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2013年7月19日 (金)

勢いあるハイテンションなサウンド

Title:i'mperfect
Musician:凛として時雨

途中、ソロ活動をはさみ、約3年ぶりのリリースとなった凛として時雨の久々となるニューアルバム。

まず、このアルバム、序盤のエキセントリックでハイテンションな楽曲に、グッと惹き付けられます。特に1曲目「Beautiful Circus」から3曲目「Metamorphose」にかけて、疾走感ある楽曲で一気に畳み掛けます。ハイトーンのTKと345のツインボーカルも実に効果的。TKのボーカルは、あまりに高音で、好き嫌いわかれそうですが、これが大きなインパクトに。2人ともハイトーンボイスだったため、以前はその差異が、はっきりしないという難点がありましたが、ここ最近、345のボーカルにちょっと色っぽさが加わった感じが(笑)。「MONSTER」あたりが典型ですが、この男女ツインボーカルというのが効果的になってきたように感じます。

これに、ピエール中野のダイナミックなドラミングが加わり、いつもの凛として時雨のサウンドが続いて行きます。また、いつものように、一歩間違えば「ベタ」になりそうな、J-POP的なポップなメロディーラインが印象的。「Sitai miss me」あたりの悲しげなメロディーラインは、彼らならではといったところでしょうか。この「ベタ」さと、ダイナミックなバンドサウンドやツインボーカルからくる「個性」とのバランスが実に絶妙なのが彼らの大きな魅力でしょう。

ただ、良くも悪くも、このハイトーンボイスと、バンドサウンドがインパクトとなって、結果、どの曲も似たような雰囲気になっているのは、今にはじまった話ではないものの、アルバムの特徴となってしまっています。ただし、アルバム全体の長さは40分弱。テンションの高いサウンドで一気に攻めるため、正直、「飽きる」と感じる前にアルバムが終わっている感じ。一気に勢いで乗り越えている、というと表現がネガティブに感じられるかもしれませんが、この息つかせぬテンションの高さも、彼らの大きな魅力だと思います。

しかし、アルバムの中で唯一ちょっと雰囲気が異なるのが、最後を締めくくる「Missing ling」。ノイジーなギターに、ミディアムテンポなメロからスタートしたかと思えば、途中、ハイテンポになったり、ダイナミックなギターリフが入ってきたりと、様々な展開が楽しめるナンバー。楽曲の長さも7分弱にも及び、凛として時雨が勢いだけのバンドではないということを立証しているかのような曲になっています。彼らの新たな可能性も感じられるナンバーでした。

3年ぶりの作品ながらも、その勢いが全く衰えていないことを感じさせる傑作。まだまだ、そのハイテンションなサウンドを楽しませてくれそうです。

評価:★★★★★

凛として時雨 過去の作品
just A moment
still a Sigure virgin?

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