今風のEDMでもPSBらしさ満載
Title:ELECTRIC
Musician:PET SHOP BOYS
前作から、1年弱という短いインターバルでリリースされた、イギリスの人気ポップデュオ、PET SHOP BOYSの最新作。今回の作品、ELECTRICというタイトルそのまま、今時のEDM風の作品・・・・・というと、猫も杓子もEDMかよ(苦笑)といった感じもするのですが、彼らの場合は、もともとエレクトロポップを主軸にしたユニット。今回のアルバムは、前作「Elysium」と同時期に作成されながらも、コンセプト上、入れられなかったダンスチューンも多く収録されています。
まあ、そんな本作なのですが、確かに、強いビートのエレクトロダンスミュージックは、今時のアレンジ。今、流行のEDM(=エレクトロ・ダンス・ミュージック)にのっかかったと見る向きはあるでしょうし、本人たちもどこか意識した部分はあるかもしれません。
ただ、だからといって、今流行りの音にのっかかっただけの作品という印象は受けませんでした。というのも、その根底には、間違いなくPET SHOP BOYSの音が流れていたから。ポップなメロディーラインと、社会を風刺した歌詞が彼らの大きな特徴ですが、今回のアルバムも、その路線が間違いなく貫かれていました。
一番顕著だったのが、「Love Is A Bourgeois Construct」。「愛は資本家の概念」という、皮肉たっぷりのタイトルも彼ららしいですし、歌詞も、暴走する資本主義に対する皮肉たっぷりの内容になっています。そして、メロディーも、PET SHOP BOYSらしい、キュートでメロディアスなポップソング。アレンジは、EDM路線ですが、実に彼ららしい楽曲に仕上がっていました。
そういうPET SHOP BOYSらしいメロディーや歌詞の上にのっかかるEDMのリズミカルで軽快なサウンドが、今回のアルバムに関しては、いい意味で楽曲にさらなるポピュラリティーとインパクトを与え、聴きやすいアルバムにまとめていました。
特に今回のアルバムでは、その「Love Is A Bourgeois Construct」をはじめ、ブルース・スプリングスティーンのカバーという意外な組み合わせの「The Last To Die」など、現在の資本主義社会に対する怒りを感じる歌詞も目立ちましたが、その怒りの感情に対するちょうどよいオブラート的な役割も果たしていました。
一方では、「Shouting On The Evening」みたいな、ライブ会場では盛り上がりそうな、PET SHOP BOYSというよりも、どこかのテクノミュージシャンのようなインストナンバーも含まれていたりするのもおもしろいところ。今回のアルバム、ライブではかなり盛り上がりそうな予感もします。
PET SHOP BOYSのファンも、EDM好きも満足させられそうな、傑作アルバム。先日行われたばかりのサマソニのステージも盛り上がっただろうなぁ。次は単独来日公演を、是非。
評価:★★★★★
PET SHOP BOYS 過去の作品
Yes
ULTIMATE PET SHOP BOYS(邦題:究極のペットショップボーイズ)
The Most Incredible Thing
Elysium(邦題 エリシオン~理想郷~)
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コメント
これだけ好感の持てるプレビューをかける方はそうそういないかと。
大抵はけなすか褒めちぎるだけの個人的見解や不満をぶちまけるだけのレビューが多い中、とても納得させられました。
応援しています。頑張ってください。
投稿: Joe | 2013年9月25日 (水) 00時34分
>Joeさん
書き込みありがとうございます。
どうもお褒めの言葉、ありがとうございます。なんか、すごく照れてしまいます(^^;;
これからもまた遊びに来てくださいね!
よろしくお願いします。
投稿: ゆういち | 2013年10月 5日 (土) 21時54分