング娘。「The Best!~Updated モーニング娘。~」が入ってきています。「LOVEマシーン」や「恋愛レボリューション21」など過去のヒット曲を今のメンバーで録りなおした企画盤的なベスト盤。初動売上1万6千枚は、前作「13カラフルキャラクター」の1万4千枚から若干アップ。ただ、直近のシングル「わがまま 気のまま 愛のジョーク」の14万4千枚に比べると、かなり差が大きな結果になっています。

初登場最後は10位。「DJ KAORI'S PARTY MIX 5」がランクイン。例のごとく、洋楽のヒットナンバーを集めたDJ Mixアルバム。初動売上は1万1千枚。前作はEXILEと、EXILEの事務所所属のミュージシャンの曲を並べた「DJ KAORI × EXILE TRIBE MIX」で、こちらの初動1万2千枚からダウン。また、「DJ KAORI'S PARTY MIX IV」の1万3千枚からもダウンしています。

さて、今週はアルバムで返り咲きが1枚。9位に「あまちゃん 歌のアルバム」が先週の13位からランクアップ。2週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。売上も先週の1万枚から1万1千枚にアップ。間違いなく、先週土曜日の最終回の影響で、最終回のあった28日付デイリーでは、前日の12位から3位に大幅アップしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2013年10月 2日 (水)

EXILEが新譜旧譜同時ランクイン

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

タイトルはとりあえず、まずは1位。

AKB48からの派生ユニットNot yet「ヒリヒリの花」が1位を獲得しています。楽曲は、まあAKB48と変わりのない、無難なアイドルポップといった感じ。初動売上は10万7千枚。前作「西瓜BABY」の13万5千枚からダウン。これで、17万1千枚→13万5千枚→10万7千枚と右肩下がりの状況が続いています。

それで今週は2位3位とEXILEが並んでいます。2位には新曲「No Limit」が、3位には先週1位の「EXILE PRIDE~こんな世界を愛するため~」がランクインし、ベスト3のうち2曲を独占しました。もっとも、「EXILE PRIDE」の方は東京ドーム公演での会場売上が加算された結果。「No Limit」は今風のEDMナンバー。「No Limit」の初動売上は7万5千枚で、その前作である「EXILE PRIDE」の56万5千枚から大きくダウン。前々作「BOW&ARROWS」の9万2千枚からも大きくダウンしていますので、まさしくファンは「EXILE PRIDE」を買わされて、完全に干からびてしまった感じ。ちなみに「EXILE PRIDE」は10月23日にスペシャルエディションの発売も予定されているようで、ますますファンは搾取される模様。

続いて4位以下の初登場曲です。まず女性アイドルグループが2組。4位に東京女子流「Get The Star」、9位にNゼロ(元AKBN 0)「ドギマギFirst Love」がそれぞれランクイン。東京女子流はソウル風だった前作から一転、ギターロック路線に。ソウル好きよりサブカルギターロック好きの方がアイドルにひっかかりやすいと踏んだか?(苦笑)ただ、その甲斐なく、初動売上1万4千枚は、前作「運命」の2万3千枚からダウン。Nゼロは、もともと赤羽を拠点にAKBN0として活動していたローカルアイドル。いわゆるAKBのパロディーからスタートしていたのですが、さすがにメジャーデビューの際、それじゃあまずいと踏んだのか、名称を変更。メジャー2枚目で初のベスト10ヒットとなりました。ただ、初動売上9千枚は、最高位20位だった前作「Let's get all!」の1万枚を下回っており、人気上昇中、とはいえない模様。

さて、おなじみの女性アイドルグループに加えて今週はビジュアル系バンドが2組ランクイン。5位にBugLug「HICCHAKA×MECCHAKA」、6位にDaizy Stripper「Derringer」がそれぞれランクインしています。どちらもボーカルが女の子みたいなルックスの、ポップなギターロックが特徴的。なんか、こういうバンドが人気を集めてきているんでしょうか?90年代のビジュアル系ブームも、ヘヴィーな雰囲気のバンドからはじまったものの、最後、SHAZNAみたいな女の子みたいなボーカルのポップスバンドが登場して一気に終焉を迎えましたが、今のビジュアル系人気も同じような道をたどっているのか??BugLugは前作は、「BUKIMI」の最高位17位4千枚から大きくアップの初動1万2千枚を記録(厳密には前作は「文明開化」だが、これは生産限定盤のシングルをまとめて再発したシングルなので)。Daizy Stripperも、初動1万1千枚で、前作「HELLO,again」の最高位13位初動9千枚からアップ。初のベスト10ヒットとなっています。

そんなアイドル系、ビジュアル系の中で孤軍奮闘したのが10位初登場KANA-BOON「盛者必衰の理、お断り」。最近話題のギターロックバンド。メジャーデビューシングルがいきなりのベスト10ヒットを記録しました。ただ、初動売上は8千枚で、ベスト10ヒットとしては低い水準。まだまだ本格的なブレイクはこれからでしょう。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは明日に!

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2013年10月 1日 (火)

王道ソウル

Title:LOVE IN THE FUTURE
Musician:JOHN LEGEND

THE ROOTSと組んでリリースした傑作「WAKE UP!」から3年。純然たるオリジナルアルバムとしては「once again」から5年。久々となるJOHN LEGENDの新作がリリースされました。

うん、王道のソウルナンバーだ(笑)。伸びやかでパワフルなボーカルとメロディアスなメロディーライン。まあ、確かに今のアメリカのヒットシーンでも、メロウなナンバーを歌い上げてくれる男性黒人ミュージシャンは今でも決して珍しくありません。Ne-YoとかUsherとかクリス・ブラウンとか。

ただ、彼らに共通するのは、コンテンポラリーなポップ色が強いという点。それもまた悪くはないですが、ちょっとソウルという面からは物足りなさを感じたりもします。

そんな中、まさに21世紀の今でも、ソウルから続く流れを強く感じるのが彼。薄味なポップシンガーが多い中、しっかりと黒いソウルを、その歌声から聴かせてくれます。もちろん、さすがにオーティスのようにシャウトする60年代のソウルではなく、もっとメロウな楽曲がメインではあるのですが。

今回のアルバムでも、例えばSealとのデゥオである「We Loved It」など、まさに力強いボーカルが印象的。事実上の1曲目「The Beginning...」でもそのボーカルをしっかりと聴かせてくれます。一方では、美しい旋律も実に魅力的。個人的にこのアルバムで気に入ったのが「All Of Me」。ピアノバラードなのですが、切なさを感じるメロディーと、その切なさに寄り添うような優しい歌声が、実に魅力的なナンバーでした。

ただ、その一方でEXECUTIVE PRODUCERとして今をときめくカニエ・ウェストが名前を連ねていたりして、決して懐古趣味に留まっていない点も大きな魅力。例えば「Made To Love」あたりはメロディーは彼らしいものの、リズムトラックは今風で、新しさと懐かしさが共存しているようにも感じます。

アルバム全体的にはいつものJOHN LEGENDといった感じもして、真新しさもあまりないかもしれませんが、彼の魅力がしっかりと詰まった傑作。最初から最後まで、その甘い世界にどっぷり浸れました。

評価:★★★★★

John Legend 過去の作品
once again
WAKE UP!(John Legend&The Roots)

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