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2013年8月22日 (木)

彼らお得意の沖縄音楽ですが・・・

Title:世界でいちばん美しい島
Musician:THE BOOM

THE BOOMといえば、代表曲は「島唄」。昔から、THE BOOMといえば沖縄というイメージの強いミュージシャンであることは言うまでもないでしょう。以前も、沖縄音楽を主軸のコンセプトとした「OKINAWA~ワタシノシマ~」という、お前ら、山梨のバンドだろ!と突っ込みを入れられそうなアルバムをリリースしたことがありますが、本作は、その第2弾ともいえる作品。本作は、沖縄民謡や、沖縄音楽の重鎮、あの知名定男の楽曲のカバー、さらには彼書き下ろしの曲まで取り上げた、まさに沖縄をテーマに据えたアルバムになっています。

ただ・・・沖縄音楽に焦点をあてた、THE BOOMの本領発揮ともいえる作品の割りには、全体的にはどうも薄味に感じてしまいました。確かに、知名定男による「太陽ぬ子」や、沖縄民謡「やいま」などは、沖縄民謡らしいメロディーが心に響く名カバーに仕上がっていると思いました。

でも、アルバム全体としては、沖縄音楽の取り上げ方がどうも中途半端に感じてしまいました。どうも全体的に、ポップなアレンジがほどこされただけに、民謡のあくが抜けて、妙に爽やか。悪い意味で癖のないアレンジになっていて、コンテンポラリーにあく抜きされた沖縄音楽とでも言うのでしょうか。あまり沖縄音楽のおもしろさを感じられませんでした。

そんでもって、いまだに「島唄」???いや、確かにリリースから20年を記念して、レコーディングしなおされた記念シングルもリリースされたそうです。でも「島唄」が彼らの代表曲には違いないのですが、前の「OKINAWA~ワタシノシマ~」にも収録されていましたし、ちょっと「島唄」に捕らわれすぎなような・・・。このアルバムでは、さらにオーケストラバージョンまで収録されていて、これがまた蛇足の一言。全然合っていないんですが(苦笑)。

正直言って、このアルバムを聴いていると、彼らはスランプ気味じゃないかなぁ、なんてことを考えてしまいました。前作「よっちゃぱれ」では、日本の民謡や演歌を取り上げて、その方向性に進むことを示唆していたにも関わらず、次の作品ではまた沖縄回帰していますし、なにより、THE BOOMオリジナル曲に関しては、沖縄の色合いが全く出ていない、ただ爽やかなだけのポップソングといった感じで、ここにもスランプを感じてしまいます。意地悪い見方をすると、楽曲作りに詰まって、沖縄音楽のカバーでお茶を濁した、なんて見方も出来なくはないかも。

そういう意味では、期待していた新作なのですが、期待はずれの出来になっていました。がんばってほしいバンドなんですが、ちょっと残念なアルバム。次回作に期待したいのですが・・・。

評価:★★★

THE BOOM 過去の作品
89-09 THE BOOM COLLECTION 1989-2009
四重奏
よっちゃばれ


ほかに聴いたアルバム

サニーディ・サービス BEST 1995-2000/サニーディ・サービス

2008年に再結成後、よく言えばマイペースな、悪く言えば、活動しているのかどうかよくわかんない状態の活動を続けているサニーディ・サービス。突然リリースされたベスト盤で、てっきりレコード会社が勝手に発売したベストかと思えば、選曲は本人たちの手によるベスト盤。2枚組で、1枚は彼らの代表曲が収録されており、もう1枚はレア音源集になっています。

このベストで久しぶりにサニーディの曲を聴きなおしたのですが、その後の曽我部恵一の楽曲からイメージすると思った以上に60年代フォークそのまま。でも、心の中にそっと入り込むようなポップなメロディーラインが実に魅力的。サニーディ・サービスって、やはり素晴らしいバンドだったなぁ、ということを再認識させられるアルバムでした。そろそろ、ニューアルバムも期待したいところですが、さてさて。

評価:★★★★★

サニーディ・サービス 過去の作品
本日は晴天なり

高円寺LOONY/藤掛正隆+早川岳晴with向井秀徳+吉兼聡+辰巳光英+巻上公一

渋さ知ラズのセッションなどにも参加しているドラマーの藤掛正隆と、仲井戸麗市と土屋公平のバンド、麗蘭に参加しているほか、数多くのミュージシャンのセッションに参加しているベーシスト早川岳晴が、2007年より、数多くのミュージシャンと行っていたセッションシリーズをおさめたライブアルバム。今回は、ZAZEN BOYSの向井秀徳、吉兼聡に、渋さ知ラズの辰巳光英、さらにはヒカシューの巻上公一とのセッションを繰り広げています。

楽曲は、フリーキーなセッション。おそらく、フリージャズっぽい雰囲気なのでしょうが、メロディーはしっかり流れているために、聴きずらさはあまりありません。一応、ジャズの範疇なのかもしれませんが、雰囲気的には、ロックのインプロビゼーションに近いかも。迫力あるバンドサウンドをベースに、ホーンやテルミン、さらにはフリーキーなボーカルが飛び交う、狂乱ともいえるサウンド。先の読めない展開に、ついついひかれる展開になっています。

個人的にはもちろん向井秀徳目当てで聴いたのですが、いつものように、フェンダーローズでチャルメラのメロディーが登場するなど、向井っぽい部分がチラリと登場もするのですが、全体的には、向井秀徳らしさは薄く、それだけ目当てだと、ちょっと厳しいかも。ただ、それでもダイナミックな演奏には、ZAZEN BOYSが好きなら惹かれる部分も少なくないかも。なによりも、音源以上にライブで楽しみたくなるような演奏でした。

評価:★★★★

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