名実ともに人気バンドへ
Title:Modern Vampire Of The City
Musician:VAMPIRE WEEKEND
ここ最近、アメリカではインディーロックバンドの活躍が目立ちます。え?このバンドも?と思うようなミュージシャンが、ビルボードチャートの上位に顔をのぞかせ、ビックリすることも少なくありません。ただ、そんな活躍著しいインディーバンドの中で、おそらく頭ひとつ抜けた感じなのが、彼ら、VAMPIRE WEEKENDではないでしょうか。2ndアルバム「Contra」でチャート1位を獲得。このアルバムも、13万枚を売上げ、2作連続アルバム1位を記録。アメリカを代表する人気バンドになりつつあります。
人気面でアメリカを代表するバンドになりつつある彼らですが、前作「Contra」までは、そのサウンドはいかにもインディーバンドのそれといった雰囲気でした。音的に絞ったバンドサウンドに、トライバルなリズムは非常にシンプル。スタジアムよりもライブハウスが実に似合いそうなサウンドが特徴的なバンドでした。
そんな人気を反映したから、という訳ではないと思うのですが、3作目となった今回のアルバムは、バンドとして一回り大きくなったように感じます。冒頭を飾る「OBVIOUS BICYCLE」は、ピアノを使ったメロウなサウンドは、いままでの彼らとはちょっと違ったものも感じますし、続く「UNBELIEVERS」も、彼ららしいメロディアスなポップソングなのですが、その美メロは、どこか垢抜けたものも感じます。
他にも、ストリングスで壮大にまとめている「DON'T LIE」だったり、ちょっとホラーテイストの「HUDSON」だったり、いままでの彼らの作品とはちょっと異なるような、スケール感があったり、サウンドの広がりを感じたりする楽曲が並んでいます。
ただ、だからといってVAMPIRE WEEKENDは売れてしまって、変わってしまった・・・・・・・という訳ではありません。例えば「DIANE YOUNG」にしろ「FINGER BACK」にしろ、シンプルなサウンドと軽快なリズムが、実にVAMPIRE WEEKENDらしいナンバー。他の曲にしろ、確かにスケール感はあるのですが、決して過剰なサウンドメイクになった訳ではなく、決してこれでもかと、音を塗りたくるようなスタジアムバンドになった訳ではないのでご安心を。アルバム全体的にはポップなメロと軽快なリズムの曲が並んでいるので、いままでの彼ららしさを求めるファンにも納得いくアルバムだったと思います。
VAMPIRE WEEKENDの良さを残しつつ、新たな一歩を踏み出したアルバム。そういう意味では、まさに名実ともに、アメリカを代表する人気バンドへ踏み出したアルバム、ともいえるかもしれません。彼らの成長を感じる、これからがますます楽しみになってくる新作でした。
評価:★★★★★
VAMPIRE WEEKEND 過去の作品
VAMPIRE WEEKEND
CONTRA
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