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2013年6月 8日 (土)

吹っ切れた傑作

Title:More Light
Musician:Primal Scream

Primal Screamといえば、ご存知2000年に大傑作「XTRMNTR」が大きな話題となりました。しかし、それ以降もコンスタントにアルバムのリリースを続けた彼らですが、その「XTRMNTR」を超える傑作はリリースされませんでした。どのアルバムも、どこか「XTRMNTR」の影を追い求める作品、または、こじんまりとした普通のギターロックのアルバムに留まってしまっていました。その典型的だったのが前作「Beautiful Future」。タイトルとは裏腹に、彼らの美しい未来が、どうにも見通せないアルバムになっていました。

しかし、前作から5年、彼らにしてみたら長いインターバルの末発売された最新アルバムは、ファンとしては「やった!」と叫びたくなるような傑作をリリースしてくれました。

まず冒頭を飾る「2013」。サイケでスペーシーなサウンドは、どこか傑作「screamadelica」の雰囲気を受け継いだようなナンバー。グイグイと惹き込まれる勢いあるナンバーになっています。9分にも及ぶ長大なナンバーですが、まったくダレル気配もありまん。歌詞も強烈。

"What happend to the voices of dissent?
Getting rich I guess
Become part of the establishment
Power corrupts the best"

(邦訳 「国教に反対する者たちの声」はどうなった?
たぶんやつらは裕福になったんじゃないかな
「権威」の一部になる
「権力は腐敗する」んだよ どこまでも)
(「2013」より Written by Gillespie/Innes 邦訳 伊藤英嗣)

と、あいかわらず権力に中指立てる姿勢は変わりません。

今回の作品、これだけの傑作になったのは、吹っ切れてしまったから、というのが大きな理由のように感じます。実際、このアルバムに収録されている曲は、実に様々なタイプの曲が収録されており、まさに彼らが好き勝手に、やりたい音楽を演ったように感じられます。

エスニックな雰囲気のある「RIVER OF PAIN」、シューゲイザー色の強いロックンロールナンバー「HIT VOID」、和風なストリングスが耳を惹く「SIDEMAN」に、ムーディーな「GOODBYE JOHNNY」とバリエーション豊富な作風が展開されていきます。

そんな中で、ライブで特に盛り上がりそうなのが、中盤の「INVISIBLE CITY」。ホーンセッションも取り入れたパンキッシュなナンバー。ロンドンの現状を皮肉った歌詞も彼ららしくてユニーク。さらに終盤「IT'S ALRIGHT,IT'S OK」。タイトル通り、前向きで明るいポップナンバー。サビは、みんなでシンガロングで盛り上がりそう。

そんな音楽的に幅の広い作風になりながらも、でもどこかアルバム全体にPrimal Screamらしさを感じられ、緩くまとまっているように感じるのも不思議。もっとも、Primal Screamといえば、アルバム毎にタイプの異なる作品を次々リリースしてきただけに、同じタイプで小さくまとまったアルバムよりも、こういう様々なタイプの曲を好き勝手に収録したアルバムの方が、彼ららしさを感じるのかも?

その結果、アルバム全体としては70分を超える大作になってしまった今回のアルバム。でも、これだけバラエティー富んだ作風のため、最後まで飽きることはありません。「Screamadelica」「XTRMNTR」と並ぶ、Primal Screamの傑作アルバムが誕生したと思います。デビューから25年以上のベテランバンドの彼らですが、その勢いはまだまだ続きそうです。

評価:★★★★★

primal scream 過去の作品
Beautiful Future
Screamadelica 20th Anniversary Edition

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