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2013年5月

2013年5月31日 (金)

話題のラッパーの2作目

Title:WOLF
Musician:TYLER,THE CREATOR

前作「Goblin」が大きな話題となったTYLER,THE CREATORの新作。彼は、ご存知の通り、HIP HOP集団Odd Futureの中心人物。Odd Futureといえば、その一員であるFRANK OCEANが、2012年に傑作アルバムをリリースし、大きな話題となりました。本作では、そのFRANK OCEANも参加。彼に負けず劣らず、今回も傑作をリリースしてきました。

前作「Goblin」同様、ヘヴィーなトラックが印象的なのは相変わらず。狂気的なリリックも、前作「Goblin」と同じく、大きな特徴となっていますが、この独特な雰囲気が、ひとつの魅力となっています。そんな狂気的な世界が炸裂して印象的だったのが「COLOSSUS」。この作品は、EMINEMの名曲「Stan」を思い起こさせるような、ストーカー的なファンの心境を描いた楽曲になっていて、その、少々ホラーじみたような心境描写も見事です。

ただ、今回の作品は、そんなヘヴィーな作風ばかりではなく、「ANSWER」や、Erykah Baduが参加した「TREEHOME95」のような、メロウな雰囲気の作品も展開されており、アルバムの雰囲気に幅を持たしています。特に「TREEHOME95」では、Erykah Baduのボーカルを前面にフューチャーした歌モノで、アルバムの中の一服の清涼剤のよう。

他にも「TAMALE」のようなトライバルなナンバーもあり、似たような曲が多く、正直、最後には少々飽きが来てしまった前作に比べると、最後までほとんどダレずに聴くことが出来ました。アルバムから受けた、最初の衝撃度という意味では、前作の方がやはり上ですが、今回の作品も文句なしの傑作。まだまだ、その活躍は続きそうです。

評価:★★★★★

TYLER,THE CREATOR 過去の作品
Goblin

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名古屋圏フェス・イベント情報(5/31)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

5/31 主な更新
・TOYOTA ROCK FESTIVAL 2013 開催決定!
・Nagoya HAWAII Festival 2013 追加
・TREASURE05X 第1弾出演者発表
・MusicShower2013 第1弾出演者発表
・やまのて音楽祭、
豊田ジャズスクエア2013 終了

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2013年5月30日 (木)

シングルと比べると、ちょっと寂しい売上・・・。

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

これで2作目の1位獲得です。

今週1位は、女性ソロシンガーソングライター、miwaの3枚目となるアルバム「Delight」が1位獲得。デビューアルバム「guitarissimo」に続く1位獲得となりました。初動アルバム6万9千枚は、1位としてはちょっと寂しめ。とはいえ、前作「guitarium」の4万枚よりアップ。同じく4万枚だった「guitarissimo」を上回り、自己最高の初動売上となりました。

2位は、先週1位の矢沢永吉「ALL TIME BEST ALBUM」がワンランクダウンでこの位置をキープしています。

3位は、なんと、かなり意外だったのですが、フランスのエレクトロユニットDaft Punkのニューアルバム「Random Access Memories」がランクインしています。2000年に「One More Time」が日本でもヒットを記録。プロモーションビデオを松本零士が手がけて話題になったため、ご存知の方も多いでしょう。ただ、アルバムでのベスト10入りははじめて。初動売上2万5千枚は、直近のリリースとなるサントラ盤「トロン: レガシー オリジナル・サウンドトラック」の最高位25位、最高位の時の週間売上5千枚、オリジナルアルバムとして前作「Human After All」の最高位23位初動1万2千枚から大きくアップしています。

ちなみに、このアルバム、日本のみならず、世界中でも大ヒットを記録しており、イギリスチャートでも1位。アメリカでも1位を獲得する見込みで、今年を代表するヒット作になりそうです。

続いて、4位以下の初登場ですが、まず6位。クレイジーケンバンド「FLYING SAUCER」がランクイン。タイトル通りのUFOを配したジャケ写がちょっとCKBっぽくないのですが(^^;;初動売上1万1千枚は前作「ITALIAN GARDEN」の1万3千枚より若干のダウン。

7位は、男性シンガーソングライター永積タカシのソロユニット、ハナレグミの初のカバーアルバム「だれそかれそ」が入ってきています。オザケンの「ラブリー」やキリンジの「エイリアンズ」、RCサクセションの「多摩蘭坂」に、荒木一郎「空に星があるように」まで、様々なジャンルの邦楽をカバーしたアルバムになっています。初動1万1千枚は、前作のオリジナルアルバム「オアシス」の1万3千枚よりダウン。カバーアルバムということを考えれば、健闘したほうかな?

9位には、6月のライブをもって解散が決定しているビーイング系の4人組バンドGARNET CROWのベスト盤「THE ONE ~ALL SINGLES BEST~」がランクインしています。初動売上9千枚は、最後のオリジナルアルバムとなった「Terminus」の1万1千枚よりダウン。タイトル通り、すべてのシングルを集めた3枚組となるベスト盤ですが、浮動層は集められなかった模様。3枚組という初心者には手がだしずらいボリュームの多さも影響しているか?

最後10位には、the HIATUSの初となるライブアルバム「The Afterglow Tour 2012」が入ってきました。昨年12月に行われた、NHKホールでの公演の模様を収録したライブアルバム。初動売上8千枚は、前作「A World Of Pandemonium」の3万3千枚よりダウンしていますが、ライブアルバムという内容を考えれば、十分な結果でしょうか。

初登場は以上ですが、さらに今週はベスト10圏外からの返り咲きが1枚。4位にイギリスのアイドルグループOne Direction「TAKE ME HOME」が、先週の32位から一気にランクアップ。これは、先日、11月の来日公演が発表され、さらに日本限定で、ミュージックビデオなどを収録したDVD付のスペシャル・デラックス・エディションが発売された影響によるもの。3月4日付チャート以来、約3ヶ月ぶりのベスト10返り咲きとなっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2013年5月29日 (水)

例の投票券が1位獲得

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は、例のCD付投票券が、売上1位を獲得しています。

1位はAKB48「さよならクロール」。「AKB48 32ndシングル 選抜総選挙」の投票券が封入されていることもあり、初動売上は176万2千枚を記録。前作「so long!」の103万6千枚を大きく上回る結果になりました。シングルの初動売上は、ここ最近、緩やかに下り調子にも関わらず、総選挙がらみの作品は、前回「真夏のSounds good !」の161万7千枚を上回っており、要するに、一部固定ファンが、複数枚買う傾向が、さらに強くなったということでしょうか。

2位は、NEWSのメンバー手越祐也と増田貴久によるユニット、テゴマス「猫中毒」がランクイン。軽快なスカ風のポップチューン。タイトル通り、猫のかわいさを歌ったナンバーで、ジャケットではメンバー2人が猫の着ぐるみで登場しており、良くも悪くも話題になっています。初動売上9万5千枚は「サヨナラにさよなら」の6万9千枚より大幅アップ。

3位はPerfume「Magic of Love」が入ってきています。AKBの週にあえて発売するのか?とも思うのですが、両者、同じアイドルユニットでも、ファン層があまり重ならないと読んだのでしょうか?それとも相乗効果狙い?今回は、爽やかなハウス風ナンバー。ただ初動売上6万6千枚は「未来のミュージアム」の6万8千枚よりダウン。前作まで8作連続続けてきた、初登場2位という記録も、3位ダウンという残念な形で幕を閉じました。

続いて4位以下の初登場ですが、4位にはSCANDAL「会わないつもりの、元気でね」がランクイン。バンドサウンドを前に出して、比較的ギターロック色を強くしたナンバーに。初動売上3万2千枚は、前作「ピンフィールサーファー」の1万1千枚より大幅増ですが、これは前作が、アルバムの先行シングルだった影響。前々作「太陽スキャンダル」の3万1千枚からはほぼ横バイという結果になっています。

9位には、家入レオ「Message」がランクイン。TBS系ドラマ「確証~警視庁捜査3課」という、少々微妙なタイアップでしたが、初動売上2万1千枚は、前作「Bless You」の1万7千枚からアップ。ボーイッシュなイメージでの曲調は、個人的にちょっと久松史奈っぽいなぁ、と感じたのですが(古過ぎてわかりませんよね(^^;;)

さて、今週初登場はあと4曲あるのですが、いずれもアニメのキャラソンになっています。

まず、ここ最近、毎週ランクインしているアニメ「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000%」。5位に神宮寺レン(諏訪部順一) 「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000% アイドルソング 神宮寺レン(諏訪部順一)(オレンジラプソディ)」がランクイン。初動2万6千枚は、先週の一十木音也(寺島拓篤) 「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000% アイドルソング 一十木音也(寺島拓篤)(SMILE MAGIC)」から横バイ。毎回、箸にも棒にもならないアイドルソングが続いていましたが、今回は80年代のアイドルソングを彷彿させるファンクっぽいポップスで、いままでの曲では一番まともだったかも・・・。

で、あと3曲は、いずれもモバゲー用ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」のキャラクターソングしています。

6位 THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 020 輿水幸子(To my darling…)/輿水幸子(竹達彩奈)
7位 THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 018 安部菜々(メルヘンデビュー)/安部菜々(三宅麻理恵)
10位 THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 019 新田美波(ヴィーナスシンドローム)/新田美波(洲崎綾)

なお、他に2作品ランクインしており、赤城みりあ(黒沢ともよ)名義の曲が11位、日野茜(赤崎千夏)名義の曲が12位となっています。どれもアイドルソングというよりもいかにもアニソンといった感じですが、「To my darling…」と「メルヘンデビュー」はアニメキャラが前に出てきてすぎて、ファン以外が聴くのは辛いかも。「ヴィーナスシンドローム」は、マイナーコード主体アップテンポの、典型的なアニソンといった感じ。

初動売上は、それぞれ2万3千、2万2千、1万9千枚。「アイドルマスター」関係では、直近765 MILLIONSTARS「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER PERFORMANCE 01 「Thank You!」」の2万7千枚よりダウン。1月におなじく5位から9位までキャラソンが独占しましたが、その時の最高位、十時愛梨(原田ひとみ) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 013 十時愛梨(アップルパイ・プリンセス)」の1万9千枚からは若干アップしています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、また明日に!

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2013年5月28日 (火)

まだまだこんなに名曲が!(驚)

Title:春うた、夏うた。
Musician:槇原敬之

 

昨年秋にリリースされた「秋うた、冬うた。」に続き、ワーナー時代の作品を集めたコンピレーションアルバムの第2弾がリリースされました。また、ベスト盤ですか・・・という声も聴こえてきそうですが、「秋うた、冬うた。」に引き続いて、この選曲が素晴らしい!!いわば「隠れた名曲」を中心に収録しており、あれだけベスト盤をリリースしておきながら、まだこれだけ名曲が残っていたのか・・・と驚愕してしまくらいの充実した内容になっています。

特に本作では、なんとアルバム初収録の曲が3曲も収録。「夏のスピード」「CLASS OF 89」「キミノテノヒラ」と、どれもなぜいままでアルバムに収録されていなかったのか不思議になるほどの名曲揃い(「CLASS OF 89」はライブ盤に収録されたことはありますが)。他にも「桜坂」「LOVE LETTER」など、ファンにはおなじみなので、さすがに「隠れた・・・」といった感じではないものの、ファンでなくても是非とも聴いてほしい名曲が揃っています。

ご存知「世界に一つだけの花」「どんなときも。」などといったおなじみのナンバーも収録されているのですが、名曲揃いの中にあっては、むしろおなじみすぎてその姿がかすんでしまったかもしれません(笑)。

また、今回、あらためて初期の名曲群を聴いて実感したのは、マッキーは、片想いの曲も素晴らしいけど、それ以上に別れの曲も素晴らしいという事実。これらの曲をリアルタイムで聴いていた中高生のころは、恋愛経験も乏しかっただけに、片想いの曲に強く惹かれていたのですが、アラフォー世代になると、むしろ別れの曲に、とても胸痛めるものがあります。

例えば、今回の収録曲の中では、そういう点で最も印象に残ったのは「ひまわり」。別れた恋人にかけた、「ずっと一緒だよ」という、別れた今では嘘になってしまった言葉。でも、

「僕が前よりも優しく笑えば
重ねた嘘は輝きつづける」

(「ひまわり」より 作詞 槇原敬之)

という締めくくりには、2人でいた時間が、自分にとっていかに素晴らしかったのかを、実に端的に表現していて、胸がギュッと締め付けられるような気持ちになります。

同じく、聴いていて胸にストレートに響いてきた歌詞が、「くもりガラスの夏」のフレーズ。

「君の言うこと何でも聞けば
大事にしてるんだと思ってた」

(「くもりガラスの夏」 作詞 槇原敬之)

・・・・・・まあ、ここらへんは、結婚した今でも、心に刻んでおきたいフレーズですけどね(笑)。

なんていうのかな、こういう短いフレーズで、心の機微を見事に表現した槇原敬之の歌詞には、むしろ40代近くなって、いろいろな経験を積んだ今だからこそ、胸に響いてくるものがあります。

今回「秋うた、冬うた。」「春うた、夏うた。」の曲は、もちろん基本的にいままでに聴いたことある曲ばかりなのですが、久しぶりに聴いて、あらためてその魅力を再認識した曲ばかり。ちょっと久しぶりに初期の作品を聴いてみたくなりました。

評価:★★★★★

槇原敬之 過去の作品
悲しみなんて何の役に立たないと思っていた
Personal Soundtracks
Best LOVE
Best LIFE

不安の中に手を突っ込んで
NORIYUKI MAKIHARA SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT CELEBRATION 2010~SING OUT GLEEFULLY!~
Heart to Heart
秋うた、冬うた。
Dawn Over the Clover Field

