雰囲気がガラリと変わった久々の新作
Title:Hesitation Marks
Musician:NINE INCH NAILS
2009年のツアーの後、活動を休止していたNINE INCH NAILS。2013年になり活動再開を宣言し、今年の夏にはフジロックにも出演し、大きな話題になりました。そして、ついに待望のニューアルバムをリリース!2008年に、自身のサイトから先行ダウンロードさせて話題となった「The Slip」以来、5年ぶりとなるニューアルバムとなりました。
このアルバム、最初聴いた時は、その内容に少々戸惑いを覚えました。NINE INCH NAILSといえば、名盤として名高い「The Downroads Spiral」をはじめとするインダストリアル。ガツンと来るヘヴィーなサウンドが特徴的。当然、久々の新作も、そんなヘヴィーな音を期待してアルバムにのぞみました。
しかし、聴こえてきたのはエレクトロのサウンド。もちろん、もともとエレクトロのサウンドは多く取り入れていたトレント・レズナーでしたが、インダストリアル色の薄い軽いサウンドに最初は戸惑いました。
かといって、サウンドの作りこみの見事さはいままでのトレント・レズナーそのまま。ひとつひとつ精密に積み上げたようなサウンドが楽曲にみっちりとおさめられており、かつ、それぞれの曲にバリエーションがあり、リスナーを飽きさせません。間違いなく、アルバムのクオリティーは一級品。でも、この軽いエレクトロサウンドはNINE INCH NAILSがやるべき音なんだろうか??そういう疑問がどうしてもつきまとってしまいました。
ただ、とはいうものの何度か聴くうちに徐々にアルバムの内容にはまっていきました。特に、リズミカルなエレクトロサウンドが心地よい「disappointed」、パンキッシュな「everything」からダンサナブルなビートにかぶるギターサウンドがおもしろい「satellite」の3曲の流れに特にはまってしまいました。他にはトライバルなビートが心地よい「running」も素晴らしかったです。
後半「i would for you」のようにインダストリアルのテイストを残した曲もありましたが、概ね、いままでのNINE INCH NAILSとガラリを雰囲気を変えた今回のアルバム。ひとつのところに留まらず、常に新しい音を求めるトレント・レズナーのスタイルは理解しつつも、正直、今でも「この方向性ならトレント・レズナーでなくてもいいのでは?」という感想も持っています。
しかし、今回のアルバムの出来の良さは、そんな後ろ向きの感想を上回る内容だったと思います。聴けば聴くほど新たな発見がある傑作でした。
評価:★★★★★
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