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2013年7月

2013年7月31日 (水)

2週連続

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週の1位は先週から変わらず。

SKE48「美しい稲妻」が9万4千枚を売り上げて2週連続1位をキープ。シングルでの2週連続1位の記録は、2011年4月のマキシマム ザ ホルモン「グレイテスト・ザ・ヒッツ 2011~2011」以来ということ。これが「快挙」になってしまうシングルチャートに悲しくなってしまうのですが。

2位はKARA「サンキュー サマーラブ」がランクイン。初動売上は6万9千枚。前作「バイバイ ハッピーデイズ」の6万5千枚から若干アップ。積極的なイベント効果で、ようやく下げ止まった感じが。楽曲は、爽やかなアイドルソングといった感じで、デビュー当初のK-POPっぽさがかなりなくなって、「普通の」アイドルグループになっちゃった感じも。

3位に入ってきたのがコブクロ「One Song From Two Hearts」。初動売上6万3千枚は、前作「紙飛行機」の4万枚からアップ。こちらも、ここ最近の売上下落傾向が下げ止まった感じ。ロック色の強い力強いナンバーで、通常盤未収録のライブ音源を収録したファンクラブ会員限定盤をリリースするなどの施策が功を奏した結果でしょうか?

続いて4位以下の初登場ですが、まずは4位。先日、地元函館での野外ライブも話題となったGLAY「DARK RIVER」が入ってきました。NHKドラマ「激流~私を憶えていますか?~」主題歌のこの曲は、モロ歌謡曲なナンバー。初動売上4万2千枚は、前作「JUSTICE[from]GUILTY」の4万6千枚よりダウンしています。

5位には、韓国のバンドFTISLAND「シアワセオンリー」がランクイン。映画「劇場版トリコ 美食神の超食宝」エンディングテーマ。こちらも、メロディーラインは思いっきり歌謡曲の歌謡ロックナンバーで、K-POPというよりも、J-POPっぽいナンバー。初動売上2万3千枚は、前作「You Are My Life」の2万9千枚よりダウン。9月に、この曲も収録したシングルベストのリリースが決まっており、その影響もあるのでしょうか。

6位初登場は女性アイドルグループフェアリーズ「光の果てに」。K-POPを意識したような作風から一転、今回の作品はまんま90年代のビーイング系だなぁ、と思ったら、作曲は織田哲郎。ご本人様でした。初動売上2万2千枚は、前作「White Angel」の2万枚より若干アップ。

7位は、ヴィジュアル系バンドシド「サマラバ」がランクイン。タイトル通り、爽快なポップナンバーで、あまりヴィジュアル系っぽい雰囲気はないかも。初動売上1万8千枚は、前作「恋におちて」の2万2千枚からダウン。ここ数作、3万4千枚→2万2千枚→1万8千枚と下落傾向なのが気になるところ。

8位には、BiBi「Cutie Panther」が入ってきています。アニメ「ラブライブ!」からのキャラクターソング。BiBi名義ではこれが2作目で、初動売上1万6千枚は、前作「ダイヤモンドプリンセスの憂鬱」の最高位79位初動売上1千枚から大幅アップ。「ラブライブ!」関連だと、直近作はlily white「微熱からMistery」で、こちらの初動1万5千枚からも若干アップ。エレクトロアレンジながら一昔前の歌謡曲っぽい雰囲気のナンバーで、やっつけが多い、最近のキャラソンの中では比較的、アニメファン以外にもアピールできそうな作品かも。

最後9位には、EXILEと同じ事務所所属の男性ボーカルグループDEEP「星影」がランクインです。前作に引き続き王道のバラードナンバー。初動売上1万5千枚は、前作「夜風」の1万1千枚からアップしています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、また明日!

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2013年7月30日 (火)

中2病を描いて25年?

Title:公式セルフカバー4半世紀
Musician:筋肉少女帯

最近、いわゆる「中2病」的な歌詞を書くミュージシャンが増えてきました。もちろん、以前からこの手の自意識をこじらせちゃったような歌詞を書くミュージシャンは少なくありませんでしたし、中学生の頃にこの手の妄想をめぐらすことは、異常でもなんでもなく「はしか」みたいなものでしょう。ただ、この「中2病」的な人物を主人公とした楽曲を昔から書き続けているミュージシャンの代表格は、間違いなく彼ら、筋肉少女帯でしょう。

それも、例えばSEKAI NO OWARIやamazarashiのような「中2病」バンドと彼らは大きな違いがあります。それは、いわゆる「中2病」バンドが、自ら自意識をこじらせ、その中の妄想を歌にしているのに対して、筋少は、そんな人物を主人公として、自らは客観的な視点から自意識をこじらせた言動を描いています。

そのもっとも典型的なのが、このアルバムにも収録されている「蜘蛛の糸」で、クラスから孤立している少年を主人公に、孤立する自分を「くだらない君たちの中 ボクは貝のように黙った」と正当化し、最後には「最近どうもみんなが ボクを笑ってる気がする」という妄想まで抱くようになります。

しかし、その一方で、「気のせいさ 眠れよ」というコーラスが入ってきます。まさにこれが客観的な視点。自意識をこじらせた主人公を、あくまでも一歩下がった視点から描いたからこそ、逆に主人公に共感できる部分を感じてしまいます。

今回のアルバムは、そんな筋肉少女帯が、タイトル通りメジャーデビュー25周年を記念してリリースした、セルフカバーアルバム。過去の彼らの名曲を、今の彼らが再度演奏しています。

筋少のスタンスは、デビューから25年たった今でも変わりません。今回のアルバムには、新曲が収録されていますが、タイトルはそのまま「中2病の神ドロシー」って、本当にそのままじゃん(^^;;ただ、ここでも主人公は中2病にかかった若者の、狂ったような感情を、ちょっと離れた視点から描いています。それが逆に、ちょっと不気味な部分もあったりして、筋少らしい、魅力的な楽曲に仕上がっています。

今回、自らがすべて演奏しなおした作品になっていますが、基本的なアレンジは原曲に忠実で、大きな変化はありません。ただ、微妙に今風に、音がヘヴィーになっている感じもしましたが。そういう意味では、初心者にもピッタリのベスト盤として楽しめるアルバム。CD数枚に及ぶボリューミーなベスト盤が多い中、このアルバムでは全13曲にとどめ、1枚のCDにおさまっています。そういう点も、はじめて聴く方には、最適なベスト盤でしょう。

彼らが描くような主人公が、「中2病」という名前を与えられ、一般化していた今だからこそ、あらためて聴かれるべき作品が多いアルバム。SEKAI NO OWARIやamazarashiあたりを、うっとりとして聴いているような若者こそ、一度筋少も聴いてほしいなぁ。

評価:★★★★★

筋肉少女帯 過去の作品
新人
大公式2
シーズン2
蔦からまるQの惑星


ほかに聴いたアルバム

Dawning/9mm Parabellum Bullet

哀愁たっぷりの歌謡曲風メロとメタリックなサウンドのアンバランスさが魅力的なギターロックバンドの新作。前作に続いて、ヘヴィーさはちょっと薄めか?それでも、迫力ある演奏は、最後までリスナーの耳を惹きつけるには十分。ただ、それなりに新しい挑戦を目指したような曲もあるものの、ファンではない人の耳からすると、どうしても似たようなタイプの曲が多かったような印象がぬぐえず。

評価:★★★★

9mm Parabellum Bullet 過去の作品
Termination
VAMPIRE
Revolutionary
Movement

this/plenty

ああ、上の筋少レビューの自意識ごじらせ系ミュージシャン、彼らplentyもそうだったなぁ。孤独をテーマとした歌詞が今回も特徴的な作品。ヘヴィーなギターサウンドや、ところどころひねりのあるメロディーラインがユニーク。個人的には、おもしろいバンドだと思うのですが、これといったインパクトのある曲がないのがマイナスか。そのため、アルバム通して聴いた時のひっかかりがちょっと薄いかも。

評価:★★★★

plenty 過去の作品
拝啓。皆さま
理想的なボクの世界
plenty

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2013年7月29日 (月)

いまだに衰えぬパワー

Title:HYDE PARK LIVE
Musician:THE ROLLING STONES

Hydeparklive

昨年、デビュー50週年を迎えながらも、当初、ベスト盤のリリース程度で目立った活動のなかったローリング・ストーンズ。ただ、秋口から、待望のワールドツアーをスタートさせるなど、徐々に活動を活発化させています。

そんな中、先日行われたロンドンはハイド・パークでのライブを収録したアルバムが、ダウンロード限定、それも7月22日より8月19日の4週間限定でリリースされました。

参考サイト
http://ro69.jp/news/detail/85624

突然のリリースもビックリなのですが、その収録内容もまた代表曲の連続というたまらない内容。「Start Me Up」からスタートし、「Tumbling Dice」「Street Fighting Man」「Gimme Shelter」「Jumping Jack Flash」「Sympathy For the Devil」と、これでもかというほど代表曲を繰り出し、ラストは観客の歓声とともに「(I Can' Get No)Satisfaction」・・・もう、完璧です。

アルバムは、観客の歓声や歌声もそのまま収録。また、途中、MCでのメンバー紹介も入っていて、ライブ会場の空気感もパッケージした内容になっているのがうれしいところ。結果、若干音が悪いようにも思うのですが、それを含めて、ライブの雰囲気が強く感じられるアルバムでした。

メンバーは既に齢70歳になろうかというにも関わらず、年齢を感じさせないアグレッシブなステージも健在。特にミック・ジャガーの歌声は、衰えないなぁ。まあ、そりゃあ昔みたいな若々しさはないかもしれないけど、聴いていて、年齢のことはほとんど感じさせません。このライブ会場の観客を惹き付けるパワーは、感心してしまいます。

一方で、大きな会場でのライブということもあって、アレンジはちょっと過剰気味。ホーンセッションやピアノなどもどんどんといれて、かなり賑やかなステージングに。広い会場でのステージなだけに、賑やかなアレンジがスケール感を出していました。ただ、ちょっと音を埋め尽くすようなアレンジは、個人的にはあまり好みではなかったかも。ちょっと大味のように感じてしまった部分も・・・。

とはいえ、そういう部分を差し引いても、かなり魅力的なライブアルバム。2時間近いボリュームも含めて、非常に満足度の高い作品でした。わずか4週間のみのリリースなので、まだ聴いていない方は急げ!次は、是非、日本にも、来てほしいなぁ。

評価:★★★★★

The Rolling Stones 過去の作品
Shine a Light: Original Soundtrack
Some Girls LIVE IN TEXAS '78
CHECKERBOAD LOUNGE LIVE CHICAGO 1981(邦題 ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981)
(MUDDY WATERS&THE ROLLING STONES
GRRR!

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2013年7月28日 (日)

かわいいアルバム

Title:なんだこれくしょん
Musician:きゃりーぱみゅぱみゅ

ちょっと前、宮崎駿の声優論が話題になったことがあります。「『わたし、かわいいでしょ』みたいな声を出す声優がたまらない(=否定的な意味で)」という発言が物議を呼んだそうですが、私としては、思わず膝を打った発言でした。

個人的にも、最近はやりの女性アイドルグループが全く良いと思えない大きな理由のひとつがおそらくこれ。「わたし、かわいいでしょ」とこれでもかというほどアピールするボーカルが、生理的に受け付けられません。で、きゃりーぱみゅぱみゅ。アイドルと並べて紹介されることも少なくありません。彼女もまた「かわいい」を売りにしています。ただ、彼女とアイドルの最大の違いは、アイドルの「かわいい」が自己主張なのに対して、彼女の「かわいい」は、一歩下がって、客観的な視点から「かわいい」自分像をつくりあげている点。そのため、このアルバムも、「わたし、かわいいでしょ」という自己主張は感じられません。

そんな訳で、きゃりーぱみゅぱみゅのニューアルバムを聴いてみた訳ですが、実を言うと、このアルバム、さほど大きな期待はしていませんでした。というのも、先行シングルでヒットした「にんじゃりばんばん」「インベーダーインベーダー」。サビにかなりのインパクトがあり、一度聴くと忘れられないメロディーが特徴的ですが、名曲か、と言われるとかなり疑問を感じたからです。その最大の理由は、サビ以外の部分がやっつけすぎだろ!いかにもサビ先で、インパクトだけを重視した作り方は、思わずサビを口ずさんでしまう魅力は否定できませんが、楽曲として優れたものとは思えません。

ところが、アルバムを聴いてみたら、予想以上に良い内容にはまってしまいました。特に、シングル曲以外が素晴らしい(笑)。インパクト重視のシングル曲に比べて、その他の曲は、決して単調なインパクトに頼るだけではなく、ポップでメロディアス。そしてとてもキュートな楽曲に仕上がっていました。この楽曲の雰囲気、どこかで聴いたことあるなぁ、と思ってよく考えたら、初期のcapsuleの雰囲気に似ているんですよね。さすがにいまさら「まんまピチカート」ではないものの、ちょっとおしゃれで、かわいらしく、飛び抜けてポップな曲調は、まさに初期capsuleそのまま。そういえば、そのcapsuleのカバー「Super Scooter Happy」も収録されています。

ご存知きゃりーぱみゅぱみゅのプロデューサーはあの中田ヤスタカ。彼って、今一番やりたい、流行のEDMそのものをcapsuleでやり、そのEDMをもうちょっとポップ寄りにしたサウンドをPerfumeでやり、そして、その過程で出来なくなってしまった、初期capsuleのようなポップ路線をきゃりーでやり・・・よくよく考えると、自分がやりたいいろいろな音楽をいろいろなミュージシャンで上手く色分けして演っているんだなぁ・・・ということに気がつきました。

そんな訳で、その楽しいポップソングを最後まで楽しめたアルバム。ただ、一方で、今の彼女の輝きは、まさに一瞬の輝きなんじゃないかなぁ、とも感じます。実際、最新シングル「インベーダーインベーダー」は、ヒットしたその前のシングル「にんじゃりばんばん」のあきらかに2匹目のドジョウを狙った作品ですし、少々この方向性もマンネリの気も見えます。それだけに、アルバムをチェックするなら今のうちかも。そんな、もっとも勢いのある彼女の放った、一瞬の輝きを感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★