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2013年5月27日 (月)

LP盤風ジャケットがユニーク

Title:愚かな者の語ること
Musician:GRAPEVINE

今回のGRAPEVINEのニューアルバム、初回限定盤で購入したのですが、初回限定盤は、LPジャケット仕様ということで、懐かしのLP盤の大きさのジャケット。で、中からCDを取り出そうとしたら、なんと、レコード盤が出てきました(笑)↓

Grapevine_oroka1

いや、正直、間違えてLP盤を買ってきちゃったかなぁ、と焦りました。うちにレコードプレイヤーがないし・・・(^^;;でも、よくよく見ると、レコード盤に見えたのは、単なるプラスチックの板で、真ん中のレーベルの部分がCDになっていました。

Grapevine_oroka2

(上の赤い矢印で指し示した部分が、CDになっています。ちなみに裏返すと、同じ部分にDVDがくっついていました)

でも、このまるでレコードを買ったかのような感触がなかなかおもしろい!歌詞カードも読み易いし、なにより、これだけ大きいと、「音楽を買った」という所有感が強くなりますし、愛着もわきます。自分は、子供の頃はレコードを買ってもらったことはあるのですが、大人になって、自分のお金で買いはじめたのは、すっかりCDに媒体が移行した後。「レコードを自分で買った」ことはほとんどなく、その「レコードを買う」という行為を疑似体験できるようなジャケットでした。確かに、CDにはない存在感。レコードがいろいろな意味で、今なお一部で支持を受けている理由がわかるような気がする・・・。

で、肝心の内容の方なのですが、まずはいつも通り、安心の安定感といった感じでしょうか。

インタビューなどでは、肩の力が抜けたアルバム、みたいな話をしていたのですが、今回のアルバムは、全体的に、非常に軽い、ポップな雰囲気の作風に仕上がっていました。デビュー以来、アルバム毎に、ヘヴィーでグルーヴィーな作品と、ポップな軽い作品を交互にリリースしてきた彼ら。前々作の「真昼のストレンジランド」は、その両者が入り混じったような作品になり、ミニアルバムの前作「MISOGI EP」は、ヘヴィーな作風になっていたのですが、今回はポップな作品と、ある意味、予定通りのサイクルだったのかも??

それに加えて、これもいろいろなところで指摘されているみたいですが、比較的、歌詞がわかりやすくなった感じも。ただ、この歌詞のわかりやすさという点も、前々作「真昼のストレンジランド」でみられた傾向。ここ最近のGRAPEVINEの方向性なのかもしれません。

というよりも、このポップなサウンドもわかりやすい歌詞も、ひょっとして彼らに「文学的な歌詞を書こう」だの「ソウルフルでグルーヴィーなサウンドを目指そう」みたいなこだわりがなくなり、自由に気軽に音楽に取り組みようになった、ということなのかもしれません。

個人的には、ここ最近の「真昼のストレンジランド」「MISOGI EP」と比べると、ちょっと劣る感は否めないものの、この肩の荷が降りたような自由さは、ベテランバンドGRAPEVINEが、さらなる一歩を進んだようにも感じられました。これからの活躍を予感させるような傑作です。

評価:★★★★★

GRAPEVINE 過去の作品
TWANGS
MALPASO(長田進withGRAPEVINE)
真昼のストレンジランド
MISOGI EP
Best of GRAPEVINE

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2013年5月26日 (日)

日本のロックシーンに大きな足跡を残したバンド

Title:BOOWY THE BEST "STORY"
Musician:BOOWY

90年代の日本のロックシーンにおいて、おそらく最も影響を与えたバンドが2組あります。ひとつはザ・ブルーハーツ。パンクというジャンルを一気にメジャーなものに押し上げた彼ら。いまなお、多くのミュージシャンがリスペクトし、彼らに影響を受けたパンクバンドが、今でも生まれ続けています。

そして、もう一組が、BOOWYでしょう。ビートロックというジャンルを打ちたて、間違いなく、彼らのロックミュージックは、その後のJ-POPのスタンダード路線となっていきます。こちらも今でも、BOOWYから続くビートロックを奏でるミュージシャンは続々とデビューしています。

ただ、音楽メディアやロックリスナーへの取り上げ方は両者で微妙に異なっています。ザ・ブルーハーツが無条件で高い評価を受けているのに対して、BOOWYの立ち位置は少々微妙なものが。もっとも、その理由は、今回リリースされたベスト盤を聴いて、わかります。BOOWYが、ロックリスナーから受け入れられにくい点としては、やはりメロディーが歌謡曲的過ぎること。また、氷室京介のナルシスティック歌い方も拒否感があるのかも。そこらへんをひっくるめて、BOOWYは、ロックバンドとしては、少々「芸能」的すぎる部分があるのは否定できません。

もっとも、今回のベスト盤を聴いて再認識したのは、その一方で、意外といったら失礼なのですが、そのビートが、様々なジャンルからの影響を感じた点でした。BOOWYフォロワーのビートロックバンドは、スクエアなビートばかりで少々退屈に感じられるのに対して、「BABY ACTION」ではスカ、「BAD FEELING」ではファンクなどのリズムも取り入れており、イメージしていた以上にバラエティー富んだリズムと骨太のバンドサウンドを聴かせてくれ、ロックバンドとしての土台の強さを感じました。

個人的にはBOOWYのイメージとしては、どちらかというと、高校の頃のカラオケの定番。特にこのアルバムにも収録されている「B-BLUE」「ONLY YOU」は、カラオケへ行けば、誰かが必ず歌っていたナンバー。聴いていて、ノスタルジックな感傷がこみ上げてきました。

正直なところ、BOOWYはロックか否か、という議論以前に、やはり聴いていて純粋に楽しめる、いい曲が多いよなぁ、というのが、このベスト盤を聴いた感想。なんか、単純すぎる意見かもしれませんが・・・。確かに、歌謡曲的な部分が強すぎるのは否めないものの、この歌謡曲なメロと、ロックを融合させたという点こそが、おそらくBOOWYの最大の魅力であり、また、ロックという音楽が、お茶の間レベルで日本に浸透した瞬間でもあるのでしょう。

そういう意味でも、好き嫌いはありそうですが、BOOWYというバンドは、日本のロック史に大きな足跡を残したミュージシャンである点、間違いないでしょう。今の若い人たちにも、J-POP好きなら、とりあえずは、まず「教養として」聴かなくてはいけないベスト盤です。

評価:★★★★★

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2013年5月25日 (土)

サ上とロ吉の魅力がつまった作品

Title:TIC TAC
Musician:サイプレス上野とロベルト吉野

サイプレス上野とロベルト吉野、以下サ上とロ吉。去年、はじめて彼らのライブを見たのですが、とにかく楽しいステージでした。アップテンポな曲で場を沸かしたり、また、ユニークなリリックを聴かせてくれたり、エンターテイメント色の強いステージで、そのイベントはHIP HOPオンリーのイベントではなかったのですが、他のミュージシャン目当ての観客も巻き込み、大盛り上がりのステージを見せてくれました。

そのエンターテイメント性あふれるステージもそうなのですが、ひょっとしたら今、彼らはもっとも脂の乗った時期を迎えているのではないでしょうか。今回のアルバムを聴いて、そんな彼らの勢いを感じました。

一言で言えば、サ上とロ吉の魅力がつまったアルバム。アルバム冒頭の「ぶっかます」「LIVE GOES ON」は、まさにライブでの盛り上がり間違えなしのアゲアゲナンバー。OZROSAURUSを迎えた「ヨコハマシカ」は、地元横浜への愛情を綴ったナンバーも、彼ららしさが出た1曲といった感じ。

また、後半は、彼らのユーモラスな側面がよく出ている展開になっています。ライブでの盛り上がりを「体操」に例えた「ヒップホップ体操第二」は、まさにステージを意識したナンバー。特に歌詞が秀逸だったのが「YouTube見てます」で、「ファン」と名乗る人から、タイトルのように声をかけられて、ガクっと来たという、ユニークな歌詞で、ひょっとしたら実体験?結婚について歌ったラストの「GIVE ONE'S LIFE 4...」も、彼ららしいユーモアセンスを交えながらも、きちんと聴かせる楽曲に仕上がっています。

ライブを意識した曲ではきちんと盛り上げ、曲によってはしんみり聴かせ、また、ユーモアセンスある歌詞でリスナーを楽しませる、実にポップスとしてバランスの取れた作品であると同時に、HIP HOPとしても、力強いラップと、聴かせるトラックをしっかり用意している、まさにポップミュージックとして、理想的なアルバムかもしれません。前作「MUSIC EXPRES$」も傑作だったし、本当に勢いを感じるなぁ。サ上とロ吉の実力がつまった、傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

サイプレス上野とロベルト吉野 過去の作品
WONDER WHEEL
YOKOHAMA LAUGHTER
サ上とロ吉のINMIX~non stop rental~
MUSIC EXPRES$

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2013年5月24日 (金)

遊び心はあるものの・・・。

Title:NEVEN
Musician:m-flo

m-floの新作は、基本的に前作「SQUARE ONE」の続編的な位置付け。数多くのゲストミュージシャンが参加していながら、そのミュージシャン名は非公開というスタンスは前作から引き続きですし、楽曲の間に収録されている「ミニドラマ」も基本的に前作の続編になっています。

ただ・・・遊び心満載という意味の原点回帰を楽しませてくれた前作に比べると、正直言って、今回の作品は、少々退屈な作品になっていました。

楽曲は、今風のエレクトロサウンド、いわゆるEDMになっているのは前作から引き続きなのですが、前作からの延長線で、新鮮味はほとんど感じません。また、この手のEDMは、いまや大ブームになってしまっており、いまさらm-floが取り上げる必要性があるの?初期の彼らは、時代の先端を行くような音を、ポップに咀嚼していた点が大きな特徴に感じたのですが、今回の作品は、ただただ流行に流されているようにも思いました。

そして、今回の作品で一番いまひとつに思われたのは、参加しているボーカリストについて、誰についても興味を抱けなかった点。前作「SQUARE ONE」では、ハイスタ難波章浩やら、消臭力のミゲル君やら(あくまでも噂ね)、「おや?これは?」と思えるボーカリストが参加していましたが、今回のアルバムは、いかにもavex系っぽい無個性の無難なボーカルばかり。誰だろう?とネット上の噂を調べてみたくなるような興味すら抱けませんでした。

なんとなく、寸劇の展開といい、もう1作、この路線が続きそうなのですが、もうちょっとm-floらしい驚きがほしいなぁ。あまりにも無難にまとめすぎた感のある今回の作品。もちろんメロディーはポップでそれなりにインパクトもあり、楽しめることは楽しめるのですが、アルバム全体薄味すぎて、印象に残らないアルバムでした。残念・・・。

評価:★★★

m-flo 過去の作品
electriCOLOR -COMPLETE REMIX-
Award SuperNova-Loves Best-
m-flo inside-WORKS BEST III-
MF10 -10th ANNIVERSARY BEST-
m-flo inside-WORKS BEST IV-
SQUARE ONE
m-flo DJ MIX"BON ENKAI"

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名古屋圏フェス・イベント情報(5/24)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

5/24 主な更新
・SSMC2013
終了
・SOUL BEAT ASIA 2013~橋の下音楽祭~ 第3弾出演者発表
・SAKAE SP-RING 2013 第6弾出演者発表
・STARLIGHT DANCE in 明宝2013 最終
出演者発表
・FREEDOM NAGOYA 2013 第4弾出演者発表
・MONSTER VIBES 2013 第2弾出演者発表

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2013年5月23日 (木)

貫禄の1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は、あのベテランロッカーのベスト盤が1位獲得。

今週1位は、矢沢永吉のベストアルバム「矢沢永吉 ALL TIME BEST ALBUM」が獲得しました。彼のソロとしての活動を網羅した、タイトル通りのオールタイムベスト。御年63歳8ヶ月の彼ですが、この年での1位獲得は、史上最高齢だそうです。しかし、還暦超えているのか・・・見えない、と言いたいところですが、それなりに年齢は感じられるんですよね。ただ、マイナスな意味ではなく、いい意味で歳を重ねているなぁ、といった感じ。ただ、初動売上8万5千枚は、直近のオリジナル「Last Song」の5万4千枚からアップしたものの、ここ最近、同じくベテランでオールタイムベストをリリースした山下達郎の27万5千枚、ユーミンの33万6千枚に比べると、ちょっと寂しい感じもします・・・。

2位はナオト・インティライミ「Nice catch the moment!」。これで3作連続ベスト3入り。前作「風歌キャラバン」のような1位獲得とはなりませんでしたが、初動売上4万枚は、前作から横バイと、十分健闘しています。

3位はゆず「LAND」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。3週連続のベスト3入りとなりました。

続いて、4位以下の初登場ですが・・・まずは韓流が2枚ランクイン。4位に男性アイドルグループBEASTからのソロ、ヨソプ(from BEAST)「The First Collage-Japan Edition-」、10位に同じく男性アイドルグループ2PM「GROWN」がそれぞれランクインしています。

ヨソプのソロアルバムは初動9万枚。BEASTとしてはおととし、日本でのデビューアルバム「SO BEAST」をリリースしていますが、そちらの初動売上5万枚からはさすがに大きくダウしています。2PMの方は、韓国でリリースされたアルバムの輸入盤。初動わずか5千枚でのベスト10入りで、こちらもさすがに1位を獲得した日本での直近作「LEGEND OF 2PM」の5万枚の1/10という結果になっています。

