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2013年8月

2013年8月31日 (土)

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド2013 その3

その2より

日付かわって8月25日。この日はまず高岡からバスで福野へ(ちょうどよい時間の列車がなかったので)。10時30分から、昨日の公開インタビューを行った場所と同じ、ヘリオス内アートスペースで行われたワークショップ「マリの音楽と文化」に参加してきました。

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↑左の建物が会場のヘリオス。まだ朝なので人はまばらです・・・。

このワークショップは、マリの代表的な楽器、コラの奏者で、日本在住20年に及ぶマリ人のミュージシャン、ママドゥ・ドゥンビアが、マリの現状や、音楽・文化などを語るという企画。ママドゥ氏は、在日20年なだけに日本語はペラペラでした。

最初は、マリという国の現状や問題点について

・「マリ」というのは、現地の言葉で「カバ」を意味するということ。
・天気はカラッとしているが、暑い。
・日本にはマリ人は少ないが、ヨーロッパにはたくさん移住している。親戚か知り合いの誰か1人はヨーロッパに言っているという感じ。
・マリは黒人だけではない。北へ行くほど白くなる。
・民族の居住地域と国境が異なる。⇒アフリカでは一番大きな問題。
・マリには23の民族と言語がある。そのため、コミュニケーションがやりにくい。ニュースでも、日本だと5分くらいで終わるニュースが、マリではいろいろな言語で報道するため、2時間くらいかかる。
・学校がたりない。教育はタダだが、遠いから行けない。
・マリの公用語はフランス語だが、30%くらいしか学校へ行っていないから、残りはフランス語がわからない。

この23の民族と言語ということについて、「外の人はいろいろな文化があって良いというが、自分たちは全くそうは思わない」という言葉が印象的でした。

そしてその後は、マリが現在抱えている問題について。1月に起こったアルジェリアの人質拘束事件にもからんだ話をお話ししてくれました。

・マリ、アルジェリア、ニジェールにまたがった地域に住むタマシェク族(外ではトゥアラグと呼ばれている)は自分たちの国をほしがっている。
・アルジェリアやニジェールは強いため、弱い国であるマリに侵攻してきた。
・タマシェク人はそれまでリビアのカダフィの軍にいたが、カダフィ政権が倒れたことにより、武器を持ってマリに移住した(アルジェリアを通ったが、アルジェリア政府は見てみぬふりをした)。
・ただし、侵攻してきた地域には、アルジェリアでクーデターがあり、住めなくなったアラブ人たちが住んでいた。
・アラブ人はイスラム過激派がサウジなどの闇での支援を受けており、とても強かったため、タマシェク人たちを追い出し、マリはイスラム過激派の支配下になってしまった。
・その過程でマリ在住の多くのフランス人が人質に取られて、身代金が支払われた。マリ南部には多くのフランス人がいるため、フランス軍が来て、イスラム過激派を追い出した。

この話は人質事件の際、簡単にニュースで流れていましたが、あらためてアフリカの厳しい現状を思い知らされました。ちなみにマリとフランスは交流が盛んだが、フランス人は本心で何を考えているのかわからず、複雑な状況である、という話も印象的でした。また、土地はいくらでもあるのだから、なんで喧嘩するのかわからない、という話も印象に残りました。

そして最後は音楽の話。彼曰く、アフリカでは音楽は生活の一部であり、日常のあらゆる部分に音楽がある、ということ。また、マリではグリオという職業の話になりました。グリオはミュージシャンと紹介されることも多いけど、社会の儀礼などをつかさどる人で、音楽をやる人は一部らしいです。また、グリオのいうことはみんな守るため、マリでは基本的に民族紛争は起きないということ。上の民族紛争は、ただひとつの民族だけが言うことを聞かないために起きてしまった、という話でした。

また、マリの音楽が基本的に2種類。ピアノの白鍵の音色が出るコラの音色と、日本の三味線や民謡に似ているバンバラ族の音階があるそうです。

最後に、マリの楽器について紹介してくれました。主な楽器はムゴニという楽器とコラという楽器。ムゴニはウクレレみたいな弦楽器で、木と牛の皮と釣り糸でつくられるとか。基本的に自分たちでつくり、マリ人にとっては、ノスタルジーを感じる音だそうです。

そして、彼自身も奏者であるコラ。ひょうたんと羊の皮と釣り糸でつくられる弦楽器で、こちらは王様が誰か奏者に弾かせるような楽器で、ヨーロッパのハープみたいなイメージだそうです。

そんなこんなで1時間半。かなりボリュームある講演でした。前半のマリの現状に時間がさかれ、マリの音楽についてはちょっと短めだったのは残念だったのですが、マリという国やアフリカの現状について、よく学ぶことが出来ました。とても有意義な時間でした。

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←カフェステージのテント

その後は、ヘリオスステージのライブがスタートするまで、ヘリオスの外のフードマーケットやグッズマーケットをブラブラ。昼食にタコスやベトナムのフォーをビールと一緒にいただきました。

そして、カフェステージのライブで楽しみます。

ハナサーサー

最初は沖縄民謡を歌う、男女5人組のグループ。「安里屋ユンタク」をはじめ、沖縄の有名な民謡などを歌ってくれました。沖縄民謡らしい横ノリの心地よいリズムとメロディーがとても心地よいステージでした。

最後は、なぜか忌野清志郎の「デイドリームビリーバー」で締めくくり。カフェステージらしい、暖かい雰囲気のステージでした。

THE POT STILL BAND

で、カフェステージで見たのはもう1組。THE POT STILL BANDという11人組という大所帯でのアイリッシュトラッドバンド。バイオリンなども加えての、こちらも爽やかなアイリッシュメロディーを聴かせてくれるバンド。爽やかなインストナンバーで、爽快な空気が会場を流れるような、心地よい音色が楽しめたステージでした。

そしていよいよ、ヘリオスステージの開場となりました。

その4へ続く

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2013年8月30日 (金)

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド2013 その2

その1から

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そんな訳で、フローラル・ステージがスタートです。

南砺市園芸植物園に野外ステージがもうけられ、さらに「福野ビッグ夏の市」という屋台村も同時に開催。昨年もそうでしたが、近所のおじさんおばやんや子供たちもたくさん集まっていて、会場は、ちょっとした夏祭りの雰囲気に。このアットホームな雰囲気もまた、このイベントの大きな魅力だと思います。

スキヤキ・スティール・オーケストラ

このイベントの最初を飾るのが、スキヤキ・スティール・オーケストラという、このイベントをきっかけに誕生した市民楽団。ただ、過去にはCDも発売しており、かなり本格的な活動を行っているそうです。

まずは日本ではビールのCMでおなじみの「Volare」からスタート。爽やかなスティールパンの音色で、まさに夏の雰囲気がピッタリの楽曲に。さらにその後、翌日のヘリオス・ステージへの登場が予定されている、アルゼンチンのシンガー、マリアナ・バラフが参加。彼女のボーカルをバックに1曲演奏を披露してくれました。マリアナ・バラフは、公式サイトの写真の雰囲気とはちょっと違って、パワフルな雰囲気のシンガーで、パワフルで力強い歌声を聴かせてくれました。

さらに、日本人にはおなじみの「君の瞳に恋してる」のカバーに、こちらは昨年も聴かせてくれた「Pump yuh flag」(旗を振れ)。昨年と同様、バンダナを観客席に配り、みんなで旗を振り上げながらの演奏となりました。

ステージは1時間弱程度。まだまだ暑い夏の日にピッタリの爽やかな演奏を楽しませてくれました。

WERNER PUNTIGAM,MATCHUME ZANGO&SAKAKI MANGO

2組目はオーストリア出身のトロンボーン奏者、ヴェルナー・プンティガムと、モザンビークの打楽器奏者、マチュメ・ザンゴのユニット。今回のステージでは、それに日本から、親指ピアノ奏者のサカキマンゴーが加わっての、ユニットになりました。

ヴェルナーやマチュメについては、今回、はじめて名前も音も聴くミュージシャン。楽曲は、マチュメのテンポのよいドラムに、ヴェルナーのトロンボーンの迫力ある音、さらには、サカキマンゴーの親指ピアノの美しい音色が見事にマッチしており、絶妙なバランスがとても魅力的。今回のイベントのためのコラボですが、はじめてと感じさせない息のあった演奏でした。

ヴェルナーは、「巻き貝奏者」とも紹介されており、途中、ほら貝みたいなものを取り出して演奏したのにはちょっとビックリ。ただ、巻き貝は残念ながらさほど使われませんでしたが・・・。他にもマチュメによるティリンバという木琴の演奏が加わったり、サンプリングの音を加えたり(「再稼動反対」というコールも)、アフリカ風の雰囲気がありながらも、一方ではとてもモダンな印象のある演奏で、とても楽しめました。

UKANDANZ

そして、この日の最後をつとめたのが、エチオピアのバンド、ユーカンダンツ。エチオピア音楽にダイナミックなロックサウンドを取り入れた演奏で、以前、当サイトでも紹介したことがあります(というか、この日のために聴いたのですが)。

まず、「You Can Dance」から取られたというミュージシャン名から、思いっきり踊ろうと身構えていたのですが、はじまった楽曲はいきなり複雑なリズム(笑)。最初、どう踊ればいいか、固まってしまいましたし、周りもなんとなーく、そんな雰囲気でした(笑)。

しかし、その一方で、迫力あるダイナミックな演奏に思わず圧倒。CDで聴くよりも、よりロック色が強く出ていました。特に印象的だったのは、ドラムスの演奏で、この迫力あるドラムが、バンドの軸となっていました。また、ギターも、CDよりもヘヴィーで、重厚なリフを聴かせてくれており、CDで聴くよりも、ヘヴィーロックというイメージを強く感じました。

楽曲も、ハードロック色が強かったり、さらにはサイケやプログレ的な要素も。それに、エチオピア音楽の特徴的な、コブシの効いたボーカルが載る、という独特なもの。最初は、どう踊っていいかわからず戸惑ったのですが、徐々にそのリズムに慣れていき、途中からは、みんな思いっきり踊りまくっていました。

そんな迫力ある演奏ながらも、ちょっと愛嬌も感じられるボーカルが、右へ左へと踊りまくっていたのが印象に残りました。また、MCも、一生懸命日本語で伝えようとしてくれていて、そちらも好感度アップ。なんか、とてもいい人たちっぽいなぁ(笑)と感じました。

CDで予想していた以上に迫力あるステージで、最後はみんなで踊りまくった、とても楽しいステージでした。本編1時間程度で、さらにはもちろんアンコールも。昨年は、最後、涙ながら最終列車の関係で、途中で会場を後にしたのですが、今年は高岡駅まで臨時バスが走るとあって、最後の最後まで楽しみ、満足感いっぱいに会場を後にしました。

去年も楽しかったのですが、今年も最高に楽しかったなぁ。野外という開放感ももちろんですが、昨年同様、子どもたちからお年寄りまで、とても幅広い層が演奏を楽しんでいました(昨年に比べて、外国人の比率は少なかったのですが)。幸せな気分を味わいながら、この日は高岡のホテルで1泊しました。

その3

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名古屋圏フェス・イベント情報(8/30)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

8/30 主な更新
・蒲郡Rock Fes2013 開催中止
・飲み放題!ビアガーデン音楽フェス、アイドルウェイブin名古屋ビアガーデンフェス 追加
・森、道、市場~川へ、旅へ~ 第2弾出演者発表
・KAZOKU FES.2013 第3弾出演者発表
・愛知REGGAE BREEZE2013、WINDBLOW '13、Re:mix 2013、わちゃわちゃフェスタ 終了

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報(8/30)"

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2013年8月29日 (木)

ようやく新譜が・・・。

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

お盆休みのため、新譜が少ないチャートが続いていましたが、ようやく今週は、新譜がチラホラランクイン。

ホルモンの3週連続1位が続いていましたが、久々の新譜1位はヒムロック。氷室京介のベスト盤「KYOSUKE HIMURO 25th Anniversary BEST ALBUM GREATEST ANTHOLOGY」が獲得です。タイトル通り、ソロデビュー25周年を記念してリリースされたオールタイムベスト。最近、ベテラン大物シンガーのオールタイムベストのリリースが続いていますが、その流れということになるのでしょうか。ただ、ベスト盤としては、2008年にリリースされた「20th Anniversary ALL SINGLES COMPLETE BEST JUST MOVIN' ON ~ALL THE-S-HIT~」からわずかアルバム1枚を挟んでのベスト。そのため、初動売上6万2千枚は、その2008年のベスト盤の初動8万1千枚よりダウン。彼は15周年の時もベスト盤をリリースしており、その前にもベスト盤をリリースしており、バラードベストを含めると6枚目のベスト盤。それでも、一応はオリジナルとしての前作「"B"ORDERLESS」の5万7千枚より若干アップしている点、根強い人気があるということなのでしょうか。

2位もベスト盤。スキマスイッチ「POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~」。デビュー10周年を記念してのベストですが、セルフカバーの「DOUBLES BEST」を含めると、もう3枚目のベスト盤。初動売上3万5千枚は、オリジナルの前作「musium」の2万3千枚、「DOUBLES BEST」の2万9千枚は上回ったものの、「グレイテスト・ヒッツ」の24万6千枚を大幅に下回る結果に。

3位は、先週まで3週連続1位だったマキシマム ザ ホルモン「予襲復讐」がまだまだベスト3をキープ。根強い人気を見せつけています。

続いては4位以下の初登場です。まず4位に「TVアニメ『Free!』ドラマCD 岩鳶高校水泳部 活動日誌1」がランクイン。タイトル通り、テレビアニメ「Free!」のドラマCD。初動売上は1万1千枚。「Free!」がらみでは、先週、シングルチャートで、キャラクターソングSTYLE FREE「SPLASH FREE」がベスト10入りしていますが、その初動売上3万2千枚よりはダウンしています。

5位は、クロアチアの2人組チェリストユニット2CELLOS「2CELLOS2~IN2ITION~」が入ってきています。もともと、昨年11月にリリースされたアルバムでしたが、このたび、パッケージを変更し、シングルクレクションを追加したの再リリース。ドコモのCM曲が話題になったり、先日出演した「ミュージックステーション」での話題が高まり、見事ベスト10入りを記録しています。

チャート初登場最後。6位7位にビジュアル系バンドシドの、2枚のB面ベスト集がランクイン。6位「Side B complete collection~e.B 2~」7位「Side B complete collection~e.B 3~」という結果になっています。

初動売上はそれぞれ1万1千枚と1万枚。直近のオリジナルアルバム「M&W」の初動4万5千枚からダウンしていますが、B面ベストという内容を考えると、仕方ない結果かと。ちなみに、B面ベストは以前、インディーズ時代にもリリースしており、その「Side B complete collection~e.B~」の初動1万4千枚よりも若干ダウンしてしまっています。

アルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2013年8月28日 (水)

恒例の初動ミリオン

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週の1位は、AKB48の新曲が獲得。

「恋するフォーチュンクッキー」が初動売上133万枚を売り上げて1位獲得。5月に行われた「総選挙」の結果を受けての新曲で、その「総選挙」の投票券がついていた前作「さよならクロール」の176万2千枚は下回りましたが、昨年の同時期に発売した「ギンガムチェック」の118万1千枚は上回る結果に。ただ、昨年の場合は、同時期にアルバムリリースがあり、その影響もありましたが。ちなみにAKBがらみでは今週5位に、NMB48「僕らのユリイカ」がベスト50圏外から返り咲き。7月8日付チャート以来、8週ぶりのベスト10入り。コンサートでの物販分などが集計されたことによる模様です。

2位は韓国のアイドルグループSHINee「Boys Meet U」がランクイン。前作に続き、エレクトロナンバーのサマーポップ。初動売上8万8千枚は、前作「Fire」の4万8千枚よりアップ。3作前の「Dazzling Girl」の9万7千枚の水準に戻してきましたが、ここらへんはイベント効果などもあるのでしょうか。

3位にはV6「君が思い出す僕は 君を愛しているだろうか」が入ってきています。イノッチが出演しているテレビ朝日系ドラマ「警視庁捜査一課9係」主題歌で、もうV6の曲のタイアップ先として完全に定番化しています。初動売上5万4千枚で、前作「ROCK YOUR SOUL」の5万5千枚から微減。

続いて、4位以下の初登場曲ですが、まず5位にビジュアル系バンドthe GazettE「FADELESS」がランクイン。途中、アルバムのリリースがあったものの、2年ぶりという久々のシングル。初動売上2万5千枚は、「REMEMBER THE URGE」の3万3千枚からダウン。10月にアルバムリリースが予定されている影響もあるのでしょうか。

7位初登場はEXILE ATSUSHI「道しるべ」。単独でのシングルでは2作目となるソロシングル。ピアノ主体のバラードナンバー。初動売上2万4千枚は、前作「MELROSE~愛さない約束~」の9万2千枚から急落。どうしちゃった??

