奥に秘めたパワー
Title:反面教師
Musician:伊吹留香
本作が、メジャーデビュー作となる女性シンガーソングライター。実は、彼女、以前、私のサイトによく遊びに来てくださっていて、私も昔、彼女のライブに足を運んだり、実際にお会いしたこともあったりして。今回、メジャーデビューということで、音楽雑誌などでも比較的大きく取り上げられたりしていたのには、ちょっとビックリ。もちろん、さっそく購入して聴いてみました。
まず、このアルバムで耳を惹いたのが、かなりブルース、あるいはハードロック色の強いサウンドでした。「Warm Up」や「惚れ込め詐欺」などは、かなりブルース色の強いナンバーですし、「それだけは確か」では、ゴリゴリのギターリフは、まさに王道のハードロック。昔見た彼女のライブでは、確かにハードロック色の強いサウンドを感じたのですが、正直、これだけブルース色が強いアルバムになるというのは、ちょっと意外にも感じました。
ただ、アルバム全体の雰囲気としては、このブルースやハードロック色を前面に押し出した作品というよりも、むしろ、シンプルに歌詞やメロディーを聴かせる構成になっていたように思います。そのため、メロディーにしても、彼女の歌い方にしても比較的シンプル。より歌詞を聴かせようとする意向があったように感じました。
CDの帯にも「昭和」っぽい雰囲気が、イメージみたいに謡われています。ミュージックマガジンの記事によると、彼女自身、ちわきなおみや浅川マキ、中島みゆきをフェイバリットにあげているそうで、確かに「夜を行く性」では、そのムーディーな雰囲気は、そんなミュージシャンたちの影響を感じます。ただ、この点に関しても、「昭和」というイメージを、あまり強く押し出している訳でありません。あくまでも「歌」を聴かせる、という点が主眼にあるように感じました。
で、その歌なのですが、比較的、癖のないシンプルなボーカルのため、最初はさらりと聴けてしまう印象を受けます。ただ、じっくりと聴くと、かなり楽曲自体に秘めた力のようなものを感じました。そのもの「生きる」ことについて歌った「Warm Up」のような曲はもちろん、ラヴソングにしても、非常に強い情熱のようなものを感じ、楽曲の奥に秘めた力を感じます。
全体的には、比較的シンプルな構成になっているのですが、それだけではない、深い部分に彼女の主張も感じるアルバムでした。評価は応援の意味も込めてといった感じなのですが、どうしても必要以上に情熱的なボーカルを押し付けるタイプの多い女性シンガーソングライターの中で、彼女のように、シンプルなボーカルだけど、その奥に力を秘めているタイプは貴重な存在かも。これからの活躍も期待したいです!
評価:★★★★★
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