7位にはAldious「District Zero」がランクイン。ごめんなさい、全く初耳だったのですが、女性5人組のメタルバンド。これが3作目で、初のベスト10ヒットとなりました。ちょっと試聴してみたのですが、本格的なメタルのバンドサウンドと、それに反して、端整な女性ボーカルに、歌謡曲風なポップなメロが、メタルを聴かない層でも受け入れられそうな感じが。イメージ的にかつてのSHOW-YAに近い感じか??ただ、初動売上7千枚は、最高位13位の前作「Determination」と同水準。低水準のチャートのため、ベスト10入りできた形に。

初登場最後は8位に馬場俊英「BABA TOSHIHIDE ALL TIME BEST 1996-2013~ロードショーのあのメロディ」。こちらもタイトル通り、オールタイムベスト。ベスト10入りは、2009年にリリースしたアルバム「延長戦を続ける大人たちへ」以来2作目。ただ、初動売上はわずか6千枚で、オリジナルとしての前作「HEARTBEAT RUSH」の7千枚よりもダウンしてしまい、かなり厳しい状況に。もっとも、2009年にベスト盤「BEST1996‐2007」をリリースしたばかり(こちらは最高位17位初動6千枚)という影響も大きいのでしょうが。

そんな訳で、今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2013年5月22日 (水)

GWも終わって

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は、驚異の新譜ラッシュ。ベスト10全曲が初登場です。

そんな中で1位なのはジャニーズ系。KAT-TUN「FACE to Face」が獲得しています。歌謡曲テイストの強い哀愁漂うナンバー。亀梨和也主演映画「俺俺」主題歌。初動売上13万1千枚は、前作「EXPOSE」の15万4千枚からダウンで、初動15万枚を下回ってしまいました。

2位は、T.M.Revolution×水樹奈々「Preserved Roses」がランクイン。ご存知、T.M.Rと人気女優水樹奈々のコラボレートシングル。初動11万5千枚は、T.M.Revolutionの前作「FLAGS」の初動3万8千枚や、水樹奈々の前作「BRIGHT STREAM」の初動7万5千枚よりアップ。通常、この手のコラボシングルは、それぞれの作品よりも売上が落ちるケースが多いだけに驚き。ただ、浅倉大介の書く、90年代J-POPそのままのトランシーなナンバーは、水樹奈々の楽曲イメージにもマッチしたのかも。TBS系アニメ「革命機ヴァルヴレイヴ」オープニングテーマ。

3位初登場はGENERATIONS from EXILE TRIBE「Love You More」。ミュージシャン名通り、EXILEの事務所出身の男性ボーカルグループ。癖のないメロウなミディアムR&B風ポップ。初動売上7万4千枚は、前作「ANIMALS」の7万2千枚から微増。

4位以下もどんどん行きます。4位には、一十木音也(寺島拓篤) 「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000% アイドルソング 一十木音也(寺島拓篤)(SMILE MAGIC)」。先週に引き続き入ってきました、アニメ「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000%」のキャラソン。軽快なポップソングは、何のひねりもおもしろみもない作風(苦笑)。初動売上2万6千枚は、その先週ランクインした聖川真斗(鈴村健一)「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000% アイドルソング 聖川真斗(鈴村健一)(恋桜)」の2万2千枚からアップです。

5位にはスピッツ「さらさら」がランクインしてきました。前作「しろくま」から2年8ヶ月ぶりの久々のシングルです。初動売上2万3千枚は、その「しろくま」の2万1千枚から微増。スピッツらしい、ポップだけどどこか切ないメロディーラインは健在です。

6位はきゃりーぱみゅぱみゅ「インベーダーインベーダー」。例のごとく中田ヤスタカ作詞作曲プロデュースの作品。ユーモラスなエレクトロポップ路線は相変わらずなのですが、ちょっとインパクト重視路線が続きすぎて、飽きてきた感じが。事実、初動売上は、前作「にんじゃりばんばん」の2万6千枚から1万6千枚に急減。そろそろ、次の手が求められます。

7位には風男塾「下を向いて帰ろう」が入ってきています。おたくアイドルユニット、中野風女子シスターズのメンバーが男装したユニット。といっても、中野風女子~としての活動は休止中だそうで、もっぱら、風男塾での活動がメインになった模様。楽曲はよくありがちなアップテンポなアイドルポップなのですが、「上を向いて帰ろう」をパロッたタイトルは悪くないです。初動売上1万5千枚は、前作「人生わははっ!」の1万1千枚からアップし、風男塾では2枚目のベスト10ヒットにして、最高位。

8位は、ラップユニットソナーポケット「片想い。~リナリア~」。相変わらずタイトルだけで、ほぼ内容がわかるなんらひねりもない歌詞になっています。ちなみに、「リナリア」はゴマノハグサ科の花で、花言葉が「私の恋を知ってください。」だそうですが、楽曲にはほとんどからんでいません。初動売上1万2千枚は、前作「キミ記念日~生まれて来てくれてアリガトウ。~」の9千枚よりアップ。

9位には、NHK教育「天才てれびくんMAX」から登場した男女5人組のダンスユニットDream5「Hop! Step! ダンス↑↑」がランクイン。タイトル通りの軽快なダンスナンバーは、初期のSPEEDあたりを彷彿とさせる感じ?初動売上1万2千枚は、前作「COME ON!」の1万1千枚より若干アップ。

最後、10位には人気女性声優井口裕香「Grow Slowly」がランクイン。アニメ「とある科学の超電磁砲」主題歌。爽やかなポップナンバーは正統派J-POPといった感じですが、ひょっとひねりのあるメロがおもしろいかも。初動売上1万1千枚は、前作「Shining Star-☆-LOVE Letter」の1万枚より若干アップし、初のベスト10ヒットとなりました。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、また明日に!

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2013年5月21日 (火)

フレミ史上最高のダーク

Title:THE TERROR
Musician:THE FLAMING LIPS

かなり意外な感があるのですが、今年、活動開始から30年を迎えたTHE FLAMING LIPSの新作。え?そんなにベテランバンドなの??ただ、グラミー賞受賞が2003年だったり、2009年にリリースしたアルバム「Embryonic」が、アメリカビルボードで、初のベスト10ヒットを記録したり、名実ともにその活躍が目立ったのが、21世紀に入ってからだったりするので、かなり意外な感がありました。

そんなベテランバンドでありながらも、いまなお、若手バンドのような瑞々しい雰囲気の中、新たな挑戦を続けており、オリジナルとしての前作「Embryonic」以降も、12ヶ月間、毎月1曲新曲を発表するという試みを行ったり、頭蓋骨をかたどったグミ・シングルを発売したり、さらには24時間に及ぶジャム曲を、本物の頭蓋骨に埋め込んだHDDに収録して発売したりと、奇想天外なアイディアでリリースを続けています。

そして、約4年ぶりとなった今回のニューアルバム。「THE TERROR」というタイトル通り、いままでの作品の中で、もっともダークな雰囲気の曲が収録されているそうです。確かに、全面的にノイズで覆いつくされたような、サイケデリックテイストのアレンジは、ダークな雰囲気を醸し出しています。「YOU ARE ALONE」「BUTTERFLY,HOW LONG IT TAKES TO DIE」などはノイズが不気味な雰囲気を醸し出しており、まさに「THE TERROR」を地で行くような作風。前作「Embryonic」は、いままでの美メロポップというイメージを破壊したような作品になっていましたが、前面サイケなこのアルバムも、そんなTHE FLAMING LIPSのかつてのイメージとは全く異なる様相のアルバムになっています。

とはいうものの、今回のアルバム、ちょっと違和感があってはまれなかった前作と異なり、そのノイジーな音が、気がついたら妙に癖になりはまってしまうような作品になっていました。「THE TERROR」といっても、恐怖心よりも、その幻想的な音は、どこか遊園地のオバケ屋敷、というよりも、ディズニーランドのホーンデッドマンションのような、楽しさを同時に感じるような内容になっていました。

もちろん、その音の世界の向こうで流れている、THE FLAMING LIPSらしい、ポップなメロディーも、そんな楽しい雰囲気の一助となっているのでしょう。そういう意味では、音的にはかなりダークながらも、その向こうには、THE FLAMING LIPSらしさもきちんと健在している作品と言えるかもしれません。音の世界を十分に楽しめた作品でした。

評価:★★★★★

THE FLAMING LIPS 過去の作品
EMBRYONIC
The Dark Side Of The Moon
THE FLAMING LIPS AND HEADY FWENDS(ザ・フレーミング・リップスと愉快な仲間たち)

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2013年5月20日 (月)

久々の新作

Title:MOSQUITO
Musician:YEAH YEAH YEAHS

アメリカの4人組インディーロックバンドの、4年ぶりとなる新作。数多く、インディーロックバンドの注目バンドがデビューする中、前作「It's Blitz!」が話題になったものの、4年のスパンは長く、ちょっと忘れられかけた・・・・・・かと思いきや、このアルバムは、アメリカのビルボードチャートで初のベスト10入りを果たすなど大ヒットを記録。いまだ、熱烈な支持を得ているんだなぁ、ということを思い起こさせる結果になっています。

前作「It's Blitz」は、エレクトロ路線を取り込んだ作品になっていますが、今回の作品は、まず目立つのが、ガレージ主体の作風に戻っているという点。特にタイトルナンバーでもある「MOSQUITO」は、ガレージロック風の作品に仕上がっていますし、「AREA 52」もパンキッシュな作品に仕上がっています。

その一方で、中盤あたりから目だってくるのが、サイケな路線。「UNDER THE EARTH」や、ノイジーなサウンドがサイケっぽい「DESPAIR」など、ベースとしては、ガレージ風なロックサウンドも流れているものの、楽曲を覆う幻想的なサウンドが印象的な構成になっています。

ただ、ガレージロックだったりサイケだったり、様々な要素を取り入れつつも、根底に流れており、かつ、YEAH YEAH YEAHSの最大の魅力となっているのは、やはりそのメロディーライン。サイケ路線の「DESPAIR」も、実に甘いメロディーラインが魅力的な作品になっていますし、ラストを飾る「WEDDING SONG」もメロディーが実に魅力的。このメロディーの良さがあるからこそ、サウンドに少々変化をつけても、YEAH YEAH YEAHSの魅力をきちんと発揮することが出来るのでしょう。

本編の後に、デモ音源と、アコースティックバージョンが収録されているのですが、ちょっとこのおまけは蛇足だったような気が。サイケなサウンドと美メロで、少々夢見心地なうちにアルバムの幕が下りた方がよかったようにも思います。まあ、この手の蛇足は、よくありがちなのですが・・・。

そんな訳で、久々の新作だったのですが、十二分に私たちの期待に応えてくれた傑作だったと思います。次回作は、もっと早いスパンで聴きたいなぁ。

評価:★★★★★

YEAH YEAH YEAHS 過去の作品
It's Blitz!

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2013年5月19日 (日)

森、道、市場2013 その2

その1から続き

Mori2013_5

清竜人@あじさいの舞台

次はあじさいの舞台で清竜人のステージ。以前、アルバム「MUSIC」発売直前のステージは、ミュージカル風のステージを披露し、大きな話題になりました。それだけに、この日のステージはどんな感じか、楽しみにして行ったのですが、そのステージは、予想に反し、彼一人だけで、ピアノやアコギを弾き語るステージになっていました。

ちょっと遅れて会場入りしたので、ちょうど彼の代表曲のひとつ「痛いよ」を演奏している最中。ピアノ一本で弾き語られるステージでは、歌詞の内容がダイレクトに飛び込んできて、思わず胸が熱くなってきました。

しかし、その後の楽曲についてはちょっとビックリ。どうも最新アルバム「KIYOSHI RYUJIN」からの楽曲らしいのですが、かなり露骨で、過激な歌詞を、ピアノやアコギの演奏にのせて、淡々と歌われます。自分はロリコンだと歌って、純粋な少女愛を歌う楽曲や、昔あこがれていた女の子がソープ嬢になっていたので、ソープランドに遊びにいったという内容の曲、自分はバイセクシャルだと歌うナンバー。インパクト十分だけど、賛否わかれそうな内容は、前の方で見ていたファンはともかく、後ろで見ていた人たちの間では微妙な空気感も・・・(^^;;

この「KIYOSHI RYUJIN」収録の楽曲は、歌詞の内容から一般発売されず、ライブチケットとのセットのみでの販売になったそうで、確かに、この内容はファン以外からは拒絶反応があるかも。一見さんが多くあつまる、こういうイベントでの楽曲としては、ちょっとふさわしくなかったかもしれません。

個人的には、奇抜な歌詞という意味で、田辺マモルとか、ミドリカワ書房あたりを思い出したのですが、気持ちのこもったステージでの生の歌声で聴かされると、リアリティーが加わり、とってつけたようなネタといった印象は受けませんでした。確かに、こういう曲はライブではなくCD音源で聴くと、ネタの奇抜さばかりが先行する、とってつけた感が否めず、そういう意味では、ライブ前提の販売というスタイルが正しかったかも。ただ一方では、「痛いよ」のような、広く万人にアピールできるような曲も書けるだけに、前作「MUSIC」といい、インパクトが先行してしまいそうな曲ばかりになるのは、ちょっと惜しいような印象も受けました。

ただ、今回の彼のステージ、清竜人という名前が忘れられなくなるようなインパクトのあるステージだったと思います。もちろん、その結果が、好きになるか、拒絶するかは、人によってわかれそうですが・・・。

山田稔明 with 夜の科学オーケストラ@うたたね広場

続いては、うたたね広場で、山田稔明 with 夜の科学オーケストラ。このバンドの音を聴くのは全くはじめてですが、彼はGOMES THE HITMANのボーカルと知り、ステージを見てみました。懐かしいなぁ~GOMES THE HITMAN!調べたら、まだ一応は活動を続けているんですね。

