30年を超えて今でも
Title:ZOOEY
Musician:佐野元春
企画盤などのリリースはあったものの、オリジナルアルバムとしては「COYOTE」以来、約5年9ヶ月ぶりとなるニューアルバム。前作同様、深沼元昭や高桑圭らが参加したTHE COYOTE BANDをバックに率いての演奏となっています。
前作「COYOTE」も、この新しいTHE COYOTE BANDによって、若々しさを感じられる勢いある作風に仕上がっていましたが、今回のアルバムも、デビュー30周年というベテランとは思えないような、若々しさと勢いのある作品になっていたと思います。例えば「ビートニクス」のような、今回のアルバムでは、特に分厚いギターロックを奏でる作品が多く、いわゆるオルタナ系ギターロックが好きな方にとっては、壺にはまるような音が多いのではないでしょうか。
一方では「君と一緒でなけりゃ」のような、ソウル風でちょっとファンキーな作品などもあったりもして、ベテランらしい安定感もアルバムの随所で感じられます。前作「COYOTE」でも感じたのですが、まるで若手のような瑞々しさと、ベテランとしての風格を同時に兼ね備えたような内容で、まさに佐野元春でしかつくれないようなロックのアルバムといった感じでしょうか。
また、若々しさという意味では、かなりストレートで暖かいラブソングを、惜しげもなく歌っているのも今回の特徴。タイトルそのままな「君と一緒でなけりゃ」や「愛のためにできたこと」など、愛の力について、素直に歌ったような歌詞が目立ちます。また、「世界は慈悲を待っている」や「虹をつかむ人」のような、明るい未来を指し示したような前向きな曲も多かったような印象も受けました。
それはもちろん、ここ最近の能天気な前向きJ-POPのような、お気軽応援歌では決してありません。おそらく混沌とした今の世の中だからこそ、その中で見える希望を懸命に歌ったのではないでしょうか。そこに、彼の優しさが垣間見れるような、そんな作品でした。
ここ最近のアルバム、特に私がリアルタイムで聴いたアルバムの中では、一番の出来だったかも?依然としてロックミュージシャンとして最先端で活躍を続ける彼の魅力を、存分に感じたアルバムでした。
評価:★★★★★
佐野元春 過去の作品
ベリー・ベスト・オブ・佐野元春 ソウルボーイへの伝言
月と専制君主
ほかに聴いたアルバム
キノコホテルの逆襲/キノコホテル
メンバーチェンジ後初となる6曲入りのミニアルバム。東京ブラボーやカルメン・マキの曲を取り上げたカバーアルバムなのですが、その選曲はかなりマニアックなので、原曲は知らない曲ばかり(^^;;それなので結果、キノコホテルのオリジナルのように楽しめてしまう内容になっています。結果は、いつも通りの歌謡ガレージロック。ちょっとどこまでキノコホテルの解釈が出ているのか、わかりずらいのが玉に瑕・・・。
評価:★★★★
キノコホテル 過去の作品
マリアンヌの憂鬱
マリアンヌの休日
クラダ・シ・キノコ
マリアンヌの恍惚
マリアンヌの誘惑
DEBF3/小室哲哉
小室哲哉のソロアルバム「Digitalian is eating breakfast」シリーズの第3弾。2枚組のアルバムで、1枚はソロ作、もう1枚はライブストリーミングチャンネル「DOMMUNE」でのライブの模様を収録したライブアルバムになっています。
ソロ作の方は、特にひねりもない、最近はやりのEDM。ただ、一昔前の彼なら、無理に最先端の音を取り入れようとして、結果、どうにもつまらない作品が出来ていたところでしょうが、今の彼はいい意味で肩の力が抜け、変に凝らない、ポップで聴きやすい内容に仕上げてきています。最近、楽曲提供なども積極的に行っている彼ですが、再び小室作品がヒットを飛ばす日も遠くないかも?
ライブ盤は既存曲のアレンジ。こちらは既存曲をひねくりまわしている曲も多く、タイトルから期待するような高揚感がなくなってしまった曲もあり、そういう意味ではちょっと残念な部分が。まあ、単なる過去の曲をつないだDJ盤ではなく、過去の曲をリアレンジした作品、ということなんでしょうが。
評価:★★★★
小室哲哉 過去の作品
Digitalian is eating breakfast 2
Far Eastern Wind-Complete
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2013年」カテゴリの記事
- 9年ぶりのオリジナル(2014.03.14)
- 削除クロース(笑)(2013.12.28)
- 音楽シーンへの憤りも感じる(2013.12.27)
- 脱EDM(2013.12.20)
- やさしくなりたい(2013.12.17)
コメント