メロディーラインが前面に
Title:OVERGROWN
Musician:JAMES BLAKE
デビューアルバム「JAMES BLAKE」が、大きな評判となったイギリスの男性ミュージシャンのソロ2作目。特にセルフタイトルになった前作は、流行のサウンドであるダブステップを取り入れつつ、聴かせるポップなメロディーラインが幅広い層にアピールできるような、実験性とポピュラリティーを兼ね備えたアルバムで、各国の音楽メディアで、軒並み年間ベストの上位を飾るなどの話題作となりました。
今回のアルバムも、基本的にはそんな前作を踏襲。「I AM SOLD」や「LIFE ROUND HERE」などのように、音数を絞ったサウンドの中、静かにビートが鳴り響き、そしてその中を流れるメロディーラインは、とても美しくメロウ。前作で感じたJAMES BLAKEというミュージシャンの魅力を感じることが出来ます。
ただ一方で、実験性とポピュラリティーがちょうどよくバランスされていた前作に比べると、少々、実験性の方が後退してしまったかなぁ、という印象を受けます。リズムのタイトさは少々薄まり、かわりに独特の浮遊感が残ったサウンド。そしてそれよりも目だったのが、より前面に出てきた、彼の書くメロディーラインでした。
あらためて、JAMES BLAKEのメロディーラインだけを取り出すと、最初の印象よりも、かなりフォーキーなんだなぁ、という点に気がつかされます。それに、彼のファルセット気味の高音ボイスがのっかかることにより、とても美しいメロディーを聴かせてくれるのですが・・・その結果、思い出してしまったのが、こちらも話題のミュージシャン、Bon Iver・・・(^^;;「DLM」あたりなんて、まるっきりBon Iverだよなぁ・・・。
いや、内容としては決して悪くありません。音のバリエーションは本作の方が増えていますし、前作とは異なる新たな一歩も感じます。ただ、聴いていて刺激的だったのは断然前作。ちょっとおとなしくまとまっちゃったかなぁ、という印象も残した2作目でした。
評価:★★★★
JAMES BLAKE 過去の作品
JAMES BLAKE
ENOUGH THUNDER
ほかに聴いたアルバム
Voice Of Ages/The Chieftains
1962年結成というから、昨年で結成50周年を迎えたベテランバンド。アイルランドの伝統音楽を、ロックやポップス風にアレンジした先駆的なバンドで、グラミー賞も何度か授賞したこともあるバンドです。
フォーキーなポップスが軽快でとても楽しい楽曲が並んでいます。アイルランドの伝統音楽の、庶民が作り出した土着っぽいメロディーやサウンドの匂いはそのまま残しつつ、いい意味で聴きやすくまとめています。多分、ライブとか、すごく楽しいんだろうなぁ、とアルバムを聴いていても感じることが出来る作品でした。
評価:★★★★★
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