9位には、人気声優南條愛乃らのユニット、fripSide「eternal reality」が入ってきています。アニメ「とある科学の超電磁砲」主題歌。なんとこの楽曲、作曲は、メンバーの八木沼悟志と、あの小室哲哉の共作!確かに、途中、これでもかと転調が続く構成は、いかにも小室哲哉らしい感じが。ただ、楽曲全体の雰囲気としては、むしろ、浅倉大介みたいな、小室フォロワー系の音に近いかも??初動売上は2万枚。初の1位獲得となった前作「sister's noise」の2万7千枚からはダウンしており、小室効果は発揮されず・・・。

最後はもういっちょアニソン。Printemps~高坂穂乃果(新田恵海),南ことり(内田彩),小泉花陽(久保ユリカ)from μ's~「Pure girls project」が10位にランクイン。最近、ランクインが目立つ、アニメ「ラブライブ!」のキャラクターソング。いかにもなアニメ声のキャラクターソング。初動売上1万5千枚は、Printemps名義では、前作「Love marginal」の最高位85位初動1千枚より大きくアップ。「ラブライブ!」関係では、BiBi「Cutie Panther」の1万6千枚から微減。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2013年8月27日 (火)

今年もスキヤキへ!

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド

会場:富山県南砺市ヘリオス/フローラルパーク 日時:2013年8月24日(土)、25日(日)

毎年、夏の終わりに富山・福野で開催され、今年で23回目になる日本最大級のワールドミュージックのイベント、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド。昨年、はじめて参加して、すっかりその魅力にはまってしまったのですが、今年も行ってきました!

前日、富山地域を襲った記録的豪雨の影響で、私が乗車した特急ひだは1時間近く遅れて富山駅に到着。波乱の幕開け(?)だったのですが、なんとか参加したいと思っていた15時半からのイベントには間に合いました。おかげで、ゆっくり昼食を食べている時間がなくなってしまいましたが・・・。

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←福野駅から会場であるヘリオス(福野文化創造センター)までの道には、昨年と同様、スキヤキの旗が飾られていて、気分が盛り上がります。

今回、まず参加したのは、このヘリオス内のアートスペースで行われた、今回のイベントの大トリを務める予定となっている、アフリカ音楽のスーパースターの一人、ジンバブエのミュージシャン、オリヴァー・ムトゥクジ(Oliver Mtukudzi)の公開インタビューでした。

公開インタビューは、司会者と、ジンバブエの音楽に詳しいライターの方、そしてもちろんオリヴァー本人をまじえて進んでいきました。以下、オリヴァー本人の言葉で、印象に残ったものを抜書き。

・(彼のパフォーマンスにはユーモラスなものが多いという指摘に対して)歌は人の心を癒すものであり、攻撃的であってはいかない。ユーモアであることによって、歌が人の心に届く。ショナ人(オリヴァーはショナ民族だそうです)にとって、ユーモアは文化。なにか問題があっても、ユーモアで笑い飛ばす。笑顔が大事。

・(女性について)女性は国民、民族を生み出すものである。いい生活は女性から生まれる。

・(女性にもてる秘訣を聞かれて)笑顔をつくればもてますよ(笑)。

・(バンドに若いミュージシャンを起用している意味)若手にいろいろな文化を知ってもらいたい。その上で、ジンバブエに戻って、そのことを生かしてもらいたい。

・(インタビューの中で、よく「正しい道」という言葉を使われますが・・・)「正しい道」というのは、自分自身を信じること。私は、そのメンタリティーを持っていたから、長く音楽活動を続けられた。

ざっと簡単な要約ですが、1時間半にわたり、貴重なお話しを聞くことが出来ました。特にオリヴァー本人、音楽を通じて、人々を癒す、あるいは(上にも出てきた)「正しい道」に啓蒙することに対してとても意識的に行っていることを感じました。人々を癒すためにも、ユーモアあふれるステージを作っているということで、翌日のステージも、とても楽しみになってくるようなインタビューでした。

さて、公開インタビューが終わると、「スキヤキ・パレード」。市民の音楽隊や、ミュージシャンたちが、福野駅から、次のフローラルステージの会場である、園芸植物園まで練り歩きます。

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↑こんな感じで、パレードが。向うには、山車も見えます。

他にも、小学生や中学生の音楽隊や、ちんどん屋なども登場し、楽しく街を練り歩いていました。田舎町なのですが、この時ばかりは街の人たちも出てきていて、沿道はかなりの賑わい。なんとなく、去年より見物客はちょっと多かったような・・・??

ちなみにさきほどまでインタビューを受けていたオリヴァー・ムトゥクジも、沿道に出て、パレードを楽しんでいました。

それで、やはりパレードでよかったのが、昨年、カフェステージでとても熱いステージを見せてくれた、世田谷から来た、ブラジルの伝統的楽器「マラカトゥ」を演奏する集団、バッキバ。

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メンバーみんなで統率の取れた、迫力のある太鼓のビートがとても印象的。一緒に踊りたくなってくるような楽しい演奏でした。

そんなこんなでパレードを楽しみながら、フローラルステージのある南砺市園芸植物園まで向かいました。

その2

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2013年8月26日 (月)

レゲエに留まらないコラボ

Title:I LOVE
Musician:MINMI

約3年ぶりとなるMINMIのニューアルバム。今回のアルバムの大きな特徴は、様々なミュージシャンとのコラボでしょう。それもユニークなのは、レゲエというジャンルに留まらないコラボが、大きなインパクトとなっていました。

湘南乃風とコラボした「さくら~永遠~」はともかくとして、インパクトがあったのは、やはりサンボマスターとのコラボ「この世が闇だと言わないでおくれ」、さらにはラッパーSHINGO★西成とのコラボ「ポジティブ音頭 ~D.P.P.~」でしょう。サンボマスターとのコラボ曲は、曲のタイトルからしてそのまんまサンボマスターといった感じですが、楽曲もサンボマスターらしい、ファンキーなロックチューン。また、SHINGO★西成とのコラボは、タイトル通りの夏の暑さにピッタリの音頭!かなりユーモラスでリズミカルな楽曲を聴かせてくれています。

さらには「風に乗せて」は、なんかプロデューサーにあの中田ヤスタカを迎えた作品。とはいっても、パーカッションのリズムが軽快なラテン風のナンバー。Perfumeやcapsuleのイメージとは微妙に異なるものの、軽快なエレクトロのリズムが入っている点、確かにヤスタカっぽい雰囲気も?また、今風のEDMナンバー「TONITE」はm-floとのコラボ。こちらは一度聴けばm-floだな、とわかるような安定のナンバー(笑)。

ただ、今回のアルバム、これらのコラボナンバー以外に関しても、あまりMINMIらしい「レゲエ」というイメージはありません。1曲目の「Lavender」からしてエレクトロのポップチューンですし、湘南乃風とコラボした「さくら~永遠~」ですら、エレクトロアレンジが前に出ており、レゲエというイメージは薄め。今回のアルバムで、レゲエ色が出ていたのは、「君がスキ」くらいでしょうか?

そんなこともあり、アルバム全体の統一感は薄めですし、MINMIっぽさもちょっと薄かった感じも。ただ、その一方で、様々なミュージシャンとのコラボは、レゲエという枠にとらわれない、彼女の幅広い音楽性を感じさせてくれました。今回の経験は、これからの彼女の活動にどのように生きてくるのでしょうか?そういう意味では、次回作が楽しみになってくるようなアルバムでした。

評価:★★★★

MINMI 過去のアルバム
THE LOVE SONG COLLECTION 2006-2007
MINMI BEST 2002-2008
Mother

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2013年8月25日 (日)

「歌謡曲」らしさを上手く織り込んだ傑作

Title:I
Musician:いきものがかり

正直言うと・・・というか、ここのサイトの過去の感想を見ていただければわかると思いますが・・・いきものがかりについては、あまりいい意味ではなく、「よく出来たJ-POPユニット」というイメージしかありませんでした。しかし、今回のアルバムに関しては、その見方をあらためなければいけないかもしれません。いきものがかりのアルバムの中で、間違いなく最高傑作と言えるのではないでしょうか。優れたポップスバンドとしての顔を垣間見せたアルバムに仕上がっています。

もっとも、このアルバムについて、いつもの彼らと大きく変わった、という訳ではありません。基本的にはいきものがかりらしいポップスソングが並んでいます。ただ、いきものがかりらしさを生かした上で、ある種の垢抜けたものを感じました。特に今回のアルバムで感じたのは、彼らの楽曲の中に感じられた歌謡曲的要素が、上手く作用したように感じます。

このいきものがかりの楽曲の中に感じられる「歌謡曲」っぽさは、いままでの楽曲にも感じることが出来ました。ただ、いままでの曲に関しては、その歌謡曲っぽさが、野暮ったさにつながっている部分があり、ともすれば「平凡なJ-POP」というイメージを強く抱いてしまう部分がありました。

しかし、今回のアルバムについては、「歌謡曲」っぽさが、メロディーラインの良さにつながっており、さらにはどこか懐かしい、ノスタルジックな要素を楽曲に与えていたようにも思います。例えば先行シングルになった「1 2 3~恋がはじまる~」は、どこか80年代のアイドル歌謡曲っぽさがいい味を出していますし、「恋跡」などか、J-POPがJ-POPと呼ばれる直前、90年代初頭あたりの香りが漂い、ここらへんは個人的にはかなり懐かしさを感じ、壺にはまる楽曲になっていました。

さらに今回のアルバムで特によかったのが、この歌謡曲路線をさらに推し進めた楽曲。軽快な「ぱぱぱ~や」も、哀愁ただようメロディーが耳につきますし、さらに特筆すべきは「恋愛小説」。歌詞も含めてまさに80年代の歌謡曲そのまま。おそらく本人も意識して書いたと思うのですが、意識して書いた曲が、ちゃんとその狙い通りに機能している点、その実力を感じます。

いきものがかりというグループの、脂が乗り切っていることを感じる傑作。ちょっと興味深いのは、この手の傑作は、通常、最も売上が伸びている時期にリリースされることが多いのですが、彼らにとっては、その人気が一段落した段階でリリースされたという点。実際、このアルバムの売上は、初動売上11万1千枚と、前作「NEWTRAL」の初動売上19万2千枚から大きく売上を落としてしまっています。

ただ、どんなバンドでも、最も勢いのあるころには、奇跡のような傑作をリリースしてくるケースが少なくありません。このアルバムが、そんな「奇跡の1枚」なのか、それとも、彼らが、このアルバムを機に一皮むけて、さらに大きく成長したことを示すのか・・・次回作も注目です。ただ、このアルバムが後者のアルバムであり、次回作も傑作であれば、おそらく、一段落してしまった彼らの人気が、再び上向いてくるのは、そう遠くないかもしれません。

評価:★★★★★

いきものがかり 過去の作品
ライフアルバム
My Song Your Song
ハジマリノウタ
いきものばかり
NEWTRAL
バラー丼


ほかに聴いたアルバム

エレクトリックセクシー/ORIGINAL LOVE

ORIGINAL LOVEのニューアルバムは、まずタイトルがいいなぁ、と感じます。「エレクトリックセクシー」。うん、セクシーなんてタイトルをこんなにさらっとつけれるバンド、少ないんじゃないかなぁ。そして、この「エレクトリック」というタイトル通り、全面的にエレクトロサウンドを取り入れた今回の作品。80年代のテイストがたっぷり含まれてたダンスポップが並んでいます。ただ一方、その底に流れているメロディーやリズムはいつものORIGINAL LOVEらしく、ソウルやファンクの要素が色濃い作品。新しい要素を取り入れつつ、ORIGINAL LOVEらしさは健在という傑作に仕上がっていました。

評価:★★★★★

ORIGINAL LOVE 過去の作品
白熱

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2013年8月24日 (土)

インディーバンドらしい新作

Title:An Object
Musician:No Age

ロサンジェルス出身の2人組インディーロックバンド、No Ageのニューアルバム。大きな話題となったアルバム「Nonus」を受けて、はじめてリアルタイムで聴いた前作「EVERYTHING IN BETWEEN」は、幻想的な色合いも濃い、ちょっと実験的な方面にシフトしたアルバムになっていました。しかし、3年ぶりとなるニューアルバムは、シンプルなギターロックに戻っているようなアルバムでした。

楽曲全体を覆うような、ラフでノイジーなギターサウンドに、ポップなメロディーラインがこのアルバムの主軸。小難しいところも一切なく、ギターノイズも、かなり荒々しいものを感じます。いい意味で、インディーバンドらしい、手作り感とでも言うのでしょうか、バンドとしてのリアリティーを感じさせる音づくりになっていました。

メロディーも、ポップでわかりやすい反面、「No Ground」のように、ともすればワンコードやツーコードで展開するようなシンプルな曲も多く、あまり懲りすぎていません。No Ageといえば、ニュー・ゲイザーなどといわれ、マイブラをはじめとするシューゲイザーバンドからの流れで語られることが多いバンド。確かに、ホワイトノイズにポップなメロディーという部分はシューゲイザーバンドと共通しています。ただ、アルバム全体に流れるシンプルなメロディーは、キュートなメロが特徴的なシューゲイザー系というよりも、例えばSONIC YOUTHのようなインディーバンド、あるいは「Running From A-Go-Go」などは、もっと遡って、THE VELVET UNDERGROUNDと似ているものを感じました。

