B'zの歴史
そろそろ「何枚目?」とも言いたくなってくるのですが・・・デビュー25周年を迎えて、B'zのベストアルバムが、発売されました。今回の特徴は、シングルを発売順にすべて収録した、シングルコレクションという点。さらに、初回盤にはPVを収録したDVDまでついています。
Title:B'z The Best XXV 1988-1998
Musician:B'z
こちらは、初期の作品をおさめたアルバム。デビューシングル「だからその手を離して」から25枚目「HOME」まで収録した作品。人気的にはピークにあったころのシングルが多く、この頃にファンになった、という方や、「懐かしい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
Title:B'z The Best XXV 1999-2012
Musician:B'z
こちらは、26枚目「ギリギリchop」から、最新シングル「GO FOR IT, BABY -キオクの山脈-」までを収録したベスト盤になっています。
で、B'zというと、「ロック」を標榜していながら、これだけロックメディアに完全なまでに無視されています。確かに彼ら、ロックミュージシャンという枠組みで考えると、その評価がいまひとつという点はわからなくもありません。以前のB'zのベストにも書いたのですが、彼らの大きな特徴は、ギターとボーカルだけのユニットで、ロックの「ロックらしい」部分のみを抽出している点。その結果、実に「ロック」らしい曲を書き上げているのですが、ロックの魅力である、バンド全体から伝わるようなグルーヴ感は、彼らから感じることは出来ません。
他にもメロディーがあまりに歌謡曲的で、ベタすぎる点(かといって、クレイジーケンバンドみたいに、意欲的に「昭和歌謡」を模索しているわけでもない点)や、ハードロック風のサウンドながらも、その向こうにあるルーツがいまひとつ見えてこない点(彼らのパクリが批判される理由もこれが大きな要因に思います)など、確かに私も、B'zが実力あるロックミュージシャンであるかどうかと言われれば、ちょっと違うよね、という感想を持っています。
しかし、彼らをポップミュージシャンあるいはエンターテイナーであると考えた時、彼らの音楽は実に魅力的。ロックという枠組みではマイナスになるような、先にあげた要素が、そう考えると、180度変わり、彼らの大きな魅力となってきます。ロックミュージックのロックらしいところだけつまみ食いした「わかりやすい」作風に、J-POP王道ともいえるベタなメロ。これらの要素は、ゴチャゴチャ難しいこと抜きとして、聴いていて楽しい、そんな曲を産み出しています。
実際、その「1988-1998」に関しては、個人的な思い出補正もあるものの、今聴いても、とても楽しめる曲ばかりでした。特に、今回のベスト盤ではシングル曲が発売順に並んでいるだけあって、彼らの変遷がよりよくわかるのが大きな特徴。デビュー当初は、今聴くと、完全にTM NETWORKのロック版という立ち位置からスタートしたんだなぁ、ということがわかりますし、それが「LADY NAVIGATION」「BROWIN'」あたりで急速に個性を獲得していったことがわかります。
B'zのシングルで、一番売上があったのが、93年のビーイング系ブームの真っ最中にリリースされた「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」でしたが、今から聴くと、売上面だけではなく、彼らの勢いという点でもこの時期がピークだったような気がします。ある意味、B'zらしさが確立されたのがこのあたり。その後もしばらくは、全英語詞の「Real Thing Shakes」だったり、サビがギターソロという挑戦的な試みをしている「Calling」だったり、実験的な作風も目立ちます。
ただ、その後、このアルバムで言えば「1999-2012」の頃の作品に関して言えば、ちょっと厳しいなぁ、の一言。完全にB'zらしさにはまってしまって、マンネリに陥ってしまっています。大いなるマンネリといってしまえばそこまでですし、その路線でも悪くはないのですが、どうも大いなるマンネリになりきるだけの覚悟も感じられず、完全に自己パロディーのような状況になっているようにも感じます。今回のベスト盤には新曲も収録されているのですが、これらの曲に関しても「悪くはないんだけど・・・」と煮え切らない感想を抱いてしまうのが、悪い意味で今のB'zらしさを感じてしまいます。
そんな訳で、「1988-1998」は文句なしにお薦め。「1999-2012」は気になったのなら・・・といった感じ。今後の彼らの活動に関しては、ちょっと不安要素も多いのですが・・・。とりあえず、B'zの歴史を知るにはもってこいのベスト盤です。
評価:
1988-1998 ★★★★★
1999-2012 ★★★★
B'z 過去の作品
ACTION
B'z The Best "ULTRA Pleasure"
B'z The Best "ULTRA Treasure"
MAGIC
C'mon
B'z-EP
ほかに聴いたアルバム
The Alchemist/ART-SCHOOL
5,000枚限定でのリリースとあるART-SCHOOLのミニアルバム。「フローズン ガール」みたいに、ポップな曲調で、タイトルからして、どこかBase Ball Bearっぽい、いままでの彼らにしてみればユニークな作風の曲もあるのですが、全体的にはいつも通りのART-SCHOOL。正直、可もなく不可もなくといった感じ・・・。
評価:★★★★
ART-SCHOOL 過去の作品
Ghosts&Angels
ILLMATIC BABY
14 SOULS
Anesthesia
BABY ACID BABY
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