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2013年7月20日 (土)

排外主義はびこる日本へのメッセージ

Title:踊れ!踊らされる前に
Musician:ソウル・フラワー・ユニオン

ソウル・フラワー・ユニオンの新譜は、公式サイトのライナーツノートの受け売りになりますが、まず「踊れ!踊らされる前に」というタイトルが実に秀逸。特にここ最近、政治の世界では、時代の空気感だけに流されて、まるでブームのように特定の政党が異常に高い支持を受けることが少なくありません。そんな世相を皮肉ったようなタイトルは、実に彼ららしく感じます。

ただ、そう言いつつも、楽曲の中身は、さほど特定の政治思想を皮肉ったものではなく、あくまでも抽象的。ここらへん、例えばインタビューやTwitterでのつぶやきでは、反原発などの考えを強烈に押し出しながらも、楽曲に関しては意外とニュートラルに、難しいこと抜きで踊れる曲を奏でるソウル・フラワー・ユニオンらしい、ということでしょう。

とはいえ、そんな中でも、今回のアルバムでは、今の日本への強烈なメッセージがこめられた曲が目立ったような印象を受けました。例えば、このタイトル曲「踊れ!踊らされる前に」の中には「断末魔のレイシズムが 身悶えている」というストレートな歌詞があります。ネット上だけではなく、最近はテレビのニュースにもなったりしていますのでご存知の方も少なくないかと思いますが、最近、新大久保などで行われる、在日韓国人に対する差別的なデモが話題になったりします。まさにこの歌詞はそんな差別主義者へ対する強烈な抗議のメッセージ。最近の日本に悲しいことにはびこりはじめた排外主義に対する、彼らの強い主張を感じます。

同じようなメッセージ性を感じるのも、このアルバムに収録されている「陽炎のくに、鉛のうた」。もともと、1994年の彼らのアルバム「ワタツミ・ヤマツミ」に収録していた楽曲。最近、結構ライブでも演奏されているように感じます。正直、ミディアムテンポのグルーヴィーなナンバーは、ライブで「盛り上がる」という感じではないものの、好んで演奏するのは、その楽曲の持つメッセージから、でしょうか。

「際限ないリフレーンと同化を義務づけた
遠慮ない政策がオマエをダメにした」

(「陽炎のくに、鉛のうた」より 作詞 中川敬)

なんて一節は、むしろ1994年以上に現在の方が、排外主義が強く、かつ、同化圧力が強くなっているからこそ、2012年の現在に、この曲をあえて取り上げたのでしょうか。

同じミニアルバムの前作「キセキの渚」が、東日本大震災後の日本に対して、明日の希望を歌ったようなアルバムだったのに対して、今回のアルバムは、いわば現在の日本に対しての強烈なメッセージのように感じました。そのため、アップテンポで踊れるナンバーが多かった前作に対して、本作は、そのタイトルと反して、ヘヴィーでグルーヴィーなミディアムナンバーが多いのも特徴的でした。

一方では、東日本大震災からつながる曲もあって、それがカバー曲である尾崎紀世彦の「また逢う日まで」と、そしてなんとあの「アンパンマンのマーチ」。どちらも被災地での出前ライブで歌われた曲だそうで、「また逢う日まで」はもちろんですが、「アンパンマンのマーチ」って、もちろんいままでも知っていた曲ですが、あらためて聴くと、歌詞がいいんですね~。

ストレートなメッセージこそないものの、その奥に感じる反レイシズムや、多様性を認めない今の日本への抗議のメッセージを強く感じるアルバム。ソウル・フラワーだからこそ訴えられるメッセージでしょう。でも、こういうメッセージって、もっと多くのミュージシャンが取り上げてもいいと思うんですけどね・・・。

評価:★★★★★

ソウル・フラワー・ユニオン 過去の作品
満月の夕~90's シングルズ
カンテ・ディアスポラ
アーリー・ソウル・フラワー・シングルズ(ニューエスト・モデル&メスカリン・ドライブ)
エグザイル・オン・メイン・ビーチ
キャンプ・バンゲア
キセキの渚


ほかに聴いたアルバム

8/スネオヘアー

タイトル通り、8枚目となるスネオヘアーのアルバム。相変わらずメロディーはそれなりに凝った、聴かせるメロディーを書いてくるのに、アルバム通して聴くと、どうにも地味、という路線は相変わらず。マイナーコード主体のメロディーが主体という面も、この地味さに拍車を掛けている気も。

評価:★★★★

スネオヘアー 過去の作品
バースデー
ベスト
逆様ブリッジ
赤いコート
スネオヘアー

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