後半には、「A Ceiling Dreams of A Floor」のような、もっとローファイ色が強い曲や、楽曲を覆いつくすノイズが幻想的な「Commerce,Comment,Commence」のような曲もありますが、全体的には似たようなタイプの曲が並んでいます。ただ、アルバム全体としても30分程度の長さであるため、ほとんど飽きる前にアルバムが終わってしまい、似た曲が並んでいるという点は全く問題になりません。むしろ、下手に凝ったりしないシンプルさが、アルバムの大きな魅力になっているように感じました。

そんな訳で、インディーバンドらしいシンプルな内容が魅力的なアルバム。「Nonus」で彼らにはまったものの、前作「EVERYTHING IN BETWEEN」がいまひとつピンとこなかった私にとっては、このアルバムには十分はまりました。期待通りの傑作でした。

評価:★★★★★

No Age 過去の作品
EVERYTHING IN BETWEEN


ほかに聴いたアルバム

ANTENNAS to HELL/slipknot

アメリカのヘヴィーロックバンドslipknotの初となるベスト盤。ヘヴィーメタルの枠内で語られることも少なくないバンドですが、意外にポップなメロも流れており、全体的にはヘヴィメタリスナー以外にもアピールできるような曲調。ただ、個人的にこの手のヘヴィーなサウンドは、最初は気持ちよく聴けるものの、全19曲となると、さすがに最後はお腹いっぱいになってしまいました・・・。

評価:★★★★

slipknot 過去の作品
All Hope Is Gone

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2013年8月23日 (金)

生涯現役歌手のドキュメンタリー

Batayan

今年4月、享年94歳でこの世を去った、昭和を代表する歌手バタヤンこと田端義夫。その彼の、遺作となったドキュメンタリー映画「オース!バタヤン」が名古屋でも公開されたので見に行きました。

先日、この映画のサントラ盤について紹介しました。もともと、映画の存在自体は公開前から知っていたのですが、ソウルフラワーユニオンがライブで彼の「島育ち」を取り上げたことから興味を持ち(中川敬も映画の中で登場しています)、もともとから、ここ最近、昭和歌謡曲に興味があったことから、映画館に見に行きました。

場所は駅西のシネマスコーレというミニシアター。サブカル文脈で紹介される映画なだけに客層はどんなもんかなぁ、と思ったのですが、見事なまでのジジババばかり(^^;;30代の観客は私だけ。昭和歌謡曲の再評価が久しいのですが、結局、若い世代はクレイジーケンバンドくらい止まりで、実際の昭和歌謡曲には興味がないってことなんでしょうか。ちょっと寂しい気持ちになりました。

以下、ネタバレの感想

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名古屋圏フェス・イベント情報(8/23)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

8/23 主な更新
・蒲郡Rock Fes2013 全出演者発表
・東濃フェス2013秋 出演者発表
・NAGO-STEP!!!3D 追加
・THE OCEAN '13 追加
・DISCOVERY2013、伊吹の天窓2013、聖地巡礼!!2013 ~夏休み合宿編~、まんまる音楽祭2013 終了

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2013年8月22日 (木)

彼らお得意の沖縄音楽ですが・・・

Title:世界でいちばん美しい島
Musician:THE BOOM

THE BOOMといえば、代表曲は「島唄」。昔から、THE BOOMといえば沖縄というイメージの強いミュージシャンであることは言うまでもないでしょう。以前も、沖縄音楽を主軸のコンセプトとした「OKINAWA~ワタシノシマ~」という、お前ら、山梨のバンドだろ!と突っ込みを入れられそうなアルバムをリリースしたことがありますが、本作は、その第2弾ともいえる作品。本作は、沖縄民謡や、沖縄音楽の重鎮、あの知名定男の楽曲のカバー、さらには彼書き下ろしの曲まで取り上げた、まさに沖縄をテーマに据えたアルバムになっています。

ただ・・・沖縄音楽に焦点をあてた、THE BOOMの本領発揮ともいえる作品の割りには、全体的にはどうも薄味に感じてしまいました。確かに、知名定男による「太陽ぬ子」や、沖縄民謡「やいま」などは、沖縄民謡らしいメロディーが心に響く名カバーに仕上がっていると思いました。

でも、アルバム全体としては、沖縄音楽の取り上げ方がどうも中途半端に感じてしまいました。どうも全体的に、ポップなアレンジがほどこされただけに、民謡のあくが抜けて、妙に爽やか。悪い意味で癖のないアレンジになっていて、コンテンポラリーにあく抜きされた沖縄音楽とでも言うのでしょうか。あまり沖縄音楽のおもしろさを感じられませんでした。

そんでもって、いまだに「島唄」???いや、確かにリリースから20年を記念して、レコーディングしなおされた記念シングルもリリースされたそうです。でも「島唄」が彼らの代表曲には違いないのですが、前の「OKINAWA~ワタシノシマ~」にも収録されていましたし、ちょっと「島唄」に捕らわれすぎなような・・・。このアルバムでは、さらにオーケストラバージョンまで収録されていて、これがまた蛇足の一言。全然合っていないんですが(苦笑)。

正直言って、このアルバムを聴いていると、彼らはスランプ気味じゃないかなぁ、なんてことを考えてしまいました。前作「よっちゃぱれ」では、日本の民謡や演歌を取り上げて、その方向性に進むことを示唆していたにも関わらず、次の作品ではまた沖縄回帰していますし、なにより、THE BOOMオリジナル曲に関しては、沖縄の色合いが全く出ていない、ただ爽やかなだけのポップソングといった感じで、ここにもスランプを感じてしまいます。意地悪い見方をすると、楽曲作りに詰まって、沖縄音楽のカバーでお茶を濁した、なんて見方も出来なくはないかも。

そういう意味では、期待していた新作なのですが、期待はずれの出来になっていました。がんばってほしいバンドなんですが、ちょっと残念なアルバム。次回作に期待したいのですが・・・。

評価:★★★

THE BOOM 過去の作品
89-09 THE BOOM COLLECTION 1989-2009
四重奏
よっちゃばれ


ほかに聴いたアルバム

サニーディ・サービス BEST 1995-2000/サニーディ・サービス

2008年に再結成後、よく言えばマイペースな、悪く言えば、活動しているのかどうかよくわかんない状態の活動を続けているサニーディ・サービス。突然リリースされたベスト盤で、てっきりレコード会社が勝手に発売したベストかと思えば、選曲は本人たちの手によるベスト盤。2枚組で、1枚は彼らの代表曲が収録されており、もう1枚はレア音源集になっています。

このベストで久しぶりにサニーディの曲を聴きなおしたのですが、その後の曽我部恵一の楽曲からイメージすると思った以上に60年代フォークそのまま。でも、心の中にそっと入り込むようなポップなメロディーラインが実に魅力的。サニーディ・サービスって、やはり素晴らしいバンドだったなぁ、ということを再認識させられるアルバムでした。そろそろ、ニューアルバムも期待したいところですが、さてさて。

評価:★★★★★

サニーディ・サービス 過去の作品
本日は晴天なり

高円寺LOONY/藤掛正隆+早川岳晴with向井秀徳+吉兼聡+辰巳光英+巻上公一

渋さ知ラズのセッションなどにも参加しているドラマーの藤掛正隆と、仲井戸麗市と土屋公平のバンド、麗蘭に参加しているほか、数多くのミュージシャンのセッションに参加しているベーシスト早川岳晴が、2007年より、数多くのミュージシャンと行っていたセッションシリーズをおさめたライブアルバム。今回は、ZAZEN BOYSの向井秀徳、吉兼聡に、渋さ知ラズの辰巳光英、さらにはヒカシューの巻上公一とのセッションを繰り広げています。

楽曲は、フリーキーなセッション。おそらく、フリージャズっぽい雰囲気なのでしょうが、メロディーはしっかり流れているために、聴きずらさはあまりありません。一応、ジャズの範疇なのかもしれませんが、雰囲気的には、ロックのインプロビゼーションに近いかも。迫力あるバンドサウンドをベースに、ホーンやテルミン、さらにはフリーキーなボーカルが飛び交う、狂乱ともいえるサウンド。先の読めない展開に、ついついひかれる展開になっています。

個人的にはもちろん向井秀徳目当てで聴いたのですが、いつものように、フェンダーローズでチャルメラのメロディーが登場するなど、向井っぽい部分がチラリと登場もするのですが、全体的には、向井秀徳らしさは薄く、それだけ目当てだと、ちょっと厳しいかも。ただ、それでもダイナミックな演奏には、ZAZEN BOYSが好きなら惹かれる部分も少なくないかも。なによりも、音源以上にライブで楽しみたくなるような演奏でした。

評価:★★★★

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2013年8月21日 (水)

お盆最中のチャート

今週は、集計対象週がちょうどお盆ということもあり、アルバムチャートは極端に新譜が少なくなりました。そのため、シングル、アルバムチャート同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

とはいえ、シングルチャートは10曲中、初登場は8曲も・・・。

そして1位はジャニーズ。Kis-My-Ft2「キミとのキセキ」が獲得しました。これでデビュー作から10作連続1位を獲得。史上6組目だそうですが、ただ、他の5組は全部ジャニーズ系・・・。メンバーの玉森裕太主演のTBS系ドラマ「ぴんとこな」主題歌。初動売上は26万1千枚と、前作「キ・ス・ウ・マ・イ ~KISS YOUR MIND~」の21万4千枚よりアップ。ただし、前々作「My Resistance -タシカナモノ-」は初動31万6千枚を記録しており、ここ数作は、25万枚から30万枚の間で増減している傾向が続いています。

2位はTHE SECOND from EXILE 「SURVIVORS feat.DJ MAKIDAI from EXILE」。かつてJ Soul Brothersとして活動していたメンバーを中心に構成されたEXILEからの派生ユニット。いやもう、EXILEがらみだってわかったから(苦笑)。楽曲は今風のEDM。これが2作目になりますが、初動売上8万2千枚は、前作「THINK‘BOUT IT!」の10万6千枚からダウン。

3位にはUVERworld「Fight For Liberty」がランクイン。TBS系アニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」主題歌。ヘヴィーロックなアレンジながらメロは普通のJ-POPというのが、いかにも売れ筋な感じも。初動売上6万2千枚。前作「REVERSI」の4万枚からアップですが、前作はアルバムからのリカットシングル。前々作「THE OVER」の6万1千枚からほぼ横バイ。

続いて、4位以下の初登場ですが、5位に女の子4人組バンドSCANDAL「下弦の月」がランクイン。初動2万8千枚は前作「会わないつもりの、元気でね」の3万2千枚から若干ダウン。出だしは、ギターリフなどを押し出して、ちょっとロック色を強くかもし出していますが、サビで「普通」のポップになってしまうのが残念な感じ。

6位にはバクステ外神田一丁目「美少女黙示録」がランクイン。秋葉原の「アイドル育成カフェ」出身の、まあAKBの2匹目どじょう狙いの女性アイドルグループ。ただ、初動2万2千枚、前作「バイトファイター」の1万9千枚からアップし、人気を伸ばしています。女性アイドルグループならなんだってアリということなのでしょうか。

7位Dream5「We are Dreamer」はNHK教育「天才てれびくんMAX」から登場した男女5人組のダンスユニット。ただ、この曲はどちらかというとアイドルソングみたいな感じなんですが・・・。初動売上1万4千枚は前作「Hop! Step! ダンス↑↑」の1万2千枚より若干アップ。

9位はモバゲー「アイドルマスター シンデレラガールズ」のキャラクターソング、神崎蘭子(内田真礼),アナスタシア(上坂すみれ),高垣楓(早見沙織),輿水幸子(竹達彩奈),渋谷凛(福原綾香),島村卯月(大橋彩香),本田未央(原紗友里)名義の「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 輝く世界の魔法」。同ゲーム関係では、5月に5枚のキャラクターソングが同時にシングルで発売。うち3枚がベスト10入りしています。本作の初動売上は1万3千枚。5月にリリースしたキャラソンのうち、最高位だった「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 020 輿水幸子(To my darling…)」は初動2万3千枚だったので、そちらよりダウンする結果となっています。

最後10位には、雑誌のモデルなどで活躍する女の子4人からなるバンドSilent Siren「ビーサン」がランクイン。これが3枚目となるシングルで、イメージ的にはSCANDALの後釜的な感じ?初動売上1万3千枚は、初動4千枚最高位19位だった前作「stella☆」から大きくアップ。各種イベントや、シングルの販売形態数増加で、プロモーションをかけ、一気に初のベスト10ヒットとなった模様です。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

これで3週連続の1位獲得!