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2013年7月27日 (土)

粋がった若者たちの主張

Title:夏を好きになるための6の法則
Musician:The Mirraz

もともと、The Mirrazというバンドは、以前から、若さゆえのちょっと痛いような部分を抱え持ったバンドでした。例の「夏の魔物」事件の件もあるし。で、今回の6曲入りのミニアルバム、そんな粋がったバンド、The Mirrazらしさが、実に前面に出ているミニアルバムになっていました。

まずは2曲目の「名曲」。タイトルそのまんまの曲なんですが

「マジでマジに世界を変えたいと思っているんだ
そんな超すげー伝説的名曲を作りたいと思ってるんだ」

(「名曲」より 作詞Shohei Hatakeyama)

と歌い上げるこの曲は、本気で曲の力を信じ、世界を変える曲をつくりたいんだ、と本気で叫ぶ姿があります。

いやぁ~若いねぇ(笑)。というか、「歌の力で世界を変える」なんていうことを言うと、ドヤ顔で「歌で世界なんて変えられない」なんてことを言う人がいます。確かにそれは事実かもしれません。でも、私は音楽ファンとして、曲の力で世の中を変えることが出来ると信じていますし、そう本気で信じていないミュージシャンの曲は聴きたくありません。理想論かもしれないけれど・・・そういうことを高らかに歌い上げられる彼らには、強く共感するものがあります。

そしてこれ以上に粋がっているのが3曲目の「NEW WORLD」。今、チャートを席巻するK-POPやアイドルポップスを

「音楽性が進歩してないと思うんだ」

と切って捨て、

「LadyでもGagaでも、MGMTでも
The StrokesでもM.I.Aでも
Arctic Monkeys、The Streets,
The Libertines,誰からでも吸収しようぜ
Dragon AshやTHE BLUE HEARTSが
起こした革命が無意味になる前に
誰かが何かを始めるべきだ」

(「NEW WORLD」より 作詞 Shohei Hatakeyama)

と、洋楽や邦楽のミュージシャンをあげ、音楽で、新たな世界を切り開こうとしています。いや、確かに嘲笑されそうな点もわかる。取り上げたミュージシャンは典型的なロッキンオン周りの有名どころばかりだし、そういう点も、ちょっと若い彼ららしい痛さも感じます。

しかし、昨今、すっかりチャートを席巻し、売れるからといって、次から次へと繰り出されるアイドルたち。そんな、メインストリームの流行音楽に対する反抗心から、新たな音楽は産まれてくるのではないでしょうか。昔の「大人」がつくったポップソングに対抗して産まれたロックンロールしかり、プログレに対するパンクしかり、スタジアムロックに対するグランジしかり。これから楽曲を売り出そうとするミュージシャンたちは、メインストリームの音楽に対して、どこか懐疑的な視点は忘れないでほしい、そう思っています。

正直、彼らの音楽が、革命を起せるほどのレベルの作品かどうかは微妙です。このアルバムも、ギターリフ主導のギターロックに、情報量をかなり詰め込んだ、早口なボーカルの歌詞が特徴的。軽快でポップなサウンドは聴きやすいものの、最近のロックバンドの中で、圧倒的な力を持っているか、と言われると、微妙な点は否めません。

ただ、自分たちの曲の力で世界を変えたい、新しい音楽を作り出して世の中を変えたいというスタンスは、頼もしいものを感じます。こういう彼らのスタンスを、「痛い」「世間知らず」と言ってしまうのは簡単です。でも、こういう粋がった若者が、世の中を少しずつ変えていくんじゃないかなぁ。

評価:★★★★★

The Mirraz 過去の作品
We are the fuck'n World
言いたいことはなくなった
選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ


ほかに聴いたアルバム

FLYING SAUCER/クレイジーケンバンド

クレイジーケンバンドの最新作は、安定感のあるいつも通りの多国籍ポップ。ソウル、ファンクにロック、歌謡曲、アジアンポップなどの要素をごった煮にしたサウンドが魅力的。本作では、これにさらに「宇宙」まで加わって、訳のわからない世界観になっています(笑)。

ま、安定の傑作アルバムなのですが、やはり前作に引き続き、勢いという点では一時期に比べると少々ブレーキ気味。文句なしの傑作なのですが、「出したアルバムが最高傑作」という一時期に比べると、と思ってしまいます。まあ、それでも凡百のアルバムでは、到底及ばないレベルなので、ゼイタクな話といえば話かもしれませんが。

評価:★★★★★

クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀

MINT CONDITION
Single Collection/P-VINE YEARS
ITALIAN GARDEN

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2013年7月26日 (金)

知る人ぞ知るレーベルのコンピ

Title:THE BROWN DOOR STORY

今回のこのアルバム。もともとは、「Blues&Soul Records」誌で取り上げられており気になって聴いてみたコンピレーションアルバム。その雑誌によると、「ソウル/ファンク系シンガー/ギタリストのマーヴィン・ホームズが主宰した、オークランドに拠点を置くレーベル、ブラウン・ドアーの全貌を捉えたコンピレーション」だそうで、内容は、73年から85年の作品。ホームズが、ブラウン・ドアーに残した「Summer Of '78」と「Honor Thy Father」という2枚のアルバムは、レア・グルーヴの名盤として名高い作品だそうです。

そんな訳で、このレーベル、よく知られている有名レーベルではなく、知る人ぞ知る的なレーベルのコンピ。もちろん、私も完全に初耳(笑)。ネットで調べても、情報はなかなか集まらない・・・。ただ、今回のアルバムでは、34ページの全カラーのブックレットがついており、当時の写真も豊富に掲載。マーヴィン・ホームズ本人による、ブラウン・ドアーの歴史を語ったライナーツノートもついており、ブラウン・ドアーの概略を知ることが出来ます。

で、全21曲入り80分近くにも及ぶ、このボリュームあるコンピ盤。もちろん、どの曲も初耳です。レア・グルーヴといっても、決してとっつき難いものではなく、むしろ、バリバリのソウル、ファンクというよりも、メロウにポップにまとめあげられていて、意外ととっつき易いポップな内容になっています。

むしろ序盤の楽曲に関しては、コンテンポラリー色の強い内容になっており、聴きやすさを感じる反面、ちょっと薄味すぎて、正直、ちょっと好みじゃないかな?と感じてしまったほど。インパクトも薄く感じて、うーん、やはりレアはレアだけの理由があるのかなぁ、なんてことを思ってしまったほど。

ただ、そのイメージが覆ったのが中盤。前半のコンテンポラリーな雰囲気は薄まり、もっと黒いグルーヴが出ているような、迫力ある楽曲が並んでいました。特にパワフルな女性ボーカルとファンキーなリズムが魅力的なJEANIE TRACY「TRIPPIN ON THE SOUNDS」や、アフロなビートが、アフリカ音楽テイストでユニークなMARVIN HOLMES AND JUSTICE「KIMANI-MDOGO」あたりに惹かれるものがありました。

後半になると、フィリーソウル風なMARVIN HOLMES「YOU GIRL」や、80年代っぽい同じくMARVIN HOLMES「FEEL SO GOOD」などの曲もあり、また雰囲気が異なりますが、これもこれでなかなか魅力的。

まあ、このレーベルコンピを聴いていると、MARVIN HOLMESという人物の曲は、その時代時代にあった雰囲気に変化しており、時代にあった作風を感じます。正直、その結果、ありがちなタイプの曲も多く、独創的という観点では物足りなさも感じるのですが、それを差し引いても、魅力的な曲も多いコンピアルバムでした。

残念ながら、ここに収録されているシンガーのその後については、ネットでも、付録のブックレットでもよくわからなかったのですが、レアグルーヴとして知られる2枚のアルバム「Summer Of '78」と「Honor Thy Father」は機会があれば聴いてみたいなぁ。そう思わせるには十分なコンピレーションでした。

評価:★★★★★

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名古屋圏フェス・イベント情報(7/26)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

7/26 主な更新
・KAZOKU FES.2013 第1弾出演者発表
・TOYOTA ROCK FESTIVAL 第2弾出演者発表
・わちゃわちゃフェスタ 詳細決定
・Amuse 35th Anniversary BBQ in つま恋、OUR FAVORITE THINGS、STARLIGHT DANCE in 明宝2013、About 4th Anniversary =Free Festival !!=、FREEDOM NAGOYA 2013、TOKAI SUMMIT'13終了

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報(7/26)"

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2013年7月25日 (木)

強烈なメッセージ性ある新作

Title:YEEZUS
Musician:KANYE WEST

3年ぶりとなるKANYE WESTの新作。エグゼクティブ・プロデューサーとして、デフ・ジャム創始者のリック・ルービンを迎え、さらに、あのダフトパンクも参加しているということでも話題になっています。

透明のプラスティックケースに、なんのレーベルもないCDが封入されているだけ、というジャケットも、かなり攻撃的ともいえる今回の作品。そんなアグレッシヴさは、楽曲自体にも大きく反映されていました。

まず耳につくのが、そのサウンド。ダフトパンクが参加、という点からも予想されるようなエレクトロ路線が前面に押し出された作品に。それもとても音数を絞ったシンプルなサウンドに、強いビートが特徴的。それだけに、かなり迫力あるサウンドになっており、HIP HOPという枠組み以上に、ロックリスナーが楽しめそうな内容に。その強烈なリズムがインパクトのサウンドも攻撃性を感じさせますが、一方では、このリズミカルさがポピュラリティーも産んでいて、聴きやすいアルバムにもなっていました。

ただ、それ以上に攻撃的だったのがリリック。タイトルそのまま「俺は神だ」と叫ぶ「I Am A God」もそんな強烈なリリックを持つ曲のひとつですが、さらに現在のアメリカに、いまだに強く残っている黒人差別をテーマとして取り上げています。

例えば「Black Skinhead」では

「They see a black man with a white women
At the top floor they gone come to kill King Kong」

(訳 黒人の男が白人の女と一緒にいると
あいつらは最上階にいるキング・婚具を殺そうとする)
(「Black Skinhead」より Written by Kanye West...etc 和訳 Hashim Bharoocha)

なんて歌詞が出てますし、さらにタイトルそのまま「New Slaves」では、まさにストレートに

「You see it's broke nigga racism」
(訳 貧しい黒人に対する人種差別がまだある)
(「New Slaves」より Written by Kanye West...etc 和訳 Hashim Bharoocha)

とつづり、アメリカの現状を主張しています。さらには「Blood On The Leaves」では、日本でも有名な、ビリー・ホリディの「奇妙な果実」の有名な一節を曲に取り込んできたりと、強烈なメッセージ性がアルバムの大きな特徴となっていました。

まさにそんなアグレッシブなアルバムで、そのメッセージ性を含め、HIP HOPリスナー以上に、ロックリスナーにもお薦めしたい1枚。アメリカでは32万枚を1週目に売り上げ、当然のチャート1位に輝いたそうですが、その勢いに納得のアルバムです。

評価:★★★★★

KANYE WEST 過去の作品
GRADUATION
808s&Heartbreak
MY BEAUTIFUL DARK TWISTED FANTASY

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2013年7月24日 (水)

初登場はアニソンがらみが目立つ

今週もアルバムの新譜が少なめでしたので、アルバムチャートも同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

新譜はアニソンがらみのユニットが目立ちます。

ただ、そんな中も1位は、またAKB48がらみ。SKE48「美しい稲妻」がランクイン。もろ80年代歌謡曲といった楽曲。最近では、この手の曲はありふれすぎていて、特におもしろみもありません。初動売上は51万枚。前作「チョコの奴隷」の53万8千枚からダウンし、前々作「キスだって左利き」と同水準に。2作連続で初動が伸びていましたが、とりあえずは一段落。

2位はaiko「Love Letter」が入ってきました。軽快なギターロック風のナンバーですが、微妙にひねくれたメロディー展開が彼女らしくて癖になりそうなナンバー。ベスト3入りは、2010年の「向かいあわせ」以来3作ぶり。初動売上は4万3千枚で、前作「ずっと」の4万6千枚からダウン。前々作「恋のスーパーボール」は初動7万2千枚を売っているだけに、落ち込み方が気になるところ。

3位は先週2位のLinked Horizon「自由への進撃」がワンランクダウンでベスト3をキープ。ロングヒットの予感がする動きをしており、今後に注目か?ベスト3は以上ですが、今週は、タイトルの通り、Linked Horizon以外にも、アニソンがらみのユニットの初登場が目立っています。

4位にマリア×風鳴翼「戦姫絶唱シンフォギアG キャラクターソング1(不死鳥のフランメ)」、6位にOLDCODEX「Rage on」がそれぞれランクイン。マリア×風鳴翼は、アニメ「戦姫絶唱シンフォギアG」登場キャラクターによるキャラソンで、人気声優の日笠陽子と水樹奈々によるユニット。OLDCODEXは、こちらも人気声優鈴木達央によるバンドプロジェクトで、テレビ朝日系アニメ「Free!」オープニングテーマになっています。

戦姫絶唱シンフォギアがらみでは、キャラソン「戦姫絶唱シンフォギア キャラクターソング4(魔弓・イチイバル)」が最高位7位初動1万枚を記録。今回は、初動1万6千枚とそれを上回る結果に。今後、9月まで毎週、このアニメのキャラソンがリリースされるそう・・・。マイナーコード主体なアップテンポなメロディーというのは、典型的に様式化されちゃったアニソンという感じで、今後にあまり期待できない印象が否めないのですが・・・。

一方、OLDCODEXはこれが6枚目にして初のベスト10入り。初動売上1万5千枚は、最高位31位だった前作「The Misfit Go」の4千枚から大きくアップ。バンドプロジェクトということで、わざとしゃがれ声のボーカルで、ハードコアっぽく作りました感が満載の作品。中途半端にバンド物を目指すんじゃなくて、もうちょっと腰を落ち着けてやればいいのに。

今週、シングルの初登場はあと1枚のみ。7位に男性アイドルグループ超特急(K-POPじゃないですよ)と、テレビ東京系「ウルトラマンギンガ」のコラボユニット、ウルトラ超特急「Starlight」がランクイン。いかにも爽やかさを売りにしたい男性アイドルらしいポップソングで、ウルトラマンは影も形もありません・・・。超特急名義では2作目のベスト10入り。初動売上1万1千枚は、前作「Bloody Night」から横バイです。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートは今週も新譜は少なく、初登場はわずか3枚!

