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2013年5月26日 (日)

日本のロックシーンに大きな足跡を残したバンド

Title:BOOWY THE BEST "STORY"
Musician:BOOWY

90年代の日本のロックシーンにおいて、おそらく最も影響を与えたバンドが2組あります。ひとつはザ・ブルーハーツ。パンクというジャンルを一気にメジャーなものに押し上げた彼ら。いまなお、多くのミュージシャンがリスペクトし、彼らに影響を受けたパンクバンドが、今でも生まれ続けています。

そして、もう一組が、BOOWYでしょう。ビートロックというジャンルを打ちたて、間違いなく、彼らのロックミュージックは、その後のJ-POPのスタンダード路線となっていきます。こちらも今でも、BOOWYから続くビートロックを奏でるミュージシャンは続々とデビューしています。

ただ、音楽メディアやロックリスナーへの取り上げ方は両者で微妙に異なっています。ザ・ブルーハーツが無条件で高い評価を受けているのに対して、BOOWYの立ち位置は少々微妙なものが。もっとも、その理由は、今回リリースされたベスト盤を聴いて、わかります。BOOWYが、ロックリスナーから受け入れられにくい点としては、やはりメロディーが歌謡曲的過ぎること。また、氷室京介のナルシスティック歌い方も拒否感があるのかも。そこらへんをひっくるめて、BOOWYは、ロックバンドとしては、少々「芸能」的すぎる部分があるのは否定できません。

もっとも、今回のベスト盤を聴いて再認識したのは、その一方で、意外といったら失礼なのですが、そのビートが、様々なジャンルからの影響を感じた点でした。BOOWYフォロワーのビートロックバンドは、スクエアなビートばかりで少々退屈に感じられるのに対して、「BABY ACTION」ではスカ、「BAD FEELING」ではファンクなどのリズムも取り入れており、イメージしていた以上にバラエティー富んだリズムと骨太のバンドサウンドを聴かせてくれ、ロックバンドとしての土台の強さを感じました。

個人的にはBOOWYのイメージとしては、どちらかというと、高校の頃のカラオケの定番。特にこのアルバムにも収録されている「B-BLUE」「ONLY YOU」は、カラオケへ行けば、誰かが必ず歌っていたナンバー。聴いていて、ノスタルジックな感傷がこみ上げてきました。

正直なところ、BOOWYはロックか否か、という議論以前に、やはり聴いていて純粋に楽しめる、いい曲が多いよなぁ、というのが、このベスト盤を聴いた感想。なんか、単純すぎる意見かもしれませんが・・・。確かに、歌謡曲的な部分が強すぎるのは否めないものの、この歌謡曲なメロと、ロックを融合させたという点こそが、おそらくBOOWYの最大の魅力であり、また、ロックという音楽が、お茶の間レベルで日本に浸透した瞬間でもあるのでしょう。

そういう意味でも、好き嫌いはありそうですが、BOOWYというバンドは、日本のロック史に大きな足跡を残したミュージシャンである点、間違いないでしょう。今の若い人たちにも、J-POP好きなら、とりあえずは、まず「教養として」聴かなくてはいけないベスト盤です。

評価:★★★★★

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アルバムレビュー(邦楽)2013年」カテゴリの記事

コメント

BOOWYに関しては自分がJ-POPをはじめ音楽を意識するようになった頃にはヒムロックや布袋氏等が既にソロミュージシャンとしての地位を確立して久しく、自分より上の世代のバンド(リアルタイムのギリギリなラインは現在の40代前半)という認識でした。一応そういうバンドが存在した事は知識として知っていましたが、ちゃんと楽曲を聴くようになったのは1998年に初のベストアルバム「THIS BOOWY」が出た時だったりします(このベストアルバムも当時大ヒットしていましたね)。

今回のベストもレンタルして聴きましたが、個人的にはノスタルジックというよりは今聴いても純粋に格好良かったり、じっくり聴かせるしっかりしたメロディーの楽曲という印象を持っています。構成としてもアルバム「MORAL」、「INSTANT LOVE」の下積み的な時期から東芝EMI移籍後の飛躍~充実~解散までが年代順となっており、音楽的な進展も鑑みる事の出来る内容であると思いました。
自分にとってのBOOWYの楽曲の印象、楽曲によってはシンセサイザーのデジタルな音も上手く使われているものもあったりしてバンドサウンドをベースにしながらも色々なアプローチをしていたという感すらあり、ゆういち様がおっしゃられているバラエティーに富んだリズムという事にも同感です。他にもBOOWYの楽曲については、多くのフォロワーを生み出したようにミュージシャン志望の男子にとっては格好良く演奏してみたいという願望を抱くだけのインパクトもあるとも言えるのでしょう。残念ながら私は楽器演奏が下手過ぎてそういう事も出来ないままですが・・・・・。

本ベストアルバムはBOOWYのメジャーデビュー30周年の一環でのリリースですが、そういえば今年はヒムロックと布袋氏の両名もソロデビューから25年で四半世紀ソロミュージシャンとして第一線で活躍されてきたという事になるのですね(布袋氏の場合は初期に吉川晃司氏とのユニット「COMPLEX」もありますが)。こちらもこちらで凄い事に感じますが、こういった事もBOOWYの日本のロック・ポップスシーンにおける存在感を際立たせて伝説感を高めているとも言えるのではないかとも思ったりもします。

90年代の日本のロックシーンにてBOOWYはブルーハーツと並んで影響を与えたとありますが、個人的には故・尾崎豊氏も含まれるんじゃないかと思ったりもします。尾崎氏に関してはBOOWYとほぼ同時代に人気を博していたという印象もあるのですが、BOOWYと尾崎氏を比較すると音楽的な方向性でも全然違うものでありながらもカリスマ的なイメージを持った存在という点では共通しているものがあると感じています。しかしながら現代の若者世代においては尾崎氏の神通力は薄れてきている感すらあるのですが・・・・・、物心ついた時には既に故人という事もあるのでしょうか。

投稿: MoTo | 2013年6月19日 (水) 00時53分

>MoToさん
ご感想、どうもありがとうございます。バンドサウンドをベースに様々な挑戦をしているという点は、私も同感です。また、その後の氷室京介と布袋寅泰の活躍の影響も大きいでしょうね。バンドが解散した後、そのメンバーのうち2人以上がソロで第一線で活躍し続けているという例は、BOOWYくらいではないでしょうか?
また、確かに尾崎豊もあの時代を象徴するミュージシャンのひとりですね。ただBOOWYやブルハは、音楽的にフォロワーを多く生み出し、時代を超えた人気を博しているのに対して、尾崎豊には、あまりフォロワーはなく、どちらかというとその時代に殉じたミュージシャンというイメージがあります。そういう意味では、BOOWYやブルハというよりも、例えばおなじくあまりに80年代すぎるイメージのある渡辺美里あたりと並ばれる感じかもしれません。

投稿: ゆういち | 2013年7月 1日 (月) 00時16分

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