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2013年7月27日 (土)

粋がった若者たちの主張

Title:夏を好きになるための6の法則
Musician:The Mirraz

もともと、The Mirrazというバンドは、以前から、若さゆえのちょっと痛いような部分を抱え持ったバンドでした。例の「夏の魔物」事件の件もあるし。で、今回の6曲入りのミニアルバム、そんな粋がったバンド、The Mirrazらしさが、実に前面に出ているミニアルバムになっていました。

まずは2曲目の「名曲」。タイトルそのまんまの曲なんですが

「マジでマジに世界を変えたいと思っているんだ
そんな超すげー伝説的名曲を作りたいと思ってるんだ」

(「名曲」より 作詞Shohei Hatakeyama)

と歌い上げるこの曲は、本気で曲の力を信じ、世界を変える曲をつくりたいんだ、と本気で叫ぶ姿があります。

いやぁ~若いねぇ(笑)。というか、「歌の力で世界を変える」なんていうことを言うと、ドヤ顔で「歌で世界なんて変えられない」なんてことを言う人がいます。確かにそれは事実かもしれません。でも、私は音楽ファンとして、曲の力で世の中を変えることが出来ると信じていますし、そう本気で信じていないミュージシャンの曲は聴きたくありません。理想論かもしれないけれど・・・そういうことを高らかに歌い上げられる彼らには、強く共感するものがあります。

そしてこれ以上に粋がっているのが3曲目の「NEW WORLD」。今、チャートを席巻するK-POPやアイドルポップスを

「音楽性が進歩してないと思うんだ」

と切って捨て、

「LadyでもGagaでも、MGMTでも
The StrokesでもM.I.Aでも
Arctic Monkeys、The Streets,
The Libertines,誰からでも吸収しようぜ
Dragon AshやTHE BLUE HEARTSが
起こした革命が無意味になる前に
誰かが何かを始めるべきだ」

(「NEW WORLD」より 作詞 Shohei Hatakeyama)

と、洋楽や邦楽のミュージシャンをあげ、音楽で、新たな世界を切り開こうとしています。いや、確かに嘲笑されそうな点もわかる。取り上げたミュージシャンは典型的なロッキンオン周りの有名どころばかりだし、そういう点も、ちょっと若い彼ららしい痛さも感じます。

しかし、昨今、すっかりチャートを席巻し、売れるからといって、次から次へと繰り出されるアイドルたち。そんな、メインストリームの流行音楽に対する反抗心から、新たな音楽は産まれてくるのではないでしょうか。昔の「大人」がつくったポップソングに対抗して産まれたロックンロールしかり、プログレに対するパンクしかり、スタジアムロックに対するグランジしかり。これから楽曲を売り出そうとするミュージシャンたちは、メインストリームの音楽に対して、どこか懐疑的な視点は忘れないでほしい、そう思っています。

正直、彼らの音楽が、革命を起せるほどのレベルの作品かどうかは微妙です。このアルバムも、ギターリフ主導のギターロックに、情報量をかなり詰め込んだ、早口なボーカルの歌詞が特徴的。軽快でポップなサウンドは聴きやすいものの、最近のロックバンドの中で、圧倒的な力を持っているか、と言われると、微妙な点は否めません。

ただ、自分たちの曲の力で世界を変えたい、新しい音楽を作り出して世の中を変えたいというスタンスは、頼もしいものを感じます。こういう彼らのスタンスを、「痛い」「世間知らず」と言ってしまうのは簡単です。でも、こういう粋がった若者が、世の中を少しずつ変えていくんじゃないかなぁ。

評価:★★★★★

The Mirraz 過去の作品
We are the fuck'n World
言いたいことはなくなった
選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ


ほかに聴いたアルバム

FLYING SAUCER/クレイジーケンバンド

クレイジーケンバンドの最新作は、安定感のあるいつも通りの多国籍ポップ。ソウル、ファンクにロック、歌謡曲、アジアンポップなどの要素をごった煮にしたサウンドが魅力的。本作では、これにさらに「宇宙」まで加わって、訳のわからない世界観になっています(笑)。

ま、安定の傑作アルバムなのですが、やはり前作に引き続き、勢いという点では一時期に比べると少々ブレーキ気味。文句なしの傑作なのですが、「出したアルバムが最高傑作」という一時期に比べると、と思ってしまいます。まあ、それでも凡百のアルバムでは、到底及ばないレベルなので、ゼイタクな話といえば話かもしれませんが。

評価:★★★★★

クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀

MINT CONDITION
Single Collection/P-VINE YEARS
ITALIAN GARDEN

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アルバムレビュー(邦楽)2013年」カテゴリの記事

コメント

こんにちわ。
前のサイトから見ていて、今回のミイラズについてのレビューが、あまりにも自分と同じ感想だったので・・・驚きました。
自分は、ロックがとにかく好きで今のAKBしかCDが売れない現状は悲しいのですが・・・こういうミイラズの様なバンドにヒットチャートを賑わして欲しいなと感じます。
サカナクションでもワンオクでもホルモンでも良いので、爆発的にヒットしてくれないかなと切に願いますね。

投稿: ケン | 2013年8月 4日 (日) 02時23分

>ケンさん
こんにちは。書き込みありがとうございます!
ミイラズの感想、共感していただいて、とてもうれしいです。こういうバンドには、もっともっとがんばってほしいんですよね。
ちなみに、なにげにホルモンのニューアルバム、売れまくっているみたいなので、その結果が楽しみなところ。最近、ラウドロックが結構売れているので、シーンを変えてくれないかな、と期待しています。

投稿: ゆういち | 2013年8月 5日 (月) 00時14分

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