楽曲は、ネオアコ路線なのは、基本的にGOMES THE HITMANと同じ路線といった感じでしょうか(もっとも、GOMES THE HITMANの曲を聴いたのがちょっと昔だったので、正確に覚えていない部分もあるのですが(^^;;)。爽やかなポップソングは、ちょっと遅れてきた渋谷系という印象もありましたが。

彼の爽やかなポップソングも、雨の中では、ちょっと似合わないなぁ、という感じもしたのですが、はじめて聴いた曲ばかりだったものの、ほっとするようなアコースティックでポップなメロが楽しめたステージでした。

ZAZEN BOYS@あじさいの舞台

そして、この日の最後を飾るのが、ZAZEN BOYS。昨年末にワンマンライブを見たばかりなのですが、その時のステージも非常に素晴らしかっただけに、この日のライブも楽しみにして来ました。

基本的に、セットリストは、その昨年のワンマンライブの短縮版といった感じ。「サンドペーパーざらざら」からスタートし、「Honnoji」へ。さらに「RIFF MAN」では、ワンマンの時にも聴かせてくれた、ツェッペリンの「移民の歌」を彷彿とさせるギターリフから、ヘヴィーなバンドサウンドを展開させ、重低音を会場に響かせていました。

その後は「泥沼」「サイボーグのおばけ」「ハートブレイク」と続き、「Coldbeat」では、また途中で演奏をストップさせ、おもむろに、向井秀徳がピアノで、チャルメラのメロディーを弾き、勝手気ままな歌詞を付け出します。さらにそれをバンドメンバーに歌わせたり、さらには会場のファンにも歌わせたりと、こちらも先日のワンマンライブと同じ余興を見せてくれました。

本編ラストは「破裂音の朝」で締めくくり。その後、もちろんアンコールがかかると、時間の都合か、あっさりと再登場(笑)。また、中央のマイクのまわりに、メンバー4人が集まり、アカペラで「KIMOCHI」を熱唱。そしてラストは、(予想通りなのですが)「Asobi」へ。こちらは、またスペーシーな打ち込みのサウンドが主体だったのですが、12月のワンマンの時よりも、バンドサウンドを押し出したようなアレンジに感じました。

そんな訳で、主な構成は、12月のワンマンライブの短縮版のようだった今回のステージ。ただ、その内容は、12月のワンマンライブをさらに上回っているように感じました。バンドサウンドは、より迫力をまし、かつ、そのバンドらしさをより前に押し出したようなアレンジに仕上げていました。なによりも、向井秀徳が、他のバンドメンバーをいじる(特に、ドラムの松下敦をよりいじっていたような(^^;;)シーンが増え、いろいろな意味でバンドとしての一体感を覚えるステージだったと思います。

12月のワンマンも素晴らしかったのですが、それを上回る鳥肌モノのステージ。いまだにバンドとしての進化を続けるZAZEN BOYSに驚かされるステージでした。

 

さて、終日雨の中だった今回のライブ。それなりの本降りが続き、さすがにちょっと疲れたのですが(^^;;素晴らしいステージの連続で、特に最後のZAZEN BOYSでは、そんな疲れも一気に吹っ飛ぶようでした。

また、終日雨、ということもあり、客の入りは昨年の8割程度。チケット代も前売りで1,600円程度だったので、おそらく雨だったので取りやめたという方も少なくなかったのかも。そのため、往復のバスとか、ライブだとかの混雑ゆえのストレスはほとんどありませんでした。

ただ一方、最大の不満が、トイレが相変わらず少なすぎ(苦笑)。去年も不満点としてあがっていたのですが、下手したら去年より少なくなっていました。終わりがけに、トラックがあらたな簡易トイレを運んできていたので、初日に間に合わなかったのでしょうか?トイレの数については、改善を希望します。

その反面、前回、最大の不満だった食べ物屋の少なさと、ビールを売っている場所の少なさについては大幅に解消されていました。特に、前回は、探し回って2、3箇所しかなかったビールを販売しているお店が、今年は至るところでビールの販売ブースが。客の少なさもあって、食べ物とビールは、全くストレスなく調達できました。

Mori2013_6

そんな訳で、おいしくいただいたドイツ料理(名前忘れた・・・)とビール。食事を買うのはストレスなかったのですが、雨の中ゆえに、食べる場所にストレスが・・・(苦笑)。でも、普通のフェス飯とはちょっと違う料理を提供するようなお店が多く、そういう意味でもいろいろと楽しめました。

終日、雨に降られたのは非常に残念だったものの、ライブは満足のいくステージばかりで、とても楽しい1日になりました。面子も最高にいいし、このイベント、また来年も是非行きたいなぁ。

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2013年5月18日 (土)

再び、森へ

森、道、市場 2013

会場:三ヶ根山ロープウェイ山麓駅跡周辺 日時:2013年5月11日(土)

昨年10月に参加した、「森、道、市場」というイベント。今年は、5月に開催されたために、再び、足を運んできました。今回もまた、ZAZEN BOYSや在日ファンクらが参加という豪華な面子。ただ、残念ながら当日はあいにくの雨模様。足元も悪い中、レインコートを着ながらの参加となってしまいました・・・。

前回と同様、蒲郡の形原温泉の奥にある、ロープウェイの廃駅跡周辺が会場。高台にあり、近くに海も見えるシチュエーションとしては最高の会場。残念ながら、雨のこの日は、遠くは霞んでしまっていたのですが・・・。

Mori2013

ちなみに、このイベント、ライブはイベントの中の催しのひとつでしかなく、タイトル通り、メインとなるのは「市場」。ちょっとおしゃれな雑貨屋やカフェなど多く出店していて、それを眺めるだけでも楽しいイベント。ただ、雨の中だっただけに、あまりゆっくりとそういう「お店」は見て回れなかったのですが。

Mori2013_2

↑こちらは多くの出店がならんだ「市場の森」。こんな感じで、残念ながら、雨でグチャグチャでした。

Little Creatures@あじさいの舞台

で、会場入りしたのが大体12時10分前くらい。12時からは、この日のお目当ての一組目、Little Creaturesのライブがスタートしました。この日一番で、また、雨の中ということもあり、客の入りは、少々寂しさも感じられたのですが。

しかし、そんな雨の中という雰囲気をもろともしない、爽やかな演奏が会場に流れます。予想はしていたのですが、スリーピースでの演奏は相性もピッタリ。かつ、ピアノとギター、ドラムという最小限のユニットで、グッと惹き付ける緊張感もある演奏が流れてきました。

雰囲気としては、ちょっとジャズっぽい雰囲気もある、まあ、ちょっと「おしゃれ」な演奏。ただ、お互いからみあうセッションは、ジャムバンドっぽい雰囲気もあり、ジャズとロックを融合させたようなサウンドで最後まで楽しむことが出来ました。

最後は「House Of Piano」で締めくくり。約45分のステージ。途中、MCもなく、ただ、ほぼ切れ目なく、バンドサウンドを聴かせてくれたステージでした。予想通り、クオリティーの高いステージ。また、是非とも彼らのステージは見てみたいです!

John John Festival@うたたね広場

続いては、会場をチラッと回ったのですが、さすがに雨の中ではゆっくり会場散策も出来ず、うたたね広場のライブを見に行くことに。うたたね広場では、John John Festivalというバンドが演奏していました。

完全に名前も音もはじめてのバンド。アイルランド民謡を奏でる3人組のバンドで、バイオリンを弾く女性ボーカルに、ギターの男性、それに、なにかたらいみたいなものを一心不乱に叩いている、奇妙な動きをしている男性がひとり(笑)。後で調べたら、このたらいみたいなものは、アイルランドのバウロンという楽器みたいです。

楽曲は、正統派のアイリッシュトラッド。といっても、私が、その「正統派のアイリッシュトラッド」を知らないので、あくまでもイメージでね(^^;;軽快なバイオリンの音色に、ギター、そしてバウロンのリズム。ちょっと雨の日には似合わないような、爽やかな空気が会場をつつむステージでした。

在日ファンク@あじさいの舞台

そして再びあじさいの舞台へ。この日、もっとも楽しみにしていたバンドの一組、在日ファンクのステージです。相変わらず雨は降り続いていたのですが、ステージの前にはファンでびっしり。正直、この日一番の客の入りだったと思います。

大所帯のメンバーがステージに並んだ中、スーツでビシッと決めた浜謙がJBばりに踊りまくるステージ。最初は「肝心なもんか」からスタートし、「きず」では、まさに在日ファンクの本領発揮ともいえるファンキーなステージで、一気に最高潮に。かと思えば続く「嘘」では、しんみりメロウに聴かせます。

途中、MCでユニークにグッズ紹介を行った後は、新曲「一揆」。また、歌詞がなかなか意味不明な(笑)ファンキーなナンバーでした。さらに「爆弾こわい」で会場をさらにハイテンションにさせ、ラストは「京都」をしっかり聴かせてライブを締めくくりました。

在日ファンクのステージは、かなり期待していたのですが、その期待通りのステージでした。特に「きず」「爆弾こわい」など、ファンキーなナンバーでグイグイ押していくステージは、雨の中、泥まみれの足元も気にせずに踊りまくってしまいました。大また開きのパフォーマンスまで飛び出した浜謙のパフォーマンスも、まさにJBばりでノリノリで、なによりもこの手のファンクが好きなんだなぁ、ということがこちらにも伝わってくるステージだったと思います。

あっという間の45分間で、メロウな曲を合間に挟んでしっかりと「聴かせる」ことも出来ることもアピールしていました。ただ、時間が短く、ちょっと踊り足りなかったなぁ、もっともっと躍らせてほしかったなぁ、なんてことも感じたステージでした。

とても楽しいステージでした。また是非とも彼らのライブは見てみたいなぁ。ちょっと踊りたりなかったので、今度はワンマンで??そう思わせてくれる、エンターテイメント要素もたっぷりの、楽しいステージでした。

で、次の清竜人までは1時間の時間があったため、会場を散策します。森の中も散策できたりして、そんな森の中をすすむと、こんな不思議な空間があらわれたり・・・

Mori2013_3

↑「竹林ステージ」として、会場自体がアート作品になっているようですね。

また、こんな廃墟跡にも店が並んでいたり・・・

Mori2013_4

どうもロープウェイの遺構みたいですが。会場を歩くだけで、なかなか楽しかったりして、晴れてたらもっとよかったのになぁ、と思わせます。

その2へ続く

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2013年5月17日 (金)

3バンドの行方

今日紹介する3つのバンド。サカナクション、フジファブリック、アナログフィッシュ。個人的には、「ひねくれ系ギターロックバンド」というイメージで、ちょっと近いものを感じるのですが・・・・・・・・・・無論、異論は認めます(笑)。

Title:sakanaction
Musician:サカナクション

その中で、人気実力ともに、あたま2つくらい出てしまっているのが彼ら、サカナクション。ギターロックにエレクトロのサウンドを取り入れるという方法論は、昔、くるりやスーパーカーをはじめ、多くのギターロックバンドが、まるで「はしか」のように一時期はまる傾向にあったため、彼らもその口か・・・と思い、少々醒めてみていました。

しかし、そんな中、明らかにサカナクションとしての個性を確立し、今となっては、彼らの取り入れたエレクトロのサウンドは、完全にサカナクションの音になっています。昨年、フジロックで見た彼らのステージは、あきらかに大物バンドとしての風格すら感じられたのですが、このアルバムにも、そんな一皮も二皮もむけた、大物バンドとしての風格を感じることが出来ます。

このアルバムの序盤、「intro」からインスト曲「祈り」を通じて、スケール感ある「ミュージック」への流れは鳥肌モノ。完全にサカナクション流エレクトロポップを完成させた感があります。そんな一皮むけたサカナクションサウンドに貢献しているのがメロディーライン。決して派手さはなく、淡々とした感すらあるものの、しっかりとインパクトあるメロディーラインを書いてきています。「ボイル」なども、グイグイと押し込んでくるようなパワーを楽曲から感じられますし、ラストを飾る「朝の歌」のメロディーラインなども絶品です。

バンドとしての勢いが感じられる傑作であると同時に、次へのつながりも感じさせてくれるサカナクションの個性が完全に確立された印象も受けたアルバムでした。このバンド、これからもこのレベルの傑作を続々リリースして、私たちに届けてくれそう。そんな予感もしたアルバムでした。

評価:★★★★★

サカナクション 過去の作品
シンシロ
kikUUiki
DocumentaLy

Title:VOYAGER
Musician:フジファブリック

で、ある意味、本来はサカナクションと並んで傑作を連発しているはずだったフジファブリックの新作。ただ、志村正彦亡き後、既に3枚目となるアルバムで、いまさら志村正彦の頃の彼らと比べて聴くのは違うだろうなぁ、と思いながら聴き始めたのですが、1曲目「徒然モノクローム」は、完全に志村正彦のメロディーと、歌い方に、ちょっと残念に感じられました。

いや、確かにこういう楽曲は「フジファブリックらしい」と言えるのかもしれませんが、この「らしさ」はあくまでも志村正彦の個性。いつまでも彼の幻影を追っていては、新生フジファブリックとしての成長はないのでは?もっともその後、エレポップな楽曲や、郷愁を誘う「春の雪」のような曲もあったり、特に「透明」あたりは、山内総一郎のメロディーメイカーとしての実力も感じさせます。そういう意味では残ったメンバーでがんばっているなぁ、というのは伝わるのですが、彼らの個性と志村正彦の個性は異なる訳で、ある意味、「フジファブリックらしさ」というのからは距離を置いた方が、新生フジファブリックらしさが確立されるような感じがするんだけどなぁ。

そういう意味でも、本当はJoy DivisionとNew Order、NIRVANAとFOO FIGHTERSみたいに、別名義のバンドとしてスタートした方がよかったのかもなぁ、とファンではない外からの意見としては思ってしまうのですが。とはいえ、残ったメンバーの成長も感じるだけに、いつのまにか新生フジファブリックとしての個性を確立されていることを願って・・・。

評価:★★★★

フジファブリック 過去の作品
TEENAGER
CHRONICLE
MUSIC
SINGLES 2004-2009

STAR

Title:NEWCLEAR
Musician:アナログフィッシュ

上の2バンドに対して、少々後塵を拝している感の否めないアナログフィッシュの新作。久しぶりに聴いた前作「荒野/On the Wild Side」でその実力を再認識したのですが、ニューアルバムに関しては、その次回作ということで抱えていた期待に比べると、少々物足りなかったかな?

