同じような、違うような・・・。
Title:TOWN AGE
Musician:相対性理論
純粋なオリジナルアルバムとしては、3年3ヶ月ぶりとなる相対性理論のニューアルバム。今回のアルバムで注目を集めたのは、久々の新作という点もそうなのですが、相対性理論のオリジナルメンバーの真部脩一と西浦謙助が脱退したこと。特に真部脩一は、「ハイファイ白書」まで、すべての楽曲の作詞作曲を手がけていただけに、彼が脱退した後の方向性について注目が集まりました。
楽曲の作詞作曲については、前作「シンクロニシティーン」発売直後に、「メンバー全員で作詞作曲を行っていた」というコメントが出されましたが、いや、これ、額面どおり取ることは出来ないんですが(^^;;「シンクロニシティーン」でも、真部脩一作詞作曲名義の楽曲と、それ以外の差を感じたのですが、今回のアルバムは、その真部脩一脱退の影響を強く感じるアルバムになっていました。
なんか今回のアルバムを聴いて感じたのは、相対性理論の物まねバンドが、やくしまるえつこのボーカルを借りて作ったアルバム、というもの。確かに歌詞にしてもメロディーにしても相対性理論っぽい。でも、聴いていて、どこか以前の相対性理論の楽曲とは違う、そう感じさせるアルバムでした。
ちょっと例えが古過ぎて、アラフォーにしかわからないかもしれませんが・・・宇都宮隆が浅倉大介の曲を歌っているような・・・TM NETWORKっぽいけど、あれ?ちょっと違うぞ??みたいな。
メロディーもそうなんですが、特に違和感があったのが歌詞。新生相対性理論の歌詞って、確かに以前ようなぶっとんだような歌詞が羅列されているんですが、楽曲の中で意味が通っちゃっているんですよね。いままでの相対性理論って、使われるフレーズもぶっとんじゃっていたんですが、意味もぶっとんじゃっていて、そのため、その歌詞でいろいろとイメージすることが出来ました。でも、今回の歌詞って、確かに選んでいるフレーズは相対性理論っぽいけど、歌詞の意味が固定されているだけに、物足りなさを感じてしまいました。
楽曲としては決して悪くなく、ポップスアルバムとしてはよく出来ていると思います。特に、やはりやくしまるえつこのボーカルは秀逸で、彼女のボーカルがこのアルバムの出来に大きく寄与していることは間違いないと思います。
ただ、どうしても相対性理論らしさがなくなり、普通のポップスバンドになっちゃったなぁ、という印象は否めませんでした。非常に個性的でおもしろいバンドだっただけに、残念・・・。ちょっと今後に不安を感じてしまったアルバムでした。
評価:★★★
相対性理論 過去の作品
ハイファイ新書
シンクロニシティーン
正しい相対性理論
ほかに聴いたアルバム
ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2012
毎年恒例、ASIAN KUNG-FU GENERATION主宰のイベント「NANO-MUGEN FES.」に参加するミュージシャンを集めたコンピレーションアルバム。例年のように、アジカンと同系統のギターロックバンドを中心に、様々なミュージシャンが参加しています。ただ、アジカンファンがいかにも好みそうなギターロックをメインに、洋楽勢や、秦基博、岩崎愛、片平里菜のようなシンガーソングライター、80kidzのようなエレクトロ勢なども呼んでいるところがユニークなところ。個人的には、まあもともとから好きなミュージシャンなのですが、Fountains Of Wayneの「Someone's Gonna Break Your Heart」が良かったなぁ。例年通り名曲揃いなので、アジカンファンでなくても是非。
評価:★★★★★
NANO-MUGEN COMPILATION 過去の作品
ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2008
ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2011
miusic ~The best of 1997-2012~/坂本美雨
ご存知、坂本龍一と矢野顕子の娘、坂本美雨の初となるベストアルバム。最近、ミュージシャンの2世タレントのデビューが少なくありませんが、デビュー時は話題になっても、ほとんどその後フェイドアウトしています。井上陽水の娘(依布サラサ)といい、矢沢永吉の娘(矢沢洋子)といい。ASKAや桑田佳祐の子供も話題になりましたが、話題になった一瞬の後はほとんど話を聞きません。
そんな中、彼女坂本美雨は、2世ミュージシャンとして、大成功とまではいかないのですが、それなりに生き残った数少ない成功例でしょう。正直、デビューから15年を経過していますが、このベストを聴いても、坂本美雨としての個性が楽曲の面で完全に確立しているかは微妙です。ただその一方で、彼女がちゃんと生き残ってきたのは、その美しいボーカル。事実上のデビューとなった「The Other Side Of Love」でもそうですが、その透き通るような美しいボーカルが彼女の大きな強みであり、かつ、その強みをきちんと生かした曲を歌いつづけています。様々なミュージシャンのアルバムに、ゲストとして呼ばれることも多い彼女ですが、それもこの美しいボーカルがあってのこと。今回のベスト盤では、その美しい歌声に、あらためて聴きほれた作品でした。
ああ、でも2世タレントでも、藤圭子の娘や、森進一・昌子の息子は大成功しているよなぁ。シンガーソングライター系よりも、演歌系の方が、2世タレントが成功する傾向にあるのか??
評価:★★★★
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