エレクトロサウンドにも挑戦
Title:TALE
Musician:SALIF KEITA
アフリカ音楽と現代音楽を融合させ、世界中で大きな支持を集めている、マリ出身の男性シンガーソングライター、サリフ・ケイタの最新アルバム。海外では昨年リリースされたようですが、国内盤がよくやくリリースされました。
前作「LA DIFFERENCE」が素晴らしかったので、最新アルバムがCD屋で並んでいるのを見つけて購入しよう・・・と思ったのですが、少々迷ってしまいました。というのも、事前にネット上で評判を調べる限り、決して芳しいものではなかったからです。
その芳しくない最大の理由は、このアルバムのプロデュースワークである模様。今回のアルバムは、フィリップ・コーエン・ソラルというフランス人のプロデューサーによりプロデュースを手がけているのですが、その結果、サウンドが、エレクトロテイストのサウンドがメイン。非常に明るく、クリアになっています。よくも悪くも都会的な音づくりといった感じなのでしょうか。その結果、アフリカ音楽独特の泥臭さが、薄れてしまったようにも感じます。
確かに、そういう意味では、前作などに比べると、私も少々物足りなさを感じました。ただ一方、このスタイリッシュとも取れるような音作りは、サリフ・ケイタ自身の、新たな可能性を望んでの挑戦のようにも感じられます。エレクトロテイストのサウンドも、いわば「今」を追って追及されたサウンド。その結果は、残念ながらサリフ・ケイタの良さも、少々削いでしまうような気もするのですが、彼のミュージシャンとしてのスピリッツも強く感じられました。
もちろん、「SAMFI」みたいに、アフリカ音楽らしいパッションあふれる作品もあったり、「NATTY」みたいに、子供が歌う切ないメロディーラインが実に印象的な作品もあったり、聴かせる曲も少なくなく、残念ながら前作を上回らなかったのですが、十分楽しめる作品にはなっていたと思います。今回の挑戦が、今後の彼の音楽にどのような影響を与えるか・・・次回作以降に注目でしょう。
評価:★★★★
SALIF KEITA 過去の作品
LA DIFFERENCE
ほかに聴いたアルバム
Saxobeats/Alexandra Stan
「ミスター・サクソビート~恋の大作戦~」が世界中で大ヒットした、ルーマニア出身の女性シンガーのアルバム。時々出てくる、インパクトだけは強い一発ヒットの典型といった感じで、このアルバム、確かにその「ミスター・サクソビート」はインパクトもあり、耳に残るのですが、他の曲もほとんどおなじパターンで陳腐。さらに9曲目以降はリミックスが収録されているのですが、そのリミックスも原曲からほとんど変化はなく、正直、つまんなかった・・・。
評価:★★
America Give Up/Howler
ラフ・トレードからリリースされたこのアルバムが大きな話題となった、アメリカ出身のロックバンド。最近、よく出てきているガレージロックバンドの一組・・・と思い、アルバムを聴きすすめると、いきなり「Back To The Grave」ではVelvet Undergroundっぽい曲が流れ出したり、「Too Much Blood」は完全なシューゲイザーだったり、かと思えば「Free Drunk」では80年代っぽい音を鳴らしていたり、非常にユニーク。それだけバラエティー富んだ内容ながらも、どの曲もポップなメロディーラインでまとめていて、アルバム全体にそれなりの統一感があるのが見事。60年代風のロックンロールと、シューゲイザーを、同じアルバムで、違和感なく聴けるとは思わなかった・・・。今後が楽しみな新人バンドです。
評価:★★★★★
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