「ひねくれポップ」というよりも、やさしい雰囲気のギターロックといった印象が強いアルバム。特に「Good bye Girlfriend」あたりは、山下達郎?とも思うようなシティーポップに仕上がっていて、いい意味で安心して聴けるようなポップに仕上がっています。が、そのため一方では、少々楽曲の癖が薄くて、後に残るような印象が薄かったように思います。いいアルバムだと思うのですが、少々物足りなさが残ったアルバム。前作がよかっただけに、ちょっと残念でした。

評価:★★★★

アナログフィッシュ 過去の作品
荒野/On the Wild Side

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名古屋圏フェス・イベント情報(5/17)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

5/17 主な更新
・愛知REGGAE BREEZE 開催決定!
Mt.Ena Rock Festival 開催決定!
・中津川T
HE SOLAR BUDOKAN 2013 追加
・FREEDOM NAGOYA2013 第3弾出演者発表
・SOUL BEAT ASIA201
3~橋の下音楽祭~ 第2弾出演者発表
・SAKAE SP-RING2013 第5弾出演者発表
・UP PARK CAMP
2013~志摩レゲエ祭~ 全出演者発表
・栄ミナミ音楽祭、森、道、市場、TOYOTA PUNK CARNIVAL終了

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報(5/17)"

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2013年5月16日 (木)

エレクトロサウンドにも挑戦

Title:TALE
Musician:SALIF KEITA

アフリカ音楽と現代音楽を融合させ、世界中で大きな支持を集めている、マリ出身の男性シンガーソングライター、サリフ・ケイタの最新アルバム。海外では昨年リリースされたようですが、国内盤がよくやくリリースされました。

前作「LA DIFFERENCE」が素晴らしかったので、最新アルバムがCD屋で並んでいるのを見つけて購入しよう・・・と思ったのですが、少々迷ってしまいました。というのも、事前にネット上で評判を調べる限り、決して芳しいものではなかったからです。

その芳しくない最大の理由は、このアルバムのプロデュースワークである模様。今回のアルバムは、フィリップ・コーエン・ソラルというフランス人のプロデューサーによりプロデュースを手がけているのですが、その結果、サウンドが、エレクトロテイストのサウンドがメイン。非常に明るく、クリアになっています。よくも悪くも都会的な音づくりといった感じなのでしょうか。その結果、アフリカ音楽独特の泥臭さが、薄れてしまったようにも感じます。

確かに、そういう意味では、前作などに比べると、私も少々物足りなさを感じました。ただ一方、このスタイリッシュとも取れるような音作りは、サリフ・ケイタ自身の、新たな可能性を望んでの挑戦のようにも感じられます。エレクトロテイストのサウンドも、いわば「今」を追って追及されたサウンド。その結果は、残念ながらサリフ・ケイタの良さも、少々削いでしまうような気もするのですが、彼のミュージシャンとしてのスピリッツも強く感じられました。

もちろん、「SAMFI」みたいに、アフリカ音楽らしいパッションあふれる作品もあったり、「NATTY」みたいに、子供が歌う切ないメロディーラインが実に印象的な作品もあったり、聴かせる曲も少なくなく、残念ながら前作を上回らなかったのですが、十分楽しめる作品にはなっていたと思います。今回の挑戦が、今後の彼の音楽にどのような影響を与えるか・・・次回作以降に注目でしょう。

評価:★★★★

SALIF KEITA 過去の作品
LA DIFFERENCE


ほかに聴いたアルバム

Saxobeats/Alexandra Stan

「ミスター・サクソビート~恋の大作戦~」が世界中で大ヒットした、ルーマニア出身の女性シンガーのアルバム。時々出てくる、インパクトだけは強い一発ヒットの典型といった感じで、このアルバム、確かにその「ミスター・サクソビート」はインパクトもあり、耳に残るのですが、他の曲もほとんどおなじパターンで陳腐。さらに9曲目以降はリミックスが収録されているのですが、そのリミックスも原曲からほとんど変化はなく、正直、つまんなかった・・・。

評価:★★

America Give Up/Howler

ラフ・トレードからリリースされたこのアルバムが大きな話題となった、アメリカ出身のロックバンド。最近、よく出てきているガレージロックバンドの一組・・・と思い、アルバムを聴きすすめると、いきなり「Back To The Grave」ではVelvet Undergroundっぽい曲が流れ出したり、「Too Much Blood」は完全なシューゲイザーだったり、かと思えば「Free Drunk」では80年代っぽい音を鳴らしていたり、非常にユニーク。それだけバラエティー富んだ内容ながらも、どの曲もポップなメロディーラインでまとめていて、アルバム全体にそれなりの統一感があるのが見事。60年代風のロックンロールと、シューゲイザーを、同じアルバムで、違和感なく聴けるとは思わなかった・・・。今後が楽しみな新人バンドです。

評価:★★★★★

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2013年5月15日 (水)

GW明けなので新譜少なめ

今週は、シングルチャート、アルバムチャートともに、発売期間がGW明けすぐということで大型の新譜はなし。また、その影響か、売上も極端に少ない低水準のチャートになっています。そんな訳で、新譜少なめだった今週は、シングルアルバム同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

はじめての1位獲得となりました。

1位はfripSide「sister's noise」が獲得。fripSideは、人気女性声優南條愛乃と八木沼悟志の2人組。曲調は、90年代J-POPなトランスナンバーで、完全に浅倉大介の亜流といった感じ。つーか、女性声優がボーカルの2人組でトランスって、完全にTWO-MIXじゃん(苦笑)。テレビアニメ「とある科学の超電磁砲」主題歌。いままで、最高位は2009年にリリースした「only my railgun」の3位だったので、1位獲得はアルバムシングル通じて初。もっとも、初動売上は2万7千枚と、CDが売れなくなった今の時代とはいえ、かなり低水準の売上での1位獲得となりました。前作「way to answer」は最高位15位8千枚だったので、前作よりは大きくアップ。タイアップにより、売上が大きく変動しています。

2位もアニソン。聖川真斗(鈴村健一)「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000% アイドルソング 聖川真斗(鈴村健一)(恋桜)」。アニメ「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000%」のキャラソン。ベタベタなムード歌謡曲。タイトルからメロディー、アレンジまで何のひねりもない曲調には苦笑いなのですが。「歌」を主題としているアニメソングなら、もうちょっとがんばってほしいよなぁ。アニメ「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000%」がらみでは2位は最高位。ただし、初動売上2万2千枚は、先週4位にランクインした来栖翔(下野紘) 「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000% アイドルソング 来栖翔(TRUE WING)」と同水準。

3位は、つんく♂と志倉千代丸の共同プロデュースによる「アイドル育成型エンターテイメントカフェ AKIHABARAバックステージpass」出身、要するにAKBの2匹目のどじょう狙いのアイドルグループ、バクステ外神田一丁目の3作目でメジャーデビュー作「バイトファイター」。初動1万9千枚は、前作「ヨロピク ピクヨロ!」の9千枚よりアップし、初のベスト3ヒットとなりました。

次に4位以下の初登場ですが、4位は星野源「ギャグ」。お、ようやくアニソンでもアイドルでもない曲が・・・と思いきや、こちらアニメ映画「聖☆お兄さん」主題歌というアニソン(笑)。タイトル通り、アレンジがどこかユーモラスなのですが、ちょっと切ない曲調が聴かせる楽曲になっています。初動1万9千枚は、前作「知らない」の2万6千枚よりダウン。ちなみに、先週2位にランクインしたアルバム「Stranger」は今週も4位にランクインしており、シングルアルバム同時ランクインになりました。

5位には、AKB48の元メンバー、河西智美「Mine」がランクイン。テレビ東京系ドラマ「めしばな刑事 タチバナ」エンディングテーマ。アニソンじゃないですが、一応、漫画原作ドラマの主題歌です(笑)。AKBを卒業してから初となるシングルですが、初動売上1万8千枚は、ソロデビュー作「まさか」の3万2千枚より大きくダウンしています。

さらに今週、残り2枚の初登場曲もいずれもアニソン。6位に人気女性声優小倉唯「Baby Sweet Berry Love」、9位に同じく人気女性声優日笠陽子「美しき残酷な世界」がそれぞれランクインしています。小倉唯はアニメ「変態王子と笑わない猫。」エンディングテーマ。初動売上1万4千枚は前作「Raise」の1万2千枚よりアップ。日笠陽子はソロ名義では初となるシングルで、アニメ「進撃の巨人」エンディングテーマ。話題の漫画のアニメ化ですが、ピアノとストリングスで美しく聴かせるナンバーは、漫画の雰囲気にもマッチするか?


今週のアルバムチャート

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アルバムチャートも初登場は少なめの低水準のチャートとなりました。

そんな中、1位を獲得したのはKinki Kids堂本剛のカバーアルバム「カバ」・・・・・・まんまじゃん(^^;;尾崎豊の「I LOVE YOU」とか、ドリカムの「LOVE LOVE LOVE」とか、ちょっとベタベタなカバーが多いのですが、槇原敬之は「ANSWER」をカバーしているあたり、なかなか・・・。選曲のセンスが、完全に自分と同世代で、「若いのに・・・」と思ったら、堂本剛って、もう34歳なんですね。確かに、この世代なら、この選曲は納得。

2位は先週1位ゆず「LAND」がワンランクダウンながらも2位をキープ。3位には、平原綾香のベスト盤「10周年記念シングル・コレクション~Dear Jupiter~」が入ってきています。初動売上は1万枚。13位に終わった前作「ドキッ!」の8千枚よりアップしていますが、ベスト盤の割りには上積みがほとんどなかった感が・・・。ベスト10入りは、2010年にリリースしたクラシックカバーアルバム「my Classics2」以来3作ぶり。ベスト3入りは、大ヒット作「Jupiter」を収録した「ODYSSEY」の2位以来となります。ベスト盤としては2作目。ベスト盤としての前作「Jupiter~平原綾香ベスト~」は最高位4位だったものの、初動3万5千枚だったので、こちらよりは大きくダウンしてしまっています。

4位以下の初登場では、7位にStarS「StarS」がランクイン。こちら、「ミュージカル界のプリンス」と呼ばれて人気を博している井上芳雄、浦井健治、山崎育三郎によるユニットだそうです。

そして最後、10位には鈴木雅之「Open Sesame」が入ってきました。KREVAやMONGOL800のキヨサクのような若手から、佐藤竹善、槇原敬之、さらいはさだまさしといった、様々なメンバーとのコラボレーション作品が収録されているアルバムです。アルバムでのベスト10入りは、2001年の「Tokyo Junction」より12年ぶり(!)。ただし、初動売上はわずか5千枚で、最高位18位のカバーアルバムだった前作「DISCOVER JAPAN」と同水準。10位でわずか5千枚ですか・・・。

そんな訳で、今週のヒットチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2013年5月14日 (火)

がんばりすぎ

Title:UBU
Musician:illion

RADWIMPSのボーカリスト、野田洋次郎によるソロプロジェクト。海外への進出を意識してリリースされ、イギリスで先行リリース。その後、日本を含む8ヶ国でリリースされました。また、ライブもロンドン・シェパーズ・ブッシュ・エンパイアで初ライブ。さらにドイツ・ハンブルクでライブを行い、その後、東京の「TOKYO ROCKS」でも初ライブが予定されていましたが、ご存知の通り、そのフェス自体、中止になってしまいました・・・。

RADWIMPSでも、ちょっとひねくれたギターロックを聴かせてくれていましたが、このアルバムは、まさに様々なアイディアをつめたポップアルバムに仕上がっています。スタートを飾る「BRAIN DRAIN」はピアノとストリングスでスケール感を覚えるスタート。「MAHOROBA」はメロに和風なものを感じ、日本のシンガーという主張を感じますし、「FINGER PRINT」はポップで軽快な楽曲には、ブリットポップからの影響を感じます。

一方では「Y」は、フリーキーなピアノの音が印象的ですし、「GASSHOW」はちょっとポストロック風と、実験的なサウンドもチラホラ。そういう意味では非常にバラエティーに富んだ作風の意欲的な作品になっています。

・・・と、実に意欲を感じる作品になっている一方、アルバム全体として、感じたのは、なんか、頑張りすぎだなぁ・・・という感想でした。

いろいろなアイディアを詰め込んだ楽曲は、どうもRADWIMPSに比べると肩肘を張って感じられ、なによりそんな楽曲からは、「こんなにいろいろなアイディアを詰め込んで、すごいでしょ!」というような、主張が聴こえて来ちゃいそう。なんか、露骨に海外進出を、それもピッチフォーク系あたりからの受けを期待しちゃいそうなサウンドになっているなぁ、と感じてしまいました。