そんな中1位は、こちらはジャニーズ系。NEWSのニューアルバム「NEWS」がランクインです。オリジナルアルバムとしては約2年10ヶ月ぶりとなるアルバム。初動売上10万枚は、前作「LIVE」の15万6千枚から大きくダウン。昨年6月にリリースしたベスト盤「NEWS BEST」の10万6千枚よりもダウンしてしまいました。

2位は安室奈美恵「FEEL」が先週よりワンランクダウンでベスト3をキープ。そして3位には、なんとさだまさし「天晴~オールタイム・ベスト~」が先週7位よりランクアップ。初登場から4週目にして、初のベスト3入りとなりました。売り上げも、2万5千枚と、先週の1万4千枚よりアップし、ロングヒットとなっています。

ちなみに、このさだまさしのベスト盤以外にも、ロングヒットのアルバムがランクインしており、それが6位May J.「Summer Ballad Covers」と、10位Chris Hart「Heart Song」。May J.は5週目のランクイン、Chris Hartは、一度ベスト10圏外に落ちたものの、先週、返り咲き、2週連続でランクインしています。ただ、どちらもカバーアルバムで、「新譜」じゃない点、ちょっと寂しい点なのですが・・・。

その他、初登場では4位に徳永英明「STATEMENT」がランクイン。例のカバーアルバムのリリースはあったものの、オリジナルとしてはなんと4年2ヶ月ぶりとなるニューアルバムです。初動売上は2万枚。1位を獲得した前作「WE ALL」の3万枚からダウン。直近のカバーアルバム「VOCALIST VINTAGE」の4万1千枚よりもダウンしています。ただ、前作「WE ALL」の頃は、「VOCALIST」ブームの流れがありました。そのブームが終わってしまった今のアルバムとして、この売り上げは健闘といった感じでしょうか。

そしてもう1枚。5位にAI「MORIAGARO」が入ってきました。初動売上は1万9千枚で、前作「INDEPENDENT」の2万枚から若干のダウン。前作「INDEPENDENT」はレコード会社移籍もあり、広告に力を入れて、一気に売り上げを盛り返しましたが、続く本作も、ほぼ横バイという結果は、かなりの健闘。人気を取り戻した、と言える結果でしょう。

今週のチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2013年7月23日 (火)

あの頃のまま

Title:グッジョブベイベー
Musician:ブリーフ&トランクス

ブリトラ、まさかの復活!ブリーフ&トランクスという2人組のユニット、30代中盤以降の方なら、覚えている方も少なくないでしょう。「半径5メートル以内の日常生活」をテーマに、「青のり」「ペチャパイ」「コンビニ」など、ユニークなポップソングを歌うアコースティック・デゥオ。シングル10枚、アルバム5枚をリリース。大ヒットこそありませんでしたが、そのインパクトある内容が、強い印象を残したまま、残念ながら2000年に解散してしまいました。

その後、メンバーの伊藤多賀之はコンスタントにソロ活動を行っていたのですが、ここ最近、相方の細根誠がソロライブにゲストとして参加したりしており、活動再開の雰囲気はあったみたいです。そして昨年3月、約12年ぶりの復活。初となる全国ライブツアーも行われたようですが、その後、ついに13年ぶりとなるオリジナルアルバムが発売されました。

しかし、13年ぶりとなるオリジナルアルバムですが、基本的に、かつてのブリトラと全く異ならないスタイルが貫かれていました。まさに「半径5メートル以内の日常生活」のテーマそのまま。思わずクスッと笑ってしまうコミカルなポップソングの連続。伊藤多賀之のメインボーカルを主軸に、細根誠とのはもりもあの頃のまま。特に、「今日、食べたもの」みたいな中身のないブログをめぐる物語をユーモラスに綴った「アクセスランキング90963011位のブログ」なんかはまさにブリトラとの王道ともいえる路線になっています。「優勝決定戦」のような、耳なじみあるワンフレーズを広げて1つの曲にするスタイルも、かつての「石やきいも」で見られた、彼らの王道とも言えるスタイルでしょう。アコギをメインとしながらも、ちょっとチープな雰囲気のアレンジになっているのも、昔どおりといった感じでしょうか。

一方では、SOUL'd OUTをパクッた「セレブの法則」など、ラップを入れつつ、今風のスタイルにアップデート。タイトルを和訳した内容そのままの「ゴールデンボール」も、今風のJ-POP。ここらへん、いままでのスタイルを保ちながらも、2013年のブリトラの姿も見せてくれています。また、歌詞も、学生ノリの延長的な部分があった13年前と比べて、視点が「大人」目線になったような印象も受けました。まあ、メンバー2人とも、アラフォーになってきているので、これは当たり前といえば当たり前の変化なんでしょうが・・・。

「らせん状の涙」みたいな、マジメの泣かせるような曲もきちんと収録されており、このマジメ路線も、ブリトラのもうひとつの魅力ですが、今回もきちんと収録されています。むしろ、今回のアルバムでは、そういうマジメ系路線の曲が多かったような印象も?

以前の解散前には、ちょっとネタ切れ?と思わせるような雰囲気もあったのですが、やはり13年の月日がたったからでしょうか。勢いが以前に戻ったような感じがします。こういう日常生活をコミカルに描いたミュージシャン、今は彼らがある意味唯一無二。それだけに、これからもコンスタントにがんばってほしいなぁ。

このアルバムを機に、過去の作品をYou Tubeで聴いてみて、個人的にちょっとしたブリトラブームです(笑)。いや、あらあめて過去の曲を含めて、おもしろい、いいミュージシャンだなぁ、ということを感じます。是非、今後のコンスタントに活動を続けてほしいです!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

SUNNY NEW LIFE/やけのはら

横浜出身のラッパーの最新作。やけのはらのライブは何度か見たことがあり、それなりに好印象でした。それだけにアルバムも楽しみにしていたのですが・・・。基本的に、爽やかな雰囲気のトラックの、意外にポップなイメージ。音数を絞ったトラックは、個人的には好印象。ただ、リリックの方が、いまひとつ耳にひっかかるようなフレーズがなかったような。そのため、全体的にはちょっと地味なイメージも。悪いアルバムではないと思うのですが。

評価:★★★★

だれそかれそ/ハナレグミ

ハナレグミの最新作は、J-POPの名曲をカバーした作品。ハナレグミといえば、オリジナルアルバムは傑作揃いなので、それだけに楽しみにしていたのですが・・・あれ?思ったほどの内容じゃない??しんみりと聴かせるようなカバーはメインで、彼の人なつっこいボーカルは非常に魅力的。1曲1曲取り上げれば、それなりの名カバーには仕上がっています。ただ、その反面、カバーの歌い方が、ちょっと単調。そのため、アルバムを通して聴くと、違和感が残ってしまうようなカバーアルバムになっていました。

評価:★★★★

ハナレグミ 過去の作品
あいのわ
オアシス

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2013年7月22日 (月)

15周年

Title:BUMP OF CHICKEN Ⅰ[1999-2004]
Musician:BUMP OF CHICKEN

Title:BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]
Musician:BUMP OF CHICKEN

インディーデビューから15年。そんなになるんだ・・・と我ながらビックリしています。私がはじめて彼らのアルバムで聴いたのは、1999年の1stアルバム「LAMP」。その後、インディー時代のアルバム「THE LIVING DEAD」を聴き、一気に気に入り、今日に至っています。

インディー時代にはまったということから、悪い癖かもしれませんが、いままで、BUMP OF CHICKENの最高傑作といえば、やはり「THE LIVING DEAD」で、その中に収録されている「LAMP」や「K」、あるいは「ガラスのブルース」が最高点で、その後の楽曲は、それを超えられない・・・というイメージを少なからず持っていました。

ただ、今回のベスト盤で、あらためて彼らの曲をデビューから最新作まで続けて聴くと、BUMP OF CHICKENの楽曲の魅力は、デビュー時から今に至るまで、決して衰えていなかったんだなぁ、ということを、当たり前ながら実感してしまいました。IIに収録されている曲でも「プラネタリウム」「supernova」など、決してインディー時代やデビュー当初に負けずとも劣らない傑作揃い。もっとも逆に、インディー時代に彼らのスタイルが既に完成されていた、という点も、再認識したベスト盤でもあった訳ですが。

また、こうやって代表曲を並べて聴くと、彼らの曲って、本当におもしろいまでにひとつのスタイルをデビュー時から今まで貫いているということを実感しました。基本的にメロディアスなオルタナギターロック路線を主軸に、歌詞は、どこか孤独を抱えたような若者の、背中を押すような内容。歌詞のスタンスはほとんど変わりませんし、決してエレクトロに手を出したり、レゲエやHIP HOPを取り入れたり、そういう音楽的なブレは全くありません。

ともすれば「マンネリ」を招きかねない彼らのスタンスですが、この2枚組のアルバム、最後まで全く飽きることがありませんでした。それだけ、彼らのメロディーや歌詞が秀逸ということでしょう。そういう意味でも、BUMP OF CHICKENの魅力を再認識するベスト盤でした。

しかし、彼らの曲って、40歳に近づいてきた今聴いても、どこかワクワクするものがあるんですよね。あえていえば彼らの曲を聴いていると、子供の頃に読んでワクワクした、良質な冒険小説や、冒険モノの漫画をあらためて読んでいるような、そんな感じを覚えます。

彼らの曲も、おそらくメインとなるターゲットは10代や20代前半。ファンタジックな作風といい、ここ最近増えている、例えばSEKAI NO OWARIやamazarashiのような「中2病」的バンドとリスナー層は近いのかもしれません。ただ、「中2病」バンドと大きく異なるのは、彼らの歌詞が、ファンタジックながらも、若者の妄想ではなく、その向うにきちんと地に足をつけたテーマ性を持った物語という点でしょう。そんな彼らの作風だからこそ、40歳に近い私が聴いていても、どこかワクワクするような感覚を覚えるのかもしれません。

BUMP OF CHICKENというバンドの魅力を再認識したベスト盤。ちょっと残念だったのは、新曲などが全くなくて、アルバムを全部持っているファンにとっては、ちょっと購買意欲をそそられなかった点でしょうか。例のごとく、シークレットトラックは収録されているのですが。その点だけはちょっと残念だった、かも。

評価:
I ★★★★★
II ★★★★★

BUMP OF CHICKEN 過去の作品
orbital period
COSMONAUT

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2013年7月21日 (日)

初期のRCサクセションのライブ

Title:悲しいことばっかり
Musician:RCサクセション

突如発売された、RCサクセションの「新作」は、1972年から73年にかけてのライブの模様を収録した、ライブ音源集。RCサクセションのオリジナルメンバー、忌野清志郎、林小和生、破廉ケンチ3人による演奏。RCサクセションは、72年にリリースされたアルバム「楽しい夕に」以降、事務所とのトラブルのため、事実上、干されていた不遇の時代をすごしており、その時期のライブ音源ということで、非常に貴重な音源だそうです。

まず今回の作品、「オフィシャルブートレグ」と銘打たれているように、基本的に、ライブ音源は客席からの録音がメイン。そのため、音質は、かなり悪い、というよりも酷い内容になっており、ファンでもその点は期待しない方がいいかと思います。ただ一方で、ライブの雰囲気をそのままパッケージされているだけに、リアリティーは非常に感じられる内容になっていました。

また、何よりも、未発表の新曲が7曲も含まれている点、ファンにとってはうれしい点でしょう。他にも初CD化が2曲、RCサクセションとしては、初の音源化も6曲も収録されており、そういう点でも貴重な音源といえそう。しかし、それ以上に聴いていて惹かれたのは、そのライブ自体の持つ熱量。この時代のRCサクセションは、私たちがよく知っている、その後の彼らと異なり、アコースティック主体の演奏なのですが、清志郎のボーカルは、既に私たちがよく知っているあの歌い方ですし、アコースティックの演奏も実にアグレッシブで迫力を感じます。

楽曲自体も、既にRCサクセションとして完成形とも言える内容が出来上がっており、70年代初頭の作品ながらも、今聴いても全く古さを感じません。また、彼ららしい反骨精神も、既にこの頃から健在。「あそび」のMCでは、「あそび」の内容に、性的描写が含まれているからアルバムに収録できなかったことをストレートにつたえたり、タイトルそのまま「わるいディレクター」と、マスメディアを強烈に皮肉ったり。そしてただ単純に権力に対して中指をたてているのではなく、ユーモアというオブラートに包みながらも、強烈な毒をはいているスタイルはその後の彼らと変わらず。この点も、既にこの時期に楽曲のスタイルを完成させていたことに非常に驚きでした。

そんな訳で、ライブ音源として音質は非常に悪いのですが、それを差し引いて余りある内容で、熱心なファンはもちろんのこと、そこまで熱心でなくてもRCサクセションや忌野清志郎が好き、また、ロックが好きならば、要チェックのアルバムだと思います。あらためてRCサクセションというバンドの偉大さを実感したアルバムでした。

評価:★★★★★

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2013年7月20日 (土)

排外主義はびこる日本へのメッセージ

Title:踊れ!踊らされる前に
Musician:ソウル・フラワー・ユニオン

ソウル・フラワー・ユニオンの新譜は、公式サイトのライナーツノートの受け売りになりますが、まず「踊れ!踊らされる前に」というタイトルが実に秀逸。特にここ最近、政治の世界では、時代の空気感だけに流されて、まるでブームのように特定の政党が異常に高い支持を受けることが少なくありません。そんな世相を皮肉ったようなタイトルは、実に彼ららしく感じます。

