知る人ぞ知るレーベルのコンピ
Title:THE BROWN DOOR STORY
今回のこのアルバム。もともとは、「Blues&Soul Records」誌で取り上げられており気になって聴いてみたコンピレーションアルバム。その雑誌によると、「ソウル/ファンク系シンガー/ギタリストのマーヴィン・ホームズが主宰した、オークランドに拠点を置くレーベル、ブラウン・ドアーの全貌を捉えたコンピレーション」だそうで、内容は、73年から85年の作品。ホームズが、ブラウン・ドアーに残した「Summer Of '78」と「Honor Thy Father」という2枚のアルバムは、レア・グルーヴの名盤として名高い作品だそうです。
そんな訳で、このレーベル、よく知られている有名レーベルではなく、知る人ぞ知る的なレーベルのコンピ。もちろん、私も完全に初耳(笑)。ネットで調べても、情報はなかなか集まらない・・・。ただ、今回のアルバムでは、34ページの全カラーのブックレットがついており、当時の写真も豊富に掲載。マーヴィン・ホームズ本人による、ブラウン・ドアーの歴史を語ったライナーツノートもついており、ブラウン・ドアーの概略を知ることが出来ます。
で、全21曲入り80分近くにも及ぶ、このボリュームあるコンピ盤。もちろん、どの曲も初耳です。レア・グルーヴといっても、決してとっつき難いものではなく、むしろ、バリバリのソウル、ファンクというよりも、メロウにポップにまとめあげられていて、意外ととっつき易いポップな内容になっています。
むしろ序盤の楽曲に関しては、コンテンポラリー色の強い内容になっており、聴きやすさを感じる反面、ちょっと薄味すぎて、正直、ちょっと好みじゃないかな?と感じてしまったほど。インパクトも薄く感じて、うーん、やはりレアはレアだけの理由があるのかなぁ、なんてことを思ってしまったほど。
ただ、そのイメージが覆ったのが中盤。前半のコンテンポラリーな雰囲気は薄まり、もっと黒いグルーヴが出ているような、迫力ある楽曲が並んでいました。特にパワフルな女性ボーカルとファンキーなリズムが魅力的なJEANIE TRACYの「TRIPPIN ON THE SOUNDS」や、アフロなビートが、アフリカ音楽テイストでユニークなMARVIN HOLMES AND JUSTICE「KIMANI-MDOGO」あたりに惹かれるものがありました。
後半になると、フィリーソウル風なMARVIN HOLMES「YOU GIRL」や、80年代っぽい同じくMARVIN HOLMESの「FEEL SO GOOD」などの曲もあり、また雰囲気が異なりますが、これもこれでなかなか魅力的。
まあ、このレーベルコンピを聴いていると、MARVIN HOLMESという人物の曲は、その時代時代にあった雰囲気に変化しており、時代にあった作風を感じます。正直、その結果、ありがちなタイプの曲も多く、独創的という観点では物足りなさも感じるのですが、それを差し引いても、魅力的な曲も多いコンピアルバムでした。
残念ながら、ここに収録されているシンガーのその後については、ネットでも、付録のブックレットでもよくわからなかったのですが、レアグルーヴとして知られる2枚のアルバム「Summer Of '78」と「Honor Thy Father」は機会があれば聴いてみたいなぁ。そう思わせるには十分なコンピレーションでした。
評価:★★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2013年」カテゴリの記事
- 44年ぶり(2013.12.29)
- 荒々しいトラックが強烈(2013.12.24)
- あの傑作アルバムの続編(2013.12.23)
- 早くも2作目!(2013.12.21)
- 驚愕のライヴ!(2013.12.15)
コメント