なんと、今週、3週連続1位となったのはマキシマム ザ ホルモン「予襲復讐」。お盆にかかり、大型新譜のない週が続いた結果なのですが、それでも2位には、先週の5位からランクアップし、2週目にしてベスト3入りしたChe'Nelle「AISHITERU」、3位には、いきものがかり「I」というラインナップの中での1位はやはり立派。彼らの勢いは、まだまだ止まらなさそうです。

ちなみに、今週のアルバムチャートで初登場は1枚のみ。それが5位初登場ハジ→「超ハジバム。」。仙台出身のシンガーソングライターによる、これがメジャーデビューアルバム。ベスト10入りはこれが2作目で、初のベスト10ヒットとなった前作「ハジバム3。」の9千枚から、初動売上1万枚と微増。

さて、こんな週なので、今週はベスト10圏外からの返り咲きが2作品ありました。それが先週14位から4位にランクアップしたChris Hart「Heart Song」と、12位から6位にランクアップしたMay J.「Summer Ballad Covers」。どちらも7月29日付チャート以来4週ぶりの返り咲きで、売上も、Chris Hartが5千枚から1万枚、May J.も6千枚から1万枚とアップしています。いずれも発売から2ヶ月以上がたつロングヒット作品。ただし、どちらも新曲ではなく、過去のJ-POPをカバーしたアルバム、という点がちょっと残念な気持ちになります。

そんな訳で、今週のシングル、アルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2013年8月20日 (火)

andymoriの到達点

Title:宇宙の果てはこの目の前に
Musician:andymori

今年5月、突然の解散を発表andymoriのラストアルバム。andymoriといえば、期待のギターロックバンドとして注目を集め、前作「光」では初のベスト10ヒットを記録。まさにこれから、という矢先の解散発表は、多くの驚きを集めました。

ただ、解散前の最後のアルバムという前提で本作を聴くと、このアルバムが彼らにとっての一種の到達点なのかなぁ、という印象を受けます。前々作「革命」は、どこか「死」を感じるテーマ性になっていました。一方前作「光」は、そのタイトルの通り、非常に前向きな印象を受ける曲が多く収録されていました。それを踏まえた本作では、どこか悲しい現実を見つめつつ、前向きに進もうとする姿が見て取れました。

例えば

「何も心配いらないぜ 俺より汚いやつは
きっとこの世の中には いないと思うから」

(「路上のフォークシンガー」より 作詞 小山田壮平)

と、どこか自虐的な「路上のフォークシンガー」や、失敗を繰り返しながらも、先へ進んでいく姿を歌う「スパイラル」あたりはその典型的な内容でしょうか。そして、バンドとしてラストの曲となる「夢見るバンドワゴン」では

「僕らはまだまだブルースを歌いながら」

と、苦難の歌であるブルースを歌う=上手くいかない現状を歌いながらも、

「輝く渚 舞い上がる砂の向こうに
いつも憧れを胸に抱いて」

(「夢見るバンドワゴン」より 作詞 小山田壮平)

と、最後の最後には、前向きな力強い姿を感じることが出来ます。

そんな彼らの楽曲は、デビューから相変わらず、非常にシンプルなギターロック。歌詞やメロディーを前面に出しているアレンジのため、歌詞が心に響きますし、メロディーも、決して派手なサビがあるわけではないのに、妙に心に残るポピュラリティーを持っています。

どこかノスタルジックな雰囲気も印象的ですし、そんな歌詞とメロディーだからこそ、アルバムを聴きおわった後に、不思議な暖かい気持ちが残るアルバムだったと思います。それだけに、これが最後というのは残念に感じる一方、確かにandymoriとしては、これが到達点なのかな、とも感じるアルバムでした。

バンドとしてのラストソングが、前向きに、次を感じさせてくれる曲だけに、メンバーはそれぞれ、このバンドを足がかりに、次への一歩を踏み出してくれそうな予感も。それだけに、解散は残念であると同時に、楽しみな部分もあります。

ただ、気になるのは作詞作曲を担当しているボーカル小山田壮平。ご存知の方も多いと思いますが、以前、脱法ドラッグの服用で、警察から事情聴取を受けるという騒ぎを起し、さらに解散ライブの直前、河川に飛び降り、大怪我をして、解散ライブが延期になるという奇行を起したりしています。

andymoriには、和製リバティーンズなんて呼び方をする方もいるみたいなのですが、ドラッグ問題でリバーティンズの真似をしてほしくありません。今のandymoriの楽曲からは、そういうお薬的な匂いは感じられないのですが、小山田壮平の精神的な問題には非常に気にかかるところ。変な方向に流されないことを祈りたいのですが・・・。

評価:★★★★★

andymori 過去の作品
ファンファーレと熱狂
革命


ほかに聴いたアルバム

MORIAGARO/AI

移籍後初となる前作「INDEPENDENT」では、久々に力強さを感じる作品をリリースし、AIとしての実力を感じさせてくれました。続く新作でも、彼女の勢いはまだ続いているよう。本作は、レゲエ調の作品や、M.I.A.あたりを彷彿とさせるトライバルな作品も多く、夏らしい爽やかなビートが印象的な作品。「MORIAGARO」というタイトルとは裏腹に、決してアップテンポ一本やりではなく、バラードナンバーもしっかり聴かせる作品に。残念ながら前作には及ばなかった印象も受けるのですが、彼女の魅力をしっかりと発揮した作品に仕上がっていました。

評価:★★★★★

AI 過去の作品
DON'T STOP A.I.
VIVA A.I.
BEST A.I.
The Last A.I.
INDEPENDENT

FET BEST/RIZE

RIZEのユニバーサル・ミュージック時代の楽曲を集めたベスト盤。音圧のあるヘヴィーなロック路線ながらも、ポップで聴きやすいメロディーというのは相変わらずながらも、この手のヘヴィーロックバンドが増えている中、少々、RIZEらしい個性は薄いように感じてしまいました。一時期の人気に比べて、少々低迷気味の彼らなのですが、そんな特色の薄さが、大きな理由のような・・・。

評価:★★★★

RIZE 過去の作品
K.O.
EXPERIENCE

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2013年8月19日 (月)

メンバー復帰後の新作

Title:THE SIGNAL AND THE NOISE
Musician:ASIAN DUB FOUNDATION

今年で結成20年目となるASIAN DUB FOUNDATIONのニューアルバム。なんと本作では、結成時の中心メンバーであった、ベースのドクター・ダスが7年ぶりに復帰。さらにドラムスのロッキー・シン、ボーカルのゲットー・プリーストも復帰するなど、かつての彼らに復帰したようなアルバムになっています。

さらに、「Enemy of The Enemy」以来となるエイドリアン・シャーウッドがプロデュースを手掛け、新メンバーとしてネイサン・リーも正式加入するなど、なにかと話題の多いニューアルバムとなっています。

ドクター・ダス復帰により、よりベースが前に出たような構成になり、新メンバー加入により、フルートのパートが増えるなど、新たなADFらしい一歩を踏み出したような部分も見受けられます。

ただ一方では、以前のメンバーが復帰することにより、よりいつものASIAN DUB FOUNDATIONらしい作品になっていたように感じました。パンクやロック色が強かったここ最近の楽曲に比べ、レゲエ色や、エスニックテイストが強くなり、横ノリのリズムが心地よい、リズミカルな楽曲が増えたように思います。

その反面、へヴィーな音圧でグッとくるような作品はちょっと減ったかも?個人的には、もうちょっとパンチ力が欲しかったようにも感じました。

もちろん、いままでのADFらしい、反体制的な歌詞は本作でも健在。まあ、ここらへんはいつもの通りなので、言うまでもないような感じもします。ただ、ここ最近、ロンドンの暴動事件やら、中東諸国の民主化運動やら、さらに複雑になっていき、混迷を深める世界情勢。残念ながら、ADFが声高に叫び続ける日は、まだまだ続きそうです。

そんな訳で、旧メンバー復帰後初となる新作は、いままでの方向性に一区切りつけ、あらたな幕開けを感じさせる一方、ちょっと懐古的な部分も感じさせるようなアルバムでした。ここを足がかりに、さらにあらたなサウンドを目指すのか、それとも??

評価:★★★★

ASIAN DUB FOUNDATION 過去の作品
Time Freeze 1995/2007
PUNKARA
A History Of Now

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2013年8月18日 (日)

「腹ペコ」どもが満腹になれる傑作

Title:予襲復讐
Musician:マキシマム ザ ホルモン

先日のアルバムチャート評でも書いたのですが、おそらく、今、最も勢いのあるロックバンドが彼ら、マキシマム ザ ホルモンではないでしょうか。先日のロック・イン・ジャパン・フェスではメインステージの登場にも関わらず、まさかの入場規制。このアルバムも初動15万枚という数字を叩き出し、チャート1位を獲得しました。

ただ(これもチャート評の繰り返しになるのですが)、彼らに限らず、今ヘヴィーな音を出すバンドの人気があがりつつあります。MAN WITH THE MISSIONなんかもその最右翼ですし、もうちょっとポップ寄りだとONE OK ROCKなんかもそんなバンドのひとつです。

でも、その理由ってなんとなくわかるんですよね。チャートを席巻するアイドル系やK-POP。確かにそういう曲にもいい曲は少なくないんでしょう。ただ、やはりロックを聴きたいんですよね。それもおもいっきりヘヴィーでガツンとくるバンドサウンドに、シャウトするボーカル、さらに自分たちの言葉を代弁するような飾りのない歌詞。そんなロックというジャンルだからこそ得られるカタルシスを感じたい。ホルモンは、自分たちのファンのことを「腹ペコ」と呼んでいるみたいですが、ホルモンのファンならずとも、最近のポップソングに腹をすかしている若者たちが多いんじゃないでしょうか。

マキシマム ザ ホルモンの曲には、ロック好きがほしがるようなカタルシスが、すべて収められています。メタル直系のサウンドにダイスケはんのデスボイスにまずはガツンと来ます。かと思えば、亮君やナヲのボーカルのポップなパートが入り、ヘヴィーだけではなくパンクやポップなホルモンの一面があらわれます。他にもメロコアやラップメタル的な要素などもあり、今時のロックバンドの要素がすべてつめこまれているバンド、それが彼ら、マキシマム ザ ホルモンなのではないでしょうか。

個人的には、上ちゃんのスラップ奏法のベースが、ホルモンのサウンドにファンキーな要素も加えていて、個人的には壺。また、川北姉弟のボーカルも見た目によらず(失礼!)端整でポップ。そのため、メタルが苦手な私みたいなリスナーにとっても、抵抗なく聴ける点も大きなポイント。ここらへんの「ヘヴィー」さと「ポップ」さのバランスが実に絶妙で、彼らの大きな魅力になっています。まさに「腹ペコ」どもの空腹を満たすには、これとないバンドでしょう。

最近は、個人的な興味がソウルだったりブルースだったり、あるいはワールドミュージックなどに向いていたのですが、彼らの音楽を聴いていて、久しぶりにロック好きとしての血が騒いでくるのを感じました。この爆音を味わいたくて、ここ最近、何度も聴いています。まじではまってしまいました(笑)。

さて、今回のアルバムのもうひとつ大きなポイントが、全156ページにも及ぶ解説本が(それも初回限定盤とかではなく)ついてきている点でしょう。漫画までつかって、このアルバムの曲の、特に歌詞の解説をしています。作詞作曲を担当しているマキシマムザ亮君がその歌詞の世界まで、その意図も含め、100%すべてをリスナーに伝えたいがために、この分厚い「解説本」だそうです。

個人的には、ミュージシャンが一度世の中に発表した楽曲について、その解釈は人によって違うのが当然だし、そうあるべきだと思っています。極端な話、作り手が「ラブソングだ」といってつくった曲が、リスナーによっては「反戦歌だ」と受け止められても、それは仕方ないことだし、世間に広く自分の作品を公表するというのは、そういうリスクも受け止めるべきものだと思っています。

もっとも、亮君にしてもれば、そんな話は100も承知の上でしょう。また、一方では、ミュージシャンは、自分の意図を伝えるために、いろいろと工夫したり、考えたりすべきだとも思います。わかる人だけにわかればいい、という姿勢は単なるオナニー。亮君の、こういうリスナーになんとか伝えようとする姿勢は、おそらく楽曲自体にも反映されており、それもまた、ホルモンの曲が多くのファンを獲得している理由かもしれません。

なんか、これだけ力を入れられた歌詞についても触れざるを得ないのですが(^^;;解説本にしっかり書かれているように、彼の中学時代の鬱屈した感情をそのまま楽曲に詰め込んだ今回のアルバム。ただ、ここ最近、「中2病バンド」と言われているバンドとは大きな違いを感じます。それは、「中2病バンド」が、中学時代の妄想の上澄みの部分だけをきれなままで取り出しているのに対して、亮君の歌詞は、その妄想の下でグツグツと煮立っている、汚い部分までそのまま曲にぶっかけています。

その上で、そんな感情を抱く自分を、受け止めて認めている、それが亮君の歌詞ですし、そこに客観性を感じ、中2病バンドとは一種違うものも感じました。まあ、本人も、「最近のバンドの中で『中2』を感じるアーティストなんて滅多にいないし」って言っていますしね。ただ、個人的にはちょうど先日紹介したばかりの筋肉少女帯あたりが、この世界観に近いものを持っていると思うんだけどなぁ。どうでしょう?

そんな訳で、文句なしの傑作だった今回のアルバム。ロック好きにとっては、まさに腹いっぱいになる満足感たっぷりの傑作でした。いろいろな意味でアクの強い部分のあるバンドですが、もしまだ聴いていないロック好きがいたら、是非ともチェックしてみてください。人気の理由がわかると思いますよ~。

評価:★★★★★

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2013年8月17日 (土)

4人組になり、レーベルも移籍

Title:Mira
Musician:COMEBACK MY DAUGHTERS

オリジナルでは約2年ぶりとなるCOMEBACK MY DAUGHTERの新作。その2年の間に、彼らをめぐる環境が大きく変わりました。メンバー2人が脱退し、新メンバーを加えての4人組バンドとなり、レーベルもPIZZA OF DEATHから日本コロンビアに移籍。大きく環境の変わった中での新作となりました。

そんな彼らの新作は、キュートでポップなメロディーラインという、彼らの特徴はそのままに、ちょっと雰囲気の変わった新作となりました。特に1曲目「Cold Audiences」、さらに「21 years old」は、リヴァーブの効いたドラムの音に分厚いサウンドという、大瀧詠一やPET SOUNDSあたりを彷彿とさせるような心地よい音の壁を楽しめるポップソングに仕上がっています。

この、ちょっとベタともいえるアレンジが、アルバムの中で大きなインパクトになっているように感じました。特にCOMEBACK MY DAUGHTERSといえば、美しいメロディーラインを書いていながらも、どうもインパクトが不足していて物足りなさを感じる、というイメージが強かったのですが、今回のアルバムでは、これらの曲がアルバムの中で大きなインパクトを与えていました。

また、大きなインパクトといえば、もうひとつのポイントが日本語詞。彼らは、いままで英語で曲を書いてきましたが、このアルバムではじめて日本語詞の曲に挑戦しています。それがこのアルバムの「ちょっと違う雰囲気」を与える要因になっているのですが、日本語詞なだけに、歌詞を含めて曲が頭の中にストレートに入ってきて、これもアルバムにインパクトを与えています。確かに、英語詞の曲の方が、洋楽風に垢抜けているように感じ、一方、日本語詞の曲は、どこか垢抜けなさを感じるのですが、そのJ-POPっぽい垢抜けなさが、逆にすんなりと心の中に入ってくるような、そんな印象を受けました。

その一方、「Meatpacking」「Steal her lips」あたりは、アコースティックなサウンドが心地よいポップスに、カントリーや、ちょっとブルージーな香りもまじった、ルーツ志向を感じる曲もチラホラ。いままでと異なる日本語詞の曲に挑戦しながらも、逆にCOMEBACK MY DAUGHTERSのルーツを再確認するかのようなこれらの曲。それだけに、COMEBACK MY DAUGHTERSらしからぬ雰囲気を醸し出す一方、間違いなく、COMEBACK MY DAUGHTHERSのアルバムであると、強く感じることの出来る作品になっていました。

個人的に、いままで聴いた彼らの中では一番の出来だったように感じました。4人組になり、レーベルも移籍し、新たな一歩を踏み出した彼ら。これからにも期待できそうです。

評価:★★★★★

COMEBACK MY DAUGHTERS 過去の作品
EXPerience
OUTTA HERE
Back in the Summer


ほかに聴いたアルバム

THE CUT/Base Ball Bear

Base Ball Bearのミニアルバムは、また3曲の新曲に、1時間にも及ぶワントラックのライブ音源が収録され、全80分近くにも及ぶ「ミニアルバム」。新曲の方は、異種格闘戦とでも言うべきでしょうか。RHYMESTERをゲストに迎えた表題曲に、人気声優花澤香菜を迎えた「恋する感覚」「THE CUT」の方は、カッコいい曲に仕上がっていましたが、全面的にRHYMESTERがフューチャーされていて、完全にRHYMESTERの曲に(笑)。「恋する感覚」も、かわいらしいボーカルが耳に残るアイドルポップになっていて、どちらもBase Ball Bearらしさがあまり感じられませんでした・・・。

