ポップスさと実験性が絶妙なバランスで同居
Title:We are 東京カランコロン
Musician:東京カランコロン
また、おもしろい新人ミュージシャンが出てきました!その名は東京カランコロン。女性1人+男性4人の5人からなるロックバンド。ここ最近、いろいろなところで話題になり、その名前は聞いていましたが、これが、彼女たちにとってメジャーでは初となるフルアルバムとなります。
東京カランコロンという名前も非常にかわっていて印象に残ります。その妙に人なくっこくポップで、そしてユーモラスな「カランコロン」という名前、彼らのこの名前こそ、このバンドの曲の要素を良くあらわしているように感じます。
楽曲は、どれも明るくハッピー。基本的にとても楽しく、エンターテイメント性を感じされるサウンドになっています。例えば「ハートフルポット」など、ギターの音のみならず、様々な音をアレンジに取り入れているのですが、どれもポップで明るくまとめあげています。「ポンコツ野郎の大逆襲」では、かなりギターのノイズを前面に出したアレンジになっているのも関わらず、そのノイズも含めて、妙にユーモラス。アバンギャルドさを感じつつも、とても楽しい仕上がりになっています。ほかの曲も、バンドサウンドだけではなく、シンセの打ち込みなども含め、ちょっとサイケ的な要素も感じられるのですが、どれもあくまでもポップにまとめてきています。
でもって、もうひとつの大きな特徴がメロディーライン。非常に癖の強いメロディーラインは、よく言われるところのひねくれメロ。正統派ポップ路線かと思えば、ちょっとおもいもよらないような展開があらわれ、やけに耳に残るようなメロディーに仕上げています。どこか一筋縄ではいかない部分を感じさせます。かと思えば、「渚のセレナーデ」では、曲紹介のMCも含めて、往年の歌謡曲を意識したそのまま「ベタ」なポップソング。ここらへんのユーモアさも楽しいところ。
また彼女たちの曲で耳を惹くのが、男女デゥオというボーカルスタイル。男女ボーカルとも、やさしい雰囲気の丸みを帯びたボーカルなのですが、似たベクトルの声質という点で、楽曲全体の統一感があるのと一方、特に女性ボーカルがかわいらしく、楽曲の大きなインパクトになっています。
ただ、このメロディーも含め、楽曲全体の骨格には、一方ではある種のベタさも感じられます。ひねくれたメロは独特の癖があるものの、例えば、ストレートなピアノバラードの「青き日々よ」みたいな曲もあり、ヒットチャート王道系のJ-POPらしい、いわばちょっとベタっぽさを感じられるメロもチラホラ見受けられました。
しかし、彼女たちの場合、その結果、平凡といった印象を受けるのではなく、むしろ逆。ひねくれメロに、ちょっとサイケちっくなアレンジという、下手すれば「実験的」になりそうな部分を、そういうベタな部分で押しとどめている、という印象を受けました。結果、大衆性と独特な個性が、絶妙なバランスでマッチしたアルバムになっていました。
よりポップになったクラムボン、といった感じでしょうか。あるいは、ひねくれたジュディマリといった感じも。ちょっとのあのわにかぶる部分もある気もするのですが・・・。ただ、まだまだこれから大きくなりそうな要素も感じられます。これからに要注目!なポップスバンドです。
評価:★★★★★
YETI vs CROMAGNON/ザ・クロマニヨンズ
早くも7枚目となるクロマニヨンズのニューアルバム。もともと、初期衝動的というか、ロックンロールの勢いを重視したスタイルが、特にクロマニヨンズになってから顕著ですが、その方向性がどんどん純化してきた感じが。タイトルからして、意味不明なのですが(笑)、歌詞にも、意味よりも、ロックンロールとしての勢いを重視したような曲が並んでいます。ただ、この純化という方向性が、いまだに若手バンドのような若々しさを感じさせる大きな理由か?
評価:★★★★★
ザ・クロマニヨンズ 過去の作品
CAVE PARTY
ファイヤーエイジ
MONDO ROCCIA
Oi! Um bobo
ACE ROCKER
Sweet Swedish Winter/カジヒデキ
その「純化」という意味では、彼にも通じる部分があるかもしれません。もともと、スウェーディッシュ・ポップに大きな影響を受けていた彼ですが、その方向をさらに強調し、スウェーデンの冬をテーマとした、まさにそのまんまな作品。寒い北国のスウェーデンの冬ですが、このアルバムから感じられるのはいたって暖かい雰囲気。ある意味、典型的なスウェーデンのイメージそのままといった感じなのですが、ある意味、割り切りというか、イメージ通り突き進む、一種の覚悟すら感じます。まあ、そういう難しいこと抜きにして、ポップで楽しいアルバムではあるのですが。
評価:★★★★
カジヒデキ 過去の作品
LOLIPOP
STRAWBERRIES AND CREAM
TEENS FILM(カジヒデキとリディムサウンター)
BLUE HEART
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