おなじみのあの曲もサンプリング
Title:KARA OK 2nd Edition
Musician:KAKATO
参考サイト
環ROY×鎮座ユニット、無料アルバムに新曲追加し再配信
http://natalie.mu/music/news/94151
このアルバム、「カラオケ」というタイトル通り、J-POPをサンプリングして、そこにラップをのせるというスタイルの、まさに「カラオケ」なアルバム。ただ、言わずもがなですが、このサンプリングという手法は、HIP HOPの王道ともいえる手法。もともと、HIP HOPのルーツに遡ると、昔のレコードのおいしい部分だけ、パーティーでDJが抽出して繰り返しかけて、観客を踊らせた「ブレイクビーツ」という手法がそのルーツだそうで、「カラオケ」という日本的なタイトルを用いていますが、実にHIP HOPらしいアルバムと言えるでしょう。
もちろんこのサンプリングという手法は、今のHIP HOPでもおなじみのやり方ですが、著作権がうるさくなった現在、ひとつひとつの「元ネタ」に許諾をもらうだけで一苦労。そんな中、現在、アメリカでよく行われているのが、ミックステープというやり方で、多くのサンプリングネタを含んだHIP HOPのアルバムを、著作権の許諾を受けずに無料ダウンロードでリリースするやり方。著作権的には厳密には違法かもしれませんが、ビジネスベースではないという意味で、事実上容認されているやり方で、今でも多くのラッパーが、サンプリングを多様したアルバムを発表しています。
そういう意味でも、多くのJ-POPをサンプリングネタとした含んだアルバムを、無料ダウンロードという手法でリリースされたこのアルバムは、まさに今のHIP HOPの本流を行くやり方でのリリースと言えます。
そして、その元ネタも実にユニーク。RCサクセションの「ステップ!」をサンプリングした「ステップ!!」やら、タイトルそのままラッツ&スターをサンプリングした「夢で逢えたら」。まんま「ヤマタツ」なんて曲もあったりします(笑)。一番ユニークだったのは、Dragon Ashの「Deep Impact」そのまんまの「Deepest Impact」。この「Deep Impact」自体も、サンプリングを多様した曲なのですが、そのトラックをそのまま使用して、いわば、「オレたちの方がもっと『インパクト』ある曲をつくれる」とアピールしているよう。
ただ、全体的には、このジャケット写真のように、カラオケボックスでHIP HOP好きのラッパー2人が、適当なサンプリングネタで、好き勝手にラップしているような、そんなアルバム。意気込みというよりも、純粋にHIP HOPが好きなんだなぁ、ということがこちらに伝わってくるようなアルバムでした。
また、トラックも聴き覚えあるような曲も多く、サンプリングという手法をわかりやすく使っているため、HIP HOPの入門的にも最適なアルバムかもしれません。ちなみに、これらの元ネタって、一応許諾はもらっているんでしょうか?(笑)無許可なら無許可で、それはそれでおもしろそうな気もします(笑)。
ちなみにダウンロードは↓のサイトから。いつまでダウンロードできるか不明ですので、興味のある方はお早めに!
http://kakato-kara-ok.tumblr.com/
評価:★★★★★
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