4月のライブの模様を収録したライブ音源は、代表曲の連続であるものの、音がどうにも悪く、いまひとつ。音が悪いというと、その分、臨場感が・・・というケースが多いのですが、このライブ音源の場合、ただ単にバンドの音が悪いという以上でも以下でもなく、いまひとつ楽しめませんでした。

評価:★★★★

Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS

新呼吸
初恋
バンドBのベスト

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2013年8月16日 (金)

ボーカル宮本浩次の実力

Title:the fighting men's chronicle special THE ELEPHANT KASHIMASHI LIVE BEST BOUT
Musician:エレファントカシマシ

エレファントカシマシというと、ボーカル宮本浩次のワンマンバンド、というイメージが強くあります。実際、このアルバムのジャケットもそうですが、宮本浩次のみをクローズアップした写真も多く使用しており、むしろ、宮本浩次ワンマンであることを、全く否定していませんし、ここまでワンマン色を押し出したバンドも少ないのではないでしょうか。

エレカシデビュー25周年企画の一環としてリリースした今回のライブアルバム。2枚組となった作品は、1枚目は、ここ数年のライブ音源から選りすぐった、ライブベスト。もう1枚は、直近のオリジナルアルバム「MASTERPIECE」をライブでまるごと再現したアルバムになっています。

このライブベストを聴くと、やはりエレカシというバンドにおける、宮本浩次の存在の大きさをあらためて感じます。荒々しく、時として観客を煽るようなボーカルは、その存在だけでも「ロック」と言えるほど迫力があり、耳に突き刺さります。

特にDISC2。「MASTERPIECE」は正直、オリジナルアルバムだとちょっと地味、という印象がありました。しかし、宮本浩次のパワフルなボーカルを前面に押し出したライブ盤は、原曲よりも、より力強さが現れており、オリジナルアルバムでは物足りなかったインパクトがあらわれていました。むしろ、オリジナルアルバムよりライブ盤の方がお薦めかも。

でも、彼の魅力は、そんなロックボーカリスト的な部分だけではありません。むしろ、今回のベスト盤で印象に残ったのは、ユーミンの「翳りゆく部屋」や沢田研二の「サムライ」のカバー。ロックではなく、むしろ歌謡曲の範疇に近い楽曲を、彼が声量あるボーカルで情感たっぷりに歌い上げています。勢いだけではなく、ボーカリストとしての基礎体力も十分持っていることも実感できました。いや、下手したら、ロック系の曲よりも、こういうタイプの曲の方が、彼の魅力が出ていたかも??

ライブ盤としては、バンドの演奏はおとなしめで、そういう点でもワンマンという印象を受けるのかもしれません。ただ逆に、一歩間違えると暴走してそのままどこかに行ってしまいそうな宮本浩次を、なんとか押しとどめているのは、この「常識的」なほかのバンドメンバーがいるからこそ?そういう意味では、このエレカシは、宮本浩次のワンマンでありながらも、おそらくバンド形態ではなくてはやっていけない、そういう不思議なバンドなんでしょうね。

そんな訳で、ボーカリスト宮本浩次の実力をいやというほと感じることが出来たライブ盤。下手したら、オリジナルアルバムよりも、お薦めできるアルバムかも。エレカシ、なにげにまだライブを一度も見たことないんだよなぁ。そんな私でも、一度彼らのライブを見たくなってしまうアルバムでした。

評価:★★★★★

エレファントカシマシ 過去の作品
STARTING OVER
昇れる太陽
エレカシ自選作品集EPIC 創世記
エレカシ自選作品集PONY CANYON 浪漫記
エレカシ自選作品集EMI 胎動記

悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~
MASTERPIECE
THE BEST 2007-2012 俺たちの明日

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名古屋圏フェス・イベント情報(8/16)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

8/16 主な更新
・伊賀忍者音楽祭=弐= 開催決定
・Eccentrip Journey-Open Air Party 2013- 追加
・kalancolon summer fes 2013 終了

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2013年8月15日 (木)

まさかの2週連続

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

なんと、今週も1位を獲得したのは先週から引き続き・・・

マキシマム ザ ホルモン「予襲復讐」が2週連続の1位を獲得。特に大物ミュージシャンの初登場がなかった、いわば谷間的な週とはいえ、その勢いをみせつける結果になりました。

そしていきなり2位に飛び込んできたのは、名古屋出身の4人組ロックバンドSPYAIR「MILLION」。これが3枚目となるアルバムで、デビューアルバム「Rockin' the World」が8位にランクインしていますが、それに続くベスト10ヒット。2位はシングルを含めて自己最高位で、初のベスト3ヒットとなりました。初動売上2万2千枚は、前作「Just Do It」の1万枚より大幅アップ。ただし、その売上は、人気アニメ「銀魂」主題歌というタイアップに寄っている部分も多く、タイアップがなくなると一気に売上が落ちる状況に。このアルバムにも、その「銀魂」タイアップ曲が多く収録されており、2位初登場はその影響による部分が大きいと思われます。シングルとしては前々作で、「銀魂」のタイアップがなかった「虹」は最高位20位に終わっており、今後、「銀魂」タイアップがなくなった後、どのような動向を見せるかが気になります。

このパターンって、DOESと全く同じパターンだよなぁ。彼らも、同じく「銀魂」タイアップ曲だった「バクチ・ダンサー」は3位を獲得したのに、「銀魂」タイアップがなくなった途端、最新シングル「夢見る世界」は69位までダウン。ただ、DOESの場合、アルバムは一番売れた時でも「The World's Edge」の26位で、それと比べると、SPYAIRとしての人気は確保している感じはするのですが・・・。

3位はいきものがかり「I」。これで2週連続3位をキープ。なにげにロングヒットを記録しています。

続いて4位以下の初登場ですが、4位に韓国の女性アイドルグループT-ARA「TREASURE BOX」がランクインです。これが2作目となるアルバム。初動売上1万8千枚。ちなみに直近作は、韓国で発表した楽曲を集めたベスト盤「T-ARA's Best of Best 2009-2012~Korean ver.~」で、最高位16位初動6千枚と、こちらよりは大幅にアップしましたが、デビューアルバム「Jewelry box」の5万7千枚より大幅ダウンしています。

韓流は今週はもう1枚。9位にEXO「1集 XOXO (Kiss&Hug) Repackage」がランクイン。タイトル通り、6月に発売されたアルバムの再発版。EXOは、韓国人8人、中国人4人からなるアイドルグループ。これが初のベスト10ヒットとなりました。

しかしK-POP勢は、一時期に比べると人気は落ち着き、一部の熱烈な固定ファンによる支持が続いてる感じになっていますが、安定した人気を誇り、シングルチャートの超新星のように、いまだに人気を伸ばしている男性陣に対して、女性陣は、今週のT-ARAといい、KARAや少女時代といい、かなりの落ち込みが目立ちます。日韓の状況がどうなろうと支持するような熱烈な女性ファンに支えられている男性陣に比べて、男性ファンが少ないため、どうしても浮動層に頼らざるを得ない女性陣は苦戦せざるを得ない状況なのでしょう。

5位には、ロサンゼルス在住のR&Bシンガー、Che'Nelle「AISHITERU」が入ってきました。ロサンゼルス在住ながらも、完全に日本のみで活動をしている彼女。一応、ジャンル的には「洋楽」らしいですが、タイトルからして、J-POPですね。初動売上1万7千枚は、前作「Believe」の2万8千枚からダウン。

初登場はあと1枚。10位に「TVアニメ『ガールズ&パンツァー』ファンディスクCD ディープパンツァーCDです!」がランクイン。タイトル通り、テレビアニメ「ガールズ&パンツァー」のファンズディスクだそうです。

そんな感じで今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2013年8月14日 (水)

話題の復帰作が見事1位獲得

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

話題のあの復帰作が1位獲得です。

5年ぶりに活動再開を発表したサザンオールスターズ。その5年ぶりとなるニューシングル「ピースとハイライト」が見事1位を獲得しました。初動売上20万7千枚。活動休止前のラストシングルとなった「I AM YOUR SINGER」の35万7千枚は下回ってしまいましたが、その前のシングル「DIRTY OLD MAN ~さらば夏よ~」の13万3千枚は大きく上回っており、サザン人気健在を見せつけました。また、これで1980年代から2010年代の4年代にわたって1位獲得。これは中島みゆきに並ぶ2組目の快挙だそうです。中島みゆきも、確かにいまだに高い人気を誇っていますが、ただ、ここ最近の1位獲得はどちらかというとタイアップ効果によるもの。一方、サザンはおそらくタイアップ抜きでも十分1位獲得できるだけの人気を維持しており、そう考えると、彼らの人気のすさまじさを感じます。

今回の作品は昨今の日本をめぐる国際情勢の中で、平和を歌う、メッセージ性の高い歌。楽曲の内容自体は、「お隣さんともっと仲良くしよう」と歌う、当たり障りのない内容ですが、注目を集める復帰後初のシングルに、こういうメッセージ性ある曲を出してくるというあたり、桑田佳祐の、今の日本に対する憂いの強さを感じます。また、その歌詞の内容から、一部のネット右翼からバッシングもあるみたいですが、こういうストレートな平和を願う曲にすらバッシングが起きるという異常な状況こそ、おそらく桑田佳祐が憂い、こういう曲を歌わざるを得なくなった大きな理由のように感じます。ただ、なんだかんだいっても、20万枚を超えるヒットを記録し、1位を獲得したという事実は、まだ日本は捨てたもんじゃない、ということも感じることが出来るチャートでした。

2位は元KAT-TUN赤西仁「HEY WHAT'S UP?」が獲得。初動売上は11万4千枚。前作「seasons」が初動9万7千枚なので、そちらよりアップという結果に。黒木メイサとの結婚の後、活動休止状態になっていた彼ですが、イベント効果などもあったものの、復帰後初のシングルは見事前作の初動を超える内容に。ただ、サザン発売の週にぶつけられるあたり、彼のジャニーズ事務所内での位置付けが垣間見れます・・・。

3位は、K-POPの男性アイドルグループ超新星「WINNER」がランクインです。いつも通りのK-POPらしいエレクトロのポップナンバーなのですが、初動売上は10万2千枚と、前作「抱・き・し・め・た・い」の4万7千枚から大幅アップ。イベント効果なども強いようですが、前作でも集客イベントを行っており、純粋な人気も高まっている模様。

続いて4位以下の初登場ですが、まず4位にはAcid Black Cherry「Greed Greed Greed」がランクイン。TBS系ドラマ「悪霊病棟」主題歌。メタルチックなアレンジながらも、メロディーはいつも通りのポップなヴィジュアル系路線。初動売上5万8千枚は、前作「イエス」の5万4千枚から若干アップしています。

さて、今週も5位から7位まで、女性アイドルグループがズラリ。ただそのうち5位Flower「太陽と向日葵」、7位Happiness「Sunshine Dream ~一度きりの夏~」は、同じ事務所、LDH(EXILEの事務所)所属のアイドルグループのシングル。「武者修行」と称して、お互いを競わせた結果、Flowerは初動4万5千枚で、前作「恋人がサンタクロース」の1万3千枚から、Happinessは初動3万3千枚で、前作「We Can Fly」の8千枚から大幅アップ。特にHappinessはこれが初のベスト10ヒットになりました。同じ事務所のユニット同士を競わせる企画は、外野から見ると、心底どうでもいい企画なのですが、その効果は如実にあらわれた模様です。

そんな2組にはさまれて6位に入ってきたのがアイドリング!!!「サマーライオン」。初動売上4万枚は、前作「さくらサンキュー」3万7千枚から若干アップ。前々作「One Up!!!」が4万2千枚なので、4万枚前後で安定している感じ。

8位は、アニメ「Free!」エンディングテーマ、STYLE FREE「SPLASH FREE」がランクイン。アニメ出演者によるキャラクターソング。まんまジャニーズ系のアイドルソングといった感じの、特に特徴のない楽曲。

そして最後、10位には、遊助ことタレント上地雄輔の「とうもろこし」がランクインしています。初動売上2万5千枚は、前作「檸檬」の3万2千枚からダウン。ソロデビュー以来、順調に(?)売上と順位を落とし、本作ではついにベスト10ギリギリに。もっとも、通常ならばもっと上位に食い込める初動枚数で、ギリギリ10位は、ここ最近では珍しい高水準のチャートの影響ですが。

そんな感じで、今週のシングルチャートは以上。明日はアルバムチャート!

