インドネシアの音楽
Title:インドネシア音楽歴史物語
今回紹介するアルバムは、タイトル通り、インドネシアの大衆音楽、それも1920年代から60年代の音源を集めた2枚組のアルバムです。音楽評論家の田中勝則氏が、「レコード学」という意味のレーベル「ディスコロヒア」を立ち上げ、そこからリリースされる第1弾アルバムだそうです。レーベル名やアルバムタイトル通り、インドネシアの大衆音楽を学ぶ目的で楽しめるアルバムといった感じでしょうか。
インドネシアの大衆音楽で、人気があるのはクロンチョンというジャンルだそうです。今回のアルバムも、このクロンチョンの曲がほとんど。クロンチョンという曲に関しては、Wikipediaでは、以下のように説明されています。
クロンチョン(Kroncong)は、インドネシアを代表する大衆音楽のジャンルである。演奏は、男性(or/and)女性歌手に伴奏楽器としてフルート、ヴァイオリン、チェロ、ギター、ベース、チャッ、チュッ(弦3本の小型ギター)が加わり、打楽器は使用されず、弦楽器だけでリズムを作るのが特徴である。
いわゆるリズム楽器がなく、ストリングスやフルートがサウンドのメインになっているため、優しい音感になっているのが特徴的。メロディーや歌詞に主眼が置かれたようなポップスに仕上がっています。
さて、そんなインドネシアのクロンチョン。日本ではほとんどなじみのないジャンルなだけに、とっつき難い印象を受けるかもしれません。しかし、実際には、全く逆。哀愁たっぷりに歌われるメロディーライン主導の音楽性は、むしろ歌謡曲っぽい部分を強く感じました。イメージとしては、昭和30年代あたりの、歌謡曲黎明期の日本の流行歌に雰囲気がかなり近いものがあります。
よくよく考えれば、インドネシアはかつて日本の植民地でもあったことがあった訳で、このアルバムでも、日本で植民地時代に紹介、販売された音源から収録された曲もあり、日本の大衆音楽と相互に影響しあった部分もあるのかもしれません。
また、他国の様々なジャンルの音楽を貪欲に取り込んでいるのも特徴的。ジャズやハワイアン、ラテン、さらに時代が下った作品ではロックからの影響を感じる作品も。そういう良くも悪くも節操のなさも、歌謡曲と同じものを感じます。
そういう意味では、ワールドミュージックというジャンルに難解さを感じることなく、日本のポップスを聴く感覚と、同じように楽しめるアルバムだったと思います。インドネシアという国は、国としては日本でも比較的なじみのある国かもしれませんが、音楽というと、なかなか知られていない感じ。かくいう私も、今回、このアルバムでインドネシアの音楽にはじめて触れたのですが、日本にもなじみやすい音楽が楽しめました。これを機に、興味のある方は是非。
評価:★★★★★
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