悪いアルバムではないものの、ちょっとがんばりすぎ。そう思ってしまうアルバム。もっと気楽に、肩の力を抜いて、いつもの作風でいいんじゃない?まあ、RADWIMPSも、いろいろとちょっとがんばりすぎな感じのする部分もあるんですが・・・(苦笑)。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

君想う、故に我在り/BIGMAMA

相変わらずの青臭いタイトルが、特徴的なBIGMAMAの最新作。この「青臭さ」は、いい意味でも楽曲に反映されており、ピアノやストリングスを多様したサウンドは少々仰々しいとも感じるのですが、メロディーの良さは、前作から上昇している感じ。特に「RAINBOW」など、胸をかきみだされるような切ないメロディーがインパクトがあります。もうちょっと楽曲のバリエーションが増えれば、もっとおもしろくなるとは思うのですが・・・。

評価:★★★★

BIGMAMA 過去の作品
Dowsing For The Future
君がまたブラウスのボタンを留めるまで

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2013年5月13日 (月)

東京の風景

Title:オレらは肉の歩く朝
Musician:前野健太

最近、話題のシンガーソングライター、前野健太の4枚目となるオリジナルアルバム。前野健太、という名前は、前作「ファックミー」も話題になっただけに、もちろん知っていたのですが、音を聴くのは、このアルバムが全くもってはじめてでした。

正直言えば、彼のアルバムは期待半分といった感じでした。ちょっと奇妙なアルバムタイトルといい、素直なポップソングではなく、もっと実験的な作風の曲を書くシンガー、そう勝手に思いこんでいたからです。

ただ、そのイメージは全くもって誤りでした。むしろ、ポップで人なつっこいメロディーを書いており、その楽曲からは難解さは感じられません。1曲目「国歌コーラン節」から、「コカ・コーラ」と掛けたユニークな歌詞で描く日常風景は、非常に馴染みやすいものでした。

楽曲的には、基本的にフォーキーな作風が特徴的。イメージとしては、かつてジョイントツアーも行ったことあるそうですが、曽我部恵一に近いかもしれません。日常を描くという視点も、曽我部恵一に似たものがあるかも。まだ「東京の空」「東京2011」のような、東京の生活をストレートにテーマにした曲が多く、人の多い東京という大都会の片隅で、どこか孤独さを抱えながら生きる人たちの姿を感じました。

また、その歌詞の世界はどこかユーモラスであり、加えて、どこか赤裸々、露骨な内容が多いように感じます。例えばタイトルチューン「オレらは肉の歩く朝」は、非常に爽やかな雰囲気ながらもエロを暗喩させるような歌詞が特徴的ですし、いきなり父親の遺産を使って初めてピンサロ行った」という歌詞からスタートする「あんな夏」に、さらにラストはそのまま「女を買いに行こう」・・・。ある意味、男性のダークな側面も、そのままストレートに歌詞にしています。

そんな赤裸々な歌詞が、少々アングラ臭も感じられそうで、メロディーがポップで、歌詞と反して爽やかな雰囲気のため、そんなことは感じられません。パッと聴いたら、爽やかなポップソングと・・・・・・さすがに思わないか(^^;;ここらへんの歌詞は少々好き嫌いがわかれそうですが、こういうストレートな歌詞を、さらりと歌える点が、彼の大きな魅力なんでしょう。

今回の作品は、ジム・オルークプロデュースということで、少々サイケな作風の曲もあったりするのですが、総じてポップで、ユーモラスで、そしてその歌詞の風景に、どこか共感できる、そんな内容のアルバムだったと思います。正直、予想していた以上の傑作でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

未来大人宣言/SOPHIA

今年4月からのツアーで、活動休止を宣言したSOPHIAの、活動休止前最後となるオリジナルアルバム。うーん、「サヨナラ 愛しのピーターパンシンドローム」みたいに、メロディーセンスの良さは相変わらずながらも、特にこれといった特徴もないポップスロックが並んでいる感じで、勢いのなさというか、惰性でリリースしたアルバムといった感じ。なんとなく、活動休止の理由がわかるそうな気もする、少々煮え切らないアルバムでした。

評価:★★★

SOPHIA 過去の作品
2007
BAND AGE
15
ALL SINGLES 「A」
ALL-B SIDE 「B」

QUEENS,DANKE SCHON PAPA!/HiGE

ガレージロック風のバンドサウンドをベースに、ポップなメロディーや、サイケな雰囲気のアレンジが、まるで楽しいおもちゃ箱のような、ワクワクするようなポップソングを聴かせてくれます。まあ、彼ららしい楽しいロックンロールサウンドは健在。ただ、聴いていて楽しいけども、似たような雰囲気の曲が多いような・・・。

評価:★★★★

HiGE 過去の作品
Chaos in Apple
テキーラ!テキーラ!the BEST
サンシャイン
それではみなさん良い旅を!

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2013年5月12日 (日)

capsuleの歴史

Title:rewind BEST-1(2012→2006)
Musician:capsule

Title:rewind BEST-2(2005→2001)
Musician:capsule

Perfumeや、最近ではきゃりーぱみゅぱみゅのプロデューサーとして活躍中の中田ヤスタカによるユニット、capsuleのベストアルバムが2枚同時に発売となりました。今回のベスト盤は、時代をさかのぼる形で、2006年までの作品がBEST-1に、2005年以前の作品がBEST-2に収録されています。

とはいえ、capsuleのベスト盤としては、2009年にベスト盤「FLASH BEST」が発売されたばかり。その後、オリジナルアルバムが3枚リリースされていますが、それでもちょっとこのスパンは短すぎないか?という印象は受けます。

ただし、今回のアルバムは、前作「FLASH BEST」で、収録されず、半ば「黒歴史」化か?と思われた最初期の作品も収録。そういう意味ではオールタイムベストな作品となっています。

この2枚のベストで、capsuleの歴史を遡れるようになっていますが、時代を遡れば遡るほど、capsuleとしての「個性」が薄まり、かつ、こしじまとしこのボーカルが前に出てくる「普通」のポップスアルバムになっているのがユニークでした。

特に初期capsuleは、劣化版ピチカート・ファイブというイメージを強く持っていたのですが、あらためてその時代の作品を聴くと・・・そのイメージがほとんど間違っていないことを再認識しました(^^;;とはいえ、この時代からインパクトのあるメロディーラインを書いており、後の時代のブレイクを彷彿とさせる面はチラホラと。

あらためて聴くと、BEST-1になってからの垢抜けぶりがすさまじい感じ。初期のなんちゃってピチカートの影はほとんどなくなり、ロッキンなエレクトロビートをバリバリ鳴らし、中田ヤスタカの色を前面に押し出した作品が並びます。結果、こしじまとしこの存在が、ともすれば「楽器の一部」的になってしまったのですが・・・。

そんな訳で、BEST-1はお薦め。BEST-2はあまり期待できない内容とは思うのですが、ファンなら、この時代の作品もチェックしておきたいところ。まさにcapsuleの歴史がわかるオールタイムベストでした。

評価:
BEST-1 ★★★★★
BEST-2 ★★★★

capsule 過去の作品
FLASH BACK
MORE!MORE!MORE!
FLASH BEST
PLAYER
WORLD OF FANTASY
STEREO WORXXX


ほかに聴いたアルバム

新世界/ACIDMAN

「静」と「動」を見事に対比させたダイナミックな作品が実にACIDMANらしい作品。特に前半は勢いがあり、ヘヴィーなバンドサウンドに惹かれます。さすがに、少々仰々しいサウンドに、後半はちょっとお腹いっぱいになってくるのですが、ACIDMANらしさが出ている作品。ここ最近の作品の中では一番かも。

評価:★★★★

ACIDMAN 過去の作品
LIFE
A beautiful greed
ALMA
Second line&Acoustic collection
ACIDMAN THE BEST 2002-2012

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2013年5月11日 (土)

メロディーラインが前面に

Title:OVERGROWN
Musician:JAMES BLAKE

デビューアルバム「JAMES BLAKE」が、大きな評判となったイギリスの男性ミュージシャンのソロ2作目。特にセルフタイトルになった前作は、流行のサウンドであるダブステップを取り入れつつ、聴かせるポップなメロディーラインが幅広い層にアピールできるような、実験性とポピュラリティーを兼ね備えたアルバムで、各国の音楽メディアで、軒並み年間ベストの上位を飾るなどの話題作となりました。

今回のアルバムも、基本的にはそんな前作を踏襲。「I AM SOLD」「LIFE ROUND HERE」などのように、音数を絞ったサウンドの中、静かにビートが鳴り響き、そしてその中を流れるメロディーラインは、とても美しくメロウ。前作で感じたJAMES BLAKEというミュージシャンの魅力を感じることが出来ます。

ただ一方で、実験性とポピュラリティーがちょうどよくバランスされていた前作に比べると、少々、実験性の方が後退してしまったかなぁ、という印象を受けます。リズムのタイトさは少々薄まり、かわりに独特の浮遊感が残ったサウンド。そしてそれよりも目だったのが、より前面に出てきた、彼の書くメロディーラインでした。

あらためて、JAMES BLAKEのメロディーラインだけを取り出すと、最初の印象よりも、かなりフォーキーなんだなぁ、という点に気がつかされます。それに、彼のファルセット気味の高音ボイスがのっかかることにより、とても美しいメロディーを聴かせてくれるのですが・・・その結果、思い出してしまったのが、こちらも話題のミュージシャン、Bon Iver・・・(^^;;「DLM」あたりなんて、まるっきりBon Iverだよなぁ・・・。

いや、内容としては決して悪くありません。音のバリエーションは本作の方が増えていますし、前作とは異なる新たな一歩も感じます。ただ、聴いていて刺激的だったのは断然前作。ちょっとおとなしくまとまっちゃったかなぁ、という印象も残した2作目でした。

評価:★★★★

JAMES BLAKE 過去の作品
JAMES BLAKE
ENOUGH THUNDER


ほかに聴いたアルバム

Voice Of Ages/The Chieftains

1962年結成というから、昨年で結成50周年を迎えたベテランバンド。アイルランドの伝統音楽を、ロックやポップス風にアレンジした先駆的なバンドで、グラミー賞も何度か授賞したこともあるバンドです。

フォーキーなポップスが軽快でとても楽しい楽曲が並んでいます。アイルランドの伝統音楽の、庶民が作り出した土着っぽいメロディーやサウンドの匂いはそのまま残しつつ、いい意味で聴きやすくまとめています。多分、ライブとか、すごく楽しいんだろうなぁ、とアルバムを聴いていても感じることが出来る作品でした。

評価:★★★★★

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2013年5月10日 (金)

平均年齢16歳・・・だけれども。

Title:BLUE COLLAR JANE
Musician:THE STRYPES

今、注目のバンド、THE STRYPESの日本デビューアルバム。何が話題かといえば、その年齢。彼ら、平均年齢16歳(!)という、少年4人組。それだけでも大きな話題なのでしょうが、さらに話題となったのが彼らが奏でる音楽。ブルースからの影響をダイレクトに感じられるロックンロールは、60年代そのまんま。16歳という年齢と、その音楽性とのギャップが話題となっています。

今回のアルバムは、全7曲入りのミニアルバムなのですが、そのうち5曲がカバー。それも、ボ・ディドリーやウィリー・ディクソン、スリム・ハーポといった、50年代黎明期のロックンロールやブルースのカバー。それを、ガレージロック風にカバーしているスタイルは、まさに初期のローリング・ストーンズを思い出させるような内容になっています。

一方で2曲入っているオリジナル曲も、まさにそんなブルースからダイレクトに影響を受けたような、リズム&ブルース路線。正直、他5曲のブルースナンバーと並べても違和感ありません。もちろん、それはそれだけブルース色が色濃いという意味もあるのですが、ちゃんとブルースを消化し、自分たちのロックンロールを作り上げているという意味でも、彼らのポテンシャルを感じられます。

で、彼らの音楽を聴いていると、やはり思い出されるのが、現在、日本で人気沸騰中のTHE BAWDIES。THE STRYPESほど若くはないものの、やはり彼らもその年齢からすると不釣合いなほどの昔のリズム&ブルースの影響をダイレクトに受けた楽曲を書いていることで話題です。

ロックンロールの、さらにルーツであるブルースやソウルの影響を自らのロックに色濃く反映している点、おそらくTHE BAWDIESが好きな方なら、THE STRYPESも気に入ると思います。ただ、両者、ひとつ大きな違いがあり、THE BAWDIESはサザン・ソウル、オーティス・レディングやウィルソン・ピケットあたりの影響が強いのに対して、THE STRYPESは、サザンソウルよりもブルースの影響が強く、また今回のアルバムでもモータウンの著名なソングライター、エディ・ホーランドのカバーを収録していることから、THE BAWDIESに比べると、もうちょっとさっぱりしている感じがしました。

また、目新しいかと言われると少々微妙な点もあり、ちょっと前に「ロックンロール・リヴァイバル」という名前で、昔ながらのガレージロックバンドが話題となったことがありますが、いわばTHE STRYPESもそういうタイプのバンド。ただ、こういうタイプのロックンロールって、本当にみんな好きなんだなぁ、ということを感じます。ロックンロールの原点で、シンプルでわかりやすいからこそ、いまだに多くのロックリスナーがこういう音に惹かれるんでしょうね。

まあ、かく言う私もはまってしまったんですけどね(笑)。まだまだ若い彼らなだけに、どう成長していくのか楽しみでもあります。こういうロックンロールを、太く短く奏で、数枚の傑作をリリースして解散するのか、ストーンズみたいに、ブルースロックの中から、自分たちの音を生み出し、長くロック界に君臨するのか・・・これからが楽しみです。

