クリープハイプがブレイクした訳
Title:吹き零れる程のI、哀、愛
Musician:クリープハイプ
メジャーデビューシングル「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」が、いきなりオリコン7位に初登場し、一躍話題のバンドとなったクリープハイプのメジャー2枚目のアルバム。このアルバムもオリコンチャート6位にランクインしており、今、最も注目されるバンドの一組です。
まず耳に残るのは作詞作曲を主に手がけるボーカル尾崎世界観の声。彼のハイトーンボイスが絶妙なインパクトがあります。かなり癖のあるボーカルなので、最初はちょっと聴き続けるのは厳しいかなぁ・・・とも思うのですが、聴けば聴くほど、クリープハイプの曲になくてはならないものになっているから不思議です(笑)。
このハイトーンボイスが、楽曲を中性的なものとするのでしょう。孤独を抱えたような人の恋愛などの感情を描いた歌詞が特徴的ですが、楽曲によって、あるいは聴く人によって主人公が男性にも女性にも取れるのは、このハイトーンボイスがあるから。
また、楽曲自体も基本的にはシンプルなギターロック。もちろん、これだけ人気のあるだけ、メロディーには十分なインパクトがあります。ただ、楽曲自体、ずば抜けて個性的か、と言われるとまあ、よくあるタイプ。しかし、尾崎世界観のハイトーンボイスが加わることにより、クリープハイプのみが持つ大きなインパクトを与えています。
もうひとつ、彼らがこれだけ一気にブレイクした大きな理由は、歌詞の構成にあるように思いました。例えば「ラブホテル」でいきなり「夏のせい」を3回繰り返すサビは、いやでも頭にこびりつきます。「夏のせい」というわかりやすいキーワードを、いきなり冒頭に持ってきて、かつ3回も繰り返すという構成だけで、グッとリスナーを惹きつけられてしまいます。
さらに「社会の窓」では
「オリコン初登場7位その瞬間にあのバンドは終わった
だってあたしのこの気持ちは絶対シングルカット出来ないし」
(「社会の窓」より 作詞 尾崎世界観)
と、デビューシングル「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」が、いきなりオリコン7位になったことすら歌詞のネタとして、ここらへんもリスナーの耳を惹きつけます。
こういうインパクトある歌詞を、楽曲の肝となる部分に上手く織り込んでいるなぁ、と感じます。彼らがこれを意識的にやっているのか無意識なのかはわかりませんが、こういう歌詞構成の上手さこそが、彼らがメジャーデビュー後いきなりブレイクした大きな理由のように感じました。
まだまだ、これからも数多くの名曲を聴かせてくれそうな彼ら。これからの活躍も楽しみです!
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
STATEMENT/徳永英明
途中、例のカバーアルバム2枚とカバーアルバムのベスト盤を挟んで4年ぶりとなるニューアルバム。バラードがメインとなり、安定感のある作品。安心して聴ける大人のアルバム、といった感じですが、「なみだのブルース」みたいなムード歌謡曲に近いような曲もあり、大人になるとそちらの方向に行ってしまうのかなぁ、という不安も(もっとも、カバーアルバムの流れで、「歌謡曲」のオリジナルを歌ってみたかっただけかもしれませんが)。ゆったりと聴ける大人のポップスは、ライブよりも、ディナーショーが似合いそう。よくも悪くも・・・。
評価:★★★
徳永英明 過去の作品
SINGLES BEST
SINGLES B-Side BEST
WE ALL
VOCALIST4
VOCALIST&BALLADE BEST
VOCALIST VINTAGE
ビューティフォーEP/bomi
元気いっぱいのポップでキュートな楽曲を歌うbomiの、EPとしては1枚目となる作品。今回も、かわいらしく軽快なエレクトロポップが楽しめる作品・・・なのですが、やはりどこか物足りない。元気印の女の子なんだから、もっと突き抜けちゃったほうがいいような気がするんですが・・・。
評価:★★★
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