中2病を描いて25年?
Title:公式セルフカバー4半世紀
Musician:筋肉少女帯
最近、いわゆる「中2病」的な歌詞を書くミュージシャンが増えてきました。もちろん、以前からこの手の自意識をこじらせちゃったような歌詞を書くミュージシャンは少なくありませんでしたし、中学生の頃にこの手の妄想をめぐらすことは、異常でもなんでもなく「はしか」みたいなものでしょう。ただ、この「中2病」的な人物を主人公とした楽曲を昔から書き続けているミュージシャンの代表格は、間違いなく彼ら、筋肉少女帯でしょう。
それも、例えばSEKAI NO OWARIやamazarashiのような「中2病」バンドと彼らは大きな違いがあります。それは、いわゆる「中2病」バンドが、自ら自意識をこじらせ、その中の妄想を歌にしているのに対して、筋少は、そんな人物を主人公として、自らは客観的な視点から自意識をこじらせた言動を描いています。
そのもっとも典型的なのが、このアルバムにも収録されている「蜘蛛の糸」で、クラスから孤立している少年を主人公に、孤立する自分を「くだらない君たちの中 ボクは貝のように黙った」と正当化し、最後には「最近どうもみんなが ボクを笑ってる気がする」という妄想まで抱くようになります。
しかし、その一方で、「気のせいさ 眠れよ」というコーラスが入ってきます。まさにこれが客観的な視点。自意識をこじらせた主人公を、あくまでも一歩下がった視点から描いたからこそ、逆に主人公に共感できる部分を感じてしまいます。
今回のアルバムは、そんな筋肉少女帯が、タイトル通りメジャーデビュー25周年を記念してリリースした、セルフカバーアルバム。過去の彼らの名曲を、今の彼らが再度演奏しています。
筋少のスタンスは、デビューから25年たった今でも変わりません。今回のアルバムには、新曲が収録されていますが、タイトルはそのまま「中2病の神ドロシー」って、本当にそのままじゃん(^^;;ただ、ここでも主人公は中2病にかかった若者の、狂ったような感情を、ちょっと離れた視点から描いています。それが逆に、ちょっと不気味な部分もあったりして、筋少らしい、魅力的な楽曲に仕上がっています。
今回、自らがすべて演奏しなおした作品になっていますが、基本的なアレンジは原曲に忠実で、大きな変化はありません。ただ、微妙に今風に、音がヘヴィーになっている感じもしましたが。そういう意味では、初心者にもピッタリのベスト盤として楽しめるアルバム。CD数枚に及ぶボリューミーなベスト盤が多い中、このアルバムでは全13曲にとどめ、1枚のCDにおさまっています。そういう点も、はじめて聴く方には、最適なベスト盤でしょう。
彼らが描くような主人公が、「中2病」という名前を与えられ、一般化していた今だからこそ、あらためて聴かれるべき作品が多いアルバム。SEKAI NO OWARIやamazarashiあたりを、うっとりとして聴いているような若者こそ、一度筋少も聴いてほしいなぁ。
評価:★★★★★
筋肉少女帯 過去の作品
新人
大公式2
シーズン2
蔦からまるQの惑星
ほかに聴いたアルバム
Dawning/9mm Parabellum Bullet
哀愁たっぷりの歌謡曲風メロとメタリックなサウンドのアンバランスさが魅力的なギターロックバンドの新作。前作に続いて、ヘヴィーさはちょっと薄めか?それでも、迫力ある演奏は、最後までリスナーの耳を惹きつけるには十分。ただ、それなりに新しい挑戦を目指したような曲もあるものの、ファンではない人の耳からすると、どうしても似たようなタイプの曲が多かったような印象がぬぐえず。
評価:★★★★
9mm Parabellum Bullet 過去の作品
Termination
VAMPIRE
Revolutionary
Movement
this/plenty
ああ、上の筋少レビューの自意識ごじらせ系ミュージシャン、彼らplentyもそうだったなぁ。孤独をテーマとした歌詞が今回も特徴的な作品。ヘヴィーなギターサウンドや、ところどころひねりのあるメロディーラインがユニーク。個人的には、おもしろいバンドだと思うのですが、これといったインパクトのある曲がないのがマイナスか。そのため、アルバム通して聴いた時のひっかかりがちょっと薄いかも。
評価:★★★★
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