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2013年8月20日 (火)

andymoriの到達点

Title:宇宙の果てはこの目の前に
Musician:andymori

今年5月、突然の解散を発表andymoriのラストアルバム。andymoriといえば、期待のギターロックバンドとして注目を集め、前作「光」では初のベスト10ヒットを記録。まさにこれから、という矢先の解散発表は、多くの驚きを集めました。

ただ、解散前の最後のアルバムという前提で本作を聴くと、このアルバムが彼らにとっての一種の到達点なのかなぁ、という印象を受けます。前々作「革命」は、どこか「死」を感じるテーマ性になっていました。一方前作「光」は、そのタイトルの通り、非常に前向きな印象を受ける曲が多く収録されていました。それを踏まえた本作では、どこか悲しい現実を見つめつつ、前向きに進もうとする姿が見て取れました。

例えば

「何も心配いらないぜ 俺より汚いやつは
きっとこの世の中には いないと思うから」

(「路上のフォークシンガー」より 作詞 小山田壮平)

と、どこか自虐的な「路上のフォークシンガー」や、失敗を繰り返しながらも、先へ進んでいく姿を歌う「スパイラル」あたりはその典型的な内容でしょうか。そして、バンドとしてラストの曲となる「夢見るバンドワゴン」では

「僕らはまだまだブルースを歌いながら」

と、苦難の歌であるブルースを歌う=上手くいかない現状を歌いながらも、

「輝く渚 舞い上がる砂の向こうに
いつも憧れを胸に抱いて」

(「夢見るバンドワゴン」より 作詞 小山田壮平)

と、最後の最後には、前向きな力強い姿を感じることが出来ます。

そんな彼らの楽曲は、デビューから相変わらず、非常にシンプルなギターロック。歌詞やメロディーを前面に出しているアレンジのため、歌詞が心に響きますし、メロディーも、決して派手なサビがあるわけではないのに、妙に心に残るポピュラリティーを持っています。

どこかノスタルジックな雰囲気も印象的ですし、そんな歌詞とメロディーだからこそ、アルバムを聴きおわった後に、不思議な暖かい気持ちが残るアルバムだったと思います。それだけに、これが最後というのは残念に感じる一方、確かにandymoriとしては、これが到達点なのかな、とも感じるアルバムでした。

バンドとしてのラストソングが、前向きに、次を感じさせてくれる曲だけに、メンバーはそれぞれ、このバンドを足がかりに、次への一歩を踏み出してくれそうな予感も。それだけに、解散は残念であると同時に、楽しみな部分もあります。

ただ、気になるのは作詞作曲を担当しているボーカル小山田壮平。ご存知の方も多いと思いますが、以前、脱法ドラッグの服用で、警察から事情聴取を受けるという騒ぎを起し、さらに解散ライブの直前、河川に飛び降り、大怪我をして、解散ライブが延期になるという奇行を起したりしています。

andymoriには、和製リバティーンズなんて呼び方をする方もいるみたいなのですが、ドラッグ問題でリバーティンズの真似をしてほしくありません。今のandymoriの楽曲からは、そういうお薬的な匂いは感じられないのですが、小山田壮平の精神的な問題には非常に気にかかるところ。変な方向に流されないことを祈りたいのですが・・・。

評価:★★★★★

andymori 過去の作品
ファンファーレと熱狂
革命


ほかに聴いたアルバム

MORIAGARO/AI

移籍後初となる前作「INDEPENDENT」では、久々に力強さを感じる作品をリリースし、AIとしての実力を感じさせてくれました。続く新作でも、彼女の勢いはまだ続いているよう。本作は、レゲエ調の作品や、M.I.A.あたりを彷彿とさせるトライバルな作品も多く、夏らしい爽やかなビートが印象的な作品。「MORIAGARO」というタイトルとは裏腹に、決してアップテンポ一本やりではなく、バラードナンバーもしっかり聴かせる作品に。残念ながら前作には及ばなかった印象も受けるのですが、彼女の魅力をしっかりと発揮した作品に仕上がっていました。

評価:★★★★★

AI 過去の作品
DON'T STOP A.I.
VIVA A.I.
BEST A.I.
The Last A.I.
INDEPENDENT

FET BEST/RIZE

RIZEのユニバーサル・ミュージック時代の楽曲を集めたベスト盤。音圧のあるヘヴィーなロック路線ながらも、ポップで聴きやすいメロディーというのは相変わらずながらも、この手のヘヴィーロックバンドが増えている中、少々、RIZEらしい個性は薄いように感じてしまいました。一時期の人気に比べて、少々低迷気味の彼らなのですが、そんな特色の薄さが、大きな理由のような・・・。

評価:★★★★

RIZE 過去の作品
K.O.
EXPERIENCE

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