アメリカンロックの伝統継承者?
Title:MADE UP MIND
Musician:TEDESCHI TRUCKS BAND
現代の3大ギタリストの一人といわれるデレク・トラックスと、その奥さんで、ブルーギタリストのスーザン・テデスキを中心とするバンド、デデスキ・トラックス・バンド。デビュー作である前作「Revelator」が大きな話題となり、グラミー賞で最優秀ブルース・アルバム賞を獲得するなど、高い評価を受けました。
本作は、そのデビュー作に続く2作目。ブルース・ロックを主軸に、ファンクの要素を取り入れたり、シタールを取り入れたりした前作に比べると、本作はまとまりもあり、よりその方向性が明確になっていました。そして、1曲目の「MADE UP MIND」をはじめ、デレク・トラックスが鳴り響かせるブルージーなギターサウンドは相変わらずしびれるものがあります。そして、それにのる、スーザンのボーカルは、ちょっと泥臭さのあるサウンドに、ちょうど良い清涼感を与えています。
また、ブルース・ロックという軸をベースとしながらも、「PART OF ME」のようなソウル色の強い曲、一方では「WHISKEY LEGS」などハードロック色の強い曲などをバランスよく聴かせてくれます。ブルース、ロック、カントリーなどの要素を様々取り込み、ルーツ・オリエンテッドに仕上げた楽曲は、古き良きアメリカ・サザンロックといった色合い。まさに、ジャケット写真のバッファローと蒸気機関車の世界です。
ただ、それだけに、楽曲としては少々様式化しちゃっている部分もあったのでは?という印象も受けました。前作も、どこか新鮮味の欠ける部分を感じたのですが、本作は、さらに古き良き時代のアメリカンロック路線を突き進んだ結果、どこかで聴いたことがあるような雰囲気になってしまったように思います。
よくも悪くも優等生的なバンドだよなぁ。確かにこういうタイプのブルースロックは、今の時代、ともすれば「伝統を継承する」ようなスタンスになってしまうのかもしれません。まあ、こういタイプの音を求める人がいる限り、少々様式化してもこういう音を聴けるのがうれしいのかもしれませんが・・・。
もっとも、そのブルージーに聴かせるギターといい、メロディーといい、バンドの演奏といい、どれもクオリティーは十分に高いもの。そういう意味では、決して悪いアルバムではないと思うのですが、聴き終わった後、ちょっと物足りなさも感じるアルバムでした。
評価:★★★
TEDESCHI TRUCKS BAND 過去の作品
Revelator
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