ただ、そう言いつつも、楽曲の中身は、さほど特定の政治思想を皮肉ったものではなく、あくまでも抽象的。ここらへん、例えばインタビューやTwitterでのつぶやきでは、反原発などの考えを強烈に押し出しながらも、楽曲に関しては意外とニュートラルに、難しいこと抜きで踊れる曲を奏でるソウル・フラワー・ユニオンらしい、ということでしょう。

とはいえ、そんな中でも、今回のアルバムでは、今の日本への強烈なメッセージがこめられた曲が目立ったような印象を受けました。例えば、このタイトル曲「踊れ!踊らされる前に」の中には「断末魔のレイシズムが 身悶えている」というストレートな歌詞があります。ネット上だけではなく、最近はテレビのニュースにもなったりしていますのでご存知の方も少なくないかと思いますが、最近、新大久保などで行われる、在日韓国人に対する差別的なデモが話題になったりします。まさにこの歌詞はそんな差別主義者へ対する強烈な抗議のメッセージ。最近の日本に悲しいことにはびこりはじめた排外主義に対する、彼らの強い主張を感じます。

同じようなメッセージ性を感じるのも、このアルバムに収録されている「陽炎のくに、鉛のうた」。もともと、1994年の彼らのアルバム「ワタツミ・ヤマツミ」に収録していた楽曲。最近、結構ライブでも演奏されているように感じます。正直、ミディアムテンポのグルーヴィーなナンバーは、ライブで「盛り上がる」という感じではないものの、好んで演奏するのは、その楽曲の持つメッセージから、でしょうか。

「際限ないリフレーンと同化を義務づけた
遠慮ない政策がオマエをダメにした」

(「陽炎のくに、鉛のうた」より 作詞 中川敬)

なんて一節は、むしろ1994年以上に現在の方が、排外主義が強く、かつ、同化圧力が強くなっているからこそ、2012年の現在に、この曲をあえて取り上げたのでしょうか。

同じミニアルバムの前作「キセキの渚」が、東日本大震災後の日本に対して、明日の希望を歌ったようなアルバムだったのに対して、今回のアルバムは、いわば現在の日本に対しての強烈なメッセージのように感じました。そのため、アップテンポで踊れるナンバーが多かった前作に対して、本作は、そのタイトルと反して、ヘヴィーでグルーヴィーなミディアムナンバーが多いのも特徴的でした。

一方では、東日本大震災からつながる曲もあって、それがカバー曲である尾崎紀世彦の「また逢う日まで」と、そしてなんとあの「アンパンマンのマーチ」。どちらも被災地での出前ライブで歌われた曲だそうで、「また逢う日まで」はもちろんですが、「アンパンマンのマーチ」って、もちろんいままでも知っていた曲ですが、あらためて聴くと、歌詞がいいんですね~。

ストレートなメッセージこそないものの、その奥に感じる反レイシズムや、多様性を認めない今の日本への抗議のメッセージを強く感じるアルバム。ソウル・フラワーだからこそ訴えられるメッセージでしょう。でも、こういうメッセージって、もっと多くのミュージシャンが取り上げてもいいと思うんですけどね・・・。

評価:★★★★★

ソウル・フラワー・ユニオン 過去の作品
満月の夕~90's シングルズ
カンテ・ディアスポラ
アーリー・ソウル・フラワー・シングルズ(ニューエスト・モデル&メスカリン・ドライブ)
エグザイル・オン・メイン・ビーチ
キャンプ・バンゲア
キセキの渚


ほかに聴いたアルバム

8/スネオヘアー

タイトル通り、8枚目となるスネオヘアーのアルバム。相変わらずメロディーはそれなりに凝った、聴かせるメロディーを書いてくるのに、アルバム通して聴くと、どうにも地味、という路線は相変わらず。マイナーコード主体のメロディーが主体という面も、この地味さに拍車を掛けている気も。

評価:★★★★

スネオヘアー 過去の作品
バースデー
ベスト
逆様ブリッジ
赤いコート
スネオヘアー

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2013年7月19日 (金)

勢いあるハイテンションなサウンド

Title:i'mperfect
Musician:凛として時雨

途中、ソロ活動をはさみ、約3年ぶりのリリースとなった凛として時雨の久々となるニューアルバム。

まず、このアルバム、序盤のエキセントリックでハイテンションな楽曲に、グッと惹き付けられます。特に1曲目「Beautiful Circus」から3曲目「Metamorphose」にかけて、疾走感ある楽曲で一気に畳み掛けます。ハイトーンのTKと345のツインボーカルも実に効果的。TKのボーカルは、あまりに高音で、好き嫌いわかれそうですが、これが大きなインパクトに。2人ともハイトーンボイスだったため、以前はその差異が、はっきりしないという難点がありましたが、ここ最近、345のボーカルにちょっと色っぽさが加わった感じが(笑)。「MONSTER」あたりが典型ですが、この男女ツインボーカルというのが効果的になってきたように感じます。

これに、ピエール中野のダイナミックなドラミングが加わり、いつもの凛として時雨のサウンドが続いて行きます。また、いつものように、一歩間違えば「ベタ」になりそうな、J-POP的なポップなメロディーラインが印象的。「Sitai miss me」あたりの悲しげなメロディーラインは、彼らならではといったところでしょうか。この「ベタ」さと、ダイナミックなバンドサウンドやツインボーカルからくる「個性」とのバランスが実に絶妙なのが彼らの大きな魅力でしょう。

ただ、良くも悪くも、このハイトーンボイスと、バンドサウンドがインパクトとなって、結果、どの曲も似たような雰囲気になっているのは、今にはじまった話ではないものの、アルバムの特徴となってしまっています。ただし、アルバム全体の長さは40分弱。テンションの高いサウンドで一気に攻めるため、正直、「飽きる」と感じる前にアルバムが終わっている感じ。一気に勢いで乗り越えている、というと表現がネガティブに感じられるかもしれませんが、この息つかせぬテンションの高さも、彼らの大きな魅力だと思います。

しかし、アルバムの中で唯一ちょっと雰囲気が異なるのが、最後を締めくくる「Missing ling」。ノイジーなギターに、ミディアムテンポなメロからスタートしたかと思えば、途中、ハイテンポになったり、ダイナミックなギターリフが入ってきたりと、様々な展開が楽しめるナンバー。楽曲の長さも7分弱にも及び、凛として時雨が勢いだけのバンドではないということを立証しているかのような曲になっています。彼らの新たな可能性も感じられるナンバーでした。

3年ぶりの作品ながらも、その勢いが全く衰えていないことを感じさせる傑作。まだまだ、そのハイテンションなサウンドを楽しませてくれそうです。

評価:★★★★★

凛として時雨 過去の作品
just A moment
still a Sigure virgin?

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2013年7月18日 (木)

ソロアルバムらしい2作目

Title:ゆめとうつつとまぼろしと
Musician:百々和宏

MO'SOME TONBENDERのフロントマン、百々和宏の、2枚目となるソロアルバム。ソロデビュー作「窓」では、モーサムとは全く異なったタイプの曲を披露。さらには中島みゆきなど、歌謡曲のカバーまで収録されており、百々和宏の音楽性の幅広さを実感させる内容になっていましたが、2枚目となるソロアルバムも、基本的に1枚目同様、彼の音楽性の幅広さを実感する内容になっていました。

アコースティックで爽やかなポップチューン「天気雨」に、「ともをまつ」では、あの向井秀徳が参加し、ラップを披露しています。「ワルツ」は、完全にシューゲイザーな作品になっていますし、「なんだか愉快なぼくたちは」「お酒にまつわるエトセトラ」は、フォーキーな作風に仕上がっています。

さらに、本作では、山口百恵の、事実上のラストシングル「さよならの向う側」をカバー。サイケ風なギターサウンドにのせていますが、歌詞をしっかりと歌い上げるカバーは、原曲お魅力をしっかりと残しています。

ただ、どの曲も基本的にポップな曲がメインというのは前作と同様。ガレージロック全開のモーサムとはかなり異なった雰囲気ですが、一方で、このメロディーセンスの良さが、モーサムの魅力の大きなポイントだったんだなぁ、ということは、前作同様、強く感じる作品になっています。

また今回のアルバムで強く印象に残ったのがこのアルバムの1曲目の「ロックンロールハート(イズヒアトゥステイ)」。前作「窓」でも、「ロックンロールハート」という自伝的なナンバーが収録されていましたが、今回はその続編とも言える内容。まさにソロアルバムならではといえる歌詞が、インパクトある楽曲になっています。

バラエティーに富んだ作風に、ポップなメロディー。ソロ作らしい、いい意味で肩の力の抜けた雰囲気。下手したら、モーサムのアルバムより良いんじゃないの?と思ってしまうほどの良作。ミュージシャン百々和宏の魅力を存分に感じられたアルバムでした。

評価:★★★★★

百々和宏 過去の作品

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2013年7月17日 (水)

バラエティー富んだシングルチャート

今週もアルバムチャートの新譜が少なかったため、同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャートは、新譜9枚ですが、比較的バラエティーあるタイプのミュージシャンが並んでいます。

まず1位は、EXILE TRIBE(三代目 J Soul Brothers VS GENERATIONS)「BURNING UP」。タイトル通り、EXILEの弟分ユニット、三代目J Soul BrothersとGENERATIONSによるコラボシングル。はやりのエレクトロポップ調のナンバーで、ちょっとK-POPっぽい雰囲気。初動売上は26万3千枚で、EXILE TRIBEは、EXILEの関連ミュージシャンの総称だとか。知名度の低い後輩ミュージシャンを売るには、EXILEのブランドを使う上手いやり方ですが、EXILEの名前に頼りすぎては、いつまでたっても独り立ちできないような気も。EXILE TRIBE名義では、前作「24karats TRIBE OF GOLD」の15万4千枚より大きくアップ。複数種類のCDを同時に購入すると、イベント参加券をもらえるなどのAKB商法が功を奏した模様。

2位はLinked Horizon「自由への進撃」。Sound Horizonの別名義ユニットで、これが2作目。収録曲のうち「紅蓮の弓矢」と「自由の翼」が、漫画も大ヒットしている話題のアニメ「進撃の巨人」のオープニングテーマ。基本、往年のヴィジュアル系を彷彿とさせるようなJ-POPですが、ストリングスなどを用いて、交響曲のように盛り上げる手法がインパクトがあり、「進撃の巨人」の世界観にマッチしています。その影響が強いのでしょう、初動売上は12万9千枚で、前作「ルクセンダルク小紀行」の2万枚より大幅にアップ。ある意味、ヒット曲らしいヒット曲という感じです。

3位はAKB48からのソロ。渡辺麻友「ラッパ練習中」がランクインしています。軽快な典型的なアイドルポップ。初動売上6万7千枚は、前作「ヒカルものたち」の9万1千枚よりダウンしています。

続いて、4位以下の初登場ですが、最近、すっかりうんざりしている女性アイドルグループは、今週は初登場1組のみ。4位の℃-ute「悲しき雨降り」がそれ。昔の歌謡曲風にエレクトロアレンジという組み合わせは、最近、ハロプロ系に多いイメージが。初動売上6万枚は、前作「Crazy 完全な大人」の4万7千枚からアップ。

5位はいきものがかり「笑顔」。映画「劇場版 ポケットモンスター ベストウイッシュ『神速のゲノセクト ミュウツー覚醒』」主題歌。タイトル通り、爽やかな歌詞が特徴的なミディアムソングで、ポケモン映画にピッタリな雰囲気。初動売上は3万1千枚で、前作「1 2 3~恋がはじまる~」の1万7千枚から大幅アップ。タイアップ効果でしょうが、ここ最近の下落傾向が止まりました。

そういえば、いきものがかりみたいな、女性ボーカル+男性2人って、昔は「ドリカム編成」って呼ばれていたなぁ、とふと思い出すのが、そのいきものがかりに続いて6位にランクインしたDreams Come True「さぁ鐘を鳴らせ」。ドリカム主題歌が定番のフジテレビ系ドラマ「救命病棟24時」主題歌。タイトル通り、聴いていて奮い立たせるような、力強さを感じるナンバー。ただ、初動売上2万1千枚は、前作「MY TIME TO SHINE」の3万枚よりダウン。タイアップ効果はあまり無かった模様です。

さて、良くも悪くも話題なのが、7位に初登場してきた剛力彩芽「友達より大事な人」でしょう。ご存知、ドラマにCMに大活躍中の女優によるデビューシングル・・・と言いたいのですが、あまりにドラマやCMに出まくる彼女は、特にネット上で、そのゴリ押し振りがバッシングの対象となっています。それだけに、デビューシングルの行方が気になったのですが、初動2万枚でこの位置。うーーん、なんとも言えず微妙な感じ(^^;;個人的には「思ったより売れた」という感想。ゴリ押しといいながらもやはりそれなりにファンはいた、というべきか、あれだけゴリ押しして、この程度か、というべきか・・・。

続く8位には、三浦大知「GO FOR IT」がランクイン。ホーンセッションも軽快なダンサナブルなR&Bチューン。初動1万9千枚は、前作「Right Now」の2万1千枚から若干ダウン。

最後10位には、藤井フミヤ「青春」が入ってきました。シングルでのベスト10入りは、2004年の「木漏れ日の風に吹かれ」以来、6作、約9年ぶりという結果に。特にこれといって強いインパクトもない、アコースティックなミディアムナンバーなのですが、プロモーション活動が功を奏した形に。初動売上1万6千枚は、前作「今、君に言っておこう」の最高位14位初動8千枚から大きくアップしています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

新譜は少なくても1位は強力譜

今週の1位は、安室奈美恵のニューアルバム「FEEL」が獲得です。初動売上は24万7千枚。2位以下を圧倒しての1位でしたが、残念ながら、前作「Uncontrolled」の初動29万2千枚からはダウンしてしまいました。

2位3位は、先週の1位2位がそのままランクダウン。BUMP OF CHICKENのベスト盤「BUMP OF CHICKEN I [1999-2004]」が2位、「BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]」が3位にランクインしています。

続いて4位以下ですが、今週は、新譜はわずか2枚のみ。5位にDef Tech「24/7」が、9位に高橋優「BREAK MY SILENCE」が、それぞれランクインしています。

