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2013年7月 6日 (土)

バンドとしての原点に戻った作品

Title:KVEIKUR
Musician:SIGUR ROS

1月に、キーボードのキャータン・スヴェインソンが脱退し、3人組となってからはじめてとなるシガーロスのニューアルバム。3人組となり、バンドとしての原点に戻った作品を目指したそうで、ドラムスのオーリー・ディラソンのガレージで、3人一緒に音を出すことからスタートしたそうです。

その象徴とも言えそうなのが、このアルバムの1曲目であり、シングルカットもされた「Brennisteinn」。ノイジーなギターが鳴り響くサウンドは、ガレージロックの色合いも濃く、いままでのシガーロスのイメージからすると、ちょっとビックリするかもしれません。

この曲もそうなのですが、今回のアルバムは比較的、ノイジーなギターが前に出てきた、バンドっぽい作風の曲が多かったイメージがあります。また、バンドとしての原点に戻った作風が多いからかどうかわかりませんが、比較的ポップで、聴きやすい作品が多かったようにも思います。

ただ、じゃあいままでのシガーロスのファンが、このアルバムを楽しめないか、と言われると、全くそうではありません。むしろ、バンドサウンドを前に押し出していても、いままでのシガーロスのアルバムを聴いている感覚と、同じような感覚で楽しめるアルバムではないでしょうか。

というのも、確かにガレージっぽい作風にはなっているものの、シガーロスの根っこの部分はほとんど変わっていません。ダイナミックなバンドサウンドの向うに見えるのは、シガーロスらしい、幻想的な独特の世界観と、絶妙なポピュラリティーのあるメロディーライン。また、もちろんヨンシーの優しいボーカルも健在です。「Stormur」をはじめ、中盤以降、ファンタジックな雰囲気を秘めた作風が増えてくるのですが、そういうシガーロスらしい部分は、このアルバムでもはっきり感じることが出来ます。

3人組となって、いい意味であらたな一歩を踏み出した作品といった感じでしょうか。シガーロスの魅力はこのアルバムでもしっかりと伝わってきます。3人になっても、まだまだ彼らは傑作をどんどんとリリースしてくれそうです。

評価:★★★★★

Sigur Ros 過去の作品
Með Suð Í Eyrum Við Spilum Endalaust(残響)
valtari(ヴァルタリ~遠い鼓動)

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