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2013年8月13日 (火)

美里の夏 2013

今でも、毎年夏にアルバムリリースを続けている渡辺美里。今年の夏も、アルバムがリリースされました。ただし、カバーアルバムだった昨年に続き、今年もオリジナルではなく、ベスト盤と、ライブ盤の2枚同時リリース。

Title:美里うたGolden BEST
Musician:渡辺美里

彼女も、そろそろ「何枚目のベストだろう・・・」になりつつある中発売されたベスト盤。ファンに人気の高い曲14曲に絞り込んだ内容なのですが、一番直近のナンバーが、1996年リリースの「My Love Your Love(たったひとりしかいないあなたへ)」と、もう17年も前の曲になってしまうあたり、寂しくなってしまいます・・・。

選曲に関しては、おなじみの代表曲ばかり並んでいて、納得の内容といえば内容ですが、これだけベスト盤がリリースした後のベスト盤としては、なんのひねりもない内容。初回盤についてくるDVDも、わずか5曲のPVのみという、あまりにおざなり。確かに、代表曲をコンパクトに聴けるという意味では、初心者向けかもと思う反面、それなら2000年にリリースされたベスト盤「Sweet 15th Diamond」でいいんじゃない?多分、中古屋でかなり安く手に入るし。

若干、存在意義が不明なベスト盤。これなら、オリジナルアルバムをリリースしてくれ・・・と言いたいけど、オリジナルアルバムも、正直、あまり期待できないんだよなぁ(苦笑)。

評価:★★★★

Title:Live Love Life 2013 at 日比谷野音~美里祭り 春のハッピーアワー~
Musician:渡辺美里

今年5月、日比谷野音で行われた野外ライブの模様を収録したライブアルバム。ちょっと意外なことに、これがはじめての日比谷野音でのライブだとか。確かに、彼女の場合、デビュー後すぐブレイクしたので、いままで日比谷野音レベルのキャパではなかなかライブできなかったのでしょう。

彼女のライブ、いつもは夏に行われるとあって、選曲が春仕様なのはちょっと珍しいかも。そして聴いていると、ライブで歌いなれているような曲と、そうでない曲の差を感じました。

「サマータイムブルース」「My Revolution」あたりのライブの定番曲に関しては、もうこなれたといった感じが。圧倒的な安定感で、迫力も満点。実に魅力的なボーカルを聴かせてくれます。

その反面、あまり夏のライブで歌われないような曲に関しては、ちょっとその声量に頼りすぎたようなボーカルで平坦に聴こえてしまい、ちょっといまひとつ。また、「NEWS」みたいに、彼女のボーカルはファンキーでカッコいいのに、バックの演奏が、ベタッとした演奏になっていていまいち・・・という曲も見受けられたり。ライブ慣れしているかどうかの差が、かなりはっきり感じられました。

全体的にはおなじみの代表曲も多く、それなりに楽しめる内容にはなっていると思います。今年はオリジナルアルバムが出ないので、その場つなぎ的なアルバムという印象も。ただ、下手なオリジナルアルバムより楽しめちゃいそう、と思っちゃうあたりが寂しい限りなのですが。

評価:★★★★

渡辺美里 過去の作品
Dear My Songs
Song is Beautiful
Serendipity
My Favorite Songs~うたの木シネマ~

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2013年8月12日 (月)

主観的な選曲に自分でつくる「ベスト」

Title:ReDiscoVer.Best,Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter
Musician:Buffalo Daughter

今年で結成20周年を迎えたBuffalo Daughter。日本のみならず海外でも積極的に活動を続ける彼女たちの、初となるベストアルバムがリリースされました。

ベスト盤といっても、14曲中7曲は、新録だったり、リミックス音源だったり、ライブ音源だったり。純然たるオリジナル作品から収録された曲はわずか7曲のみ。そういう意味ではベスト盤よりも、「企画盤」的な要素の強いアルバムになっていました(もっとも、新録やリミックスが多いのは、権利関係のため、仕方なく的な要素も強いみたいですが・・・)。

その新録やリミックス音源がなかなかユニーク。先日、ここのサイトでも紹介した、環ROYと、鎮座DOPENESSのユニット、KARATEを迎えた「New Rock 20th」は、もともとKARATEが、Buffalo Daughterの音を無断でサンプリングした曲を(ビートジャックと言うらしい)、彼女たちがおもしろがり、正式にコラボになった楽曲。なにげにテンポのよいリズムが耳に残ります。

cornelius小山田圭吾の「Great Five Lakes 20th」のリミックス音源もなかなかユニーク。どこかユーモラスで、明るいメロディーラインが妙にインパクトの強い作品になっています。さらには「Peace」では、ビースティー・ボーイズのAdrockがリミックスに参加。ちょっと不気味な雰囲気に、トライバル風のビートがインパクトある作品でした。

今回の作品で、もうひとつ特徴的なのが、選曲。メンバー自身やファン投票などによる選曲ではなく、英国人DJのニック・ラスコムにより曲が選ばれているという点。そのため、客観的な視点というよりは、むしろ選曲者の嗜好も反映されたベスト盤になっているのがユニーク。実際、彼らのエレクトロ的な側面は、このベスト盤にあまり反映されておらず、ギターロック的な側面が強く反映されたベスト盤になっています。

そのためでしょうか、もうひとつユニークなのが、このCDに収録されている、もう1枚のCD。こちらは何のデータも音源も入っていない、空のCD-R。要するに、自分だけのベスト盤をつくってね、ということなのでしょう。この発想、CD-Rを入れるというアイディア、なかなかおもしろいです。

オルタナ系のギターロックを軸に、ミニマルや現代音楽、ジャズ、ポストロックなどの要素も加えながらも、ポップなメロディーラインも根底に流れており、いい意味でのポピュラリティー、聴きやすさも兼ね備えています。新録やリミックスも多いため、オリジナルアルバム感覚でも聴ける作品。ファンの方は、これを聴きつつ、空のCD-Rに、自分だけのBuffalo Daughterベストをつくってみては?

評価:★★★★★

Buffalo Daughter 過去の作品
The Weapons Of Math Destruction

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2013年8月11日 (日)

今風のEDMでもPSBらしさ満載

Title:ELECTRIC
Musician:PET SHOP BOYS

前作から、1年弱という短いインターバルでリリースされた、イギリスの人気ポップデュオ、PET SHOP BOYSの最新作。今回の作品、ELECTRICというタイトルそのまま、今時のEDM風の作品・・・・・というと、猫も杓子もEDMかよ(苦笑)といった感じもするのですが、彼らの場合は、もともとエレクトロポップを主軸にしたユニット。今回のアルバムは、前作「Elysium」と同時期に作成されながらも、コンセプト上、入れられなかったダンスチューンも多く収録されています。

まあ、そんな本作なのですが、確かに、強いビートのエレクトロダンスミュージックは、今時のアレンジ。今、流行のEDM(=エレクトロ・ダンス・ミュージック)にのっかかったと見る向きはあるでしょうし、本人たちもどこか意識した部分はあるかもしれません。

ただ、だからといって、今流行りの音にのっかかっただけの作品という印象は受けませんでした。というのも、その根底には、間違いなくPET SHOP BOYSの音が流れていたから。ポップなメロディーラインと、社会を風刺した歌詞が彼らの大きな特徴ですが、今回のアルバムも、その路線が間違いなく貫かれていました。

一番顕著だったのが、「Love Is A Bourgeois Construct」。「愛は資本家の概念」という、皮肉たっぷりのタイトルも彼ららしいですし、歌詞も、暴走する資本主義に対する皮肉たっぷりの内容になっています。そして、メロディーも、PET SHOP BOYSらしい、キュートでメロディアスなポップソング。アレンジは、EDM路線ですが、実に彼ららしい楽曲に仕上がっていました。

そういうPET SHOP BOYSらしいメロディーや歌詞の上にのっかかるEDMのリズミカルで軽快なサウンドが、今回のアルバムに関しては、いい意味で楽曲にさらなるポピュラリティーとインパクトを与え、聴きやすいアルバムにまとめていました。

特に今回のアルバムでは、その「Love Is A Bourgeois Construct」をはじめ、ブルース・スプリングスティーンのカバーという意外な組み合わせの「The Last To Die」など、現在の資本主義社会に対する怒りを感じる歌詞も目立ちましたが、その怒りの感情に対するちょうどよいオブラート的な役割も果たしていました。

一方では、「Shouting On The Evening」みたいな、ライブ会場では盛り上がりそうな、PET SHOP BOYSというよりも、どこかのテクノミュージシャンのようなインストナンバーも含まれていたりするのもおもしろいところ。今回のアルバム、ライブではかなり盛り上がりそうな予感もします。

PET SHOP BOYSのファンも、EDM好きも満足させられそうな、傑作アルバム。先日行われたばかりのサマソニのステージも盛り上がっただろうなぁ。次は単独来日公演を、是非。

評価:★★★★★

PET SHOP BOYS 過去の作品
Yes
ULTIMATE PET SHOP BOYS(邦題:究極のペットショップボーイズ)
The Most Incredible Thing
Elysium(邦題 エリシオン~理想郷~)

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2013年8月10日 (土)

どこまでも熱く

Title:BREAK MY SILENCE
Musician:高橋優

いまの時代、というよりも、ここ10年くらいずっとかもしれませんが、「理想論」を熱く語る人に対して、冷めた現実を語ることがカッコいいという風潮があるように感じます。特にネット上ではその傾向が強く、例えれば、純粋にLove&Peaceを語っても、せせら笑われるような雰囲気すら感じます。

しかし、そんな中、高橋優はひたすら熱い!!メジャーデビューアルバム「リアルタイム・シンガーソングライター」こそ、その尖った牙を隠していましたが、続く「この声」「僕らの平成ロックンロール(2)」では、叫び声は大きくなり、そして本作。タイトルや、いかにもなジャケット写真の通りに、ひたすら熱い高橋優の姿が本作にはありました。

特に序盤から、その熱さは炸裂し、彼の生きた時代を語る、自己紹介的な「ジェネレーションY」からスタート。続く「(Where's)THE SILENT MAJORITY?」は、叫び声を上げろと鼓舞するような、社会派的な歌詞が大きなインパクト。

凶器も戦闘機も備え放題 エグい画像アップしたらハイ御終い?

 

50基の核発電所 年に5000回揺れる列島

 

人間でなく二次元が元気なこの国の居心地はどう
(「(Where's)THE SILENT MAJORITY?」より 作詞 高橋優)

など、かなり皮肉たっぷりの歌詞が並んでいます。

個人的に、特に彼らしいなぁ、と感じたのが「同じ空の下」で、

「夢は叶うよ さぁ歩み続けよう やがて時は満ちてく
いけるところまでいこう
同じ空の下で」

(「同じ空の下」より 作詞 高橋優)

と、平凡な自分を抱えたままの前向きな力強さを感じる曲。「夢は叶うよ」と簡単に言ってしまうところが最近のJ-POP風かと思いきや、「いけるところまでいこう」という、あくまでも弱い自分をみとめたままのような表現に、彼ららしさを感じます。

他に、秋田出身の彼らしい、秋田弁を取り入れた「泣ぐ子はいねが」なんかもインパクトがありましたが、今回のアルバムで一番インパクトがあったのが「CANDY」でした。ポップな雰囲気のタイトルとは全く逆の、「いじめ」をテーマとした歌詞。その内容にリアリティーがあけに、聴いていて痛々しいものがありました。

そんなアルバムを通して叫びつづけた彼の作品。ここ最近、これだけ自己主張の激しいシンガーも少ないだけに、彼の主張は頼もしくも感じます。ただ、その一方で、このアルバム、熱いを通してちょっと暑苦しく感じる部分も(笑)。アルバム全体「押し」一辺倒で、その点、箸休めのような、ちょっと引いた歌詞があれば、もっとよかったのかも。その点だけはちょっと残念だったのですが、それを差し引いても、非常に心に響くアルバムだったと思います。醒めた視点がカッコいいといわれそうな今だからこそ、これからもがんばってほしいシンガーです。

評価:★★★★★

高橋優 過去の作品
リアルタイム・シンガーソングライター
この声
僕らの平成ロックンロール(2)

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2013年8月 9日 (金)

EDMに挑戦

Title:FEEL
Musician:安室奈美恵

ここ最近、人気が再燃して以降、女性シンガーとして、トップを走り続ける安室ちゃん。このアルバムも当然のようにチャート1位を獲得。オリジナルでは、6作連続の1位となりました。

今回のアルバムの大きな特徴は、エレクトロ・ダンス・ミュージック(EDM)への挑戦という点。特に、このアルバムの1曲目「Alive」から、「めざましテレビ」のテーマ曲として、毎朝流される「Can You Feel This Love」までは、まさに今風のEDMの本流を行くような曲が並んでいます。

一方では、「Let Me Let You Go」は、彼女がピアノ演奏したというPVが話題になったピアノバラードナンバーであったり、先行シングルとなった「Big Boys Cry」は、トライバル風なビートがインパクトといった感じで、EDMだけではないバリエーションもあり、最後まで楽しめる作品になっています。

ただ・・・今回のアルバム、ちょっと物足りなさを感じました。まず、楽曲としてはいつもの通り、良く出来ていると思います。Lady Gagaへのアルバム参加も噂される、新進気鋭のZeddというミュージシャンが楽曲プロデュースを手がけていることも話題になっていますが、どの曲も、今時のサウンドを取り入れて、しっかりインパクトあるポップソングを聴かせてくれています。

しかし、確かにEDMの楽曲としては良く出来ているのかもしれませんが、いわば王道のサウンドのため、安室奈美恵としての個性がいまひとつ見えてきませんでした。ちょっと酷な言い方をすると、EDMブームの中で、何度も聴いたようなタイプの曲の連続。安室奈美恵だからこそ歌える、という楽曲には出会えませんでした。

ひとつのEDMのアルバムとしては良作でしたが、安室奈美恵の最新作としては、ちょっと物足りなさを感じたアルバム。あらたな挑戦とはいえ、それで出てきた楽曲はちょっと無難すぎたかも・・・。次の一歩に期待です。

評価:★★★★

安室奈美恵 過去の作品
BEST FICTION
Past<Future
Checkmate!
Uncontrolled


ほかに聴いたアルバム

Befriend/SING LIKE TALKING

復帰後2作目になる、約2年ぶりの新作。活動休止前からあわせて、ロック志向の強い作品が続いていましたが、本作は、AOR路線に戻ったような作品で、いわばSING LIKE TALKINGとしてイメージしそうな楽曲が並んでいます。さすがにかつてのような勢いはありませんが、安定した良質なポップスといった感じで、ファンなら安心して聴けそうな作品になっていました。

評価:★★★★

SING LIKE TALKING 過去の作品
Empowerment

恋と革命とアーバンギャルド/アーバンギャルド

サブカル的な、「今どきの若者」風な歌詞と、デジタルポップを基調とするアーバンギャルドのベスト盤。個人的には、相対性理論や、最近ではパスピエあたりと重なる部分も感じてしまうのですが・・・。最新アルバムが顕著だったのですが、ポップなメロはインパクトがあるものの、正直、歌詞はちょっと理屈っぽくて、狙いすぎに感じるような部分も。男女ツインボーカルも特徴的なのですが、男性ボーカル松永天馬の歌い方もちょっと鼻がつく感じ。

評価:★★★★

アーバンギャルド 過去の作品
少女の証明
メンタルヘルズ
ガイガーカウンターカルチャー

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名古屋圏フェス・イベント情報(8/9)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

8/9 主な更新
・岡崎ジャズストリート2013 詳細決定
・KAZOKU FES.2013 第2弾出演者発表
MONSTER VIBES 2013 終了

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2013年8月 8日 (木)

今、最も勢いあるバンド

今週のアルバムチャート

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今週、1位を獲得したのは、今、最も勢いのあるバンドの新作。

今週、1位を獲得したのは、マキシマム ザ ホルモン「予襲復讐」。6年ぶりとなる新作が、なんと初動売上15万7千枚を獲得し、前作「ぶっ生き返す」の7万枚から倍増以上の売上を叩き出し、アルバムでは初となる1位獲得となりました。

彼らの音楽は、メタルの要素も入った、ハードコア、あるいはラウドロック(本人たちは、この括りで呼ばれるのは嫌がっているようですが・・・)とカテゴライズされる楽曲。決して、万人向けのサウンドではありません。しかし、現在、その勢いは止まらず、先日行われたROCK IN JAPAN FES.ではメインステージでの登場にも関わらず、入場規制が行われる前代未聞の事態にまでなっています(つーか、この手のロックフェスは、メインステージ一杯のキャパが、チケットの販売数だと思っていた・・・)。

ただ、彼らに限らず、最近、ラウドロック勢がヒットシーンの中で勢いを見せています。MAN WITH THE MISSIONなんかもヒットを連発していますし、私も初耳のラウドロックバンドが、いきなりチャート上位に食い込むケースも少なくありません。でも、なんとなくわかるよなぁ。アイドルソングやK-POP、アニソンが席巻するチャートの中、やはり若い世代には、ポップソングでは物足りなさを感じ、ヘヴィーな血沸き肉踊るようなサウンドを求める人が、少なからず増えている、ということなんでしょう。