Def Techの新譜はミニアルバム。初動売上2万枚は、前作「Up」の2万6千枚からダウン。直近のベスト盤「GREATEST HITS」の3万2千枚からもダウンしています。男性シンガーソングライターの高橋優は、フルアルバムでは3作連続のベスト10入り。初動売上1万2千枚は、直近のミニアルバム「僕らの平成ロックンロール②」の最高位13位、初動9千枚よりアップしたものの、フルアルバムとしての前作「この声」の1万3千枚よりは若干ダウンしてしまいました。

今週のチャート評は以上。また来週の水曜日に~。

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2013年7月16日 (火)

ロックな大橋トリオ

Title:plugged
Musician:大橋トリオ

「Unplugged」という言葉、ポップミュージックではよく聞く言葉です。電子楽器のプラグがつながれていない状態で音楽を奏でること、要するにアコースティックな音楽のことを「Unplugged」とよく言います。大橋トリオの今回のアルバムは、その逆を行くタイトルになっています。

ただし、それは一般的にイメージする電子音楽、エレクトロではありません。おそらく、彼の意図するところは、ジャケットで彼が手に持っているエレキギターをつかったアルバム、という意味でしょう。今回のアルバム、ロックをテーマとしたアルバムになっています。

まず1曲目「マチルダ」からして、どこかストーンズを彷彿とさせるようなロックナンバーになっていて、正直、ちょっとビックリしました。「ガラクタマシーン」も、ギターがブルージーで、ブルースロック的な要素も感じられます。思いのほか、ルーツオリエンテッドなロックには、ロック好きとしてはやはり惹かれるものがあります。

その一方では、ピアノを主軸に切ないメロを聴かせる「サクラ」や、ピアノバラード「存在」など、大橋トリオらしいナンバーも。「My shooting star」あたりも、軽快なリズムにしんみり聴かせるメロディーラインは、大橋トリオらしい、といった感じでしょうか。ロックといっても、決してギターをかきならし、ヘヴィーなサウンドを聴かせる、という訳ではなく、そこは大橋トリオ。いい意味でバランスの取れた、良質なポップソングを、このアルバムでもきちんと奏でてくれています。

今回も、完成度の高い良質なポップソングが並んだ傑作アルバム。どちらかというと、ジャズ、ポップスのイメージが強かった彼の根っこに、ロックというジャンルがあるということを認識できたという点でも、意義深いアルバムだったかも。しかし、はずれがないよなぁ、彼は。確かにシングルヒットを出すタイプじゃないかもしれないけど、アルバム単位ではもっと売れてもいいと思うんだけどなぁ・・・。

評価:★★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White


ほかに聴いたアルバム

Delight/miwa

デビュー作以来のチャート1位を見事獲得した女性シンガーソングライターの3作目。前作「guitarium」では、様々なタイプの曲を取り入れた結果、アルバム全体がバラバラになった印象があったのですが、今回の作品も基本的に同様。ギターロックからトランシーな打ち込みナンバー、80年代風、90年代J-POP風とバラバラ。曲はインパクトがあって、それゆえに彼女の高い人気があるとは思うのですが。音楽性が広ければよい、というのは、J-POPの悪しき習慣だよなぁ・・・。

評価:★★★

miwa 過去の作品
guitarium

THE AFTERGLOW TOUR 2012/the HIATUS

昨年12月に行われた、東京のNHKホールでのライブの模様をおさめた初のライブ盤。ストリングスやピアノなどを取り入れたにぎやかで分厚いアレンジがほどこされた曲が続きます。ただ、ストリングスなどを大胆に取り入れて、新しいことに挑戦しようとする気持ちはよくわかるのですが、その主張ばかりが目立ってしまって、ちょっとクドイ感じも。正直、バンド感も希薄だし、the HIATUSって、結局は細美武士のワンマンバンドなんだなぁ、ということを感じてしまったライブ盤でした。

評価:★★★

the HIATUS 過去の作品
Trash We'd Love
ANOMARY
A World Of Pandemonium

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2013年7月15日 (月)

中高生の頃ならはまっていた・・・かも?

今日紹介するミュージシャン2組は、いずれも個人的に自分が中高生の頃ならはまっていた、かも?と感じるミュージシャン。要するに、少々「中2病」的な気があるミュージシャンという訳で・・・(^^;;

Title:メカクシティレコーズ
Musician:じん

まずは、初音ミクなどのボーカロイド(音声合成技術)を用いて、自作の曲をニコニコ動画などにアップし、人気を博した、いわゆるボカロ系プロデューサー、じんの2枚目となるアルバムです。

このアルバム、そのボカロ系プロデューサーによるソロ作としては、初のオリコンチャート1位を獲得して話題となりました。ただ、ボカロ系の作品でヒットしてきた作品は何枚か聴いているのですが、確かに、その中で彼の人気が一番という理由は納得できます。いろいろな意味で、一番その世界観を確立しており、かつ、サウンド的にも秀でているものを感じるからです。

前作から続き、「カゲロウプロジェクト」といって、音楽だけではなく、小説や漫画も同時に発表。ひとつの物語を作り上げています。Wikipediaで、ざっと概要だけながめたのですが、小説の内容的には、さすがにちょっと食指は動きません(^^;;というよりも、多分、中高生の頃だったら、興味を持っただろうなぁ、という内容。また同じ意味で、このアルバムの歌詞についても、中高生の頃なら、と思ってしまいました。

ただ、それは決して稚拙とか悪い意味ではなく、若い頃なら一度ははまりそうな世界観といった感想。そういう意味で、「中2病的」という表現はピッタリかもしれません。ある意味、とてもピュアな感じもして(もちろん、嫌味な意味ではなく)、その世界にははまれませんが、ある種の好感は持てました。

サウンドに関しても、オルタナ系ギターロック主体のサウンドは、こちらは今でも好きなのですが、J-POPのヒット曲から、ちょっと新たな音を模索してみたい中高生あたりの世代にとっては、ちょうどよい「新しい音」に感じるのかもしれません。また、楽曲全体に流れるノスタルジックな雰囲気もなかなか秀逸。正直、目新しさを感じるようなタイプではありませんが、確かにこれはヒットするだろうなぁ、と感じさせるポップソングをしっかりと聴かせてくれます。

ただ、これはボカロ系に共通するのですが、どうも機械音なので、歌詞が聴き取りにくいというのが最大の難点。また、機械音のボーカルは、長く聴くとちょっと辛くなってきてしまいます。歌詞が聴きとりにくいというのは、ボカロ系の場合、動画サイトにアップされるため、映像に歌詞を流すことによって補完されている部分が大きいのですが、やはりだから歌詞が聴きとりにくくてもOK、というのではなく、せっかくの世界観なのだから、音楽だけとっても、その世界観をしっかりアピールできるようにしてほしいなぁ、ということは感じてしまいます。

とりあえず「カゲロウプロジェクト」はこのアルバムで完結だそうで、次はあらたなプロジェクトをスタートさせるということ。そちらも楽しみです。個人的には、そろそろボカロの枠組みをはずれて、生ボーカルなどをもっと取り入れてほしいなぁ、ということを思わないこともないのですが・・・。

評価:★★★★

じん 過去の作品
メカクシティデイズ

Title:ねえママ あなたの言うとおり
Musician:amazarashi

タイプ的にはおそらく彼らも、「中高生の頃なら、もっとはまっていただろうなぁ」と思わせる世界観がひとつの大きな魅力となっています。

このアルバムでも、どこか世の中を斜に構えたように見た世界観や、虚無的な感覚を覚える世界観が魅力的であると共に、どこか「中2病」的(笑)。それが、決してバカにしている訳ではなく、逆に中高生あたりなら、当然悩みそうな課題であり、今となっては逆に微笑ましさすら感じます。

また、オルタナ系ギターロックを軸に、ピアノや打ち込みなどをいれた賑やかなサウンドも特徴的。ちょっと地味に感じられた前作に比べると、華やかな雰囲気になったかもしれません。

基本的に大きな流れは前作前々作と同様の雰囲気のアルバム。ただ、それだけに、ちょっとマンネリ気味を感じ始めたかな?メロにしろ歌詞にしろ、アルバム通して何度か聴けばその魅力は十分わかるのですが、一発でリスナーの耳をつかめるようなインパクトが薄いのも、ちょっとマンネリに感じてしまう要素かも。もう一歩、がんばってほしいバンドなんですが・・・。

評価:★★★★

amazarashi 過去の作品
千年幸福論
ラブソング


ほかに聴いたアルバム

Laugh,Cry,Sing...And Dance!!!/the telephones

フルアルバムとしては、約1年半ぶりとなるニューアルバム。いつも通り、軽快で鮮やかなディスコダンスナンバーが中心のアルバムなのですが、今回のアルバムは、パワーポップっぽい「Pa Pa Pa La Pa」をはじめ、ギターロックの要素を強く感じました。結果、いままでどうも一本調子でマンネリ気味に感じられたここ最近の作品に比べて、グッと楽しめ、最後まで飽きずに聴くことが出来ました。今後のライブでのキラーチューンになりそうな「Keep Your DISCO!!!」も名曲でしたし、私がいままで聴いたthe telephonesのアルバムでは、最高傑作では?

評価:★★★★★

the telephones 過去の作品
DANCE FLOOR MONSTER
A.B.C.D.e.p.
Oh My Telephones!!! e.p.

We Love Telephones!!!
100% DISCO HITS! SUMMER PACK
Rock Kingdom
D.E.N.W.A.e.p.

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2013年7月14日 (日)

2人キリンジのラストアルバム

Title:Ten
Musician:キリンジ

今年4月の全国ツアーで、弟の堀込泰行が脱退を発表し、兄、堀込高樹1人のユニットとなったキリンジ。タイトル通り10枚目のアルバムとなった本作は、2人キリンジが最後に発表するアルバムとなりました。

しかし、このアルバムには、2人キリンジとして最後、というような強い意気込みは感じません。むしろ、アコースティック主体の変なひねりもなくシンプルにまとめた、極上のポップアルバムに仕上がっていました。10枚目だから「Ten」というタイトルといい、鉛筆絵のシンプルなジャケット写真といい、余計な装飾はなく、無駄なものを省いた作品と言えるかもしれません。

ひとつひとつの楽曲も、堀込兄弟それぞれ、肩の力を抜いたような楽曲が多いのですが、逆に変な力が入っていない分、それぞれ実に彼ららしいポップソングが産まれています。高樹作品では、お化け屋敷を、爽やかに歌い上げる「きもだめし」は、そのユーモラスな視点が、堀込高樹らしい作品ですし、「ナイーヴな人々が世界をいっそう美しく変える」と歌うのは、キリンジ流前向き応援歌「ナイーヴな人々」は、その歌詞の優しい視点が心に響きます。

泰行作品でも、オールディーズ風の軽快なリズムが楽しい「ビリー」や、トラッド風のインストナンバー「dusty spring field」など、彼の世界観がしっかりとアルバムの中に反映されています。両者とも、シンプルでメロディアスな楽曲が特徴的ながらも、独特の視点の歌詞に、どちらかというと軸足を置く堀込高樹と、サウンドの面で、様々な試みを行みを行う堀込泰行。似ていながらも、微妙に交わらないこの2人が一緒に活動することが、キリンジの大きな魅力だと思っていたのですが・・・それが、このアルバムがラストというのが非常に残念な限りです。

ただ、シンプルな作風の中、それぞれのらしさを存分に発揮したこのアルバムで、2人キリンジとして2人がやれることをやりきったということなのかもしれません。そんなアルバムのラストを飾るのが、東日本大震災を彷彿とさせる歌詞の「あたらしい友だち」。こちらも、ストレートに震災を歌うのではなく、その向うにある新たなはじまりを歌にしている点が、キリンジらしくてユニーク。最後の曲の作曲名義が「キリンジ」という点もちょっと泣けますし、新たな旅立ちという点で、作詞堀込高樹による、キリンジを去る弟へのエールともとれる作品になっています。

これがラストだと信じられないくらい、息のあった内容になっていますし、2人とも、その才能は全く衰えていません。衰えていないどころか、キリンジのアルバムの中でも最高傑作に近い出来かも?

このアルバムが最後、というのがつくづく残念になる作品なのですが、これからの2人の活躍を願って。また、これからも傑作なポップソングを世に送り出すことを、期待していましょう!

