渋い!
Title:AM
Musician:ARCTIC MONKEYS
約2年ぶりとなるARCTIC MONKEYSのニューアルバム。全英チャートではデビューアルバム以来、チャート1位という記録を5作連続に伸ばし、ビルボードチャートでも、2ndアルバム「Favorite Worst Nightmare」以来のベスト10入りを記録するなど、ギターロックの大物新人バンド不在が叫ばれる中、着々とその人気を伸ばしています。
前作「SUCK IT AND SEE」では、メロディーをより前に出してきた楽曲が目立っていましたが、新作では一転、ARCTIC MOKEYSらしいヘヴィーでゴリゴリのギターリフを前に出したような曲が目立ちます。特に序盤、1曲目の「DO I WANNA KNOW?」や2曲目「R U MINE?」は、まさにそんなギターリフを前面に押し出した、ヘヴィーロック色が強いナンバー。そのロッキンなバンドサウンドに耳を惹かれました。
そんなバンドとしてのへヴィネスが目立つアルバムでしたが、アルバム全体の印象としては、「渋い」というイメージを抱きました。特に中盤以降、ミディアムテンポのナンバーが目立ち、バンドとしての勢いはあまり感じられません。ただその一方で、力強いバンドの演奏としてその基礎体力を強く感じます。
また、「渋い」という感想は、メロディーラインについても。もともと、突き抜けた派手なメロディーを書くようなバンドではありませんでしたが、今回のアルバムでは、特に哀愁を感じさせるメロディーが目立っています。メロウな「NO.1 PARTY ANTHEM」や、アコギの音色にも哀愁を感じる「FIRESIDE」あたりはまさにその典型例。そのメロディーにも聴き入ってしまう作風でした。
一番最初に、「新人バンド」という書き方をしたのですが、彼らも既にデビューから7年目。新人という時代はとっくに過ぎ、「中堅」の領域に入ってきました(昔ならそろそろ「ベテラン」なのでしょうが、キャリア10年、20年のバンドがざらにいる中では、まだまだ「ベテラン」には早いでしょう・・・)。そんな彼らにとって、バンドとしての底力を感じるサウンドや、哀愁あるメロディーは、中堅バンドとして、勢いだけではない大人の階段を昇った作品に感じました。
アルバムとしては間違いなくいいアルバムだったと思うのですが、ただ、個人的にはちょっと地味なアルバムだったかも。何回か聴いていくと、徐々にはまりそうな予感もあるのですが・・・。
評価:★★★★
ARCTIC MONKEYS 過去の作品
Humbug
SUCK IT AND SEE
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