ロックな大橋トリオ
Title:plugged
Musician:大橋トリオ
「Unplugged」という言葉、ポップミュージックではよく聞く言葉です。電子楽器のプラグがつながれていない状態で音楽を奏でること、要するにアコースティックな音楽のことを「Unplugged」とよく言います。大橋トリオの今回のアルバムは、その逆を行くタイトルになっています。
ただし、それは一般的にイメージする電子音楽、エレクトロではありません。おそらく、彼の意図するところは、ジャケットで彼が手に持っているエレキギターをつかったアルバム、という意味でしょう。今回のアルバム、ロックをテーマとしたアルバムになっています。
まず1曲目「マチルダ」からして、どこかストーンズを彷彿とさせるようなロックナンバーになっていて、正直、ちょっとビックリしました。「ガラクタマシーン」も、ギターがブルージーで、ブルースロック的な要素も感じられます。思いのほか、ルーツオリエンテッドなロックには、ロック好きとしてはやはり惹かれるものがあります。
その一方では、ピアノを主軸に切ないメロを聴かせる「サクラ」や、ピアノバラード「存在」など、大橋トリオらしいナンバーも。「My shooting star」あたりも、軽快なリズムにしんみり聴かせるメロディーラインは、大橋トリオらしい、といった感じでしょうか。ロックといっても、決してギターをかきならし、ヘヴィーなサウンドを聴かせる、という訳ではなく、そこは大橋トリオ。いい意味でバランスの取れた、良質なポップソングを、このアルバムでもきちんと奏でてくれています。
今回も、完成度の高い良質なポップソングが並んだ傑作アルバム。どちらかというと、ジャズ、ポップスのイメージが強かった彼の根っこに、ロックというジャンルがあるということを認識できたという点でも、意義深いアルバムだったかも。しかし、はずれがないよなぁ、彼は。確かにシングルヒットを出すタイプじゃないかもしれないけど、アルバム単位ではもっと売れてもいいと思うんだけどなぁ・・・。
評価:★★★★★
大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R
FAKE BOOK III
White
ほかに聴いたアルバム
Delight/miwa
デビュー作以来のチャート1位を見事獲得した女性シンガーソングライターの3作目。前作「guitarium」では、様々なタイプの曲を取り入れた結果、アルバム全体がバラバラになった印象があったのですが、今回の作品も基本的に同様。ギターロックからトランシーな打ち込みナンバー、80年代風、90年代J-POP風とバラバラ。曲はインパクトがあって、それゆえに彼女の高い人気があるとは思うのですが。音楽性が広ければよい、というのは、J-POPの悪しき習慣だよなぁ・・・。
評価:★★★
miwa 過去の作品
guitarium
THE AFTERGLOW TOUR 2012/the HIATUS
昨年12月に行われた、東京のNHKホールでのライブの模様をおさめた初のライブ盤。ストリングスやピアノなどを取り入れたにぎやかで分厚いアレンジがほどこされた曲が続きます。ただ、ストリングスなどを大胆に取り入れて、新しいことに挑戦しようとする気持ちはよくわかるのですが、その主張ばかりが目立ってしまって、ちょっとクドイ感じも。正直、バンド感も希薄だし、the HIATUSって、結局は細美武士のワンマンバンドなんだなぁ、ということを感じてしまったライブ盤でした。
評価:★★★
the HIATUS 過去の作品
Trash We'd Love
ANOMARY
A World Of Pandemonium
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