評価:★★★★★

キリンジ 過去の作品
KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration
7-seven-
BUOYANCY
SONGBOOK
SUPERVIEW

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2013年7月13日 (土)

昭和を代表する大歌手

Title:オース!バタヤン ソングコレクション
Musician:田端義夫

今年4月、94歳でその人生の幕を下ろした大御所歌手、田端義夫。その遺作となったドキュメンタリー映画がありました。「オース!バタヤン」と名づけられたその映画は、5月から全国各地で順次上映されているそうです。今回紹介するこのアルバムは、その映画で使われた楽曲をまとめたサントラ盤です。

もともと、このアルバムを聴いてみるきっかけになったのは、私が大好きなソウルフラワーユニオン。以前、田端義夫と共演し、前述のドキュメンタリー映画にも出演しているそうです。ライブレポにもチラッと書いたのですが、ここ最近のライブでは、田端義夫の代表曲「島育ち」のカバーが定番となっており、そこから興味をひかれ、このアルバムを聴いてみました。

その「島育ち」も収録されているこのアルバム。「島育ち」はもともと奄美民謡らしく、また、ソウルフラワーユニオンとの共演や、2001年にはBEGINに楽曲提供を受けた曲を歌っている(このアルバムには収録されていませんが)ことから、イメージ的には演歌、というよりも、様々なジャンルを貪欲に取り込んだ、古き良き歌謡曲、というイメージがあって、このアルバムを聴いたのですが・・・

思ったより演歌でした(笑)。

ただ、ここ最近の完全に「様式化」「パターン化」された演歌ではなく、そこは古き良き時代の楽曲。なにげにしんみり聴き入ってしまったのは、私が歳を取ったからか??(^^;;

とはいえ、もっと演歌より歌謡曲テイストの強い曲もあったり、「バタヤンのツキツキぶし」なんかは、女性のコーラスを入れたユーモラスで、どこかエロチックだったり。「ズンドコ節(街の伊達男)」は軽快なポップで聴きやすいですし、「ゴンドラの唄」では、トレモロギターの見事な演奏を聴かせてくれます。

要するに、それこそ古き良き歌謡曲らしく、決して単純な演歌ではなく、様々なジャンルの音楽を取り入れつつ、ギターの音色と、その歌声を聴かせてくれています。

サントラ盤ですが、彼の代表曲が収録されたこのアルバムは、昭和の代表的な歌手、田端義夫の歩みを知るにはうってつけの1枚。つーても、私もこのアルバムではじめて彼の曲をきちんと聴いたわけですが。ドキュメンタリー映画にも興味が。名古屋では、7月下旬から8月あたりに公開されるみたいなので、機会をつくって見に行きたいなぁ。

評価:★★★★

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2013年7月12日 (金)

アコギかかえて気楽に歌っているような

Title:Heavenly Music
Musician:細野晴臣

今年でソローデビューから40年となる細野晴臣。「HoSoNoVa」から約2年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

前作「HoSoNoVa」でも、半数がカバーアルバムでしたが、本作は、全曲がカバーとなるカバーアルバム。カーペンターズの「Close to You」のようなおなじみのナンバーもありますが、大半は、知る人ぞ知る的な曲が多く収録されています。また、「Close to You」など、原曲がおなじみな曲も含めて、すっかり細野晴臣色に染めた仕上がりになっており、「知る人ぞ知る」的な側面も含めて、一種のオリジナルアルバムのような感覚で聴けるアルバムになっていました。

また、こちらも「HoSoNoVa」に引き続き、アコースティックなアレンジのアルバムになっています。そして特徴的だったのがボーカル。どこかラフな雰囲気の仕上がりになっていて、聴いていて、例えば、縁側に座りながらアコギ片手に気楽に歌っているおじいちゃん(失礼!)の歌を、すぐ横で聴いているような、そんな仕上がりになっているように感じます。

自分のルーツを好きなようにカバーしているようなスタイルといい、すぐ横で歌っているような感覚になるようなミックスといい、非常にラフで、肩の力の抜けたようなアルバム。常に新しい音楽性を求めていた頃から比べると、ちょっと枯れた感じを受ける方もいるかもしれませんし、確かに、そういう意味でのちょっと寂しさも感じない訳ではありませんが、それ以上に、ポップソングの楽しさをそのまま伝えてくれるような内容を楽しめたアルバムでした。

また、そのような中でも、親が子供を思う歌を日本語訳した「All La Glory」(The Bandのカバー)だったり、クラフトワークの「Radio Activity」を最後に持ってきたりと、どこか震災後の日本に対するメッセージ性も、その選曲から感じることが出来ます。そういう意味では、単なる好きな曲を並べたお気軽なアルバムでは決してないことも感じます。彼なりの主張が一本通っているアルバムでした。

評価:★★★★★

細野晴臣 過去の作品
細野晴臣アーカイヴスvol.1
HoSoNoVa


ほかに聴いたアルバム

Where to go my love?/KOKIA

こちらはデビュー15周年を迎える女性シンガーソングライターの新作。「ヒトの中にあるもの」などおもしろい曲もあるが、全体的に似たようなタイプが多い印象。幻想的な作風は独特だけど、今回の作品に関してはポップ寄りになった結果、いまひとつ突き抜けない、中途半端な雰囲気になったような・・・。

評価:★★★

KOKIA 過去の作品
The VOICE
KOKIA∞AKIKO~balance~
Coquillage~The Best Collection II~
REAL WORLD
Musique a la Carte
moment
pieces
心ばかり

VERY BEST OF PRINCESS PRINCESS TOUR 2012~再会~at 武道館/プリンセスプリンセス

昨年、1年間限定で復活したプリプリの、武道館ライブの模様を収めたライブアルバム。驚かされたのは、ボーカル奥居香が、全くプリプリ活動時と同じ声量を出していて、バンド自体、解散前と比べて全く遜色ないライブを聴かせてくれているという点。選曲も、代表曲ばかりなので、初心者がベスト盤感覚で聴いても問題ない内容だと思います。

ただ一方では、MCがカットされていたり、声援などもあまり収録されておらず、ライブの臨場感が欠けるという点。どちらかというと、このアルバムを求めるファンは、そういうライブの雰囲気を「記録」的に録音されていることを望んでいると思うだけに、この編集はちょっといただけない気も。

評価:★★★★

プリンセス・プリンセス 過去の作品
プリプリ・フユソン
THE REBIRTH BEST~再会~

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名古屋圏フェス・イベント情報(7/12)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

7/12 主な更新
・THE EARTH CAMP 開催決定!
・中津川THE SOLAR BUDOKAN 2013 第4弾出演者発表!

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報(7/12)"

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2013年7月11日 (木)

B'zの歴史

そろそろ「何枚目?」とも言いたくなってくるのですが・・・デビュー25周年を迎えて、B'zのベストアルバムが、発売されました。今回の特徴は、シングルを発売順にすべて収録した、シングルコレクションという点。さらに、初回盤にはPVを収録したDVDまでついています。

Title:B'z The Best XXV 1988-1998
Musician:B'z

こちらは、初期の作品をおさめたアルバム。デビューシングル「だからその手を離して」から25枚目「HOME」まで収録した作品。人気的にはピークにあったころのシングルが多く、この頃にファンになった、という方や、「懐かしい」と感じる方も多いのではないでしょうか。

Title:B'z The Best XXV 1999-2012
Musician:B'z

こちらは、26枚目「ギリギリchop」から、最新シングル「GO FOR IT, BABY -キオクの山脈-」までを収録したベスト盤になっています。

で、B'zというと、「ロック」を標榜していながら、これだけロックメディアに完全なまでに無視されています。確かに彼ら、ロックミュージシャンという枠組みで考えると、その評価がいまひとつという点はわからなくもありません。以前のB'zのベストにも書いたのですが、彼らの大きな特徴は、ギターとボーカルだけのユニットで、ロックの「ロックらしい」部分のみを抽出している点。その結果、実に「ロック」らしい曲を書き上げているのですが、ロックの魅力である、バンド全体から伝わるようなグルーヴ感は、彼らから感じることは出来ません。

他にもメロディーがあまりに歌謡曲的で、ベタすぎる点(かといって、クレイジーケンバンドみたいに、意欲的に「昭和歌謡」を模索しているわけでもない点)や、ハードロック風のサウンドながらも、その向こうにあるルーツがいまひとつ見えてこない点(彼らのパクリが批判される理由もこれが大きな要因に思います)など、確かに私も、B'zが実力あるロックミュージシャンであるかどうかと言われれば、ちょっと違うよね、という感想を持っています。

しかし、彼らをポップミュージシャンあるいはエンターテイナーであると考えた時、彼らの音楽は実に魅力的。ロックという枠組みではマイナスになるような、先にあげた要素が、そう考えると、180度変わり、彼らの大きな魅力となってきます。ロックミュージックのロックらしいところだけつまみ食いした「わかりやすい」作風に、J-POP王道ともいえるベタなメロ。これらの要素は、ゴチャゴチャ難しいこと抜きとして、聴いていて楽しい、そんな曲を産み出しています。

実際、その「1988-1998」に関しては、個人的な思い出補正もあるものの、今聴いても、とても楽しめる曲ばかりでした。特に、今回のベスト盤ではシングル曲が発売順に並んでいるだけあって、彼らの変遷がよりよくわかるのが大きな特徴。デビュー当初は、今聴くと、完全にTM NETWORKのロック版という立ち位置からスタートしたんだなぁ、ということがわかりますし、それが「LADY NAVIGATION」「BROWIN'」あたりで急速に個性を獲得していったことがわかります。

B'zのシングルで、一番売上があったのが、93年のビーイング系ブームの真っ最中にリリースされた「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」でしたが、今から聴くと、売上面だけではなく、彼らの勢いという点でもこの時期がピークだったような気がします。ある意味、B'zらしさが確立されたのがこのあたり。その後もしばらくは、全英語詞の「Real Thing Shakes」だったり、サビがギターソロという挑戦的な試みをしている「Calling」だったり、実験的な作風も目立ちます。

ただ、その後、このアルバムで言えば「1999-2012」の頃の作品に関して言えば、ちょっと厳しいなぁ、の一言。完全にB'zらしさにはまってしまって、マンネリに陥ってしまっています。大いなるマンネリといってしまえばそこまでですし、その路線でも悪くはないのですが、どうも大いなるマンネリになりきるだけの覚悟も感じられず、完全に自己パロディーのような状況になっているようにも感じます。今回のベスト盤には新曲も収録されているのですが、これらの曲に関しても「悪くはないんだけど・・・」と煮え切らない感想を抱いてしまうのが、悪い意味で今のB'zらしさを感じてしまいます。

そんな訳で、「1988-1998」は文句なしにお薦め。「1999-2012」は気になったのなら・・・といった感じ。今後の彼らの活動に関しては、ちょっと不安要素も多いのですが・・・。とりあえず、B'zの歴史を知るにはもってこいのベスト盤です。

評価:
1988-1998 ★★★★★
1999-2012 ★★★★

B'z 過去の作品
ACTION
B'z The Best "ULTRA Pleasure"
B'z The Best "ULTRA Treasure"
MAGIC
C'mon
B'z-EP


ほかに聴いたアルバム

The Alchemist/ART-SCHOOL

5,000枚限定でのリリースとあるART-SCHOOLのミニアルバム。「フローズン ガール」みたいに、ポップな曲調で、タイトルからして、どこかBase Ball Bearっぽい、いままでの彼らにしてみればユニークな作風の曲もあるのですが、全体的にはいつも通りのART-SCHOOL。正直、可もなく不可もなくといった感じ・・・。

評価:★★★★

ART-SCHOOL 過去の作品
Ghosts&Angels
ILLMATIC BABY

14 SOULS
Anesthesia
BABY ACID BABY

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2013年7月10日 (水)

今週はアイドルは少なめ?

今週は、アルバムチャート初登場が少なかったので、アルバムチャートと同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

だけど1位は例のごとくAKB48がらみで・・・

1位はAKB48系。乃木坂46「ガールズルール」がランクイン。爽やかなサマーポップナンバーなのですが、あまりに普通すぎてとりたてて特徴のないポップソング。初動売上33万7千枚は前作「君の名は希望」の24万2千枚からアップしてきました。

2位は、EXILE「EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~」が先週のベスト50圏外からランクアップし、いきなりベスト3入り。4月15日付で初登場1位となった週以来のベスト10ヒットとなりました。どうもライブツアーチケットの附属CDについて、追加公演分の売上が加算された影響の模様。

3位はL'Arc~en~Cielのhydeのユニット、VAMPS「AHEAD」がランクインです。約2年8ヶ月ぶりという久々のシングル。初動売上5万枚は、前作「MEMORIES」の2万2千枚より大幅アップですが、シングル購入者へのライブチケット抽選や、初回盤2種類+通常盤をすべて買った人にはDVDがプレゼントされるなどの特典攻勢が物を言った模様。

続いて4位以下初登場ですが、また例のよって雨後のたけのこのような女性アイドルグループが。4位にスマイレージ「新しい私になれ!」が、10位にDoll☆Elements「君のハートに解き放つ!」がそれぞれランクインしています。

スマイレージは初動2万6千枚で、前作「旅立ちの春が来た」の2万2千枚よりアップ。ここ最近、初動2万枚前後で推移していましたが、本作は初動売上をあげてきました。Doll☆Elementsはこれがメジャーデビュー作で、初のベスト10入り。初動売上9千枚は、前作「ギュッとSTAR!!」の6千枚よりアップ。

で、今週は、3位VAMPSをはじめ、アイドル系以外の初登場曲が目立ちました。5位にはflumpool 「大切なものは君以外に見当たらなくて」・・・あ~昔のビーイング系みたいなタイトルだ(苦笑)。ギターの阪井一生が、太ってしまい、ダイエットに専念するため「ビジュアル面担当」ということでお笑い芸人のNON STYLE井上裕介がバンドに加入するなど、音楽以外で話題になりました。本作は、初動2万5千枚と、前作「Answer」の3万4千枚から大きくダウン。苦戦気味だった前々作「Because...I am」の2万8千枚も下回り、少々苦戦気味。メンバーチェンジという話題性が、売上にいまひとつ結びつかなかった模様。

もういっちょロック系。6位にSPYAIR「現状ディストラクション」がランクイン。「劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」主題歌。今風のヘヴィーロック風のサウンドながらも、メロは典型的なJ-POPといった感じが、今時の売れ線のポップスロックバンドといった感じでしょうか。ベスト10入りは前々作「サクラミツツキ」以来2作ぶり2作目。初動1万7千枚は、前作「虹」の6千枚から大幅アップ。ただ、ベスト10入りした前々作もアニメ「銀魂」主題歌であり、完全にアニメタイアップ依存型のヒット。これをどうバンドのファンにつなげられるか、今後が勝負といったところか。

そしてさらに7位には竹内まりや「Dear Angie ~あなたは負けない」が入ってきました。約4ヶ月ぶりのニューシングル。ちょっと意外ですが、ベスト10入りは2008年リリースの「幸せのものさし」以来5作ぶり。初動売上1万2千枚は、前作「たそがれダイアリー」の5千枚から大幅増。ライブ映像のついたDVDを特典としてはじめてつけたそうで、その影響も強いと思われますが、竹内まりやでも、こういうことをしなくては売れないという事実が悲しい・・・。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

ベスト10なのに、ミュージシャンは7組だけ??