評価:★★★★★

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名古屋圏フェス・イベント情報(5/10)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

5/10 主な更新
・KAZOKU FES.2013 開催決定!
・東濃フェス2013秋 追加
・ベルギービールウィークエンド名古屋2013、Seapus2013、リゾートライブラリー、JAPANESE FOLKEY FESTIVAL、idol wave~テレビ愛知30周年で30組大集合~終了

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2013年5月 9日 (木)

男性陣が健闘

今週のアルバムチャート

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今週のアルバムチャートは、男性陣が健闘。ベスト3は、いずれも非アイドル系の男性ミュージシャンでした。

まず1位は、ゆず「LAND」が獲得。オリジナルアルバムでは「FURUSATO」以来3作連続、途中にリリースされたベスト盤「YUZU YOU[2006-2011]」も含めると、4作連続の1位獲得となりました。初動売上は8万9千枚。直近のリリースのベスト盤の14万9千枚からはダウンしていますが、オリジナルとしての前作「2-NI-」の9万枚からはほぼ横バイという結果になっています。

2位には、俳優としても活躍中の星野源「Stranger」がランクインです。昨年12月、くも膜下出血を患い活動を休止していた彼ですが、見事に復帰。1年7ヶ月ぶりとなるニューアルバムの発売となりました。ベスト10入りは、前作「エピソード」に続いて2作目ですが、ベスト3入りははじめて。初動売上4万2千枚は、その「エピソード」の初動1万枚から4倍増という、人気のほどをみせつけた結果となっています。

そして3位は、先週1位のゴールデンボンバー「ザ・パスト・マスターズvol.1」が2ランクダウンながらもベスト3をキープしました。

続いて、4位以下の初登場盤ですが、6位には4人組ロックバンドストレイテナーの初となるベスト盤「21st CENTURY ROCK BAND」がランクイン。ベスト10入りは、2011年にリリースしたセルフカバーアルバム「STOUT」以来。初動売上1万1千枚。直近のリリースは、アコースティックアルバム「SOFT」の、12位初動6千枚、オリジナルとして前作「STRAIGHTENER」の11位初動1万枚よりアップ。ただし、直近のオリジナルアルバムの数値を見る限り、ベスト盤としての上乗せ分は、さほどなかった模様・・・。

9位には、韓流の男性アイドルグループSHINee「Why So Serious? - The misconceptions of me」がランクイン。韓国盤アルバムの、輸入盤のみでのランクイン。初動売上8千枚。2月には、同じく韓国盤のアルバム「Chapter 1 'Dream Girl-The misconceptions of you」がランクインしていますが、その時の初動1万2千枚よりダウンしています。

最後10位には、HEY-SMITH「Now Album」がランクインしています。これが3枚目のアルバムとなる5人組パンクロックバンド。これが初のベスト10ヒットとなりました。初動売上は7千枚。前作「Free Your Mind」の36位初動2千枚から大きくアップ。名実共にブレイクとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2013年5月 8日 (水)

2週連続ジャニーズ系

今週のシングルチャート

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今週は、先週に引き続きジャニーズ系が1位。今週は、Sexy Zone「Real Sexy!」が1位を獲得です。あんまりセクシー、セクシーと並べられると、「セクシーコマンド」やら「セクスィー部長」やら思い出して、むしろギャグっぽいんですが(笑)。楽曲は、作詞松井五郎、作曲馬飼野康二という、まさしく王道路線の、ジャニーズ系本流を行くようなナンバー。初動売上13万8千枚は、前作「Sexy Summerに雪が降る」の9万5千枚からアップ。デビュー以来、順調に下落傾向を続けていましたが、本作で下げ止まった感じ。ただ、付属のDVDなどの販促効果も強い模様。

2位には、人気上昇中のロックバンド、SEKAI NO OWARI「RPG」がランクインしています。映画「クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!」主題歌。祝祭色あるポップなメロディーが特徴的。中盤のオーケストレーションの間奏は、完全にドラクエですね。シングルでは3作目のベスト10入りですが、ベスト3入りは初。初動売上7万9千枚は、前作「眠り姫」の3万6千枚から倍増しています。

3位は、EXILE ATSUSHI&辻井伸行「それでも、生きてゆく」が入ってきています。2009年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの優勝で一躍話題となったピアニスト、辻井伸行が、2011年3月の震災直後のアメリカ公演で即興演奏した曲に、ATSUSHIが歌詞をつけて歌った楽曲。辻井伸行のシングルとしては初のベスト10ヒット。クラッシックとしても2008年1月21日付の秋川雅史の「千の風になって」以来のベスト10入りだそうです。ピアノ1本で、ATSUSHIが歌い上げるスタイルなのですが、一応クラッシックのカテゴリーみたいですが、楽曲は至ってポップなバラードナンバー。

続いて4位以下の初登場は、

4位に来栖翔(下野紘)名義 「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000% アイドルソング 来栖翔(TRUE WING)」がランクイン。アニメ「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000%」の登場キャラクターによるキャラソン。楽曲は、アイドルソングというよりも、レベルが低くなったポルノグラフィティみたい・・・。アニメ「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000%」がらみでは、エンディングテーマST☆RISH「マジLOVE2000%」が先週3位にランクインしており、今週も9位をキープしています。初動売上2万2千枚は、そのST☆RISHが先週記録した、初動5万枚よりダウンしていますが。

6位には、氷室京介「NORTH OF EDEN」が入ってきました。映画「藁の盾」主題歌。哀愁感ただようミディアムテンポなナンバー。初動売上1万8千枚は、前作「WARRIORS」の1万6千枚から若干のアップ。

7位は、女性声優ユニット、スフィア「GENESIS ARIA」がランクイン。テレビ東京系アニメ「アラタ カンガタリ~革神語~」オープニングテーマ。マイナーコード主体の叙情感で盛り上げる作風は、いかにもアニソンといった感じ。初動1万2千枚は、前作「Pride on Everyday」の1万枚から若干のアップ。タイアップにより、初動が変動しています。

最後、10位には、こちらも人気上昇中のロックバンド、クリープハイプ「憂、燦々」が入ってきています。資生堂「アネッサ」CMソング。ボーカル尾崎世界観のハイトーンボイスが印象的。これで3作連続のベスト10ヒット。初動売上1万枚は、前作「社会の窓」から横バイです。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、また明日!

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2013年5月 7日 (火)

最も「売れてほしい」バンド

Title:人生×僕=
Musican:ONE OK ROCK

今、もっとも「売れそうなロック」を奏でているバンド、ONE OK ROCK。個人的には、昨今、R&BやHIP HOP、あるいはアイドル系に圧されがちな、ロックというジャンルをもっと一般的に広げるためにも、もっともがんばってほしいバンドだと思っています。

「売れそうなロック」というと、少々誤解があるかもしれません。ただ、彼らは、ロックという音楽が持つ、エンターテイメントな側面を引き出しつつ、アイドル性を兼ね備えた数少ないバンドのひとつだと思っています。

彼らのスタイルは、ヘヴィーロックなのですが、ダイナミックなバンドサウンドは迫力があり、ロックという音楽の持つ、聴いていて圧倒される音を体感できる楽しさを持っています。かつ、メロディーはJ-POPに通じるようななじみやすさを持っているだけに、あまりロックを聴かない層にも十分アピールできます。

アイドル性に関しては、彼らの紹介で何度も繰り返しているだけに言うまでもないでしょう。ただ、すっかりアイドル系に席巻された今のシーンで、ロックの側から、ちゃんと一定水準以上のロックサウンドを奏でつつ、かつ、ルックス的にもアイドル系に勝負できる、数少ないバンドとして、今の彼らの人気の上昇は頼もしくもあります。

以前から洋楽テイストの強い彼らでしたが、今回の作品はそれがさらに強まった感じも。メロディーはインパクト十分で、なによりも人気上昇中なバンドによく感じられる脂ののった勢いを感じます。特に「Be the light」「All Mine」のような、ミディアムテンポのナンバーやバラードナンバーでも十分魅力のある耳に残るメロディーを聴かせてくれて、メロディーメイカーとしての実力も感じされます。

スケール感のあるサウンドは、スタジアムレベルでも十分通用しそうな感じで、そういう意味でも「売れてほしい」と感じるバンド。ただ一方で、以前から課題となっていた似たようなタイプの曲が多いというのは相変わらずで、それがマイナスポイント。前作よりはよかったのは、演奏能力が上昇したのと、勢いがあるだけに、それで乗り越えられたのと。勢いのある今のうちに、そのマイナスポイントも克服してほしいのですが・・・。ただ、勢いはまだまだ続きそうなだけに、これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★

ONE OK ROCK 過去の作品
Nicheシンドローム
残響リファレンス

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2013年5月 6日 (月)

はりつめた空気感

Title:SO
Musician:Antonio Loureiro

祝!スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドで来日!!の第2弾。こちらはブラジル出身のミュージシャン。といっても、実は、これがはじめて聴くアルバムではなく、前作「Antonio Loureiro」が一部で話題となり、かつ、無料ダウンロードでアルバムが聴ける!ということでさっそく聴いてみた訳です。

で、本作は、そんな彼の第2弾アルバム。前作を聴いた時は、ほぼ無名のミュージシャンで、アルバムはamazonですら取り扱いのない状況だったのですが、その後、話題になったためか、この2ndアルバムは、タワレコでも比較的大きくディスプレイされていました。

発売当初も聴こうかどうか迷って、結局聴かずじまいだったのですが・・・遅ればせながら聴いてみました。そして、発売当初に聴かなかったことを、少々後悔しました・・・。

彼の音楽は、ひとつのジャンルで捉えづらい点に大きな特徴があります。基本的にピアノを中心に構成された美しいサウンドは、クラッシック音楽のようにも感じられますが、一方では、アルバム全体としては、ジャジーな雰囲気の強い作風になっています。

かと思えば、「Pelas aguas」をはじめとして、先を読めない複雑な構成にはポストロック的な雰囲気を感じますし、「Passagem」のような、静かなピアノにドラムがからむ緊張感あるサウンドには、ある種のロック的なダイナミズムすら感じます。

その一方で、「Cabe na minha ciranda」は、ちょっとブラジル音楽的なイメージを感じたり、タイトルチューンである「So」の哀愁あるメロディーには、どこか歌謡曲に通じるものを感じたり。

ただ、どの曲にも共通しているのは、非常にはりつめた空気感。どの曲も必要最小限の音だけを用いて、一音一音丁寧につむいでいるからこそ、こういう緊張感を覚えるのでしょう。先の見えない複雑な展開とあいまって、最後まで耳の離せないアルバムでした。

ライブでも、この緊張感を味わえることができたらたまらないだろうなぁ~。ちなみに、以前紹介した1stアルバムは、まだこちらのサイトで無料ダウンロードできる模様。興味のある方は、是非。

評価:★★★★★

Antonio Loureiro 過去の作品
Antonio Loureiro

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2013年5月 5日 (日)

フランス人チェリストによる「和」のライブ

Title:「序破急」リリースライブat六本木スーパーデラックス
Musician:Gaspar Claus

今回紹介するアルバムは、またもフリーダウンロードのアルバム。フランスのチェリスト、ギャスパー・クラウスのライブ盤。もともと、このフリーダウンロードを知ったのは、このニュース記事がきっかけでした。ギャスパー・クラウスについては、名前も全く知らなかったのですが、このライブにはジム・オルークや灰野敬二、友川カズキらが参加しているという豪華なゲストが気になって、聴いてみました。

彼、ギャスパー・クラウスは1983年生まれのチェリスト。前衛的なサウンドが特徴的だそうで、このライブにも参加した友川カズキのドキュメンタリー映画「花々の過失」にも出演したそうです。また、2012年からは、アメリカのインディーロックバンド、The Nationalのツアーメンバーとしても参加しているそうです。今年2月にはアルバム「序破急」をリリース。今回のライブは、そのリリース記念ライブ。アルバムには、このライブに参加したミュージシャンの他、坂本龍一も参加しており、豪華な面子が話題となっています。

さて、このライブ盤。最初、静かにはじまったかと思いきや、いきなり和太鼓のリズムからスタートします。ライブに参加するゲストからしても予想はしていたのですが、決して一般的にイメージされるクラシカルなチェロのアルバムではありません。むしろ、ライブ全体、「あれ?チェロはどこ?」と思うような部分もありました(^^;;

今回のライブの元となったアルバムタイトル「序破急」は、もともとは、日本の伝統音楽における構成様式だそうで、そのため、ライブ全体を通じて、非常に日本的なイメージの強い展開になっています。冒頭の和太鼓もそうですが、9分あたりには、三味線の音に、詩吟を思わせるような人の声も入っており、なんの情報もなく聴けば、フランス人ミュージシャンによるライブとは、誰も気がつかないかもしれません。

前衛的なサウンドを指向しているようで、ライブ全体としては、フリージャズ的な雰囲気を強く感じます。ただ、非メロディー的なごちゃまぜの音がハードに鳴り響くのではなく、緊張感ある雰囲気の中、最小限の音のみ鳴り響く構成なので、フリージャズにあまり馴染みのない私でも、比較的、壺は抑えやすかったように感じます。また、和風な雰囲気も、日本人にとってはなじみやすい大きな要因でしょう。

後半24分あたりからクライマックスに入るのですが、これがまた圧巻。静寂の雰囲気が一気に破れ、チェロはもちろん、サックスやドラムもくわわり、カオスなサウンドが繰り広げられます。ただ、それでも音で埋め尽くすというよりも、必要最小限な音で構成され、隙間も感じられるサウンドで、そのため、フリージャズ的でありながらも、比較的聴きやすかったように思います。もっとも、途中で入る「奇声」は、ちょっとひいてしまいましたが・・・。