ほとんどメディアにも露出せず、決して万人受けするポップソングを奏でているわけではない彼らが、初回盤、複数種類発売など小細工はせず(ただし、配信、レンタル禁止という処置はとっているみたですが)15万枚以上初動で売り上げる事実を、レコード会社側はどう考えるのでしょうか。すっかりアイドルやアニメファンの「ファンズアイテム」となりつつあるCDですが、まだまだ聴きたい音楽を待っている人たちがいるのではないでしょうか。

続く2位には、2004年に惜しまれつつ解散したロックバンド、THE YELLOW MONKEYのベスト盤「イエモン-FAN'S BEST SELECTION-」がランクイン。デビュー20周年記念企画の最後を飾る、タイトル通り、ファン投票による人気曲を集めたベスト盤です。初動売上は4万2千枚。前作は2010年にリリースした「COMPLETE SICKS」の初動1万2千枚。解散から10年近くが経過しているにも関わらず、根強い人気を感じさせる結果になっています。

3位は、先週1位のいきものがかり「I」が、2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、4位にTakamiyことTHE ALFEEの高見沢俊彦の「雷神」がランクイン。最近、THE ALFEE以上にソロ活動が目立っているような。初動売上1万5千枚は、前作「Fantasia」から横バイ。これで3作連続1万5千~6千枚の初動売上を記録しており、根強い固定ファンに支えられています。

7位には、女性シンガーBENI「Red」が入ってきています。ここ2作ほどカバーアルバムのリリースが続いており、オリジナルは1年7ヶ月ぶり。初動1万枚は、そのカバーアルバム「COVER2」の5万枚よりダウンしていますし、オリジナルとしての前作「Fortune」の1万2千枚よりもダウンしています。

最後10位には、GREE用ゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ!」のキャラソンを集めたミニアルバム「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER PERFORMANCE 04 アイドルマスター ミリオンライブ!」がランクイン。同シリーズでは、前作「03」は最高位19位でしたので、2作ぶりのベスト10入り。ただし初動8千枚は、その「03」から横バイ。低水準のチャートに助けられた結果になりました。

そんな訳で、今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2013年8月 7日 (水)

じぇじぇじぇ

今週のシングルチャート

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今週は、話題のドラマ「あまちゃん」から飛び出した曲が上位にランクインし、大きな話題となっています。

まずは1位。山下智久「SUMMER NUDE '13」が獲得しました。本人主演のフジテレビ系ドラマ「SUMMER NUDE」主題歌。この楽曲、1995年に真心ブラザーズが歌った「サマーヌード」のカバー。ドラマもこの曲をイメージしてつくられたそうで、じゃあ、原曲の「サマーヌード」を主題歌にすればいいじゃん!!音楽業界にまだ余裕があった10年くらい前なら、おそらく原曲をそのまま使っていたんだろうなぁ。確かにアイドルに歌わせた方が、最初は売れるかもしれないけど、そこまで。むしろ原曲を主題化にし、話題になれば、トータルではアイドルに歌わせるよりもバカ売れする可能性があると思うんですけどね。

その1位山下智久とデッドヒートを繰り広げ、惜しくも2位になったのは、天野春子名義の「潮騒のメモリー」。ご存知、NHKで話題となっている大ヒットドラマ「あまちゃん」の劇中歌で、天野春子は、主人公の母親で小泉今日子の役名。ドラマの話題性もあり、初動7万7千枚の大ヒットを記録。小泉今日子の楽曲のベスト10入りは、1994年の「月ひとしずく」以来、実に18年9ヶ月ぶりだそうです。もちろん、小泉今日子の人気というよりもドラマの人気によるベスト10入りなのですが、それでも彼女がコンスタントに女優として人気を確保してきたからこそ生まれたヒット。CDで発売されたシングルとしても、1999年にリリースされた「for my life」から14年ぶりで、その時は最高位33位初動売上1万2千枚。今回の初動売上は7万7千枚と大幅にアップしています。

楽曲は、80年代歌謡曲で聴いたことあるような歌詞をならべた、クドカンらしいパロディー要素満載の楽曲。メロディーもどこか懐かしい雰囲気で、今後、ドラマのヒットとあわせてロングヒットを記録しそう?ちなみに来月には、同じくドラマ挿入歌の「暦の上ではディセンバー」のリリースも予定されており、その売れ行きが注目されます。

そして初登場3位は、水樹奈々「Vitalization」。アニメ「戦姫絶唱シンフォギア+G」主題歌。マイナーコード主体の緊迫感をかもしたアップテンポなナンバーという様式化されたアニソンスタイル。初動売上6万1千枚は、前作「BRIGHT STREAM」の7万5千枚よりダウン。直近作で、T.M.Revolutionと組んだ「Preserved Roses」の11万5千枚よりもダウンしています。

続いて4位以下の初登場ですが、4位5位はK-POPが並んでいます。4位は4人組バンドCNBLUE「Lady」、5位D-LITE(from BIGBANG)feat.葉加瀬太郎「I LOVE YOU」。CNBLUEはちょっとディスコ調の要素を取り入れた軽快なナンバー。初動4万2千枚は、前作「Blind Love」の4万7千枚よりダウンで、前々作「Robot」と同水準。5位は、男性アイドルグループBIGBANGからのソロで、尾崎豊のヒット曲のカバー。彼は今年2月に、J-POPのカバーアルバム「D'scover」をリリースしていますが、その流れに沿ったもの。初動売上3万枚は、その「D'scover」の初動3万5千枚よりダウンしていますが、ソロシングルとしては健闘か?

6位には倖田來未「Summer Trip」がランクイン。初動売上は1万9千枚。前作「恋しくて」の1万8千枚よりは微増しているものの、前々作「Go to the top」は初動5万4千枚を記録しており、低水準で安定してしまっています。ちょっと厳しい結果。

8位初登場は、DAIGO「いつも抱きしめて」。最近では、BREAKERZとして活動を続けるDAIGOのソロシングル。ソロとしては、DAIGO☆STARDUST名義の「SUPER JOY」以来。初動売上1万8千枚は、BREAKERZとしての直近シングル「RUSTY HEARTS」の1万3千枚よりアップ。ちなみに、ソロとしての前作「SUPER JOY」は最高位130位だったので、いうまでもなく、売上は大幅にアップ。でも、ソロがバンドより売れちゃっているんじゃあ、もうソロでいいじゃん??

9位はヴィジュアル系バンドν[NEU] 「APOLLON」が入ってきています。スケール感ある正統派のバラードナンバー。初動売上1万6千枚は、初のベスト10ヒットとなった前作「The 25th Century Love」の1万8千枚より若干のダウン。

最後、10位初登場はthe HIATUS「Horse Riding EP」。「EP」なので、イメージ的にはシングルよりもミニアルバムに近い感じなのですが、オリコン上の取り扱いはシングル。初動売上1万5千枚は、前作「Hatching Mayflies」の2万2千枚よりダウン。3枚目のEPなのですが、3万枚→2万2千枚→1万5千枚と右肩下がりの傾向が続いているのが気になるところです。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、また明日に!

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2013年8月 6日 (火)

山崎まさよし入門

山崎まさよしのベストアルバムが2枚同時にリリースされました。

Title:The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[STANDARDS]
Musician:山崎まさよし

こちらが、ライブでの定番曲などを収録した作品。「One more time,One more chance」「僕はここにいる」などといった、おなじみの代表曲が収録されています。

そして・・・

Title:The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[SOLO ACOUSTICS]
Musician:山崎まさよし

こちらは、アコースティックギターのソロ演奏が楽しめる「企画盤」的な内容になっていました。

今回のアルバム、「山崎まさよし入門」というコンセプトで作成されたベスト盤ということで、1枚2,000円という安めの値段といい、初心者が手に取り易い内容になっていました。特に「STANDARDS」は、そのタイトルの通り、山崎まさよしの代表曲、おなじみのナンバーがズラリと並んだアルバム。全10曲というボリュームもちょうど良い感じですし、企画どおり、入門盤としては最適な1枚かもしれません。

ただ、そんなベスト盤にも関わらず、2枚通して聴いた感想としては、名曲揃いなのはわかるけど、何か物足りない、なんでだ???といったものでした。

2枚あわせて20曲の選曲にも関わらず、バージョン違いで「One more time,One more chance」と「セロリ」が重なっている、という点も、物足りなさを感じる要因だったかも。「入門」でありながら、おなじみのシングル曲よりも、ライブの定番曲を選んでいるから、というのも理由かも?

「入門盤」といいながらも、ライブ人気主体の選曲や、アコースティックソロで、アルバム1枚をつくってしまうあたり、妙にコアなファン向けのスタンスも垣間見えてしまうあたりが、そんなに熱心なファンではない私にとって、物足りなさを感じてしまった理由かもしれません。

もちろん、アコースティックソロも、山崎まさよしの大きな魅力な訳で、そういう意味では、彼の魅力を様々な側面から切り取った2枚のアルバム、と言えるのかもしれませんが・・・。「STANDARDS」が文字通り、「入門盤」としたら、「SOLO ACOUSTICS」は、ファン向けの企画盤という要素が強いかも。

評価:
STANDARDS ★★★★★
SOLO ACOUSTICS ★★★★

山崎まさよし 過去の作品
COVER ALL-YO!
COVER ALL-HO!

IN MY HOUSE
HOBO'S MUSIC
Concert at SUNTORY HALL


ほかに聴いたアルバム

HEARTBREAKIN'/土岐麻子

土岐麻子の最新作は、これぞシティーポップといった感じの、軽快な、王道のポップチューンの連続。変な気負いもなく、歌いたい曲を歌いたいように歌っているだけ、といった印象が。実に土岐麻子らしい作品とも言えるアルバムでした。ただ、ちょっと新鮮味といったものは薄いのですが・・・。

評価:★★★★

土岐麻子 過去のアルバム
TALKIN'
Summerin'
TOUCH
VOICE~WORKS BEST~
乱反射ガール
BEST! 2004-2011
CASSETTEFUL DAYS~Japanese Pops Covers~

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2013年8月 5日 (月)

新しいチャレンジ

Title:MIYAVI
Musician:MIYAVI

世界デビューを視野に入れた、ギタリストMIYAVIのニューアルバム。いままでワールドツアーを行い、ミュージシャン表記も従来の「雅-Miyavi-」から「MIYAVI」にあらため、このアルバムは、世界でのリリースも予定しているとか。

セルフタイトルにして気合もたっぷりのMIYAVIのニューアルバムは、いま流行りのEDMを取り入れた作風だとか。確かに、今回の作品の大きな特徴は、エレクトロサウンドを導入した四つ打ちのサウンド。肉感の強かったいままでの彼の作品と比べると、ちょっと毛色の異なったような印象も受けました。

そんな意欲作である今回の作品。印象としては、その新しい挑戦は素晴らしいが、ちょっと中途半端。それこそ雨後のたけのこのように出てきているEDMのミュージシャンの中で、彼までもEDM??という疑問もありつつ。

「Horizon」「Secret」など、よくありがちなK-POPみたいな作風でしたし、「Day 1」あたりは、いかにもデジロック、というサウンドがカッコいいものの、この路線、Boom Boom Satellitesが先を走っているような。

とはいえ、時にはファンキーに、時にはアグレッシヴに演奏しまくるMIYAVIのギターサウンドはやはりカッコいいし、華があります。「Justice」で聴かせてくれる、リズミカルなカッティングギターには、グッと惹きつけられましたし、ファンキーな「Hell No」や、最後を締めくくる「Free World」など、今回もそのギタープレイには耳を奪われてしまいます。

新しき挑戦、道半ばといった印象のアルバム。一方では、MIYAVIの魅力はきちんと現れていて、その点はファンにとっては満足の出来る作品だったのでは。今後、この路線を進むのか、また違う道に挑戦するのかはわかりませんが、今回のアルバムに関しては、ちょっと惜しさも感じる1枚でした。

評価:★★★★

雅-MIYAVI- 過去の作品
WHAT'S MY NAME?
SAMURAI SESSIONS vol.1


ほかに聴いたアルバム

SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD/THE STARBEMS

元BEAT CRUSADERSのヒダカトオルこと日高央率いる新バンド。イメージとしては、ハードコアになったビークルといった感じで、ヘヴィーなバンドサウンドの後ろに流れるメロディーに、どうしてもこびりついている日高央らしさがユニーク。バンドサウンドはハードでも、メロディーはポップという意味でもビークルと通じるものがあります。ただ、そのままビークルになるのを避けるためか、現段階ではこの「日高央らしさ」はちょっと抑え気味。ここらへん、どうTHE STARBEMSとしての個性をつけていくのか、今後に注目。

評価:★★★★

TOMMY CANDY SHOP SUGAR ME/Tommy february6

いままでのキュートなポップ路線からちょっと一線を画す、トランシーなエレクトロポップが目立つ今回のアルバム。ただ、正直、その結果、トミフェブのコンセプトが不鮮明になってしまったような印象がありますし、なにより似たような曲のオンパレードで、ちょっと飽きてくる感じも。もともと、一発ネタ的なコンセプトなので、ちょっと引っ張りすぎな気は、以前からずっと思っているのですが、さすがに金属疲労が否めない感じ。

評価:★★★

Tommy february6/Tommy Heavenly6 過去の作品
I KILL MY HEART(Tommy Heavenly6)
Strawberry Cream Soda Pop “Daydream”(Tommy February6)
Gothic Melting Ice Cream’s Darkness “Nightmare”(Tommy heavenly6)

FEBRUARY&HEAVENLY(Tommy february6/Tommy heavenly6)
HALLOWEEN ADDICTION-ハロウィン中毒-(Tommy february6/Tommy heavenly6)

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2013年8月 4日 (日)

さだまさしの魅力と違和感

Title:天晴~オールタイム・ベスト~
Musician:さだまさし

ここ最近、大物ミュージシャンのベスト盤、それもキャリアを総括したようないわゆる「オールタイムベスト」が続いています。山下達郎、松任谷由実、矢沢永吉なども話題になりましたが、その他にも先日、高橋真梨子も3枚組のベスト盤をリリース。そして、今、ロングヒットを続けているのが、このさだまさしのベスト盤です。

CDが壊滅的に売れなくなってきている中、ある程度の枚数を見込めるような大物のベスト盤に頼っているという部分もあるのでしょう。ただ、山下達郎が、このタイミングでベスト盤を出す理由として、「CDがまだあるうちに、パッケージ商品としてリリースしたかった」とコメントしていましたが、他のミュージシャンたちも、「配信」という目に見えないものではなく、「CD」という「モノ」で発売できるうちにリリースしておきたい、という思いがあったのかもしれません。

豪華3枚組のさだまさしのベスト盤。さだまさしについては、いままでアルバム含めてほとんど聴いたことはありませんでしたが、知っている曲も少なくないだけに、これを機に、はじめて彼の代表曲をまとめて聴いてみました。