今週、1位2位は、BUMP OF CHICKENのベスト盤が1、2フィニッシュ。「BUMP OF CHICKEN I [1999-2004]」が1位、「BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]」が2位に入ってきました。ただ、初動売上は、「I」が17万2千枚、「II」が16万8千枚と、直近のオリジナルアルバム「COSMONAUT」の20万7千枚よりもダウンという厳しい結果になっています。確かに、今どき、DVDもなし、新曲もなしで、ファンも買い控えた人もいるのかもしれませんが・・・それを差し引いても、もうちょっと売れてほしかったかも。

さて、今週は、このバンプのベストをはじめ、2枚同時リリースのミュージシャンが3組も。そのため、ベスト10なのに、登場するミュージシャンは7組のみという結果になっています。他にB'zのベストが5位、6位に並んでいるほか、さらにGACKTのベスト盤「BEST OF THE BEST-MILD-」が8位、「BEST OF THE BEST-WILD-」が9位に、それぞれランクインしています。初動売上はいずれも1万6千枚。直近は、これまたシングル集「THE ELEVENTH DAY ~SINGLE COLLECTION~」で、こちらの1万1千枚よりはアップ。2009年にリリースした直近のオリジナル「RE:BORN」の1万9千枚よりはダウンという結果に。こちらも浮動層を取り込めない厳しい結果に。ただ、彼の場合は、シングル集を含め、ベスト盤を出しすぎているという印象も。

なお今週のアルバムチャート、10位にはさだまさしのベスト盤がランクインしており、結果、10枚中7枚がベスト盤という結果になっています。やはりボーナスシーズンを狙って、浮動層にアピールしやすいベスト盤の発売が続いたということなのでしょうか?

ちなみに今週のアルバムチャート3位には、先週1位だったきゃりーぱみゅぱみゅ「なんだこれくしょん」がベスト3をキープしています。

今週、ベスト10初登場はあと1枚。4位にやなぎなぎ「エウアル」がランクインです。これがデビューアルバムとなる女性シンガーソングライター。ベスト10はシングルアルバム通じて初登場ですが、supercellの楽曲にボーカルで参加していたり、シングルはアニソンやゲームのテーマ曲などに多く採用され、多くのシングルがベスト20に入ってきていたため、アルバムでのヒットは自然の流れでしょうか。

今週のヒットチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2013年7月 9日 (火)

美しい歌声に鳥肌

Title:いにしえのクロンチョン
Musician:NETTY

先日、「インドネシア音楽歴史物語」という、インドネシアの代表的大衆音楽であるクロンチョンの歴史を紹介したアルバムを、ここで取り上げました。そのレーベルで続いてリリースされたのは、クロンチョンの代表的ミュージシャンである、ネティという女性シンガーの曲をまとめた企画盤でした。

ただ彼女、ネティは、附属のブックレットによると、50年代後半には、国民的歌手として活躍していたようですが、残念ながら現在では、半ば「忘れられた歌手」になってしまっているみたいで、これだけまとまったCD化は、これがはじめて、ということだそうです。

「インドネシア音楽歴史物語」でクロンチョンという音楽にはじめて触れて、気に入ったのですが、今回のアルバムも、CDショップの試聴機でチラッと試聴し、なかなかよさげだったので、さっそく購入し、聴いてみました。

で、これが大ヒットでした!なんといっても、このアルバムの最大の魅力は、ネティのボーカルだと思います。非常にクリアで美しいボーカルながらも、声量があり、芯の強いボーカルは、聴いていて、ゾクゾクと鳥肌が立つほどすばらしいボーカルでした。彼女の、この歌声を聴くだけでも、このアルバムの価値はあるかと思います。「インドネシア音楽歴史物語」と、このアルバムを企画した、田中勝則氏によると「ネティこそクロンチョンの最高の歌手」と語っていますが、その理由は十分すぎるほど納得できる魅了的な歌声。これだけでも是非聴いてみてください!

もちろん楽曲自体も、「インドネシア音楽歴史物語」で知ったクロンチョンの魅力満載。いわば歌謡曲がムード歌謡曲あるいは演歌として様式化する前、戦後直ぐの歌謡曲をイメージさせるような音楽。洋楽の要素をたくみに取り入れつつ、インドネシア本来の大衆音楽の魅力もそのまま残したようなポップスは、どこか人なつっこさを感じさせます。

ただ、「インドネシア音楽歴史物語」で取り上げていたクロンチョンからは、ラテンやジャズ、ハワイアン、ロックなどの多彩な要素が感じられましたが、このアルバムに関しては、さほどバラエティーは感じられず、わずかにハワイアンの要素が入った曲がチラホラ。そういう意味では、正直、ちょっと似たタイプの曲が多かったのも事実です。

しかし、そういう似たタイプの曲でも全く飽きさせないのが、ネティのボーカリストとしての魅力でしょう。実際、70分を超える長さのアルバムなのですが、全く飽きることなく、最後まで彼女の歌声に聞き惚れたアルバムでした。

22ページのブックレットで、楽曲について解説もされており、読み応えもたっぷり。ただ、ちょっと残念だったのは、ネティが、現在ご存命なのか否か(1929年産まれということなので、ご存命ならば85歳。十分、ご存命の可能性もあるのですが)、また、50年代後半、国民的歌手だった彼女が、なぜ今は忘れられた歌手になってしまったのか、そこらへんの説明がいまひとつ不明だったのが残念。ネットで調べてもいまひとつわからなかったし・・・。

評価:★★★★★

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2013年7月 8日 (月)

暖かさを感じるエレクトロミュージック

Title:TOMORROW'S HARVEST
Musician:BOARDS OF CANADA

スコットランド出身のエレクトロデゥオ、BOADS OF CANADAの8年ぶりとなる新作。その待ちに待った新作なのですが、まず聴いていて感じたのは、かなり地味(^^;;もともとアンビエント色の強いミュージシャンでしたが、今回の作品では、その作風がより増し、かつ、特徴的なビートなどもなく、パッと聴いた印象では、いまひとつ印象に残らないような作風になっていました。

ただ、そんな今回の作品から感じたのは、どこか暖かさであり、優しさのようなものでした。スペーシーな感じの音が続く今回の作品は、音感はとても丸く、包容力のあるようなノイズであり、かつメロディアス。尖った音が多かったり、無機質な音の多いエレクトロミュージックの中にあっては、ちょっと独特にも感じられる、暖かさのあるサウンドが耳に残ります。

またもうひとつの特徴としては、スペーシーなサウンドもあげられるでしょう。「Collapse」をはじめとして、壮大なスケール感を覚えるような作品も多く、まさに、このアルバムから感じられる「包容力」の源になっているのは、そんなサウンドではないでしょうか。

「Come To Dust」あたりなど、ちょっと哀愁も感じられるメロディーラインを書いていたり、「Reach For The Dead」などはちょっとスリリングな展開が楽しめたり、聴きどころもそれなりに。ただ、アルバム全体としては、やはり地味な印象は否めず。退屈、という訳ではないのですが、少々中だるみしてしまうような部分も。EDMだらけのエレクトロシーンに、先日のダフトパンクと並んで一石を投じるような作品だとは思うのですが、ちょっとインパクトには不足していた面も否めない、そんなアルバムでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

LIVING THINGS/LINKIN PARK

日本でも人気の、アメリカのミクスチャーロックバンドの5作目。ヘヴィーなバンドサウンドを聴かせてくれるが、メロディーは意外とメロディアスで、ちょっと歌謡曲的ですらあるかも?コンテンポラリー色も強くて、個人的には、あまり好みではなかったかも・・・。

評価:★★★

LINKIN PARK 過去の作品
A THOUSAND SUNS

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2013年7月 7日 (日)

おなじみのあの曲もサンプリング

Title:KARA OK 2nd Edition
Musician:KAKATO

Karaok_kakato_2

今回紹介するアルバムも、無料ダウンロードでリリースされたアルバムです。KAKATOと名乗るこのユニットは、環ROYと鎮座DOPENESSによるユニット。もともと、このアルバムは、2011年11月に無料配信されていたものですが、このたび、新曲3曲を追加し、再リリースされました。

参考サイト
環ROY×鎮座ユニット、無料アルバムに新曲追加し再配信
http://natalie.mu/music/news/94151

このアルバム、「カラオケ」というタイトル通り、J-POPをサンプリングして、そこにラップをのせるというスタイルの、まさに「カラオケ」なアルバム。ただ、言わずもがなですが、このサンプリングという手法は、HIP HOPの王道ともいえる手法。もともと、HIP HOPのルーツに遡ると、昔のレコードのおいしい部分だけ、パーティーでDJが抽出して繰り返しかけて、観客を踊らせた「ブレイクビーツ」という手法がそのルーツだそうで、「カラオケ」という日本的なタイトルを用いていますが、実にHIP HOPらしいアルバムと言えるでしょう。

もちろんこのサンプリングという手法は、今のHIP HOPでもおなじみのやり方ですが、著作権がうるさくなった現在、ひとつひとつの「元ネタ」に許諾をもらうだけで一苦労。そんな中、現在、アメリカでよく行われているのが、ミックステープというやり方で、多くのサンプリングネタを含んだHIP HOPのアルバムを、著作権の許諾を受けずに無料ダウンロードでリリースするやり方。著作権的には厳密には違法かもしれませんが、ビジネスベースではないという意味で、事実上容認されているやり方で、今でも多くのラッパーが、サンプリングを多様したアルバムを発表しています。

そういう意味でも、多くのJ-POPをサンプリングネタとした含んだアルバムを、無料ダウンロードという手法でリリースされたこのアルバムは、まさに今のHIP HOPの本流を行くやり方でのリリースと言えます。

そして、その元ネタも実にユニーク。RCサクセションの「ステップ!」をサンプリングした「ステップ!!」やら、タイトルそのままラッツ&スターをサンプリングした「夢で逢えたら」。まんま「ヤマタツ」なんて曲もあったりします(笑)。一番ユニークだったのは、Dragon Ashの「Deep Impact」そのまんまの「Deepest Impact」。この「Deep Impact」自体も、サンプリングを多様した曲なのですが、そのトラックをそのまま使用して、いわば、「オレたちの方がもっと『インパクト』ある曲をつくれる」とアピールしているよう。

ただ、全体的には、このジャケット写真のように、カラオケボックスでHIP HOP好きのラッパー2人が、適当なサンプリングネタで、好き勝手にラップしているような、そんなアルバム。意気込みというよりも、純粋にHIP HOPが好きなんだなぁ、ということがこちらに伝わってくるようなアルバムでした。

また、トラックも聴き覚えあるような曲も多く、サンプリングという手法をわかりやすく使っているため、HIP HOPの入門的にも最適なアルバムかもしれません。ちなみに、これらの元ネタって、一応許諾はもらっているんでしょうか?(笑)無許可なら無許可で、それはそれでおもしろそうな気もします(笑)。

ちなみにダウンロードは↓のサイトから。いつまでダウンロードできるか不明ですので、興味のある方はお早めに!
http://kakato-kara-ok.tumblr.com/

評価:★★★★★

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2013年7月 6日 (土)

バンドとしての原点に戻った作品

Title:KVEIKUR
Musician:SIGUR ROS

1月に、キーボードのキャータン・スヴェインソンが脱退し、3人組となってからはじめてとなるシガーロスのニューアルバム。3人組となり、バンドとしての原点に戻った作品を目指したそうで、ドラムスのオーリー・ディラソンのガレージで、3人一緒に音を出すことからスタートしたそうです。

その象徴とも言えそうなのが、このアルバムの1曲目であり、シングルカットもされた「Brennisteinn」。ノイジーなギターが鳴り響くサウンドは、ガレージロックの色合いも濃く、いままでのシガーロスのイメージからすると、ちょっとビックリするかもしれません。

この曲もそうなのですが、今回のアルバムは比較的、ノイジーなギターが前に出てきた、バンドっぽい作風の曲が多かったイメージがあります。また、バンドとしての原点に戻った作風が多いからかどうかわかりませんが、比較的ポップで、聴きやすい作品が多かったようにも思います。

ただ、じゃあいままでのシガーロスのファンが、このアルバムを楽しめないか、と言われると、全くそうではありません。むしろ、バンドサウンドを前に押し出していても、いままでのシガーロスのアルバムを聴いている感覚と、同じような感覚で楽しめるアルバムではないでしょうか。

というのも、確かにガレージっぽい作風にはなっているものの、シガーロスの根っこの部分はほとんど変わっていません。ダイナミックなバンドサウンドの向うに見えるのは、シガーロスらしい、幻想的な独特の世界観と、絶妙なポピュラリティーのあるメロディーライン。また、もちろんヨンシーの優しいボーカルも健在です。「Stormur」をはじめ、中盤以降、ファンタジックな雰囲気を秘めた作風が増えてくるのですが、そういうシガーロスらしい部分は、このアルバムでもはっきり感じることが出来ます。

3人組となって、いい意味であらたな一歩を踏み出した作品といった感じでしょうか。シガーロスの魅力はこのアルバムでもしっかりと伝わってきます。3人になっても、まだまだ彼らは傑作をどんどんとリリースしてくれそうです。

評価:★★★★★

Sigur Ros 過去の作品
Með Suð Í Eyrum Við Spilum Endalaust(残響)
valtari(ヴァルタリ~遠い鼓動)

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2013年7月 5日 (金)

今となっては貴重なライブ音源

Title:Radiohead Live at Tramps June 1,1995
Musician:RADIOHEAD

Radioheadlive1995_2

最近は、フリーダウンロードでライブアルバムをリリースするケースが少なくありませんが、またしても太っ腹なフリーダウンロードのライブアルバムがリリースされました。

レディオヘッド、ニューヨークでの1995年6月のライヴ音源を無料ダウンロードで公開
http://ro69.jp/news/detail/84523

アメリカの音楽雑誌「Paste Magazine」によって公開されたライブ音源。タイトル通り1995年の6月に、アメリカ・ニューヨークはトランプで行われたライブの模様を収録した音源だそうです。

1995年というと、ちょうど「The Bends」が3月にリリースされた直後。そのためもちろん、「The Bends」からの楽曲が多く演奏されています。RADIOHEADといえば、その後、エレクトロニカ方面に方向性が変わり、さらに最近ではダブステップの要素を多く取り入れたアルバムも発表していますが、この時期の作品は、ノイジーなギターサウンドを前面に押し出した、オルタナ系ギターロック。今となっては、この時期のライブ音源は、貴重な音源と言えるかもしれません。

アルバムは、決して音はいい訳ではありませんし、トム・ヨークの歌声が、前半、聴きにくい部分もあったりと、マイナス要素もあります。ただその一方、ギュンギュンとギターノイズを響かせるバンドサウンドは非常にアグレッシブで迫力がありますし、観客からの歓声やMCもパッケージした音源には、ライブの臨場感もちゃんとパッケージされています。

そして、今となってはなによりうれしいのが、最近ではほとんどライブで演奏されない名曲「CREEP」を収録されている点。楽曲がはじまった途端、歓声があがっている点、やはりこの頃から人気の高い曲だったんだなぁ、と思います。今だったら、もっと盛大な歓声があがっているかも。

そんな訳で、ファンならまず無条件でダウンロードしておきたいライブ音源。ダウンロードはこちらから↓
http://noisetrade.com/pastemagazine/pastecom-presents-radiohead-live

メールアドレスを入れると、ダウンロードサイトを示したメールが送付されてきます。

評価:★★★★★

RADIOHEAD 過去の作品
In Rainbows
The Best Of
ROCKS:Live In Germ
THE KING OF LIMBS
TKOL RMX 1234567

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名古屋圏フェス・イベント情報(7/5)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

7/5 主な更新
・まんまる音楽祭2013、伊吹の天窓2013 追加
・中津川THE SOLAR BUDOKAN 2013 第3弾出演者発表
・UP PARK CAMP2013~志摩レゲエ祭~ 終了

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報(7/5)"

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2013年7月 4日 (木)

この人気は続いていくのか?