そんな訳で、まあちょっと好き嫌いはわかれそうではあるものの、ゲストの名前に惹かれるような方は、要チェックかも。タイトル下に埋め込んだ動画でもフル試聴が出来るほか、ダウンロードはこちらまで。ダウンロード期限はいつまでかわかりませんが、興味ある方はお早めに。

評価:★★★★

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2013年5月 4日 (土)

日本人にとって、なじみやすい

Title:Yetchalal
Musician:UKANDANZ

祝!「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」での来日決定!という訳で、遅ればせながら聴いてみた、昨年話題となったエピオピア音楽のミュージシャン、UKANDANZ。もともと、ギタリストであるフランス人のダミアン・クルュゼルが、3人のミュージシャンとバンドを結成していたのを、エチオピア人のボーカリスト、アスナケ・ゲブレイエスが加わり、今の編成になったようです。

エチオピア音楽といえば、昔、テレビのバラエティー番組か何かで、「エチオピアでは日本の演歌が流行っている」という話題を見たことがあります。そんなことを思い出し、ネットで調べてみると、確かにこんな記事を見つけました。

なんでそんなことを思い出したかといえば、確かに、彼らが奏でるエチオピアの音楽は、どこか日本人にとってなじみのあるような音を聴かせてくれるからです。例えば「Belomi benna」のうねるようなこぶしは、日本の民謡そのもの。ボーカル、アスナケのこぶしは、演歌という以上に、日本の民謡を思い起こさせるような、我々日本人にとって、どこか血沸き肉躍る感覚になります。

彼らがユニークなのは、そんなエチオピア風のボーカルが載るサウンドは、ダイナミックなロックだという点。「Tezalegn yetentu」「Aykedashem lebe」などは、迫力のあるギターサウンドやドラムスのリズムが流れ、ハードロックテイストのナンバー。そういう意味でも、ロックリスナーにとって非常に聴きやすい内容だったと思います。

また、メンバーの中にサックス奏者がいるのですが、そのサックスが、どこかフリーキーで、こぶしの効いたボーカルと相まって、どこか渋さ知らズのような雰囲気も感じます。特にラストを締めくくる「Sema」などは、バンドサウンドに、このフリージャズっぽいサックスで、まさに狂乱っぽい雰囲気の音を作り出しており、ヘヴィーでインパクトあるサウンドが特徴的でした。

でもね、なによりこの日本人に親和性の強いメロディーラインに、迫力のあるロッキンなバンドサウンドって、ライブで体験したら、とんでもないことになるだろうなぁ~と思ってしまいます。それだけに、この夏の初来日は見逃せない!その前に、このアルバムで、是非、彼らのど太く迫力あるサウンドを堪能してください。これは、はまります!!

評価:★★★★★

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2013年5月 3日 (金)

トラックメイカーとしての自信

Title:SPACE
Musician:Kreva

今回のKrevaのニューアルバムに関しては、ちょっとおもしろい試みがなされました。それは、このアルバムリリースの1週間前に、このアルバムのインストバージョン「SPACE Instrumentals」をリリースしたということ。本人曰く「ファンの皆さんにインストで聞いてもらって、そこにどんな言葉が乗ってくるかを楽しんでほしい」ということでしたが、トラックだけのアルバムでも十分作品として通用する、という、彼の自信を感じました。

確かに、今回のアルバムは、そんな彼の自信に納得がいくような内容だっと思います。それだけ、アルバムの中で、トラックに耳を奪われるような作品になっていました。エレクトロサウンドがメインのトラックですが、タイトル通りスペーシーなサウンドが楽しい「SPACE」や、ちょっとこじゃれたジャズっぽいトラックが魅力の「ma cherie」、分厚いサウンドが耳を惹く「言ってなカッタカナ?」、タイトなトラックの「Link」など、実に魅力的なトラックの展開を楽しむことが出来ました。

さすがに熱烈なファンでもないので、「SPACE Instrumentals」は聴いていないのですが、このアルバムを聴いて、逆に、トラックのみの「SPACE Instrumentals」を聴いてみたくなったくらい、それだけ今回の作品は、トラックに耳を惹く内容だったと思います。

また、トラックが印象的ということは、それだけ音楽的なアルバムだったということ。まあ、もともとKREVAの作品はポップス色が強いのですが、その上これだけトラックにインパクトがあると、ラップを普段あまり聴かない方でも楽しめるのでは?

もちろん、そんなトラックに載るKREVAのラップ自体も魅力的だったのも間違いありません。というよりも、いつも通りの安定感。特にラップに独特な個性があるわけではないのですが、きちんとリズムに言葉をのせながらも、聴いていて、ちゃんと言葉が耳に入ってくる彼のラップって、やはり上手いよなぁ、ということをラップに関しては素人ながらもそういう感想を抱きました。

「Space Dancer」みたいな、哀愁たっぷりの歌を聴かせてくれたりして、アルバム全体、バリエーション豊富な内容。ここ最近のKrevaのアルバムは、どれも高い評価を得ているような印象を受け、実際、傑作続きなのですが、今回のアルバムも安心の内容。いい意味での安定感も感じる作品だったと思います。

評価:★★★★★

KREVA 過去の作品
心臓
OASYS
GO
BEST OF MIXCD NO.2

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名古屋圏フェス・イベント情報(5/3)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。週一で更新の予定。週末中は微妙に変わっているかも。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

5/3 主な更新
・岡崎ジャズストリート2013 開催決定!
・めいほう音楽祭 開催決定!
・SSMC2013 出演者発表

STARLIGHT DANCE in 明宝2013 第1弾出演者発表
・FREEDOM NAGOYA2013 第2弾出演者発表
・四日市JAZZフェスティバル 出演者発表

・TOYOTA PUNK CARNIVAL、kalancolon summer fes 2013、About 4th Anniversary =Free Festival !!= 追加
・アースディ名古屋2013Peacetribe2013~マルタピクニック、わんPARK こども音楽FES 2013 終了

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2013年5月 2日 (木)

新譜は少なめ

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は、新譜は少なめのアルバムチャート。ベスト10のうち、新譜は5枚のみでした。

そんな中で1位を獲得したのが、おそらく、アイドル系以外で、昨年、最もブレイクしたミュージシャン、ゴールデンボンバー「ザ・パスト・マスターズVol.1」。ご存知、ビートルズのアルバムタイトルからのパクリなわけですが、ビートルズと同様、こちらも、これまでのアルバムに収録されなかった曲を収録した企画盤となっています。

初動売上は11万3千枚で、前作「ゴールデンアルバム」の6万6千枚から大幅アップ。アルバムでは初の1位獲得となりました。通常、この手の企画盤は、ファン向けであるため、売上を大きく落とすのが通例ですが、初動売上を大きく伸ばしたあたり、彼らの勢いを感じます。ただ、お茶の間レベルにまで人気が浸透した今、さらなる飛躍があるのか、それとも・・・今後に注目されます。

2位は先週1位のE-girls「Lesson1」が、ワンランクダウンで2位をキープ。3位には、ロングヒットを続けるFUNKY MONKEY BABYS「ファンキーモンキーベイビーズ LAST BEST」が、先週から横バイ。5週連続のベスト3キープとなりました。

続いて、4位以下の初登場ですが、まず5位にNICO Touches the Walls「Shout to the Walls!」がランクインです。4人組オルタナ系ギターロックバンド。アルバムでのベスト10入りは、前作「HUMANIA」に続き2作目。ベスト5入りは、シングルアルバム通じて初となります。ただし、初動売上1万枚は、前作の1万5千枚からダウンしています。

もういっちょ、ギターロックバンド。8位にGRAPEVINE「愚かな者の語ること」が入ってきています。これで、オリジナルとしては前作の「真昼のストレンジランド」に続く2作連続のベスト10入り。初動売上は8千枚で、その「真昼のストレンジランド」の9千枚からダウン。ただし、最高位16位だった、直近作のミニアルバム「MISOGI EP」の7千枚からはアップしています。

まあ、前作から引き続き、ベスト10入りは、低水準の週にランクインした、というタイミングの良さに起因するところが大きいのですが、既にデビューから15年以上が経過し、決して派手なポップソングを量産しているわけではない彼らが、低水準とはいえベスト10入りできる人気を保っている点、非常に根強いものを感じます。ある意味、いい位置に落ち着いたな、という印象も。

9位初登場は、声優4人組からなるユニット、StylipS「THE LIGHTNING CELEBRATION」。まだシングル3枚、アルバム1枚しかリリースしていないユニットですが、こちらは「ベスト盤」という位置付けのようです。なんだそりゃ。初動売上は6千枚。13位だったアルバム「Step One!!」の初動8千枚からダウン。

最後10位初登場はangela「ZERO」。アニソンを中心に活動を続ける、女性ボーカル+ぎーボード&ギターの男性という2人組ユニット。なにげにデビューが2003年というベテランで、ベスト10入りは、なんと2006年にリリースしたアルバム「PRHYTHM」以来の7年ぶり2作目。初動売上6千枚と、ベスト10入りにしてはかなり寂しい売上ですが、23位だった前作「mirror☆ge」の4千枚よりアップし、見事ベスト10入りを果たしています。

今週、もう1枚、ベスト10圏外からの返り咲きが。4位にNMB48「てっぺんとったんで!」が、先週のベスト50圏外からランクアップ。4月8日付チャート以来、4週ぶりのベスト10返り咲き。詳細は不明ですが、おそらくいつものパターンだと、どこかの公演の売上か、特定のネット販売の売上が一気に計上されたものと想われます。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2013年5月 1日 (水)

怒涛のアニソンラッシュ

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は驚異の新譜ラッシュ。ベスト10全てが初登場という結果になりました。

そんな中、1位を獲得したのがジャニーズ系。関ジャニ∞「へそ曲がり」でした。テレビ朝日系ドラマ「お天気お姉さん」主題歌。楽しげで、ちょっとパンキッシュなポップナンバー。初動売上29万5千枚は、前作「あおっぱな」の20万8千枚から大幅アップとなっています。

2位は三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE名義の「SPARK」が入ってきています。今回は、アップテンポなエレクトロポップナンバー。初動売上6万7千枚は、前作「Powder Snow~永遠に終わらない冬~」の9万4千枚からダウン。

3位にはST☆RISH「マジLOVE2000%」がランクイン。アニメ「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000%」エンディングテーマ。なんのひねりも新鮮味もないアイドルソングなのですが、この手のアニメの場合、逆にベタな方が受けるのでしょうか?初動売上5万枚は、前作「マジLOVE1000%」の1万9千枚から大幅アップしています。

さて、今週は、このST☆RISHをはじめ、アニメ系ソングが大量にランクインしています。それも、単なる「タイアップソング」ではなく、キャラソンのように、アニメ自体との結びつきが強い曲がランクインしています。

まずは、5位765 MILLIONSTARS「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER PERFORMANCE 01 「Thank You!」」。GREE用ゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ!」のオープニングテーマ。典型的なアニメ声のアイドルソング。下手なアイドルよりもアイドルソングらしいのは相変わらず。初動売上2万7千枚で、アイドルマスター関係ではTHE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER お願い!シンデレラ」の1万8千枚よりアップ。

8位もアニメからの派生作品。ミュージカル『テニスの王子様』 「WE ARE ALWAYS TOGETHER」。ミュージカル「テニスの王子様」のアンコールソングで、楽曲は爽快なアイドルナンバーで、こちらもまた、歌っている人が大事で、楽曲自体は2の次なんだろうなぁ、というのが伝わってくるような感じ。

もういっちょ。9位に後ろから這いより隊G「恋は渾沌の隷也」。アニメ「這いよれ! ニャル子さん」オープニングテーマ。ちょっとスカっぽいリズムと、ゴシックっぽい雰囲気の典型的なアニソンなのですが、この4曲の中では、ちゃんと「音楽」しています(^^;;初動売上1万1千枚は、前作「太陽曰く燃えよカオス」の2万5千枚より大幅ダウンになっています。

他にも今週は新譜が続々と続きます。

4位は、韓国の4人組バンドCNBLUE「Blind Love」。メロウな楽曲は、バンドサウンド主体でも、典型的なK-POP路線。3作連続のベスト3入りは逃したものの、初動売上4万7千枚は、前作「Robot」の4万2千枚よりアップ。

6位には、女性シンガーソングライターmiwa「ミラクル」がランクイン。資生堂シーブリーズCMソング。タイアップ商品の雰囲気にあわせたような、爽やかなポップソング。初動売上2万3千枚は前作「ホイッスル~君と過ごした日々~」の2万9千枚からダウンしたものの、5月にアルバムの発売が予定されている影響も大きく、それを考えると、健闘した結果と言えるかも。

7位ランクインは、ヴィジュアル系ロックバンド、ViViD「ANSWER」。歌詞も含めて、歌謡曲風なナンバーに。初動売上2万枚は、前作「REAL」から横バイ。

そして最後、10位には小田和正「その日が来るまで」が入ってきました。「その日が来るまで」は、東日本大震災を受けて、彼が大学時代をすごした東北への想いを込めて歌った曲だそうで、彼らしい優しいポップソングになっています。テレビ朝日系ドラマ「遺留捜査」主題歌の「やさしい風が吹いたら」と両A面扱いですが、彼のシングルで両A面なのは、あの大ヒットした「Oh!Yeah!/ラブ・ストーリーは突然に」以来22年ぶり(!)だとか。シングルでのベスト10入りは、前々作「さよならは言わない」以来。ただし、初動売上1万1千枚は、15位だった前作「グッバイ」の1万5千枚からダウンしており、低水準のチャートに助けられた結果になりました。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは、また明日!

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