あの頃のまま
Title:グッジョブベイベー
Musician:ブリーフ&トランクス
ブリトラ、まさかの復活!ブリーフ&トランクスという2人組のユニット、30代中盤以降の方なら、覚えている方も少なくないでしょう。「半径5メートル以内の日常生活」をテーマに、「青のり」「ペチャパイ」「コンビニ」など、ユニークなポップソングを歌うアコースティック・デゥオ。シングル10枚、アルバム5枚をリリース。大ヒットこそありませんでしたが、そのインパクトある内容が、強い印象を残したまま、残念ながら2000年に解散してしまいました。
その後、メンバーの伊藤多賀之はコンスタントにソロ活動を行っていたのですが、ここ最近、相方の細根誠がソロライブにゲストとして参加したりしており、活動再開の雰囲気はあったみたいです。そして昨年3月、約12年ぶりの復活。初となる全国ライブツアーも行われたようですが、その後、ついに13年ぶりとなるオリジナルアルバムが発売されました。
しかし、13年ぶりとなるオリジナルアルバムですが、基本的に、かつてのブリトラと全く異ならないスタイルが貫かれていました。まさに「半径5メートル以内の日常生活」のテーマそのまま。思わずクスッと笑ってしまうコミカルなポップソングの連続。伊藤多賀之のメインボーカルを主軸に、細根誠とのはもりもあの頃のまま。特に、「今日、食べたもの」みたいな中身のないブログをめぐる物語をユーモラスに綴った「アクセスランキング90963011位のブログ」なんかはまさにブリトラとの王道ともいえる路線になっています。「優勝決定戦」のような、耳なじみあるワンフレーズを広げて1つの曲にするスタイルも、かつての「石やきいも」で見られた、彼らの王道とも言えるスタイルでしょう。アコギをメインとしながらも、ちょっとチープな雰囲気のアレンジになっているのも、昔どおりといった感じでしょうか。
一方では、SOUL'd OUTをパクッた「セレブの法則」など、ラップを入れつつ、今風のスタイルにアップデート。タイトルを和訳した内容そのままの「ゴールデンボール」も、今風のJ-POP。ここらへん、いままでのスタイルを保ちながらも、2013年のブリトラの姿も見せてくれています。また、歌詞も、学生ノリの延長的な部分があった13年前と比べて、視点が「大人」目線になったような印象も受けました。まあ、メンバー2人とも、アラフォーになってきているので、これは当たり前といえば当たり前の変化なんでしょうが・・・。
「らせん状の涙」みたいな、マジメの泣かせるような曲もきちんと収録されており、このマジメ路線も、ブリトラのもうひとつの魅力ですが、今回もきちんと収録されています。むしろ、今回のアルバムでは、そういうマジメ系路線の曲が多かったような印象も?
以前の解散前には、ちょっとネタ切れ?と思わせるような雰囲気もあったのですが、やはり13年の月日がたったからでしょうか。勢いが以前に戻ったような感じがします。こういう日常生活をコミカルに描いたミュージシャン、今は彼らがある意味唯一無二。それだけに、これからもコンスタントにがんばってほしいなぁ。
このアルバムを機に、過去の作品をYou Tubeで聴いてみて、個人的にちょっとしたブリトラブームです(笑)。いや、あらあめて過去の曲を含めて、おもしろい、いいミュージシャンだなぁ、ということを感じます。是非、今後のコンスタントに活動を続けてほしいです!
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
SUNNY NEW LIFE/やけのはら
横浜出身のラッパーの最新作。やけのはらのライブは何度か見たことがあり、それなりに好印象でした。それだけにアルバムも楽しみにしていたのですが・・・。基本的に、爽やかな雰囲気のトラックの、意外にポップなイメージ。音数を絞ったトラックは、個人的には好印象。ただ、リリックの方が、いまひとつ耳にひっかかるようなフレーズがなかったような。そのため、全体的にはちょっと地味なイメージも。悪いアルバムではないと思うのですが。
評価:★★★★
だれそかれそ/ハナレグミ
ハナレグミの最新作は、J-POPの名曲をカバーした作品。ハナレグミといえば、オリジナルアルバムは傑作揃いなので、それだけに楽しみにしていたのですが・・・あれ?思ったほどの内容じゃない??しんみりと聴かせるようなカバーはメインで、彼の人なつっこいボーカルは非常に魅力的。1曲1曲取り上げれば、それなりの名カバーには仕上がっています。ただ、その反面、カバーの歌い方が、ちょっと単調。そのため、アルバムを通して聴くと、違和感が残ってしまうようなカバーアルバムになっていました。
評価:★★★★
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