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は、あの「原宿系」(?)アイドルが初の1位獲得。

まあ、彼女が「アイドル」かどうかは微妙な感じなのですが、きゃりーぱみゅぱみゅ「なんだこれくしょん」が、シングルアルバム通じて自身初の1位獲得となりました。初動売上は12万6千枚で、前作「ぱみゅぱみゅレボリューション」の7万1千枚より大きくアップ。ここ最近、シングルが順調に初動売上をあげていたのに対して、直近作「インベーダーインベーダー」ははじめて初動売上を落としましたが、アルバムは、前作から大きく初動がアップで、その人気を見せ付けました。ただ、正直、ネタ的にはそろそろ「飽き」がはじまりそうな頃。そういう意味では、これからが本当の勝負かも。

2位は韓国の男性アイドルグループSHINee「Boys Meet U」が入ってきています。日本でのリリースはこれが2作目。初動売上5万6千枚は、前作「THE FIRST」の7万1千枚よりダウンです。

3位には「Produced by Masaharu Fukuyama 『Galileo+』」がランクイン。タイトル通り、福山雅治プロデュースによる、フジテレビ系ドラマ「ガリレオ」の曲を収録したコンセプトアルバム。ドラマ主題歌のKOH+「KISSして」「恋の魔力」などももちろん収録されています。先日まで放送されていた「ガリレオ」の最新シリーズでは、キャスト変更が話題になったり、視聴率が20%に届かなかったりと、一時期に比べて少々陰りも見られましたが、サントラ盤のヒットを見る限り、まだまだ根強い人気を誇っているようですね。

続いて、4位以下の初登場ですが、初登場6位はClariS「SECOND STORY」がランクイン。顔出しはしない、女子高校生2人組という設定のアイドルグループ。タイトル通り、これが2枚目のアルバムですが、初動売上3万8千枚は、前作「BIRTHDAY」の5万3千枚よりダウン。

7位には、さだまさし「天晴~オール・タイム・ベスト~」が入ってきました。タイトル通り、グレープ時代の大ヒット曲「精霊流し」から、ご存知「関白宣言」「北の国から」などなど、代表曲をファン投票で選曲し収録した、文字通りのオール・タイム・ベスト。最近、ベテラン勢の「オールタイムベスト」が相次いでいますが、やはり彼も、CDがメディアとして存在しているうちに、という思いがあったのでしょうか。初動売上は3万7千枚。オリジナルの直近作「もう来る頃・・・」は初動1万枚だったので、さすがの大幅アップ。ちなみにさだまさしは過去、ベスト盤を出しまくっていて、直近では2007年に「さだまさしベスト3~讃」をリリースしていますが、この時は最高位129位という結果に。

初登場最後は10位。9mm Parabellum Bullet「Dawning」がベスト10入りです。約2年ぶりとなるアルバム。初動売上2万2千枚。前作「Movement」の初動2万6千枚より若干ダウンしてしまいました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2013年7月 3日 (水)

雨後のたけのこのような女性アイドルグループ・・・

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のヒットチャート、4位以下に女性アイドルグループがズラリと並んでいます。

ただし、そんな中の1位はジャニーズ系。1位はHey!Say!JUMP「Come On A My House」。馬飼野康二作曲による、まさにジャニーズ系の王道といったナンバー。ハウス「バーモンドカレー」CMソング。初動売上21万7千枚は、前作「SUPER DELICATE」の24万8千枚からダウン。前々作「Magic Power」と同水準に戻っています。

2位はEXILE TAKAHIRO「一千一秒」がランクイン。ミュージシャン名どおりなのですが、EXILEのメンバーTAKAHIROのソロデビュー作。EXILEのメンバーは、なんでソロデビューの時に「EXILE」とつけるのでしょうか。ま、それをつけないと、誰が誰だかファンじゃなきゃ全くわからないのですが。初動売上は8万3千枚。先にソロデビューした清木場俊介「いつか・・・」の5万2千枚より上、EXILE ATSUSHIの「MELROSE~愛さない約束~」の初動9万2千枚という結果。そこそこの健闘か?

3位はavexのダンスグループ、AAA「Love Is In The Air」がランクイン。いかにもサマーソングらしい爽やかなポップナンバー。初動売上4万7千枚は、前作「PARTY IT UP」の3万4千枚から大きくアップし、2作ぶりのベスト3入り。2012年の「Still Love You」以来の高水準は、ツアーチケットの予約権が封入されている影響か?

続いて4位以下の初登場ですが、まず4位に、アニメ「ラブライブ!」からのキャラソン、lily white「微熱からMistery」がランクイン。これが2枚目となるシングルで、前作「知らないLove*教えてLove」は最高位81位初動1千枚なので、初のベスト10ヒットで、かつ、初動1万5千枚は大幅アップ。

で、5位以下は、最近、雨後の竹の子のように出てきている女性アイドルグループがズラリと並んでいます。

先週1位だった5位NMB48「僕らのユリイカ」を筆頭に、6位BiS「DiE」、7位PASSPO☆ 「Truly」、8位Tokyo Cheer(2) Party「ガムシャラスピリッツ」がそれぞれランクインです。6位BiSと8位Tokyo Cheer(2) Partyは、それぞれ初のベスト10ヒット。BiS初動1万2千枚は、前作「BiSimulation」の最高位14位初動7千枚よりアップ、Tokyo Cheer(2) Party初動1万1千枚は、前作「RISE」の最高位11位初動1万枚より微増。PASSPO☆は、初動1万2千枚で、前作「サクラ小町」の1万5千枚より、こちらはダウンしています。

正直、個々のグループの内容云々以前の問題として、これだけ女性アイドルグループばかりが出てくる現状には、本当に辟易としています。確かにBiSとかは、ロックな楽曲で、普通のアイドルとは違う路線を目指そうとしていることはわかるんですが、最近は、そういう「違うテイスト」を狙ったグループすら、ありふれてきている感じが(苦笑)。

初登場はもう1曲。10位にダウト「恋アバき、雨ザラし」がランクイン。かなり狙った感じの歌謡曲路線が耳を惹くビジュアル系バンド。もうひとひねりするか、もっとベタベタな演歌路線に行けばもっとおもしろくなりそうな予感も。初動1万枚で、初のベスト10ヒット。前作「中距離恋愛」は最高位12位初動9千枚より若干アップしました。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2013年7月 2日 (火)

意欲作である2作目

Title:BE
Musician:BEADY EYE

リアム・ギャラガー脱退後のoasisのメンバーによって結成されたBEADY EYEの、2作目となるアルバム。前作「Different Gear, Still Speeding」は、いわばoasisのニューアルバムのような方向性を感じるアルバムでした。このまま「なんちゃってoasis」の路線を進むのか?そんな予感を抱く中リリースされたニューアルバムは、逆に「脱oasis」を感じさせるようなアルバムでした。

冒頭を飾る「FLICK OF THE FINGER」からして、リアムのうねるようなボーカルが特徴的な部分はoasisっぽいものの、ホーンセッションなどと取り入れることにより、どこかoasisとは異なる雰囲気を出しています。「FACE THE CROWD」にしても、アップテンポなギターロックながらも、サウンドは比較的軽い雰囲気で、明らかにoasisとは異なります。

その後の作品に関しても、ホーンセッションを取り入れたり、比較的、軽い雰囲気のサウンドながら、同時にどこかサイケデリックな雰囲気をかもしだしている曲調に。明確にいままでのoasisとは異なった路線を目指した作風に仕上がっています。

でもおもしろいのは、それらの曲に関しても、明確にリアムのボーカルを意識した作風になっている点。どこかねちっこさの残る作風は、リアムの声質にもピッタリ。ここらへん、やはり彼らが、リアム・ギャラガーという稀代のボーカリストをその強みと感じている点を、強く印象付けられました。

この「脱oasis」という方向性には文句ありません。でも、アルバム全体として、どうも地味で、楽曲的には凡作が続いてしまっています。前作も、どこかoasisのパロディーになっていて、メロディーセンスの悪さを感じたのですが、「脱oasis」を目指した結果、そのメロディーセンスの悪さが、如実にあらわれてしまった結果になってしまいました。

ある意味バンドとしての意欲作で、そういう意味では今度の成長に期待したいアルバム、と言えるかもしれません。ただ、そのためには超えなければならない壁は高そうな気がします。こうなることはある程度予想していたのですが・・・でも厳しいなぁ・・・リアムのボーカルは、何度聴いても魅力的なのですが・・・。

評価:★★★

BEADY EYE 過去の作品
DIFFERENT GEAR,STILL SPEEDING


ほかに聴いたアルバム

Noctoumiquet/The Mars Volta

今年1月、メンバーのセドリックが脱退し、事実上のラストアルバムとなってしまった本作。現代版プログレという言い方がふさわしい複雑なリズムにアレンジながらも、哀愁あるメロで聴きやすさも兼ね備えている点は、いつものThe Mars Voltaと同様。ただ、ここ最近の作品に比べると、少々サウンドに仰々しさを感じ、ちょっとはまれなかったかも・・・。

評価:★★★★

THE MARS VOLTA 過去の作品
The Bedlam In Goliath(ゴリアテの混乱)
OCTAHEDRON

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2013年7月 1日 (月)

「みんなのうた」カバーが絶品

Title:RADIO ONSEN EUTOPIA
Musician:やくしまるえつこ

相対性理論で人気を博し、様々なミュージシャンとのコラボレーションでも活躍している、相対性理論のボーカル、やくしまるえつこのソロアルバム。今回のアルバムで大きな特徴は一発録りであうということ。NHK-FM「やくしまるえつこ“みんなのクリスマスセッション"」での音源も収録され、スタジオ録音ならではの緊張感を覚える作品に仕上がっています。

ちなみに、スタジオ録音でのアルバムとはいえ、いままで発表したシングル曲も多く収録されており、アルバム発売を待ち望んだファンにとってはうれしい内容になっているのではないでしょうか。

ただ、これらのオリジナル曲に関しては、悪くはないけど・・・というのが正直な感想。基本的には相対性理論の延長線上のような曲調なのですが、初期相対性理論のような、記号化されたようなユーモラスな歌詞はなく、やくしまるえつこにあわせたような無機質っぽいメロディーは悪くはないけれど、相対性理論とあわせて聴くと、正直ちょっと飽きてきたかも・・・。

しかし、これらのオリジナルをおぎなって余りある出来の良さだったのがカバー曲。それも、NHK-FMでのセッションだったというのが大きな理由なのかもしれませんが、「恋するニワトリ」「メトロポリタン美術館」などのNHK「みんなのうた」のカバーが実に絶品。思い出補正の部分もあるのかもしれませんが、「みんなのうた」らしいポップで暖かい曲調と、やくしまるえつこのウィスパーボイスが意外とマッチして、絶妙なカバーに仕上がっていました。

彼女のボーカルといえば、そのウィスパーボイスから、無機質なイメージが強く、相対性理論にしても彼女のソロ曲にしても、そのボーカルにあわせたような無機質な雰囲気の曲が多いのですが、今回のアルバムを聴いて、実はむしろ「みんなのうた」みたいな暖かい雰囲気を持った曲の方が、彼女のボーカルに合うのでは?という感触すら抱いてしまいました。

また、彼女のボーカルも、ライブ録音ではっきりしたのですが、ウィスパーボイスながらもしっかりと芯のあるボーカルで、安定感があります。多くのミュージシャンに好かれ、コラボの相手とされる理由は、この意外といったら失礼なのですが、歌の上手さにあるんだろなぁ、ということも感じました。

楽曲自体の出来よりも、やくしまるえつこのボーカリストとしての実力を実感できたアルバム。個人的には、ソロ作では、相対性理論の延長のような曲よりも、「みんなのうた」みたいな、暖かみのある曲を歌ってほしいなぁ、ということを感じたソロ作でした。この経験、相対性理論の活動にはどのように生きるのでしょうか?今後も楽しみです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

あなたと見た夢 君のいない朝/柴田淳

前作では、70年代の歌謡曲カバーに挑戦した彼女。結果、傑作のカバーアルバムがリリースされました。今回の作品はその影響ということなのでしょうか、全編、その70年代の歌謡曲からの影響を強く感じられるような、哀愁たっぷりに聴かせるナンバーになっていました。ただ、その結果、和風なメロでしんみり聴かせるという、似たようなパターンの曲の連続。1曲1曲は悪くないのですが、アルバムを通して聴くと、正直、単調な仕上がりになっていたように感じます。ちょっと残念な作品でした。

評価:★★★

柴田淳 過去の作品
親愛なる君へ
ゴーストライター
僕たちの未来
COVER 70's

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