初期のRCサクセションのライブ
Title:悲しいことばっかり
Musician:RCサクセション
突如発売された、RCサクセションの「新作」は、1972年から73年にかけてのライブの模様を収録した、ライブ音源集。RCサクセションのオリジナルメンバー、忌野清志郎、林小和生、破廉ケンチ3人による演奏。RCサクセションは、72年にリリースされたアルバム「楽しい夕に」以降、事務所とのトラブルのため、事実上、干されていた不遇の時代をすごしており、その時期のライブ音源ということで、非常に貴重な音源だそうです。
まず今回の作品、「オフィシャルブートレグ」と銘打たれているように、基本的に、ライブ音源は客席からの録音がメイン。そのため、音質は、かなり悪い、というよりも酷い内容になっており、ファンでもその点は期待しない方がいいかと思います。ただ一方で、ライブの雰囲気をそのままパッケージされているだけに、リアリティーは非常に感じられる内容になっていました。
また、何よりも、未発表の新曲が7曲も含まれている点、ファンにとってはうれしい点でしょう。他にも初CD化が2曲、RCサクセションとしては、初の音源化も6曲も収録されており、そういう点でも貴重な音源といえそう。しかし、それ以上に聴いていて惹かれたのは、そのライブ自体の持つ熱量。この時代のRCサクセションは、私たちがよく知っている、その後の彼らと異なり、アコースティック主体の演奏なのですが、清志郎のボーカルは、既に私たちがよく知っているあの歌い方ですし、アコースティックの演奏も実にアグレッシブで迫力を感じます。
楽曲自体も、既にRCサクセションとして完成形とも言える内容が出来上がっており、70年代初頭の作品ながらも、今聴いても全く古さを感じません。また、彼ららしい反骨精神も、既にこの頃から健在。「あそび」のMCでは、「あそび」の内容に、性的描写が含まれているからアルバムに収録できなかったことをストレートにつたえたり、タイトルそのまま「わるいディレクター」と、マスメディアを強烈に皮肉ったり。そしてただ単純に権力に対して中指をたてているのではなく、ユーモアというオブラートに包みながらも、強烈な毒をはいているスタイルはその後の彼らと変わらず。この点も、既にこの時期に楽曲のスタイルを完成させていたことに非常に驚きでした。
そんな訳で、ライブ音源として音質は非常に悪いのですが、それを差し引いて余りある内容で、熱心なファンはもちろんのこと、そこまで熱心でなくてもRCサクセションや忌野清志郎が好き、また、ロックが好きならば、要チェックのアルバムだと思います。あらためてRCサクセションというバンドの偉大さを実感したアルバムでした。
評価:★★★★★
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