ロック好きなら無条件で楽しめます。
Title:180
Musician:Palma Violets
今、話題のロックンロールバンド、Palma Violets。イギリスはロンドン出身の若者4人からなるロックンロールバンドで、期待の新人が毎年ノミネートされることでも知られる、イギリスBBCの「Sound of 2013」にもノミネート。また、今年のサマソニ出演も決定し、日本でも期待のバンドとして盛り上がっています。
ただ、彼らの活動については、オールドスタイルのロックンロールバンドを、意識的に狙っているなぁ、というのを感じます。4人が、イギリスの住宅の前にたむろする白黒の写真も、いかにもな感じですし、「ラフ・トレードのジェフ・トラヴィスが1曲だけを聴いて即契約をした」というエピソードも、この手のロックンロールバンドにはありがち。わざと粗く、くすんだ雰囲気を残した録音もまた、そんな「狙い」を露骨に感じます。
とはいえ、そんな「作られた部分」を含めて、ロックが好きなら、おそらく無条件で楽しめそうな音ではないでしょうか。ガレージロックをベースに、メロディーはポップで耳なじみやすく、勢いのあるサウンドには、ついつい惹きこまれるものがあります。
特にそんなロックリスナーの心にそのまま直結しそうなのが「Johnny Bagga' Donuts」。パンキッシュなサウンドに、いかにもなタメをつくったボーカルが特徴的なロックンロールナンバー。テンポのよいバンドサウンドの中で鳴り響くオルガンの音がまた印象的で、曲に深みを与えています。
ちなみにこのオルガンの音色が、このバンドにとってはひとつのフックになっていて、例えば2曲目「Step Up for the Cool Cats」などは、オルガンの音色がサイケちっくに響き、大きなインパクトを与えているナンバー。単純なロックンロールバンドでも、こういう彼らならではの「音」がひとつあるだけで、曲に幅が出るように感じます。
そんな訳で、ゴチャゴチャ難しいことを言う前に、聴いて楽しめちゃうような、そんな理屈抜きのロック好きには壺のアルバムだったように思います。
ただ、このアルバムの日本盤、ひとつ大きな問題点が。それは、本編の後に7曲も続くライブ音源。今年2月に日本で行われた「Hostess Club Weekender」のライブ音源なのですが、なんで、こういうものを蛇足のようにつけるかなぁ。勢いある曲が、全編あわせて40分程度というちょうどよい長さもまた、ひとつの魅力だと思うのですが、このボーナストラックのおかげで60分以上の長さのアルバムに。アルバムは長ければいいというものではないと思うんだけどなぁ。「40分の短いアルバムだから、20分もボーナストラックを入れられる!」なんて考えた日本の担当者は、アルバムの魅力って何か、全くわかっていないんでしょうね(苦笑)。
評価:★★★★★
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