そんなさだまさしに関して完全な素人の私ですが、彼の代表曲を聴いてまず強く感じたのが、歌詞が半端ないということ。わずか3分程度の楽曲にも関わらず、その物語性ある歌詞に惹きこまれますし、なによりその人物描写が天才的。曲を聴いているだけで、登場人物の顔や性格が伝わってくるようでした。

またもちろんメロディーラインの良さも言うまでもないのですが、個人的には、爽やかな昔でいうところの「ニューミュージック」っぽい作品よりも、哀愁ベッタリの、歌謡曲的な作品に強く魅力を感じました。例えば、山口百恵への提供でおなじみの「秋桜」や、デビュー曲の「精霊流し」みたいな感じの曲ですね。歌詞とあわせて、素直に胸が熱くなってきたような曲もチラホラ。

それだけの名曲を詰め込んだベスト盤だけあって、評価は↓の通りなのは言うまでもないでしょう。ただ、それだけ魅了されながらも、一方では代表曲を全て聴いても、どうもはまりきれなかったというのが正直な感想だったりして。

その一番の理由は、彼の世界に登場してくるのが、みんな善人で、かつ、少々説教臭さを感じる点でした。確かに、今回のDisc3に収録されている曲のようなプロテストソングも、さだまさしの大きな魅力のひとつでしょう。ただ、どうも彼の作品に出てくる登場人物からは、人間らしいねたみ、恨み、つらみのような負の感情が感じられません。ちょっと話がきれいごとに終始していないか?そういう印象が最後まで拭いきれず、これがはまりきれなかった最大の理由だったように思います。

今回のアルバムは、アジカンのアルバムジャケットでもおなじみ、中村佑介を起用しており、そういう意味では、若い世代へのアピールも含めたのでしょう。ただ、説教臭さを感じる作風は、どうしても一昔前という時代を感じてしまった点も否定できません。団塊の世代に寄り添ったようなミュージシャンだよなぁ。もちろん、時代に寄り添ったというのは決して否定的な意味ではなく、そういうひとつの時代に寄り添うというのも、ポピュラーミュージックの大きな魅力なのは間違いないわけで。

そんな訳で、さだまさしの魅力を強く感じる一方で、違和感も同時に覚えたベスト盤でした。ただ、名曲が多いのも間違いない事実なので、興味がある方は、是非。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

演出家出演/パスピエ

パスピエというと、相対性理論とかアーバンギャルドのように、かわいらしい女性ボーカルを全面に出して、「今時の若者」的な、サブカル的、おたく的世界観を前に出していたミュージシャンでした。しかし、メジャーデビューアルバムとなる本作で雰囲気は一転。ロリータボイスが特徴的な普通のJ-POPになってしまいました。

その結果、パスピエらしい特徴が薄れてしまったように感じる反面、いままでのアルバムで感じた、変な自意識の高さみたいなものが薄れ、素直なポップソングとして聴けるようになった印象も。楽曲1曲1曲にインパクトもあり、曲の出来としては、一皮むけた感じもします。

ただ、そうするとパスピエだけが持っているような個性がほしいなぁ、とも思ってしまったアルバム。癖が抜けて聴きやすくなったのは間違いないのですが、ちょっと物足りなさを感じることも否めない作品でした。

評価:★★★★

パスピエ 過去の作品
ONOMIMONO

SINCE2/Spangle Call Lilli Line

ポストロック的な要素を取り込んだポップソングで、独特の世界観を構築する男女3人組バンドの2枚目となるベスト盤。ストリングスやピアノなどを取り込みつつ、タイトなアレンジがつくりあげながらもポップにまとめあげている手法は凝っており、とても魅力的である反面、インパクトが薄く、後味が薄い印象が否めず。いいバンドなのは間違いないのですが・・・。

評価:★★★★

Spangle Call Lilli Line 過去の作品
VIEW
forest at the head of a river

New Season
Piano Lesson

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2013年8月 3日 (土)

2013年上半期 邦楽ベスト5

昨日に引き続き、今日は邦楽の上半期ベスト5

5位 人間と動物/電気グルーヴ

聴いた当時の感想はこちら

電気グルーヴの新作は、いい意味で、実に電気グルーヴらしい作品でした。ここ最近のアルバム「J-POP」「Yellow」がテクノ路線に振った作品になり、「20」が企画モノ的作品になったのに対して、本作は、90年代の彼らを彷彿とさせるような、歌モノとテクノのバランスが絶妙に取れた作品に。卒がないという表現もあてはまりそうですが、ファンにとっては文句なく楽しめる傑作に仕上がっていました。

4位 ダーティーサイエンス/RHYMESTER

聴いた当時の感想はこちら

こちらのRHYMESTERの新作も、実にRHYMESTERらしい作品。要するに、HIP HOPという音楽に真正面から立ち会った作品になっており、サンプリングを多用した曲づくりが大きな特徴に。もちろん、RHYMESTERらしいノリのよいナンバー、ポップなナンバーも健在で、歌詞もユーモラスがあったり、また、社会派な歌詞もあったり、バラエティー豊富。RHYMESTERとしての実力を目一杯発揮し、詰め込んだアルバムでした。

3位 踊れ!踊らされる前に/ソウル・フラワー・ユニオン

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前作「キセキの渚」では、東日本大震災の影響を強く感じた作品でしたが、続く本作は、その被災地でのライブでレパートリーに加わったカバー曲なども収録しつつ、それ以上に、ここ最近日本にはびこる排外主義に対する強烈なアンチメッセージを含んだ作品になっていました。そのため、タイトルと異なり、ミディアムテンポ主体の、少々重めのアルバム。でも、軽薄なポップソングがチャートを席巻する今の日本にとって、彼らのような音楽は実に貴重な存在でしょう。

2位 We are 東京カランコロン/東京カランコロン

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今回の「期待の新人」枠(笑)。いわゆるひねくれポップを聴かせながらも、その一方で、一種のベタさを感じさせるメロディーラインに、実験的なセンスを感じるサウンド。男女デゥオという構成も魅力的。例えれば、よりポップになったクラムボンか、あるいは、もっとひねくれたジュディマリか。これがメジャーでは初のフルアルバムとなる作品ですが、非常におもしろい内容でした。これからもっともっと話題になりそうなバンド。これからの活躍が楽しみです。

1位 Ten/キリンジ

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兄弟2人組デゥオとしては、ラストとなってしまったキリンジのニューアルバム。ただ、最後の最後に、まるで彼らの集大成のような傑作を産み出してくれました。兄弟、それぞれの持ち味をフルに発揮した上で、最後にも関わらず、逆にその気負いがないかのような、肩の力が抜けた、自由度を感じさせる名曲が並んでいます。これだけ傑作を作りながら、この2人でのアルバムは最後とは・・・本当に惜しい限りです。その後、新メンバーを加入させ、バンド形式になるという、少々ビックリの展開を見せているキリンジ改めKIRINJIですが、これからの活躍にも期待です!

今年のベスト5は以上。うーん、名盤もそれなりに登場していましたが、昨年同様、少々不作気味だったかも。他には

1-2-3/THE BAWDIES
オレらは肉の歩く朝/前野健太
TIC TAC/サイプレス上野とロベルト吉野

あたりが、ベスト5候補でした。

他には、実は今年上半期1番はまったアルバムが、OGRE YOU ASSHOLEの「confidential」。ただ、この作品、過去のEPなどに収録された曲をまとめた企画盤ということで、ベスト5対象外に。もう1枚矢野顕子の「矢野顕子、忌野清志郎を歌う」も傑作だったのですが、こちらも企画的要素が強いため、あえてはずしました。

あらためてベスト5を振り返ると

1位 Ten/キリンジ
2位 We are 東京カランコロン/東京カランコロン
3位 踊れ!踊らされる前に/ソウル・フラワー・ユニオン
4位 ダーティーサイエンス/RHYMESTER
5位 人間と動物/電気グルーヴ

去年のように、下期はベスト10を選ぶのが迷うくらいの傑作が続けばよいのですが・・・

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期

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2013年8月 2日 (金)

2013年上半期 洋楽ベスト3

恒例、上半期洋楽アルバムベスト3です!

3位 More Light/Primal Scream

聴いた当時の感想はこちら

正直、ここ最近、「低迷」という印象すらあったPrimal Scream。傑作「XTRMNTR」リリース後は、その亜流っぽい雰囲気のアルバムが続き、少々迷走気味すら感じられたのですが、ここに来て、完全に吹っ切れました!その結果が、この傑作アルバム。楽曲は、かつての傑作「Screamadelica」を彷彿させるようなサイケな曲から、ロックンロールナンバー、シューゲイザーっぽいナンバー、ポップな曲までバラエティー豊富。もちろん、権力に対して中指を立てる姿勢も健在。Primal Scream完全復活を印象づけた傑作でした。

2位 SHOCK EL HAL(邦題 時代の棘)/GNAWA DIFFUSION

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アルジェリア移民のフランス人によるバンド。2002年に解散したものの、昨年再結成し、発売したニューアルバムが本作。昨年のスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドでそのライブを見て、はまってしまったのですが、今回のニューアルバムにもはまってしまいました。レゲエやアラブ風サウンド、さらにアフリカのサウンドの要素なども入った楽曲は、エスニックな雰囲気を感じながら無国籍なミクスチャーサウンド。ただ、ロックテイストも強く、ワールドミュージックになじみがなくても比較的聴きやすい内容になっていたと思います。希む、再来日!

1位 m b v/My Bloody Valentine

聴いた当時の感想はこちら

今年突然リリースされた、My Bloody Valentineの新作。正直、多くのファンは、もう新作のリリースは諦めていたのではないでしょうか・・・。そんな中リリースされた新作に、期待と不安が入り混じりながら聴いたのですが・・・もう、これぞ待ち望んだマイブラ!!といった感じの傑作。最初は、「loveless」の雰囲気をそのまま踏襲した雰囲気からスタートしながら、徐々に2013年のマイブラの音になってくる内容は、過去と今との橋渡しをするような構成でした。でも、そんな理屈抜きにして、甘美なギターノイズとメロディーに酔いしれた傑作。彼ら以降、彼らの影響を受けたミュージシャンは数多くデビューしましたが、やはりオリジナルはずば抜けているな、ということを再認識させられました。

というわけで、プライマルにマイヴラって、いかにも昔のUKギターロック好きのおじさんといった感じになってしまいすいません(^^;;でも、それだけの傑作だったんですよ・・・。

じゃあ、昔のバンドばかりがんばっていたのか、と言われるとそうではなく、JAKE BUGGやVAMPIRE WEEKENDのModern Vampire Of The City、KANYE WESTのYEEZUSなどの傑作などもリリース。「今を象徴する」という意味だと、こちらがベスト3入りするような作品だったかも。今年の上半期は、比較的、豊作だったのではないでしょうか。

他に、企画盤だったのでベスト3には入れませんでしたが、NETTYの「いにしえのクロンチョン」、「インドネシア音楽歴史物語」というクロンチョンの企画盤にもはまってしまいました。どちらも、名企画の傑作アルバムです。

そんな訳で、あらためてベスト3をまとめると

1位 m b v/My Bloody Valentine
2位 SHOCK EL HAL(時代の棘)/GNAWA DIFFUSION
3位 More Light/Primal Scream

下期も、上期に引き続き、数多くの傑作が生み出されることを楽しみにしています!

ちなみに過去の洋楽ベストアルバムは・・・

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期

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名古屋圏フェス・イベント情報(8/2)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

8/2 主な更新
・森、道、市場~川へ、旅へ~開催決定
・DISCOVERY2013 追加
・中津川THE SOLAR BUDOKAN 2013 追加出演者決定
・浜松ブルースフェスティバル2013 出演者決定
・NAGOYA GROOVIN’ SUMMER 2013、第23回めいほう高原音楽祭 終了

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報(8/2)"

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2013年8月 1日 (木)

海外の男性アイドルグループが並んだチャート

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

しばらく、アルバムチャートは新譜が少ない週が続きましたが、今週は久々の新譜ラッシュ。ベスト10のうち8枚が初登場です。

そんな中、1位を獲得したのがいきものがかり。ニューアルバム「I」が今週の1位。これでオリジナルアルバムでは4作連続の1位。ただし、初動売上11万1千枚は、前作「NEWTRAL」の19万2千枚より大きくダウン。前々作から前作は、20万枚→19万2千枚とほぼ横バイだったのに対して、本作ではガクンと売上を落としてしまいました。シングルも、ここ最近、決して売上が芳しくないため、少々気になるところです。

さて今週は、1位こそ男女ユニットだったのですが、2位以下、男性アイドルグループの初登場が並びました。

まず2位3位はいずれも韓流。2位にはSUPER JUNIOR「Hero」、3位には2PMからのソロ、JUNHO(from 2PM)「キミの声」が並んでいます。

SUPER JUNIORはちょっと意外だったのですが、日本ではこれがデビューアルバム。初動売上10万2千枚は、直近のシングル「Sexy,Free&Single」の初動10万9千枚とほぼ同水準という結果になっています。JUNHOは、これがソロデビューアルバム。初動売上6万1千枚は、2PMの日本での直近アルバム「LEGEND OF 2PM」の初動5万枚を上回る好セールスとなりました。

さらに韓流はもう1組。8位に同じく男性アイドルグループU-KISS「Inside Of Me」が入ってきています。こちらは初動1万6千枚で、前作「A Shared Dream」の初動1万3千枚より若干アップしています。

さて、男性アイドルグループは今週は韓国からだけではありません。ある意味、ここらへんのK-POPの元祖的存在、アメリカのアイドルグループBACKSTREET BOYSの約4年ぶりとなるニューアルバム「IN A WORLD LIKE THIS」が今週4位に入ってきました。正直、ここ最近、本国での人気は下降気味なのは否めないのですが、日本でも本作の初動売上3万8千枚は、4年前の前作「This Is Us」の9万8千枚より大きくダウン。まだまだ根強いとはいえ、厳しい結果になっています。

他に初登場は・・・最近話題のロックバンド、クリープハイプ「吹き零れる程のI、哀、愛」が6位にランクインしてきました。シングルでは既にベスト10入りしていますが、アルバムはこれが初のベスト10入り。初動売上2万4千枚は、最高位19位だった前作「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」の4千枚から大きくアップしています。

そして今週は話題のロックバンドがもう1組。10位に相対性理論「TOWN AGE」が入ってきています。前作「正しい相対性理論」は企画盤的な作品だったので、純然たるオリジナルとしては「シンクロニシティーン」から3年3ヶ月ぶりとなるアルバム。初動売上1万3千枚は、その「正しい相対性理論」の1万枚よりアップしましたが、「シンクロニシティーン」の2万3千枚を下回る結果となってしまっています。

最後。7位に女性アイドルグループ私立恵比寿中学のメジャーデビューアルバム「中人」がランクインしています。初動売上2万枚は、インディーズ時代の楽曲を集めたベスト盤である前作「エビ中の絶盤ベスト~おわらない青春~」の8千枚からアップしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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