フランス人チェリストによる「和」のライブ
Title:「序破急」リリースライブat六本木スーパーデラックス
Musician:Gaspar Claus
今回紹介するアルバムは、またもフリーダウンロードのアルバム。フランスのチェリスト、ギャスパー・クラウスのライブ盤。もともと、このフリーダウンロードを知ったのは、このニュース記事がきっかけでした。ギャスパー・クラウスについては、名前も全く知らなかったのですが、このライブにはジム・オルークや灰野敬二、友川カズキらが参加しているという豪華なゲストが気になって、聴いてみました。
彼、ギャスパー・クラウスは1983年生まれのチェリスト。前衛的なサウンドが特徴的だそうで、このライブにも参加した友川カズキのドキュメンタリー映画「花々の過失」にも出演したそうです。また、2012年からは、アメリカのインディーロックバンド、The Nationalのツアーメンバーとしても参加しているそうです。今年2月にはアルバム「序破急」をリリース。今回のライブは、そのリリース記念ライブ。アルバムには、このライブに参加したミュージシャンの他、坂本龍一も参加しており、豪華な面子が話題となっています。
さて、このライブ盤。最初、静かにはじまったかと思いきや、いきなり和太鼓のリズムからスタートします。ライブに参加するゲストからしても予想はしていたのですが、決して一般的にイメージされるクラシカルなチェロのアルバムではありません。むしろ、ライブ全体、「あれ?チェロはどこ?」と思うような部分もありました(^^;;
今回のライブの元となったアルバムタイトル「序破急」は、もともとは、日本の伝統音楽における構成様式だそうで、そのため、ライブ全体を通じて、非常に日本的なイメージの強い展開になっています。冒頭の和太鼓もそうですが、9分あたりには、三味線の音に、詩吟を思わせるような人の声も入っており、なんの情報もなく聴けば、フランス人ミュージシャンによるライブとは、誰も気がつかないかもしれません。
前衛的なサウンドを指向しているようで、ライブ全体としては、フリージャズ的な雰囲気を強く感じます。ただ、非メロディー的なごちゃまぜの音がハードに鳴り響くのではなく、緊張感ある雰囲気の中、最小限の音のみ鳴り響く構成なので、フリージャズにあまり馴染みのない私でも、比較的、壺は抑えやすかったように感じます。また、和風な雰囲気も、日本人にとってはなじみやすい大きな要因でしょう。
後半24分あたりからクライマックスに入るのですが、これがまた圧巻。静寂の雰囲気が一気に破れ、チェロはもちろん、サックスやドラムもくわわり、カオスなサウンドが繰り広げられます。ただ、それでも音で埋め尽くすというよりも、必要最小限な音で構成され、隙間も感じられるサウンドで、そのため、フリージャズ的でありながらも、比較的聴きやすかったように思います。もっとも、途中で入る「奇声」は、ちょっとひいてしまいましたが・・・。
そんな訳で、まあちょっと好き嫌いはわかれそうではあるものの、ゲストの名前に惹かれるような方は、要チェックかも。タイトル下に埋め込んだ動画でもフル試聴が出来るほか、ダウンロードはこちらまで。ダウンロード期限はいつまでかわかりませんが、興味ある方はお早めに。
評価:★★★★
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